多数の機能が実装されたInternet Explorer 9の
プレビューが披露される
2009年11月に初めて公開された「Internet Explorer 9」の詳細が、米国ラスベガスで開かれたマイクロソフトによる開発者向け国際会議「MIX10」で公開された。2009年時点でIE9は、「ラスタライズ部分を改良し、GDIによる描画をやめ、GPUのアクセラレーションを使った描画を採用する」と発表していた。これらの実現により、ウェブブラウザーのレンダリング品質は上がり、きれいなフォント表示などが可能になる。現在は開発者向けのプラットフォームプレビュー版が公開されている。
MIX10、2日目の基調講演には、Windows製品を担当するマイクロソフト副社長のスティーブン・シノフスキー(Steven Sinofsky)氏が登場。PDCに続いて、IE9の最新情報を講演した。PDC時点に比べてさらに開発が進んでおり、今回はさまざまなデモが披露された。このIE9の主な変更点をまとめると、以下のようになる。
- HTML5の採用
- 描画にGPUを利用
- インラインSVGのサポートとGPUによる描画
- CSS3への対応
- JavaScriptの高速化
- HTML Videoへの対応(HTML5)
この中でも大きなものは、GPUの利用だろう。Windows VistaからWindowsの標準的な画面描画システムは、旧来のGDIからDirectXの機能を利用したものになった。Windows 7ではこれをさらにすすめ、2D描画の機能として「DirectDraw」などが用意された。IE9はこれに対応し、描画にGPUを活用する。これにともない、GDIでは荒かったフォントのレンダリングなども改善され、高品位なフォント表示が可能になる。また、描画自体にGPUを使うことで、表示も高速化される。
もうひとつは、「インラインSVG」(Scalable Vector Graphics)の採用である。これまでのIEでは、SVG表示にはプラグインが必要だった。これをIE9内に取り込み、IE9がSVGを解釈して描画する。この描画にもGPUを使うため、高速な描画が可能だ。
また、HTML5で定義されているビデオなどのメディア機能もIE9はサポートし、JPEG-XR※1にも対応する。これらもGPUによる高速なレンダリングが可能になる。特にHDビデオの再生では、GPUが持つ動画再生機能を利用するため、CPUへの負荷が低く、ネットブックのような性能が低いマシンでもなめらかな再生が可能になるという。
※1 マイクロソフトがかつて提案した「HD Photo」、あるいは「Windows Media Photo」とよばれる仕様が、JPEGで規格化されたもの。