あるときはASCII.jpのMac担当として、またあるときは都庁前iPhoneクラブのカリーとして活躍する編集部Hは悩んでいた。これからの人生に、都庁前iPhoneクラブの次回原稿に、そしてなぜかプロレス界の今後について。
そんな彼に突如降って沸いたようにやってきたのが「アントニオ猪木さんに話を聞きませんか?」という話。猪木さんと話をすれば、何かが変わる。そう思って編集部Hを始めとする、ASCII.jpの面々は待ち合わせ場所の都内ホテルに向かったのだった。
ネットに頼る若者について
「そういう時代だから、それでいい」
―― 猪木さん! 最近世の中全体が元気が無いように思います!
アントニオ猪木(以下、猪木) 世の中がウソばっかりというと過言だけど、本当のことを言わずに目をそらしている。世の中にもっと怒りがほしいよね。若い奴がもっと怒ってもいい。
―― ケータイやネットにばかり、コミュニケーションを頼っている人間も多いです。
猪木 それはそれでそういう時代だからいいのかなあと思いますね。ただ、逆に情報過多になって、家にいながらにして情報が得られるのはね。一歩踏み出して、実際の場所に行って情報を取り出してみる。そうじゃないと物事への興味が薄れてしまう。本当はわかってないのに「わかってるよ」って感じになっちゃうと思うんだよ。
―― ネット上のいじめも問題になっています。
猪木 劣等感を持っていることはいいことだって。劣等感を持ってない奴なんていない。ただ劣等感がないように振る舞ってるだけで。それをバネにできればいいんだ。
―― 劣等感をバネに変える猪木さん流のテクニックなどはありますか?
猪木 それはもう「夢」しかない。これは実現してやるという。あとこの話はよく言うんだけど、韓信の股くぐりの話。劉邦に仕えた将軍のね。田舎から出てきた韓信がいざこざに巻き込まれて、相手の股をくぐるっての。でもオレには夢がある。そんなことはちいせえよ。と思えるくらいの夢を持ってほしい。夢が実現しようとしまいともう関係ないじゃん。もちろん実現させるためにがんばるんだけどね。
―― それはまさに「迷わず行けよ 行けばわかるさ」の精神ですよね。
猪木 ちょっとそれは違うんだけどね。
―― (ガクッ) でも、60代でそこまで熱く夢を語られる人は猪木さん以外にいないですよね?
猪木 人をビックリさせる部分、驚かせる部分が快感だから。客を裏切るというか。裏切りというと言葉は悪いけど。
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