米アマゾン社は9月25日、DRMフリーのMP3を販売する音楽配信サービス「Amazon MP3」の公開βテストを開始した。DRMは、Digital Rights Management(デジタル著作権管理)の略で、デジタルコンテンツに埋め込まれている複製や利用を規制するための技術を指す。
音楽業界は今まで楽曲の不正コピー/不正利用を防ぐためにDRMを積極的に利用してきたわけだが、米アップル社が5月末に同社の音楽配信サービス「iTunes Store」(iTS)でDRMフリーの楽曲「iTunes Plus」を売り始めて以来、その姿勢を変えてきている(関連記事)。
Amazon MP3やiTSの影響で国内大手サービスでもDRMフリーが実現するのか、音楽業界は今後どういう仕組みで違法コピーを抑制していけばいいのか、音楽配信に詳しいITジャーナリスト・津田大介氏に話を聞いた。
【解説】Amazon MP3
米アマゾンが米国向けに始めた音楽配信サービスのβ版で、EMIやUniversal Musicを含む2万レーベルに所属する18万以上のアーティスト、200万曲以上の楽曲を有する。
慣れたAmazonの画面で買える
── Amazon MP3について、率直にどう思われますか?
津田 もともと今年中に始まると言われていたので、順当な時期に来たのかなという印象です。
Amazon MP3で特徴的なのは、DRMフリー、使いやすいAmazonのユーザーインターフェースで楽曲が購入できる、メジャーな曲だけでなくインディーズもカタログに多く含まれている──という3点でしょう。
DRMフリーで楽曲を販売するウェブサービスは、これまでもいくつかありました。しかし、楽曲購入までのインターフェースがウェブサイトごとに独自のもので分かりにくかったり、カタログのジャンルが片寄っていたりしたことが原因で、なかなか普及しなかったんです。
Amazon MP3なら音楽CDを購入するのと同じ感覚で、慣れ親しんだウェブブラウザーとショッピングカートシステムを使ってMP3をダウンロード購入できる。これはほかのサービスに比べて、大きなアドバンテージだと思います。
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