「敗北」も正しく認識できない池田信夫

まあ池田信夫になにかを期待する方がアホですが。こんな駄文を書いております。

-アゴラ 2019年08月18日 「日本はなぜ慰安婦問題で韓国に敗北したのか」

「なぜ」って日本に勝ち目があると思ってたのかよとか、そもそも勝ち負けじゃないだろとか、基本的な発想が間違ってますが、ディテールも相変わらずでたらめです。

2000年代後半に話題になったのは、強制連行ではなく性奴隷だった。これが1996年に国連人権委員会のクマラスワミ報告で使われたときは、軍が慰安婦を強制連行したという意味だったが、その唯一の根拠だった吉田清治の話が嘘とわかって意味が曖昧になった。

 なんですかこの珍説は! 人間の奴隷化を禁止する国際条約は逐次更新されて現在に至っていますが、いわゆる「ホワイト・スレーヴ」すなわちヨーロッパ系女性の性奴隷化を禁止するものであれば1904年、奴隷禁止条約の方は1926年に締結されています。

次はもっとすごいですよ。

NYタイムズの記者によれば、彼らは性奴隷を人身売買の意味で使っているという。この意味での(民間の業者の)性奴隷は、戦時中の朝鮮にも内地にもたくさんいた。それは親の借金を返すために娘が身売りする「借金奴隷」だった。

それを強制と呼ぶなら、当時は世界中で強制が行われていたが、その法的責任を日本政府に問うことはできない。女性だろうと男性だろうと、日本が奴隷を公認したことは一度もないからだ。日本では人身売買は戦前も違法だったので、奴隷制は存在しない。奴隷制を憲法で公認したアメリカとは違うのだ。

 性奴隷はいた、しかし違法だったから奴隷制は存在しない、というわけです。しかし「人身売買は戦前も違法」というのは「建前」というよりフィクションに近かったことは当ブログの読者の方ならご存知でしょう。さらに池田信夫は日本軍がつくった「慰安所」関連の規定などまともに調べたこともないので墓穴をほってしまっています。公娼制が奴隷制ではないと言い張るための白々しいフィクションすら、日本軍「慰安所」は反故にしていたという事実です。

ともあれ池田信夫は、前借金による拘束で“売春”を強要することが「性奴隷」化であることは認めたわけです。日本軍「慰安所」制度がまさにそういう制度だったことをこいつが認める日はやってくるのでしょうか……。

 

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