インターネット時代に、音楽レーベルにはどんな役割があるのだろうか。
これまでの「音楽業界」が活気を失いつつある今、インターネット上、特にニコニコ動画では、音楽家とリスナーがへだてなく交流する新しい音楽文化が生まれている。音楽家たちは自分の曲をすべて無料で公開し、リスナーは当然のこととしてそれを受け止める。リスナーたちと直接やりとりをして、お手製のCDを売る音楽家も続々あらわれている。
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その中で、いわばその「中間」に入ってくるレコード会社や音楽レーベルは音楽家からもリスナーからも「不要なもの」と見られかねない。そんな逆風を受けながら、インターネットの音楽家のCDをリリースしつづける音楽レーベルがある。それがハッチ・エンタテインメント所属の「LOiD」だ。
LOiDのラインナップを見てみると、ニコニコ動画で人気を集める音楽家のCD、サブカル誌「CONTINUE」などで話題になったアニメ「護法少女ソワカちゃん」のDVDなど、ネットで話題になった作家による作品が並ぶ。LOiDで企画・制作を担当しているのは、25歳の若手社員「むらたさん」だ。
このレーベルがユニークなのは、ニコニコ動画でとりわけ人気の「初音ミク」というボーカロイドソフト(人間の声を収録した、歌声を作れるソフト)の可愛いキャラクター性を前面に押し出さないこと。それをあえて遠ざけることで、クリエイター自身に光を当てているのだ。
そんなLOiDのむらたさんが、新作コンピレーションCDの宣伝動画をTwitterで流していた。それを見ると、なんとむらたさん本人が「ADmurata」として参加することになっている。一体なぜ「CD作りの裏方」がわざわざ前に出ることになったのか? そしてむらたさん自身は音楽レーベルをどうあるべきと考えているのか。直接本人に聞いてみた。