11月9日、インターネットイニシアティブ(IIJ)はインフォテリアと協業し、コンテンツ配信プラットフォーム「Handbook」をIIJ GIOスマートモバイルソリューション上で提供することを発表した。
スマートモバイルデバイスへのコンテンツ配信を容易に
Handbookはインフォテリアが開発したコンテンツ配信ソフト。Webブラウザ上で動作するHandbook Studioによりモバイル向けコンテンツを生成し、iPadやiPhoneなどのiOS端末、Android端末などの「スマートモバイルデバイス」に配信できる。
画像や動画、ファイルなどをハンドブックという単位でまとめ、階層構造で閲覧できるほか、アンケート収集やクイズなどのインタラクティブな操作も可能。Handbookの開発元であるインフォテリア 代表取締役社長の平野洋一郎氏は、スマートフォンの市場規模の拡大や「一昔前のスーパーコンピュータ並み」の処理能力の高さなどを引き合いに出し、今後ビジネスの現場でスマートモバイルデバイスがますます重要になってくるとアピール。Handbookを用いることで、「iPhoneアプリの開発やAppStoreへの事前申請、サーバー構築・運用などをせずに、低コスト・短期間でコンテンツ配信を実現できる」(平野氏)とメリットを説明した。
特に、ユーザーごとに公開を制御できる「アクセス制御」やHandbookアプリの操作履歴など、企業でのニーズに応えるセキュリティ機能が、既存のコンシューマアプリとの大きな違いであると言及した。国内では、教育機関での教材作成や社員の社内情報共有などで用いられているという。
IIJがエンタープライズ向けSaaSの品揃えに追加
今回の協業は、このHandbookをIIJの「IIJ GIOスマートモバイルソリューション」上のSaaSで提供するというもの。インフォテリアも中堅中小企業向けのSaaSを提供しているが、IIJのサービスは500名以上の利用を前提に仮想サーバーを専用で用意するという。「インフォテリアのサービスはあくまで共用環境での利用で、VPNや個別のカスタマイズは難しかった」(平野氏)という点が異なる。
サービス提供の背景としてIIJ 執行役員マーケティング 本部長 松本光吉氏は、個人のほうが企業に比べて先進的なデバイスや環境を得ている現状を説明した。会社員がいわゆるガラパゴス携帯電話を持たされ、PCの持ち出しも禁止されているのに比べて、個人ユーザーは最新のスマートフォンなどのデバイスを自由に利用している。ネットワーク環境も個人宅のほうがはるかに高速で、PC環境も個人の方が最新のOSとアプリケーション使っているという現状がある。こうした現状に対し、企業でも最新のスマートモバイルデバイスを安全に便利に使えるようにするのが、先日発表されたIIJスマートモバイルソリューションになる。IIJスマートモバイルソリューションでは、閉域網でのネットワーク接続や認証、さらにアプリケーション配信までをオールインワンで提供するサービス。
IIJグループも3年前からシンクライアントや仮想デスクトップ、iPadのようなモバイル端末の導入を積極的に進めているという。iPadのような端末に関しては、「会社で貸与したものを使うのか、私物を持ち込むのか、社内でも論議が沸き上がっている。安心&安全に使える環境をいかに実現しているのかを試行錯誤しており、自社がパイロットユーザーとして導入を進めている」(松本氏)という状況だという。
今回のHandbook提供に関して、松本氏は「オンラインで閲覧するものとダウンロードしたものを、部署単位でうまく管理できる点が気に入っている。ドキュメントビューアは海外にもいろいろあるが、プライベートクラウドのような場面で使える製品は少なかった」と語る。価格は1000ユーザーで月額10万円で、12月から提供を開始する。