東日本電信電話(株)と日本ヒューレット・パッカード(株)およびインテル(株)は13日、NTT東日本の提供する光ファイバーによるインターネット接続サービス“Bフレッツ”向けに、コンテンツを共同で試験配信すると発表した。14日に開始し、期間は6ヵ月程度。
左から、日本HPの寺澤正雄代表取締役社長、NTT東日本の井上秀一代表取締役社長、インテルのジョン・A・アントン代表取締役社長 |
3社では今回、フレッツサービス向けのウェブサイト“フレッツ・スクウェア”からMPEG-2フォーマットの映像をストリーミング配信する。フレッツ・スクウェアは、地域IP網内に設置されているため、フレッツサービスの契約者以外は利用できない。
“フレッツ・スクウェア” |
映像を配信するサーバーは、日本HPおよびインテルが提供する。また、ユーザー側にはハードウェア、もしくはソフトウェアのMPEG-2デコーダーが必要になる。なお、“フレッツ・ADSL”や“フレッツ・ISDN”など、Bフレッツ以外のフレッツサービス利用者には、RealVideo/Audioフォーマットの映像を配信する。
NTT東日本の井上秀一代表取締役社長 |
今回の共同配信は、日本HPの寺澤正雄代表取締役社長によると、インテルと日本HPの間では「以前から話があった」という。その2社に「FTTHの成功に必要なコンテンツの充実は自社だけでは無理」(NTT東日本井上秀一代表取締役社長)と考えていたNTT東日本を加え、3社協力という形になった。
提供するコンテンツは、主として映画の予告編となる。(株)スクウェアの“ファイナルファンタジー”、日本ヘラルド映画(株)の“ロード・オブ・ザ・リング”、(株)オルカビジョンの“akibaTV.com”および“parco.tv”、(株)スカイパーフェクト・コミュニケーションズおよび(株)カミングスーンの“シネ★クエ ONE”の5種類。提供する内容の更新・入れ替えも、今後随時行なっていくという。
フレッツ・スクウェア内の、今回試験配信する映像コンテンツ |
NTT東日本の井上社長は「高品質なコンテンツを実際に体験してもらい、ブロードバンドをより身近なものにしたい」とし、今回の試みが「光サービスの展開が加速するきっかけに」なることを望むと語った。試験サービスの対象はBフレッツの利用者で、現在は千数百人程度だが、NTT東日本では、Bフレッツ利用者は6ヵ月後には4~5000人になると見込んでいる。
インテルのジョン・A・アントン代表取締役社長 |
インテルのジョン・A・アントン(John Antone)代表取締役社長は、今回の試験配信を通じて「ブロードバンドに最適化した、パソコンとネットワーク機器向けのアーキテクチャー」の技術的な検証を行なうと説明した。具体的には、広帯域かつ双方向の通信に適したアプリケーションの検証と、光サービスに適したサーバー環境の技術検証を行なうという。
ISP間の競争が激化するに連れて、それぞれのISPやADSL事業者は、コンテンツを囲い込むことで自社のサービスの付加価値を高めようとしている。しかし、NTT東日本では「コンテンツそのものをやる気はない」とし、今回の試験配信がNTT東日本の“コンテンツの囲い込み戦略”ではないことを強調した。同社は、コンテンツを自ら提供することはしないが、コンテンツを提供する事業者に対しての、課金や認証の仕組みの提供は行なうという。
日本HPの寺澤正雄代表取締役社長 |
なお、試験配信では、IPベースのネットワークやサービスの使用量をリアルタイムで分析する日本HPのツール『Internet Usage Manager(IUM)』を利用して、コンテンツの利用状況の収集・分析を行なう。
エンドユーザーがブロードバンドコンテンツをどのように利用するのか、今回の試験配信によって得られたデータを基に、3社は日本HP寺澤社長の言う「ブロードバンド時代でのビジネスモデルを確立」することを目指す。