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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第127回

東京スカイツリーは21世紀のピラミッド

2010年10月13日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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スカイツリーで電波障害は増える

 東京都墨田区で建設中の「東京スカイツリー」の高さが488メートルに達し、電波塔としては日本で歴史上第1位になったという。完成すると634メートルで、電波塔としては世界一になるそうだ。

実際に建設を担当している大林組のサイトより。東京タワーの332.6メートルはすでに大きく上回っている

 ところで、このスカイツリーは何のために建てるのだろうか。電波塔というからには、これが建てば今までより電波の届く範囲が広がるはずだが、すでに地デジの関東での電波カバー率はほぼ100%。これ以上カバー率を上げることはできない。スカイツリーは東京タワーより高いので遠くまで電波が届くと思っている人がいるが、東京タワーの電波の届く範囲は関東一都六県に限られており、これ以上広げることはできない。

 ではタワーが高くなると、ビル陰が減って電波が届きやすくなるだろうか。これも今の東京タワーでビル陰になるところは、ほぼ100%ケーブルテレビなどで難視聴対策が行なわれているので、これ以上、受信状態がよくなることはありえない。むしろ東京タワーから移動すると、電波の飛んでくる角度が変わるので、新たにビル陰ができてカバー率が落ちる。デジタルの電波はゴーストが出ない代わり、電界強度が一定以下だとまったく見えなくなる。

 要するに、スカイツリーによって電波事情が改善されるどころか、電波障害が増えるのだ。今までは電波の飛んでいるところにビルが建ったので、「原因者」であるビルの所有者が共聴アンテナを建てるなどビル陰対策を行なうが、電波の角度が変わって電波が受信できなくなる場合の原因者は国だ。全国マンション管理組合連合会は「国がビル陰対策の費用を負担しろ」と主張しているが、政府は補償しないので各家庭が対策を取らなければならない。

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