NVIDIA、SLIにも対応するハイエンドGPU“GeForce 7800 GTX”を発表!――6800 Ultraと比べてゲームが1.2~2倍も高速に
2005年06月27日 21時06分更新
GeForce 7800 GTXを搭載するカードを手にした米エヌビディア 日本・韓国マーケティングディレクターの飯田慶太氏 | エムエスアイコンピュータージャパン(株)が展示していた、GeForce 7800 GTX搭載カード『NX7800GTX-VT2D256E』2枚を使ったSLI構成のデモ機 |
エヌビディア(株)(NVIDIA)は27日、東京都内にて記者発表会を開催し、同社のグラフィックスチップ(GPU)の最上位に当たるハイエンドGPU“GeForce 7800 GTX”を発表した。2枚のグラフィックスカードを装着して並列動作によりパフォーマンスを向上させる“SLI(Scalable Link Interface)”機能にも対応する。搭載製品はすでに各社から発売されており、実売価格は6万円台前半から7万円台半ばである。
発表会では、同社エンベデットビジネス シニアマネージャーの斉藤道雄氏より、米NVIDIA社のビジネス概況についての説明が行なわれたのち、米NVIDIA 日本・韓国マーケティングディレクターの飯田慶太氏により、GeForce 7800 GTXについての説明が行なわれた。GeForce 7800 GTXは同社の前世代のハイエンドGPU“GeForce 6800 Ultra”をストレートに強化したGPUで、DirectX 9のShader Model 3.0仕様をサポートする第2世代のGPUであるとしている。ただしアーキテクチャー自体はGeForce 6800 Ultraと変わっていない。0.11μmプロセスで製造され、トランジスタ数は約3億200万個と、GPUでは最大級の規模を誇る。ソニー・コンピュータエンタテインメント(株)の次世代ゲーム機『プレイステーション3』に搭載されるGPU“RSX”のベースにもなっている。
GeForce 7800 GTXの主な仕様 |
シェーダーパイプラインの強化がGeForce 7800 GTXの最大の特徴である。プログラマブル頂点シェーダー(Vertex Shader)は8基(6800 Ultraは6基)、プログラマブルピクセルシェーダーは24基(同16基)へとそれぞれ増量され、演算能力が強化された。各シェーダーユニットは32bitの浮動小数点演算に対応する。GPUコアのクロック周波数は430MHz(リファレンス仕様の場合)、256bit幅のメモリーインターフェースを内蔵し、ビデオメモリーとしてはGDDR3 600MHz(256MB)をサポートする。メモリーバンド幅は38.4GB/秒、ピクセルフィルレートは約100億ピクセル/秒となっている。400MHz駆動のRAMDACを内蔵し、アナログRGB出力やDVI出力に対応するほか、コンテンツ保護機能を持つデジタル出力インターフェース規格“HDCP”(High-bandwidth Digital Content Protection)にも対応可能という。パソコンとの接続インターフェースにはPCI Express x16を採用している。
GeForce 7800 GTXのデモで登場する女性キャラクター“Luna”。スキンシェーダーによる肌の質感表現やHDRレンダリングのデモに登場 |
同社ではパイプライン並列性の強化により、GeForce 6800 Ultraと比較して、各種ゲームのパフォーマンスが1.2~2倍ほど向上するとしている。米Epic Games社が開発中の新グラフィックエンジン“Unreal Engine 3”を使用するファーストパーソンシューティングゲーム(FPS)『Unreal Tornament 2007』でのテストでは、GeForce 6800 Ultraと比べて約2.5倍、従来最速のGeForce 6800 UltraのSLI構成と比べても1.3倍以上の高速化を果たしているという。また32bit浮動小数点演算によるHDR(ハイダイナミックレンジ)レンダリングによって、繊細でよりリアルな光の表現などが可能になるとしている。さらにSLI接続にも対応しているので、GeForce 7800 GTX単体と比べて、ゲームのパフォーマンスは1.5~1.9倍程度まで高速可能という。
ゲームを利用した、GeForce 7800 GTX 1枚と、2枚によるSLI接続のパフォーマンス比較グラフ。さすがに2倍とはいかないが、かなりの高速化が可能 |
また製造プロセスの微細化により、低消費電力化を実現。GeForce 6800 Ultraでは冷却のために大型の冷却機構が必要で、カード製品はスロット2つ分の空間を占有していたところを、GeForce 7800 GTX搭載カードでは1スロットで済む。その他にも、MPEG-2ビデオやWMV9(Windows Media Video 9)の高画質ビデオアクセラレーションが可能な“PureVideo”機能については、いくつかの機能拡張が行なわれているという。飯田氏のプレゼンテーションでは16wayのSIMDベクトル演算プロセッサーを備え、将来のビデオフォーマットにも対応可能とした。またHD品質のビデオエンコードを行なうエンコーダー機能もあるとしたが、具体的なデモ等は披露されなかった。
台湾Albatron Technology社の『Albatron 7800GTX』。低消費電力化により冷却機構の小型化が可能となったため、スロット1つ分の厚みで使えるようになった |
テクスチャーの陰影を元にハイトマップを作り、ポリゴンを自動生成してリッチな形状を作る“ディスプレイスメントマッピング”のデモ。左のフラットな形状から、スライダーを動かすとゴツゴツした岩肌や半球状の目玉が表現される |
GeForce 7800 GTXの機能デモでは、同社制作のHDRレンダリングやディスプレイスメントマッピングのデモのほか、エレクトロニック・アーツ(株)EAゲーム マーケティングディレクターの辻良尚氏により、7月7日に発売予定のFPS『Battlefield 2』を使ったデモも披露された。最新の3Dグラフィックスを用いるゲームでも、GeForce 7800 GTXでなら最高品質で快適なプレイが可能であることを示し、そのパワーをアピールした。また会場ではパソコンパーツメーカー各社から、GeForce 7800 GTX搭載カードが多数出展されていた。
発表を行なったNVIDIAのスタッフとGeForce 7800 GTX搭載製品を出展した各社代表。過去のハイエンドGPUは発表後に製品が登場するまで時間がかかったが、GeForce 7800 GTX搭載製品はすでに続々と登場している |