非正規のWindowsでbot被害に遭うケースも!?
日本国内で中古PCは年間約159万台流通しており、そのうちの5割、約80万台がOSなしで販売されている(中古情報機器協会調べ)。これらを購入した企業や個人のユーザーの中には、オークションや露天商などから“怪しげなWindows”を買ってしまい、bot(ボット)などの悪意のあるプログラムの被害を受けるケースもある。
そんな状況を打破するために、マイクロソフトは“MAR(Microsoft Authorized Refubisher)プログラム”を開始した。MARプログラムとは、Windows XP Home Edition/Professionalのリカバリーディスクなどを紛失した中古PC、いわゆる“裸のPC(ネイキッドPC)”に対して、「ほぼ実費」でOSのディスクと正規ライセンスを提供するもの。個人が購入できるものではなく、中古PCの流通業者にOEM供給される。
米国では2007年11月に開始されている同プログラム。米国以外では日本を始め、カナダ、オーストラリア、オランダで今年開始される。
マイクロソフトの正規ライセンスを取り扱うため、対象業者は一定台数以上の中古PCを扱う企業に限られる。当初は中古情報機器協会(RITEA)に加盟する以下の9社でスタートする。
REITA:国内で唯一の、中古・再生情報機器に関する全国規模の事業者団体。同社調べは、国内で流通する中古PCの85%程度をカバーするという
MARプログラム参加企業(50音順)
- アンカーネットワークサービス
- 川上キカイ
- ソフマップ
- ティーズフューチャー
- デジタルリユース
- 東電環境エンジニアリング
- パシフィックネット
- ブロードリンク
- ヤマダ電機
上記9社が扱う中古PCには、セカンドライセンスと呼ばれる再生PC向け正規Windows OSのライセンスが提供される。インストールされるOSはWindows XP Home/Professional(プレインストールされていたXPのエディションに準ずる)で、最新のService Packが適用されるほか、マイクロソフトが提供するインターネット上のサービスを利用しやすくするツール群「Windows Live Essentials」が搭載される(予定)。
セカンドライセンスの見分け方
セカンドライセンスの見分け方としては、「COA(コア)」と呼ばれるライセンスシールがもう1枚(合計2枚)貼られていること。プレインストールOSのCOAは青いデザインだが、セカンドライセンスのコアはオレンジのデザインで、ひと目で区別できる。
なお、ハードウェアに特化したデバイスドライバーについてはマイクロソフトからは提供されず、上記の中古PC流通業者や製造元から提供を受けることになる。
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最近は個人情報や会社の機密情報の漏洩を避けるために、中古PCとして売却する前にHDDの内容を完全消去するケースが増えている。その一方で、プレインストールOSはCD/DVDではなく、HDD内の一部領域にイメージファイルとして保存される製品が増え、HDDを完全消去すると、その中古PCを購入した人はリストア(初期化)ができない。
今回のMARプログラムの実施は、正規のWindows OSの利用者を増やすとともに、中古PC市場の活性化も視野に入れている。中古PCとして手放す人が増えれば新規PCの需要を掘り起こせる、といった狙いもある。中古PCを購入して経費削減を目指す企業にとっては、Windows OSのライセンス購入以外にも安価に正規ライセンスを取得する手段が増えた、というわけだ。