あなたの知らないWindows 第37回
Internet Explorer 9β版レビュー Part3
GPUで変わるInternet Explorer 9のパフォーマンス
2010年10月14日 12時00分更新
β版が公開された「Internet Explorer 9」の特徴のひとつは、GPUを積極的に利用することだ。それではGPUの種類によって、IE9のパフォーマンスは変わるのだろうか? 今回は独立GPUとチップセット内蔵GPUを使い、GPUの違いによるIE9のパフォーマンスを検証してみた。
GPUにより速くなるのはグラフィックのみ
表示にGPUを利用するIE9では、GPUの性能を生かすために、DirectXの「DirectWrite」と「Direct2D」を利用している(関連記事)。そのため、ウェブブラウザーの速度で重要視されるJavaScriptの処理は、GPU機能を利用しているわけではない。
ウェブブラウザー上にテキストを表示する際には、DirectWrite APIが利用されている。そのため今までのウェブブラウザーのように、WindowsのGDIを使ってレンダリングすることなく、直接DirectXを使って描画できる。これにより、テキスト表示の高速化や、以前からあるサブピクセルフォントレンダリング技術「ClearType」の表示高速化が実現された。
また、Direct2Dをサポートすることで、ウェブブラウザー上で2Dベクトルグラフィックスやビットマップ画像などの表示が高速化される。WindowsのAero UIで使われている、半透明なグラフィックを実現するアルファブレンディングや、アンチエイリアシングなどもDirect2Dを使用することで、GPU側で多くを処理できる。
さらに、「Windows Imaging Component」(WIC)を利用することで、PNG/JPEG/TIFFなどの画像のデコードをGPUで処理する。これにより画像を表示する際のCPU負荷を軽減する。ひとつひとつの画像のデコードはたいしたCPU負荷ではないが、画像を数多く使用したページを表示する場合などで、GPU処理によりCPU負荷が小さくなるわけだ。ひいては、CPUの処理をJavaScriptなどに振り分けて、全体として高速化できるという理屈だ。
そのほかにも、IE9ではビデオ再生に「DirectX VA」(DXVA、VAはVideo Accelerationの略)を使用しているため、HTML5で追加されたビデオ再生機能でもGPUが使用される。
このようにGPUを積極的に利用しているIE9だが、3DグラフィックのGPUアクセラレーションに関しては、実はまだサポートされていない。これは、ウェブブラウザー上で3Dグラフィックを表示する「WebGL」にまだ対応していないためだ。WebGLはHTMLのCanvas要素を使っているため、将来的にIEでサポートされる可能性もある(IE9とは限らないが)。
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