「午後一」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 午後一とは

2024-12-06

とびらのむこう 6年1組 田向心晴

あの日、ぼくはいけないことをしてしまいました。小学校五年生頃です、おるすばんをしていたぼくのお家に誰かがやって来ました。

こんにちは、だれですか?」と聞いたら

しゃがれた声で「あなたを殺す者です」と

誰かは言いました。

ぼくはいたずらに違いないと思い

ばーか、殺せるならやってみろー」と

扉に向かってあっかんべーしました。

すると、扉の新聞を入れる所からずっ…。と

大きなノコギリの刃が伸びました。

幸い、距離は置いていたので、ぼくはけがする事は無かったですが、これはまずいなと

ぼくは困りだしてしまいました。

でも、困ってばかりいればただのいいこだったのでしょう、人はそうもいられません。

そうだ、この人をなんとかすれば色んな人からちやほやされるのでは?ぼくはなぜだそう

思い、扉から更にきょりを置いて、にやぁと

笑いました。

まずはこう言ってみました

「そんなことしたらおかあさんが悲しんじゃうよ」

テレビで見たのです、悪い人はこれで悪いことをやめることがあるって。

ところが誰かさん

「わたくしの両親はここ数十年、顔を合わせておりません。生きているかどうかも知ろうとしない私がおかあさんなどでこの殺意を消せるはずがありません」と言うのです

「そうですか…」ぼくは心臓の動くのが少し

早くなるのを感じました

どうやら失敗みたいです

ならばこう

「ぼくを殺してけいさつにたいほされたら

あなた人生おしまいだ。今、やめれば

あなたはまだふつう生活が出来るよ」と

これもまたテレビからでした。ところが

「残念ながら私の人生はすでにおしまいです

から最後あなたを殺しておきたいのです。お願い…だからここをあけて」

から以降は泣き出しそうな言い方でした。

ぼくは胸に手を当てて、深呼吸しました。

そう言えば読んでいる人の中には「けいさつを呼んだらいいのでは?」と思った人もいるでしょう、だけどぼくのうちは数年前に固定電話をやめてしまったし、携帯電話はお母さんとお父さんしか持っていないのです。

それでもういいや、逃げちゃえと思ったぼくは勝手から外に出ようとしました。しかし、勝手口のドアノブを回そうとしたその

瞬間

ドンッ…ドンッ!扉を強く叩く音がしました

「にがしませんよ…どこから出ようとね。さぁ」

もっとめんどくさい事になったなぁ…ちぇっ

ぼくはいらいらして、つい台所ゴミ箱をけっとばしてしまいました。

もう一度、ぼくは扉に戻り気になっていた

事を質問してみました

あなたそもそも誰なのです?」

答えが返ってくるまで数分…願いむなしく

あなた親友ですよ。小学校一年生の時に

転校した田中湊月を覚えていませんか?」

誰かはそう言いました

田中湊月…確かに小学校一年生の時にお別れをした中でその名前女の子がいました。だけど、聞こえてくる声は大人しかも男の人です。これは嘘だ…はっきりぼくはわかりました。でもそうだったらおかしな事があります、扉の向こうにいる誰かさんは湊月の名前を知っているのです。

