検索の王者は、常に勝っているわけではない
先々週、グーグルが中国から撤退するという報道が注目を集めた。
ネットの世界では圧倒的な存在感を誇るグーグルだが、中国市場では第二位のシェアにとどまっている。中国で圧倒的な人気を博しているのが、バイドゥ(百度)だ。当然「もし本当にグーグルが撤退したら、バイドゥがさらに盤石な地位を固めるのでは?」と言った声も聞こえてくる。
グーグルが低いシェアに留まっている国の多くが、漢字やハングルなどのいわゆる2バイト文字圏である。例えば日本のYahoo! JAPANも国内に独自の開発チームを置き、米国のYahoo!とは一味違った進化を遂げている。韓国もネイバーを始めとしたローカルの検索サービスが強い。
さてバイドゥが、唯一海外に拠点を置くのが、ここ日本である点をご存知だろうか? バイドゥが日本を海外進出の橋頭堡として選んだ戦略も「言語」と切り離して考えることはできない。
昨年末、グーグル日本語入力と歩調を合わせるかのように登場したBaidu Typeも2バイト文字圏での展開戦略の一環と捉えるべきだ。前回の紹介記事では、変換精度に限って言えば、まだまだ改善の余地がある点を指摘した。だが、バイドゥに聞くと、正確さという1本の軸のみで優劣を競って来たこれまでのIME競争とは異なる視点を持っていることが分かった。
Baidu Typeをリリースした狙いや、今後の展望に関してバイドゥ(株)プロダクト事業部の稲垣あゆみ氏に聞いた。
