Wiiリモコンの電池ってスグなくなっちゃう……。こんな悩みを抱える人が多いだろう。かくいう筆者もそのひとりで、有名メーカーの高い電池から、100円ショップの電池までいろいろ試してみた。
がっ! 長持ちそうな値段とネーミングの割りにスグなくなっちゃうヤツもいれば、100円ショップの電池なのにメーカー製の電池よりもえらく長持ちするものがある!
ような気がするっ! しかし自腹を切って電池を買ってきて寿命を調べるほど勇者じゃない。そこでASCII.jpに話を持ちかけ、他人のお金を湯水のように使って、新品の電池をガンガン実験しよう! というのがこの連載企画だ。
動機は不純だが、多くの人々が「ネーミングだけで実は短命な電池」を掴まされることがなくなり、捨てる電池も激減するに違いない!
実にエコロジーな企画なのだ!
ついでにみんな(筆者含む)のお財布にもエコロジー! 素晴らしい!
ということで、これから数回に渡って有名メーカーの国産電池から100円ショップの怪しい電池まで寿命比較をしてみたい。
どうやって実験したらいいものか?
ひとえに乾電池の寿命を実験しようと言っても、やり方は色々ある。ずーっと使いっぱなしにして寿命を調べる方法もあれば、より現実的に何分かスイッチを入れたら電源を切って休ませる方法もある。また、電池を使う製品には、デジカメや携帯オーディオプレイヤー、懐中電灯にオモチャまで様々だ。そもそも電池の寿命ってのすら定義が怪しい。
色々参考文献を当たってみると、カメラ映像機器工業会(CIPA)が作成した「電池寿命測定法」というものを見つけたが、2回に1回はストロボをフル発光したり、撮影ごとにズームとワイドを切り替えたり、10枚に1回電源をオフ(休ませる時間はメーカーにお任せ)したり、室内の温度や湿度まで細かく定義してあって実験が大変だけじゃなく、実験装置もえらく大掛かりになりそう……。
そこでASCII.jpの実験では、かなり簡略して性能をテストしてみた。
この実験では、室内の温度や湿度、生産日からの経過日数などを考慮していません。電池は室温により電池の特性が変わったり、生産日から日数が経過すると自然放電しますが、これらは考慮せずに実験しています。厳密に実験すると結果が変動したり、同じ実験を行なっても同様の結果が出ない場合があることに注意してください。
電池の寿命の定義ってナンだ?
電池の寿命は、JISC8511「アルカリ一次電池」という規格で「終止電圧」として定められており、アルカリ乾電池の場合、0.9Vが電池の寿命となっている。これをカッコよく言うと「終止電圧」となる。
つまり新品の電池1本は1.5Vだが、使っているうちに0.9V以下しか出力できなくなったときが寿命というわけ。今回は2本の電池を直列つなぎにして豆電球を点灯させたので、終止電圧は0.9×2本で1.8Vとなる。ただし、1.8Vを切った時点で実験を中断してしまうと、30秒間の平均を取ったときに1.8V以上になってしまうため、この実験では電池1本あたりの終止電圧を0.8V(2本で1.6V)を切った時点まで続けるようにした。
なお終止電圧は、電池の種類ごとに異なっており、次のような値が目標となっている。
使い捨て(1次)電池系の終止電圧
電池の種類 | 終止電圧 |
---|---|
マンガン電池 | 0.9V |
アルカリ電池 | 0.9V |
アルカリボタン電池 LR系 | 1.2V |
酸化水銀電池 SR系 | 1.2V |
空気亜鉛電池 PR系 | 0.9V |
マンガンリチウム3V電池 CR系 | 2.0V |
6P角型9V電池 | 0.9x6=5.4V |
角型の9V電池は、中に1.5Vの電池(これをセルという)が6個入っているため、終止電圧は5.4Vとなる(そーだったのか!)。「○○系」というのは電池の型番だ。時計などで使われる「LR44」やパソコンの内部電池で使われている「CR2032」などが代表だ。
参考までに充電式の2次電池の終止電圧は、以下のとおり。
充電式(2次)電池系の終止電圧
電池の種類 | 終止電圧 |
---|---|
ニッカド電池 | 1.0V |
ニッケル水素 | 1.0V |
リチウムイオン3.7V電池 | 3.0V |
バッテリ残量警告は、これらの終止電圧になると残量なしとみなしているようだ。ちなみにデジタルカメラの電池は、7.4Vってえらく中途半端な電圧になっているが、リチウムイオン電池の1セルが3.7Vになっているからだ。つまりデジカメの電池には、3.7Vのリチウムイオン電池のセルが2つ直列につながっているというわけだ。
自分で外部電源を作ろうとして「えーっ! こんな中途半端な電圧かよ! 7806も7809(電圧を変更するパーツ:下2桁が出力電圧)も使えねーし面倒臭せーっ!」と漏らした皆さん! そういう理由なんすな……。7807.2なんてパーツはないので、しばらく317(出力電圧を可変できるパーツ)のお世話になることにしよう。
(次のページへ続く)
この連載の記事
-
第9回
ゲーム・ホビー
電池実験装置の全貌公開! リレーユニットの製作【ソフト編】 -
第8回
ゲーム・ホビー
あの電池実験はこうやった! リレーユニットの製作を全公開! -
第7回
ゲーム・ホビー
電池を越えた電池! 電池と言えない電池を発見! -
第6回
ゲーム・ホビー
大電流で電池も加熱! ミニ四駆で無茶してみた~コンビニPB軍団×100円ショップ帝国 -
第5回
ゲーム・ホビー
大電流で電池も加熱! ミニ四駆で無茶してみた~有名メーカー編 -
第4回
ゲーム・ホビー
コンビニPB連合 VS 100円ショップ帝国勝負! 連続使用決戦! -
第3回
ゲーム・ホビー
有名メーカー電池ガチンコ勝負! 連続使用決戦! -
第2回
ゲーム・ホビー
12時間電池耐久レースはコンビニ&100円ショップ対決に! -
ゲーム・ホビー
驚愕の結果! アルカリ乾電池性能比較実験! - この連載の一覧へ