「湊月…?そうならさくら公園に埋めた動物がわかるはずだよ。答えてくれ」

さくら公園動物の死骸などは埋めておりません」

「ちぇ…っ」

ぼくの作戦はまた失敗してしまいました。

とりあえず、ぼくはコップひとつの水を飲み、心を冷やしました。

「それで?もしぼくを殺せなかったらどうするんだい?」ひどくぶっきらぼうにぼくは扉の向こうに話しかけました

「その時は隣の家の人を代わりに殺します。

それが出来なかったらその隣でもいい」

「めちゃくちゃだよ、あなた

結構でございます

既にこの時点で時刻は午後一時、お昼ご飯

また食べてないってのに、時間けがむだに

重なってぼくを苦しめている様でした

乱れた呼吸のまま、今度は二階に行ってみる事にしました。二階からなら誰かの姿が分かるかもしれない、そう思ったからです。

ところが、二階の窓から屋根道路しか見えません。かろうじて庭が見えましたが、そこに誰かの姿はありませんでした。

こうなったらぼくも恥ずかしいとかそんな

事は忘れて、最終手段に出ることにしました

扉のすぐ近くまで来たぼくは大きな声で

「いやだぁ…こわいのやぁだ…あっちいってぇ…」と言いながら、めそめそ泣いてるふりをしてみたのです。ところが聞こえて来たのは気持ちがいい程の大笑い

「はるったら…相変らず演技へたっぴだなぁ!

それでごましかつもりなの?」

誰かは言いました。それを聞くと、忘れていたはずなのにみんなの前で着ている服を全部盗まれたみたいに身体が熱くて熱くて逃げ出したくなってしまいました。

そして、本当にぼくは泣いてしまいました。

家の中いっぱいに響くぐらいに大きな声で

そうしたら、とびらの向こうから小さく

「ごめん…言いすぎた」と聞こえてきました

「じゃあ、殺すなんて言わないでよ!」ぼくは

叫びました

「それは変わらない、私はあなたを殺さなければいけないんだよ」やはり誰かはそう言いした。ぼくはもうその場から一歩も動けなくなってしまいました。

しばらくして誰かがこう言いました

はるちゃん最後にかけをしよう」

「かけ?」ぼくはなんとか立ち上がりました

それはまた変わった"かけ"でした。誰かが

勝手口かとびらの前に先に立つ、ぼくが開けた時、目が合えば負け、合わなければかち。

それだけの話

まず先に誰かがどちからの扉に立つために

五分、ぼくが待ちました。時計の針がかちり

となったらぼくは考えました。勝手口かとびらかどちらか

水をたくさんのみました、はいしまいました。冷蔵庫のけーきを手づかみでたべました。こんな時でもケーキはあまくておいしかったです。そうして、ぼくは勝手口に向かいました、が、やはり扉に戻りました。

