「クラウド型接続」でブレードをもっと普及へ
発表会において、日本ヒューレット・パッカードの宮本氏はHPのブレードサーバーの販売動向と戦略について解説した。同社は2006年「Blade 3.0」を謳って第3世代ブレード「c-Class」を投入し、以来、最重要の戦略製品としてブレードサーバー拡販のためにさまざまな施策を打ってきた。2007年には「Blade Everything」を掲げて、100V対応の中小企業向けブレード「c3000」を投入。さらにタワーやラックマウントと同じように販売してもらえるようにパートナー施策を変更したり、ブレードのエンクロージャ自体を税込315円で提供するキャンペーンを実施してきた。この結果、HPはブレードサーバーの市場で高いシェアを獲得し、「日本のブレードサーバー市場を牽引してきた」(宮本氏)という。
そして、ブレードサーバーのシェア拡大のために、HPが次の一手として仕掛けるのが「クラウド型統合」だという。HPの調べによると、ブレードサーバーで用いるインターコネクトを調べてみると、日本ではEthernetやパススルーを用いたサーバーの物理統合が多い。物理統合では、物理ポートの制約から配線などが複雑になるが、ワールドワイドでは、サーバーやストレージ、ネットワークなどを統合するクラウド型統合が進んでいるという。これを実現するキーテクノロジーが、ネットワークとI/Oの仮想化を実現する「HPバーチャルコネクト」である。
HPバーチャルコネクトは2007年から投入されているI/Oの仮想化技術で、一度配線すれば論理配線やポート分割、帯域、VLANやWWNなどのIDをあとから変更できる。FlexFabricと呼ばれる仮想化モジュールで実装されており、今年の7月にはEthernet上にFC(ファイバチャネル)を実装したFCoEゲートウェイも搭載された。
今回、HPが投入するのはGeneration 7を謳う新ブレードで、HPバーチャルコネクトへの対応を強化した。ハーフハイトブレード「HP ProLiant BL460c G7」「HP ProLiant BL490c G7」、1スロットに2台のサーバーを搭載する高密度ブレード「BL2x220c G7」などが投入された。詳細は以下のとおり。
- HP ProLiant BL460c G7
- Xeon 5500/5600番台を搭載可能な2ソケットサーバーで、12個のDIMMスロットに最大192GBのメモリを搭載できる。10GbEやFCoEに対応したCNA(Converged Network Adaptor)をオンボードに搭載する。価格は27万7200円(税込)。
- HP ProLiant BL490c G7
- Xeon 5500/5600番台を搭載可能な2ソケットサーバーで、18個のDIMMスロットに最大192GBのメモリを搭載できる。高速なSSDを2台搭載でき、60/120GBの容量を実現する。460c G7と同じく10GbEやFCoEに対応したCNA(Converged Network Adaptor)をオンボードに搭載する。価格は38万7450円(税込)。
- HP ProLiant BL2x220c G7
- HP BladeSystem c-Classの1スロットに2台のサーバーを搭載できる高密度モジュール型サーバー。Xeon 5500/5600番台を搭載可能な2ソケットサーバーで、6個のDIMMスロットに最大96GBのメモリを搭載できる。デュアルポートの1GbEに加え、40Gbpsを実現するInfinibandをオンボードに搭載。価格は134万850円(税込)
新モデルではパフォーマンスやセキュリティを強化したリモート管理ツールの「iLO 3」にも対応。管理性を高めた。また、エンクロージャやサーバー、ソフトウェア、SANストレージなどをパッケージ化した「HP BladeSystem Matrix」でもVC FlexFabricを標準搭載した。