秋葉原の駅前に誕生した31階建ての富士ソフト秋葉原ビル。最先端の映像関連技術が集約したハイテクオフィスビルなのだが、施設が企業やクリエイター向けということもあり、残念ながら一般の人にはまだ知られていないのが現状だ。そこで、今回【アキバ・キーマンインタビューNo.10】にも登場した同社の映像事業部長・石田正樹氏に建物内を案内してもらった。最近は“萌え”などのエンターテイメント系に注目が集まりがちな秋葉原だが、一流の設備が整う同ビルを理解すると、秋葉原が最先端の技術が集う街だということを改めて認識するだろう。
秋葉原UDXの線路向かいに誕生したアキバの新ランドマーク「富士ソフト秋葉原ビル」
●エントランス/ロビー
神田明神通りに面する同ビルのエントランス
同社の“ISO14061”のスローガン「アマゾンの自然を守る」をテーマにした西田明未氏による作品が壁面を飾る
●1階 飲食店
1階にはサブウェイなどの飲食店街がある。ファミリーマートもあり利便性が高い
●2階 富士ソフトアキバシアター
普通の映画館となんら見劣りしない、THX認証を受けた試写室。フランス製のイスは座り心地も抜群。ドリンクホルダーも邪魔にならない位置にあるなど細部にも気遣いが行き届いている。一般の利用も検討中だ
セミナー室を出てすぐのロビーには、素敵なデザインのイスが並ぶ。インテリアショップのショールームのよう。「インテリアは本物を置かないと、建築物そのものがニセ物になってしまうんですよ」と同社の石田氏は言う
●4階 総合ロビー
ガラス貼りでとても日当たりが良く、暖かい。上部に連なるまるで浮かんでいるような箱はキューブ型の会議室。光る外壁は4階ロビーの照明も兼ねている
●5階 会議室
5部屋ある会議室は無線LANを備え、飾り付けが一部屋ずつ違う。ビルの内側にありながら窓から光が取り込めるデザイン。この部屋の大きさでは「どうしても声がキンキン跳ねてしまう」ということで壁には吸音材が貼られている。外面はキーボードをモチーフにしており、LED照明で七色に輝く
●5階 富士ソフトアキバホール
暗幕が下ろされていて見えないが、舞台の奥面は全てガラス貼り。二重ガラスで、さらに間に空気をたっぷり入れることで遮音機能をアップさせている。電車が通過しても全く音が聞こえないという。舞台真ん中に350インチのスクリーンが降りてくる。スクリーンを隠さないようにスピーカはなるべく露出させないといった配慮もされている
机にはLANや電源が備えてある。場内後部両脇にはカメラや照明のスペースがあり、国際会議の際には同時通訳のブースにもなる。また、映画の試写会の話も幾つか来ているという
壁面は音の跳ねを計算し、バランスを考えたデザイン。素材は素焼きだ。音響は、5.1chサラウンドスピーカを採用している
会議場の外にあるイス。デザインも凝っている。ちなみにこのホールは200名を収容可能だ
●10階 映像編集室
全室にノンリニア編集システムが構築されている。映像系オタクにはたまらないであろう機材が勢揃い
大きな特徴の1つとして、どのスタジオにも窓が付いている。二重窓になっていて、外界の騒音をシャットアウト。働く人への心配りが随所に見受けられる
10階には映像編集室が数室あるが、それぞれの部屋でインテリアが違う
ドア前に設置された使用中を示すランプは船舶用のものだとか。こんな細部にもこだわりが見られる。来館者で欲しがる人も多く、今までに2、3個お世話したそうだ
こちらはマシンルーム。ここにあるもの全部で、ざっと100テラバイトくらいはあるという
●10階 撮影スタジオ
カメラはハイビジョン対応で、設備のクオリティはテレビ局と全く同じという
●10階 音声編集室
前面の壁が青く光るスタイリッシュな音声編集室
モニタースピーカはmuzik electronic製で、約200万円。部屋全体の設備費は6000万円くらい。小さな編集室ではソフトとコンピュータだけというところも多いが、きちんとしたマルチオーディオ(ビデオ映像に音声を貼りつける編集)のスタジオだと、だいたいアナログか、写真のようなデジタルの卓が導入されており、各トラックごとにコントロールできるようになっている。写真の大きなコントローラは、利用者のオーダーにすぐ対応できるのが一番のメリットだ