死んでしまうならここしかない

そう思ったからです

耳をドアにくっつけてみました。なんにも

聞こえません

「おーいおーい」と呼んでみましたが、返事がありません。水道が涙をひとつこぼしました。そう、もっと大切にしてあげたかった

なにもかも

ぼくはドアをあけました、あけてしまったのです

そこには学校に向かう道と前のおうちのへいだけがありました。きょろきょろして見ましたが、誰も見つかりません

ひざをついて、その場に座った時、プラークまみれの口の中いっぱいに空気がおしこまれるのを感じました。ぼくはたしかに生きていた…らしいのです

「どうしたの?人でも殺してきた様な顔をして」おとなりのおばさんがぼくにそういいました。

ぼくは無理やり笑って

「しあわせって…きづかないものだね」と

言いました。

2024-10-01

五  門をはいると、このあいだの萩が、人の丈より高く茂って、株の根に黒い影ができている。この黒い影が地の上をはって、奥の方へゆくと、見えなくなる。葉と葉の重なる裏まで上ってくるようにも思われる。それほど表には濃い日があたっている。手洗水のそば南天がある。これも普通よりは背が高い。三本寄ってひょろひょろしている。葉は便所の窓の上にある。  萩と南天の間に椽側が少し見える。椽側は南天を基点としてはすに向こうへ走っている。萩の影になった所は、いちばん遠いはずれになる。それで萩はいちばん手前にある。よし子はこの萩の影にいた。椽側に腰をかけて。  三四郎は萩とすれすれに立った。よし子は椽から腰を上げた。足は平たい石の上にある。三四郎はいさらその背の高いのに驚いた。 「おはいりなさい」  依然として三四郎を待ち設けたような言葉かいである三四郎病院の当時を思い出した。萩を通り越して椽鼻まで来た。 「お掛けなさい」  三四郎は靴をはいている。命のごとく腰をかけた。よし子は座蒲団を取って来た。 「お敷きなさい」  三四郎蒲団を敷いた。門をはいってから三四郎はまだ一言も口を開かない。この単純な少女はただ自分の思うとおりを三四郎に言うが、三四郎からは毫も返事を求めていないように思われる。三四郎は無邪気なる女王の前に出た心持ちがした。命を聞くだけである。お世辞を使う必要がない。一言でも先方の意を迎えるような事をいえば、急に卑しくなる、唖の奴隷のごとく、さきのいうがままにふるまっていれば愉快である三四郎子供のようなよし子から子供扱いにされながら、少しもわが自尊心を傷つけたとは感じえなかった。 「兄ですか」とよし子はその次に聞いた。  野々宮を尋ねて来たわけでもない。尋ねないわけでもない。なんで来たか三四郎にもじつはわからないのである。 「野々宮さんはまだ学校ですか」 「ええ、いつでも夜おそくでなくっちゃ帰りません」  これは三四郎も知ってる事である三四郎挨拶に窮した。見ると椽側に絵の具箱がある。かきかけた水彩がある。 「絵をお習いですか」 「ええ、好きだからかきます」 「先生はだれですか」 「先生に習うほどじょうずじゃないの」 「ちょっと拝見」 「これ? これまだできていないの」とかきかけを三四郎の方へ出す。なるほど自分のうちの庭がかきかけてある。空と、前の家の柿の木と、はいり口の萩だけができている。なかにも柿の木ははなはだ赤くできている。 「なかなかうまい」と三四郎が絵をながめながら言う。 「これが?」とよし子は少し驚いた。本当に驚いたのである三四郎のようなわざとらしい調子は少しもなかった。  三四郎はいさら自分言葉冗談にすることもできず、またまじめにすることもできなくなった。どっちにしても、よし子から軽蔑されそうである三四郎は絵をながめながら、腹の中で赤面した。  椽側から座敷を見回すと、しんと静かである茶の間はむろん、台所にも人はいないようである。 「おっかさんはもうお国へお帰りになったんですか」 「まだ帰りません。