1996年の発売から、キータッチにこだわるユーザーを中心に約28万台を出荷したという、PFUの“HHKB”こと「Happy Hacking Keyboard(ハッピーハッキングキーボード)」。その上位版としては初の日本語配列モデル「Happy Hacking Keyboard Professional JP」が11月14日に販売開始される(11月10日に受注開始)。
そもそも、上位機種って
なぜそんなに高いの?
HHKBには現在、実売5000円前後の普及モデル「Lite2」と、上位モデルで実売2万5000円前後の「Professional2」および今回の「Professional JP」の3種類がラインナップされている。
LiteとProfessionalの大きな違いは、Liteがラバーの反発力によって電極との接触/非接触を切り替える一般的なキーボードと同じ“メンブレン方式”を採用するのに対し、Professionalは円錐スプリングを押し下げる力によって電荷容量の変化を読み取る(非接触の)“静電容量無接点方式”を採用すること。
この違いにより、キーの押し下げ圧が固くなりすぎず、深いキーストロークとしっかりしたクリック感が得られる。具体的には、Lite2の押し下げ圧が55g、キーストロークは3.8mmなのに対して、Professionalでは45g/4mmという違いがある。ただキータイプ時の感触の好みには個人差があるので、数値の差よりもむしろ店頭のデモ機などでタイプ感を確かめてみることをオススメする。
キーカスタマイズで何がいいの?
Professional JPは、上位モデルで初の日本語配列であり、さらにLite2やほかのキーボードから乗り換えたユーザーにも使いやすくするための工夫がある。そのひとつが、キーカスタマイズ機能だ。
左下のFnキーをCtrlキーに、右下の4方向矢印キーを右Shiftキー(↑)、右Ctrlキー(←→)、右Windowsキー(↓)に変更できるというもの。なお、Fnキーを入れ替えると、Aの左隣のControlキーはCapsLockキーになり、Fnキーは右下(←キーの左隣)のみが有効となる。
Fnキーはハードウェア的なシフト機能であり、単独ではキー入力と見なされない。そのためソフトウェア等で入れ替えることは難しかった。Professional JPでは、キー入れ替えをディップスイッチで行なう。ディップスイッチはキーボード奥のパネル内側あり、設定は底面にシールで表記されている。
配色は、オフホワイトに黒文字、もしくはダークグレー(同社では「墨」と呼ぶ)に黒文字の2種類。キートップの印刷は樹脂にインクを染み込ませる「サブリメーション印刷」で、この手法では黒インクしか使用できないため、キートップの色を黒ではなくグレーの墨にしているとのことだ。ちなみに、サブリメーション印刷はProfessionalのみで、Liteは通常の印刷のため、黒に白文字のモデルがラインナップされている。
一般的なキーボードの2~5倍という高価なキーボードだが、独特のタイプ感とコンパクトさなどから根強い人気を持つ製品で、ユーザーは30~40代がピークだという。従来はプログラマーやエンジニアなどIT系技術者が多いが、最近は口コミで評判を呼び、事務職やデザイナーにもユーザーが増えている。
また、利用者の半数程度が複数台のHHKBを所有しているというデータもあるそうだ。「キーボードは消耗品」と捉えて複数台まとめ買いする人は編集部にも少なくないが、HHKBにはそうした濃いユーザーが多いことを裏付けているのだろう。