麒麟といって日本では何をイメージするだろうか?
お笑いコンビか、はたまた動物のキリンか? 中国では、昨年末に『銀河麒麟』(略称では『麒麟』)という名のOSが、人民解放軍で利用されることが発表された。百度中国やGoogle中国で“麒麟”と検索すれば、この独自OSに関する記事が並ぶ。
中国最高レベルの安全レベルを提供!?
中国メディアによると、麒麟の正体は「国防科技大学が進めている“国家863計画”(独自技術・独自規格研究開発計画)のなかでも、特に重視している“サーバーOSコア”計画によって誕生したOS」だという。「4年の歳月をかけて開発され、最高の安全レベルを提供するOSとして中国の認証試験も通過した」とも書かれている。「Free BSDを改造したもの」でもあるようだ。なるほど。
中国は近年、利益の少ない世界の工場の立場から脱却しようとしている。そのために躍起になっているのが、中国独自技術の開発だ。
その成果が実を結んでいるのか、おととしごろから中国独自の規格がぽつぽつと中国国内のニュースで流れ始めた。昨年もCPUの“龍芯”、携帯電話規格の“TD-SCDMA”、光ディスクプレーヤー規格の“EVD”、無線LANのセキュリティ規格“WAPI”などが、中国メディアを賑わせている。中国製ロケット“神舟”もそんな独自技術の成果と言えるだろう。
ただし、誌面を賑わわせているとはいっても、実用化しているものは少なく、「笛吹けど踊らず」という状況のものが多い。酷いものでは捏造というオチもあった。そんな中国の新技術開発ブームの中、麒麟は誕生した。中国語で“麒麟”とは“動物のキリン”ではなく、外見的には、“キリンビールのロゴ”のアレであり、龍や鳳凰と並んで伝説上の動物だ。独自開発のCPUの名前(“龍芯”“鳳芯”)もそうだが、名前はいかにも中国らしい。