近いうちに立つはずですけれど」 「今、いらっしゃるんですか」 「今ちょっと買物に出ました」 「あなた里見さんの所へお移りになるというのは本当ですか」 「どうして」 「どうしてって――このあい広田先生の所でそんな話がありましたから」 「まだきまりません。ことによると、そうなるかもしれませんけれど」  三四郎は少しく要領を得た。 「野々宮さんはもとから里見さんと御懇意なんですか」 「ええ。お友だちなの」  男と女の友だちという意味かしらと思ったが、なんだかおかしい。けれども三四郎はそれ以上を聞きえなかった。 「広田先生は野々宮さんのもとの先生だそうですね」 「ええ」  話は「ええ」でつかえた。 「あなた里見さんの所へいらっしゃるほうがいいんですか」 「私? そうね。でも美禰子さんのお兄いさんにお気の毒ですから」 「美禰子さんのにいさんがあるんですか」 「ええ。うちの兄と同年の卒業なんです」 「やっぱり理学士ですか」 「いいえ、科は違います法学士です。そのまた上の兄さんが広田先生のお友だちだったのですけれども、早くおなくなりになって、今では恭助さんだけなんです」 「おとっさんやおっかさんは」  よし子は少し笑いながら、 「ないわ」と言った。美禰子の父母の存在想像するのは滑稽であるといわぬばかりである。よほど早く死んだものみえる。よし子の記憶にはまるでないのだろう。 「そういう関係で美禰子さんは広田先生の家へ出入をなさるんですね」 「ええ。死んだにいさんが広田先生とはたいへん仲良しだったそうです。それに美禰子さんは英語が好きだから、時々英語を習いにいらっしゃるんでしょう」 「こちらへも来ますか」  よし子はいつのまにか、水彩画の続きをかき始めた。三四郎そばにいるのがまるで苦になっていない。それでいて、よく返事をする。 「美禰子さん?」と聞きながら、柿の木の下にある藁葺屋根に影をつけたが、 「少し黒すぎますね」と絵を三四郎の前へ出した。三四郎は今度は正直に、 「ええ、少し黒すぎます」と答えた。すると、よし子は画筆に水を含ませて、黒い所を洗いながら、 「いらっしゃいますわ」とようやく三四郎に返事をした。 「たびたび?」 「ええたびたび」とよし子は依然として画紙に向かっている。三四郎は、よし子が絵のつづきをかきだしてから、問答がたいへん楽になった。  しばらく無言のまま、絵のなかをのぞいていると、よし子はたんねんに藁葺屋根の黒い影を洗っていたが、あまり水が多すぎたのと、筆の使い方がなかなか不慣れなので、黒いものがかってに四方へ浮き出して、せっかく赤くできた柿が、陰干の渋柿のような色になった。よし子は画筆の手を休めて、両手を伸ばして、首をあとへ引いて、ワットマンをなるべく遠くからながめていたが、しまいに、小さな声で、 「もう駄目ね」と言う。じっさいだめなのだからしかたがない。三四郎は気の毒になった。 「もうおよしなさい。そうして、また新しくおかきなさい」  よし子は顔を絵に向けたまま、しりめに三四郎を見た。大きな潤いのある目である三四郎ますます気の毒になった。すると女が急に笑いだした。 「ばかね。二時間ばかり損をして」と言いながら、せっかくかいた水彩の上へ、横縦に二、三本太い棒を引いて、絵の具箱の蓋をぱたりと伏せた。 「もうよしましょう。座敷へおはいりなさい。お茶をあげますから」と言いながら、自分は上へ上がった。三四郎は靴を脱ぐのが面倒なので、やはり椽側に腰をかけていた。腹の中では、今になって、茶をやるという女を非常におもしろいと思っていた。三四郎に度はずれの女をおもしろがるつもりは少しもないのだが、突然お茶をあげますといわれた時には、一種の愉快を感ぜぬわけにゆかなかったのである。その感じは、どうしても異性に近づいて得られる感じではなかった。  茶の間で話し声がする。下女はいたに違いない。やがて襖を開いて、茶器を持って、よし子があらわれた。その顔を正面から見た時に、三四郎はまた、女性中のもっと女性的な顔であると思った。  よし子は茶をくんで椽側へ出して、自分は座敷の畳の上へすわった。