去る1月13日(土)、千葉県船橋市の陸上自衛隊習志野演習場で、平成20年「降下訓練始め」が実施された。当日は、あいにくの強風。その影響でプログラムの一部が中止、変更となったものの、空挺団による敵部隊への反撃作戦演習を間近に見ることができた。ということで、今回の寒風吹きすさぶ習志野の地で行なわれた演習を、フォトレポートでお届けしよう。
そもそも「降下訓練始め」ってナニ?
「降下」、「訓練」というからには何かから飛び降りる訓練となるわけだが、つまるところ空挺部隊が行なう年始の演習だ。「空挺部隊」と漢字で書くと何やら難しいが、要は「パラシュート部隊」のことで、隠密裏の敵地侵入や、敵拠点後方への降下攻撃など、様々な任務を担っている。部隊の名前は「第1空挺団」で、防衛大臣直轄の精鋭部隊だ。ただし部隊の任務上、装備は軽火器や装輪車輌が中心となっている。つまり軽量な小火器を主武装とし、輸送機なども活用して迅速に作戦を遂行する部隊なのだ。なお、この空挺部隊がどんな部隊でどんな訓練をやっているのかなどは、「習志野空挺団見学ツアー」を同行取材した記事「空挺魂を身につけろ!これが陸自精鋭の空挺部隊式ブートキャンプだ」を参照して欲しい。
この「降下訓練始め」という行事自体は、昭和44年(1969年)から習志野演習場で1年間の降下訓練の安全を祈る「開傘祈願祭」として開催されていた部内行事がルーツだ。それを昭和49年(1974年)に一般公開し、昭和51年(1976年)からは防衛庁長官臨席となり、さらに本年平成20年からは防衛省に改組されたことによって、防衛大臣を迎えての実施となった。
通勤電車で気軽に行ける演習場
降下演習が行なわれた習志野演習場は、前述のように千葉県船橋市にある。都内からは電車で1時間くらい。アスキー最寄り駅の九段下駅からは電車で1本。東京メトロ東西線から東葉高速鉄道直通運転で乗り換え無しの45分、北習志野駅下車でOKなのだ。もう、毎週演習やってくれてもいいくらいだ。
これが習志野演習場だ!
北習志野駅からバスで揺られること10分弱、住宅地や工場に囲まれた一角にある習志野演習場に到着した。
うーん、やはりここは狭いですな、どっちをみても家また家。「演習場」と聞けば一望千里、はるか地平線より迫りくる戦車師団、というような印象があるのだが、もうイメージ違いも甚だしい。世界各国に演習場数多あるとはいえ、四方すべて家並みに囲まれて、それが見えている演習場はそうそうないだろう。
もっとも、ここ習志野演習場も戦前はもっと広かったらしいのだが、戦後に旧演習場用地の払い下げ等があり、結果残ったのが現在のエリアなのだそうだ。ちなみに、日本国内では広大といえる北海道の演習場ですら、戦車砲など長射程化著しい火砲の全力射撃を行なうことが出来ず、アメリカ陸軍のヤキマトレーニングセンター(通称:ヤキマ演習場)を借りて射撃演習を行なっているわけで、演習ひとつにしても陸自の方々の苦労が偲ばれる。
そんな訳で正門から15分も歩くと観客席と取材エリアに到着。ちなみに隊員は自転車やバイクでサクっと移動しているようですな。
ヤキマトレーニングセンター
http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/rireki/calfex.pdf
陸上自衛隊の第2師団(北海道)など、各部隊が演習を実施している米国陸軍の演習場。下記URLは第2師団がヤキマで演習を実施した際のフォトレポート(PDF)
だ。
http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/rireki/calfex.pdf
http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/rireki/calfex2.pdf
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