日本電気(株)は4日、ホームサーバーの新ブランド「Lui」(ルイ)に関する記者発表会を、東京都・有明の東京ビックサイトで開催した。今月5日から7日までビックサイトで同社が開催する次世代ネットワークイベント「iEXPO2007」に出展する。
Luiは「Life with Ubiquitous Integrated solutions」の略で、写真や映像などをホームサーバーで一元管理し、ほかの部屋のパソコンや携帯端末などで操作や視聴を行なうというホームサーバーソリューション。
同社が2008年前半に発売を予定している第一弾の製品は、サーバーとなる「ホームサーバPC」とクライアントの「PCリモーター」からなる。PCリモーターには、10.6インチ液晶ディスプレーを搭載した「ノートタイプ」と、WVGA表示が可能な4.1インチタッチパネルディスプレーを搭載した「ポケットタイプ」の2種類が用意される。価格は現段階では未定だが、「ホームサーバーPCとノートタイプをセットにして、現行のハイエンドパソコンより若干高め」になる予定だという。
Luiは大きく分けて、テレビの録画映像がデジカメ写真などをDLNAクライアントから視聴/閲覧する「コンテンツオンデマンド」と、Windowsのリモートデスクトップのようにサーバーパソコンをクライアントから操作する「PCオンデマンド」の2つのソリューションがある。
「iEXPO2007」のNECブースでは、家庭内を見立てたセットでLuiを紹介。今回の発表会では、リビングでテレビを見ていたお兄さんが、帰宅した妹役の女性(左)に席を奪われ、やむをえず喫茶店に移動して携帯端末でホームサーバPCにアクセスする(右)というデモが行なわれていた
コンテンツオンデマンドでは、デジタル放送配信の処理を専用ハードウェアに処理させることで、2番組の同時録画と別の2番組の同時配信、つまり4ストリーム処理を実現する「マルチレコードキャスト」技術を搭載。ハイビジョン番組をDTCP-IP対応のDLNAクライアントに配信することができる。ただし、録画形式はMPEG-2なので、ハイビジョン番組を2番組同時配信する場合は有線(ギガビット)LANが望ましい、という。
また、サーバー自体は通常のWindowsパソコンだが、この録画エンジンを独立させ、録画と配信に関する処理をこのエンジンだけで行なう「ハイリライアブルデザイン」を採用している。これによりパソコン側のリソースはほとんど使用しないという。
一方、PCオンデマンドでは、サーバー側の画面・音声を独自の圧縮技術で圧縮し、クライアントに転送する「リモートスクリーンテクノロジー」により、Windowsのリモートデスクトップを利用するよりもサーバーとクライアントで時間差の少ない映像の表示が可能。動画の再生はもちろん、3Dゲームも遠隔操作できるように開発中とのこと。どのくらいの時間差で表示できるのかについては「(製品においては)可能な限り時差をなくしたい」という。
クライアント側にはHDDのような大容量ストレージを搭載しておらず、(サーバーなしで)単体で動作するものではない。ただし、その分小型・軽量化する予定で、今回会場に参考展示されていたノートタイプは、B5ファイルサイズの本体で最薄部は16mm、重量は約650gだった。また、ポケットタイプのクライアントはスライド式のキーボードを搭載して、重量は約250gとなっていた。ともにIEEE 802.11b/gの無線LAN機能を搭載する。
さらに会場には、既存のパソコンをホームサーバPCにするためのPCIカードも展示されていた。ただし、このカードで実現できるのはPCオンデマンドのみで、テレビ録画や映像配信などは行なえない。
リビングの主役がパソコンになる時代がついに到来か!?
発表会では、NECパーソナルプロダクツ(株)の代表取締役社長の高須英世氏が家庭におけるパソコンの現状について報告した。同氏によれば、インターネットアクセスに使う端末として、最近の調査(総務省の2006年通信利用動向調査による)ではパソコンが携帯電話機を抜いて、最も使われる機器であると主張。さらに家庭内で利用される平日1日あたりの機器利用時間においても、携帯電話機やテレビ&DVDレコーダーを抜いてパソコンが最長である、という独自調査の結果を発表した。
また、HSDPAやモバイルWiMAXなど、高速なワイヤレスネットワークが立ち上がり始めており、「ユビキタス環境の実現が現実のものになってきている」と語った。