三四郎はもう帰ろうと思っていたが、この女のそばにいると、帰らないでもかまわないような気がする。病院ではかつてこの女の顔をながめすぎて、少し赤面させたために、さっそく引き取ったが、きょうはなんともない。茶を出したのをさいわいに椽側と座敷でまた談話を始めた。いろいろ話しているうちに、よし子は三四郎に妙な事を聞きだした。それは、自分の兄の野々宮が好きかいやかという質問であった。ちょっと聞くとまるでがんぜない子供の言いそうな事であるが、よし子の意味はもう少し深いところにあった。研究心の強い学問好きの人は、万事を研究する気で見るから、情愛が薄くなるわけである人情で物をみると、すべてが好ききらいの二つになる。研究する気なぞが起こるものではない。自分の兄は理学者だものから自分研究していけない。自分研究すればするほど、自分を可愛がる度は減るのだから、妹に対して不親切になる。けれども、あのくらい研究好きの兄が、このくらい自分を可愛がってくれるのだから、それを思うと、兄は日本じゅうでいちばんいい人に違いないという結論であった。  三四郎はこの説を聞いて、大いにもっともなような、またどこか抜けているような気がしたが、さてどこが抜けているんだか、頭がぼんやりして、ちょっとからなかった。それでおもてむきこの説に対してはべつだんの批評を加えなかった。ただ腹の中で、これしきの女の言う事を、明瞭に批評しえないのは、男児としてふがいないことだと、いたく赤面した。同時に、東京女学生はけっしてばかにできないものだということを悟った。  三四郎はよし子に対する敬愛の念をいだいて下宿へ帰った。はがきが来ている。「明日午後一時ごろから人形を見にまいりますから広田先生の家までいらっしゃい。美禰子」  その字が、野々宮さんのポッケットから半分はみ出していた封筒の上書に似ているので、三四郎は何べんも読み直してみた。  翌日は日曜である三四郎は昼飯を済ましてすぐ西片町へ来た。新調の制服を着て、光った靴をはいている。静かな横町広田先生の前まで来ると、人声がする。  先生の家は門をはいると、左手がすぐ庭で、木戸をあければ玄関へかからずに、座敷の椽へ出られる。三四郎は要目垣のあいだに見える桟をはずそうとして、ふと、庭の中の話し声を耳にした。話は野々宮と美禰子のあいだに起こりつつある。 「そんな事をすれば、地面の上へ落ちて死ぬばかりだ」これは男の声である。 「死んでも、そのほうがいいと思います」これは女の答である。 「もっともそんな無謀な人間は、高い所から落ちて死ぬだけの価値は十分ある」 「残酷な事をおっしゃる」  三四郎はここで木戸をあけた。庭のまん中に立っていた会話の主は二人ともこっちを見た。野々宮はただ「やあ」と平凡に言って、頭をうなずかせただけである。頭に新しい茶の中折帽をかぶっている。美禰子は、すぐ、 「はがきはいつごろ着きましたか」と聞いた。二人の今までやっていた会話はこれで中絶した。  椽側には主人が洋服を着て腰をかけて、相変らず哲学を吹いている。これは西洋雑誌を手にしていた。そばによし子がいる。両手をうしろに突いて、からだを空に持たせながら、伸ばした足にはいた厚い草履をながめていた。――三四郎はみんなから待ち受けられていたとみえる。  主人は雑誌をなげ出した。 「では行くかな。とうとう引っぱり出された」 「御苦労さま」と野々宮さんが言った。女は二人で顔を見合わせて、ひとに知れないような笑をもらした。庭を出る時、女が二人つづいた。 「背が高いのね」と美禰子があとから言った。 「のっぽ」とよし子が一言答えた。門の側で並んだ時、「だからなりたけ草履をはくの」と弁解をした。三四郎もつづいて庭を出ようとすると、二階の障子ががらりと開いた。与次郎が手欄の所まで出てきた。 「行くのか」と聞く。 「うん、君は」 「行かない。菊細工なんぞ見てなんになるものか。ばかだな」 「いっしょに行こう。家にいたってしようがないじゃないか」 「今論文を書いている。大論文を書いている。なかなかそれどころじゃない」

