企業で半数を超えるノートパソコン、だが……
液晶ディスプレーやキーボード、ポインティングデバイスなどパソコンとして必要なコンポーネントをすべて搭載し、さらにバッテリ駆動が可能なノートパソコンは、出張や外出先でも利用できる。昨今ではその高い省スペース性のメリットに着目し、ほぼ据え置きの用途で導入されるケースも増えている。
IDCの調査によると、企業で導入されるノートパソコンの比率は2000年には42.2%だったが、2009年には52.9%にも増加した。こうした数値を見ても、企業においてノートパソコンの導入が進んでいるのは明らかだろう。
その一方で影が薄くなっているのがデスクトップパソコンだ。従来は同等のスペックで比べるとノートパソコンよりも安価というメリットがあったが、昨今のノートパソコンの価格下落によりそのアドバンテージが薄れている。
またケーブル処理などセッティングが煩雑になる点や筺体だけでなくキーボードやディスプレーの設置が必要になることも、企業におけるデスクトップパソコン離れの原因として考えられる。
ただし、作業効率という観点から考えると、常にノートパソコンがベストだとは言えない。
例えば作業効率に直結する、画面解像度についてはノートパソコンの場合、まだまだ1280×800ドット程度の製品が主流だ。しかしデスクトップパソコンなら液晶ディスプレーを自由に選択できる。20インチオーバーで、フルHD(1920×1080ドット)の解像度を持つディスプレー製品も安価になっていることから、コストを抑えつつ効率的に作業できる環境を構築しやすい。
もちろん、多くのノートパソコンには外部ディスプレー接続用のインターフェイスが用意されている。実際、ノートパソコンに外部ディスプレーを接続しているユーザーは増えている。
調査会社IDC Japanの片山 雅弘氏によると、デュアルディスプレーを利用しているユーザーはパソコンユーザーの約30%に上るという。これはノートだけでなく、デスクトップも含めた数字だが、高解像度へのニーズが高いことがうかがえる。IDC Japanでも、表計算ソフトを多用する仕事柄、多くのユーザーがノートパソコンに外部液晶ディスプレーを使用しているという。
しかし、外部ディスプレーを接続すれば、ノートパソコンが持つ省スペース性は大幅にスポイルされ、デスクトップパソコンと変わらなくなる。高解像度の環境が必要で、なおかつPCを持ち歩く必要がないのであれば、最初からデスクトップパソコンを選択した方が手っ取り早い。
また、キーボードやポインティングデバイスを自由に選択可能で、PC本体が陳腐化しても液晶ディスプレイなどの資産を引き続き流用できる点などもデスクトップパソコンのメリットとして挙げられる。
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