「ΣBook」「LIBRIe」「Words Gear」のように、電子書籍リーダーではさまざまな製品が発売されてきたが、今のところ音楽業界のiPodのようなヒット商品はまだ出ていない。そんな電子書籍の世界に現れたのが、米アマゾンから399ドル(約4万3000円)で登場した「Kindle」(キンドル)という商品だ。
まだ米国のみの発売で、日本語にも非対応だが、Amazon.comから電子書籍をダイレクトに購入できるなど、これまでの電子書籍リーダーにはない特徴を備えており、電子書籍の本格的な普及のきっかけになるのではと期待されている。今回のレビューでは、発売後すぐにKindleを入手して2ヵ月使ってみた感想を報告しつつ、将来の展望について考えてみたい。
Kindleの基礎知識
すでにネットにはレビューがいくつも出ているため、基本的な話は簡潔にとどめておく。
Kindleが扱う基本ファイルは、アマゾンが販売するKindle形式(拡張子.AMZ)の書籍ファイルである。パソコンのブラウザーからAmazon.comにアクセスして書籍を購入すると、自動的にKindleにダウンロードされる仕組みになっている。
革新的なのは、無線LANではなく携帯電話(Sprint)のCDMAネットワーク経由で電子書籍ファイルが転送される点である。携帯電話の契約なしで利用できるうえ、通信料は無料。ダウンロード時間も短く、1分もかからずに転送が終わる。本体に保存できる書籍の数は約200冊で、SDメモリーカードによる容量の拡張も可能である。
電子書籍を表示する基本機能のほか、内蔵辞書で単語の意味を調べたり、ウェブブラウザー(Netfront)でウェブサイトを閲覧したり、MP3を再生したりする機能も備えている。
書籍リーダーとしての性能はかなり優秀。私は2ヵ月の間に数冊の書籍を購入し、常に持ち歩いているが、基本機能には満足している。