三四郎はあきれ返ったような笑い方をして、四人のあとを追いかけた。四人は細い横町を三分の二ほど広い通りの方へ遠ざかったところである。この一団の影を高い空気の下に認めた時、三四郎自分の今の生活熊本当時のそれよりも、ずっと意味の深いものになりつつあると感じた。かつて考えた三個の世界のうちで、第二第三の世界はまさにこの一団の影で代表されている。影の半分は薄黒い。半分は花野のごとく明らかである。そうして三四郎の頭のなかではこの両方が渾然として調和されている。のみならず、自分もいつのまにか、しぜんとこの経緯のなかに織りこまれている。ただそのうちのどこかにおちつかないところがある。それが不安である。歩きながら考えると、いまさき庭のうちで、野々宮と美禰子が話していた談柄が近因である三四郎はこの不安の念を駆るために、二人の談柄をふたたびほじくり出してみたい気がした。

 四人はすでに曲がり角へ来た。四人とも足をとめて、振り返った。美禰子は額に手をかざしている。

 三四郎は一分かからぬうちに追いついた。追いついてもだれもなんとも言わない。ただ歩きだしただけである。しばらくすると、美禰子が、

「野々宮さんは、理学者だから、なおそんな事をおっしゃるんでしょう」と言いだした。話の続きらしい。

「なに理学をやらなくっても同じ事です。高く飛ぼうというには、飛べるだけの装置を考えたうえでなければできないにきまっている。頭のほうがさきに要るに違いないじゃありませんか」

「そんなに高く飛びたくない人は、それで我慢するかもしれません」

我慢しなければ、死ぬばかりですもの

「そうすると安全で地面の上に立っているのがいちばんいい事になりますね。なんだかつまらないようだ」

 野々宮さんは返事をやめて、広田先生の方を向いたが、

「女には詩人が多いですね」と笑いながら言った。すると広田先生が、

男子の弊はかえって純粋詩人になりきれないところにあるだろう」と妙な挨拶をした。野々宮さんはそれで黙った。よし子と美禰子は何かお互いの話を始める。三四郎はようやく質問の機会を得た。

「今のは何のお話なんですか」

「なに空中飛行機の事です」と野々宮さんが無造作に言った。三四郎落語のおちを聞くような気がした。

 それからはべつだんの会話も出なかった。また長い会話ができかねるほど、人がぞろぞろ歩く所へ来た。大観音の前に乞食がいる。額を地にすりつけて、大きな声をのべつに出して、哀願をたくましゅうしている。時々顔を上げると、額のところだけが砂で白くなっている。だれも顧みるものがない。五人も平気で行き過ぎた。五、六間も来た時に、広田先生が急に振り向いて三四郎に聞いた。

「君あの乞食に銭をやりましたか

「いいえ」と三四郎があとを見ると、例の乞食は、白い額の下で両手を合わせて、相変らず大きな声を出している。

「やる気にならないわね」とよし子がすぐに言った。

「なぜ」とよし子の兄は妹を見た。たしなめるほどに強い言葉でもなかった。野々宮の顔つきはむしろ冷静である

「ああしじゅうせっついていちゃ、せっつきばえがしないからだめですよ」と美禰子が評した。

「いえ場所が悪いからだ」と今度は広田先生が言った。「あまり人通りが多すぎるからいけない。山の上の寂しい所で、ああいう男に会ったら、だれでもやる気になるんだよ」

「その代り一日待っていても、だれも通らないかもしれない」と野々宮はくすくす笑い出した。

 三四郎は四人の乞食に対する批評を聞いて、自分今日まで養成した徳義上の観念を幾分か傷つけられるような気がした。けれども自分乞食の前を通る時、一銭も投げてやる了見が起こらなかったのみならず、実をいえば、むしろ不愉快な感じが募った事実反省してみると、自分よりもこれら四人のほうがかえって己に誠であると思いついた。また彼らは己に誠でありうるほどな広い天地の下に呼吸する都会人種であるということを悟った。

 行くに従って人が多くなる。しばらくすると一人の迷子出会った。七つばかりの女の子である。泣きながら、人の袖の下を右へ行ったり、左へ行ったりうろうろしている。おばあさん、おばあさんとむやみに言う。これには往来の人もみんな心を動かしているようにみえる。立ちどまる者もある。かあいそうだという者もある。しかしだれも手をつけない。子供はすべての人の注意と同情をひきつつ、しきりに泣きさけんでおばあさんを捜している。不可思議現象である

