執行役員 半導体部品本部長のマイク小池氏 |
アジレント・テクノロジー(株)は19日、東京・赤坂の海運クラブにプレス関係者を集め、液晶パネルのバックライトとして今後幅広い利用が期待される、RGB3色のLED(発光ダイオード)光源とカラーマネジメントシステムを組み合わせた“イルミネーション&カラーマネジメント(ICM)システム”『Agilent HDJD-JB01-8831A』を開発、本日販売開始すると発表した。出荷開始は6月予定で、サンプル価格は4200円。
マレーシアから来日した副社長兼ゼネラルマネージャーで電子部品BU担当のタン・ビアン・イー氏 | 同じく副社長兼ゼネラルマネージャーで光電子製品事業部担当のリー・スー・ギー氏 |
発表会には執行役員 半導体部品本部長のマイク小池氏のほか、マレーシアから副社長兼ゼネラルマネージャーで電子部品BU担当のタン・ビアン・イー(Tan Bian Ee)氏、副社長兼ゼネラルマネージャーで光電子製品事業部担当のリー・スー・ギー(Lee Soo Ghee)氏が出席し、LEDバックライトのメリットや今回開発したICMシステムの特徴などをデモを交えて説明した。
ICMシステムの概要 |
同社が開発したICMシステムは、
- RGB3色の“LEDバックライト”
- 3色の光を混合して白色を作り出し全体を均一に照らし出す“導光板(Lights Guide)”
- 混合した光の輝度や色度を判定して、制御チップ(コントローラー)にフィードバックする“光学センサー”
- ユーザーが利用形態に合わせて輝度や色味を調整する“制御システム”
- LEDを制御して輝度や色味、波長などを変更する“コントローラーチップ”
という5つのコンポーネントで構成される。RGB3色のLEDバックライト(LED BLU)を使ったシステムは、三菱電機(株)が2004年3月に開発・発表しており、冷陰極管(蛍光管)を使った現在一般的なバックライトと比べて、より広い色域の表現が可能になることが知られている。具体的には、蛍光管バックライトではNTSC比75%程度の色再現性にとどまるのに対し、RGB LEDバックライトでは104%という広色域を表現できるという。今回発表されたICMシステムでは、光学センサーを使ってカラーマネジメントの自動制御が行なえる“クローズループフィードバックシステム”を新たに開発・実現した。これは米国では特許を取得済みで、日本でも特許出願中とのこと。
従来の蛍光管バックライト、NTSCで表現可能な色域との比較 | RGB LEDバックライトユニットの開発で同社がクリアした課題 |
同社では今後RGB LEDソリューションの採用を加速するために、
- 開発・製造コストの低減
- 組み込みソリューションの提案
- ワールドワイドでの技術サポート
などを進めることを表明しており、すでに7インチサイズのサンプルシステムを開発している。同社では、「このシステムが普及することで、液晶パネルの個体差による色味の違いがなくなり、ユーザーの好みに合わせた色温度/色調の変更が可能になる」とメリットをアピールした。
従来の蛍光管バックライトとRGB LEDバックライトの比較 | 動作サンプルとして開発した7インチのRGB LEDバックライトパネル | |
白色LEDバックライトとの比較 | RGB3色のLEDを調整することで、バックライト自体に色味をつけることもできる。右はバックライトの色味を調整する画面 |