「とある魔術の禁書目録」の痛PCケースがリンクスインターナショナルから発売されることになったのはご存じのとおり。そのドキュメンタリーを綴るべく同社に取材に来ているのに、採用するイラストにダメ出しするわ、より痛くするためにシールを増やすわ、すっかりディレクションしちゃっていたASCII.jp編集部(関連記事)。
前回のレポートでは、試作機の完成までをお届けしたが、リンクスインターナショナルに聞けば、シールの製造と貼り込み作業は国内の職人さんがやっているという。しかも場所は、東京の浅草と。
てっきり中国の女工さんたちが手張りしているのかと思ってたが、えらいご近所で作ってるジャン! ということで、生産現場を突撃取材することにした。
単純に印刷するだけじゃなく
表面コートもしている凄いシールだった!
やってきたのは浅草駅から歩くこと10分ほど、建設中のスカイツリーがよく見える「きりもじやポップボックス」さんだ。事務所というか工房に入ってまず目に飛び込んでくるのは、ローランドの業務用大判インクジェットプリンタと巨大な作業台。
まずはこのプリンタで絵柄を打ち出す。「なんだよ、このプリンタさえあれば俺たちにも作れるじゃん!」なのだが、本体価格は3,097,500円。えっ!300万円オーバー! 痛車を何十台か作れば元が取れるかもしれないが、ちょっと個人には手が出ない代物だ。しかも、インクジェットプリンタを使ってる人ならご存じのとおり、インクもハイブローな価格。もちろんシールを印刷するシートも安いわけがないのだ。
解像度は1440dpiとそこらへんのインクジェットプリンタとさほど変わらないが、インクの粒子の大きさを調整するバリアブルドット機能を備えていたり、発色をよくするために水性インクを使っていたりとかで、高精細&超キレイな仕上がり。しかも耐久性は3~5年とパーソナルユースには真似できないシールに仕上がるのだ。
パーソナルユースのインクジェットプリンタなら、顔料や染料インクをシール用紙に印刷すれば即シールの完成だが、工房では水性インクを使っているため、これを保護するためにラミネート加工を行なう。
次はサイドパネルにシールを貼る工程だ。いわゆる水張りだが、スプレーボトルの中は企業秘密だとか。とはいえ、見るからに台所用洗剤を水で薄めた、いつものヤツのようだ。
職人の技を見せ付けられたのは、1mmの狂いもなく一発でステッカーを定位置に貼る技だ。ステッカーの大きさはサイドパネルより1mmほど小さくなっているので、左右にできるスキは0.5mm。
まずはシールの片側5分の1ほどを台紙からはがし水張りして、スタートの位置決めをする。あとは台紙をはがしつつ、全体に水を張る。
その間わずか1分。で、仕上がったのがコイツだ。
もちろん気泡が一切入っていないことは言うまでもない。「とある魔術の禁書目録」PCケースは、こうして1台1台手作りでかつ、キレイに作られているだ。
ちなみに、サイドパネルと絵素材のデータを持ち込めば、個人でも1枚8000円前後で、貼り込み加工までやってくれるとのこと(要予約)。
【取材協力】
ポップボックス
住所:〒111-0032 東京都台東区浅草6-34-2
TEL:03-3872-9643
URL:http://www.popbox.co.jp
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