「これも場所が悪いせいじゃないか」と野々宮君が子供の影を見送りながら言った。

「いまに巡査が始末をつけるにきまっているから、みんな責任をのがれるんだね」と広田先生説明した。

わたしそばまで来れば交番まで送ってやるわ」とよし子が言う。

「じゃ、追っかけて行って、連れて行くがいい」と兄が注意した。

「追っかけるのはいや」

「なぜ」

「なぜって――こんなにおおぜいの人がいるんですもの。私にかぎったことはないわ」

「やっぱり責任をのがれるんだ」と広田が言う。

「やっぱり場所が悪いんだ」と野々宮が言う。男は二人で笑った。団子坂の上まで来ると、交番の前へ人が黒山のようにたかっている。迷子はとうとう巡査の手に渡ったのである

「もう安心大丈夫です」と美禰子が、よし子を顧みて言った。よし子は「まあよかった」という。

 坂の上から見ると、坂は曲がっている。刀の切っ先のようである。幅はむろん狭い。右側の二階建が左側の高い小屋の前を半分さえぎっている。そのうしろにはまた高い幟が何本となく立ててある。人は急に谷底へ落ち込むように思われる。その落ち込むものが、はい上がるものと入り乱れて、道いっぱいにふさがっているから、谷の底にあたる所は幅をつくして異様に動く。見ていると目が疲れるほど不規則うごめいている。広田先生はこの坂の上に立って、

「これはたいへんだ」と、さも帰りたそうである。四人はあとから先生を押すようにして、谷へはいった。その谷が途中からだらだらと向こうへ回り込む所に、右にも左にも、大きな葭簀掛けの小屋を、狭い両側から高く構えたので、空さえ存外窮屈にみえる。往来は暗くなるまで込み合っている。そのなかで木戸番ができるだけ大きな声を出す。「人間から出る声じゃない。菊人形から出る声だ」と広田先生が評した。それほど彼らの声は尋常を離れている。

 一行は左の小屋はいった。曾我の討入がある。五郎も十郎も頼朝もみな平等に菊の着物を着ている。ただし顔や手足はことごとく木彫りである。その次は雪が降っている。若い女が癪を起こしている。これも人形の心に、菊をいちめんにはわせて、花と葉が平に隙間なく衣装恰好となるように作ったものである

 よし子は余念なくながめている。広田先生と野々宮はしきりに話を始めた。菊の培養法が違うとかなんとかいうところで、三四郎は、ほかの見物に隔てられて、一間ばかり離れた。美禰子はもう三四郎より先にいる。見物は、がいして町家の者である教育のありそうな者はきわめて少ない。美禰子はその間に立って振り返った。首を延ばして、野々宮のいる方を見た。野々宮は右の手を竹の手欄から出して、菊の根をさしながら、何か熱心に説明している。美禰子はまた向こうをむいた。見物に押されて、さっさと出口の方へ行く。三四郎は群集を押し分けながら、三人を棄てて、美禰子のあとを追って行った。

 ようやくのことで、美禰子のそばまで来て、

里見さん」と呼んだ時に、美禰子は青竹の手欄に手を突いて、心持ち首をもどして、三四郎を見た。なんとも言わない。手欄のなかは養老の滝である。丸い顔の、腰に斧をさした男が、瓢箪を持って、滝壺のそばにかがんでいる。三四郎が美禰子の顔を見た時には、青竹のなかに何があるかほとんど気がつかなかった。

「どうかしましたか」と思わず言った。美禰子はまだなんとも答えない。黒い目をさももうそうに三四郎の額の上にすえた。その時三四郎は美禰子の二重瞼に不可思議ある意味を認めた。その意味のうちには、霊の疲れがある。肉のゆるみがある。苦痛に近き訴えがある。三四郎は、美禰子の答を予期しつつある今の場合を忘れて、この眸とこの瞼の間にすべてを遺却した。すると、美禰子は言った。

「もう出ましょう」

 眸と瞼の距離が次第に近づくようにみえた。近づくに従って三四郎の心には女のために出なければすまない気がきざしてきた。それが頂点に達したころ、女は首を投げるように向こうをむいた。手を青竹の手欄から離して、出口の方へ歩いて行く。三四郎はすぐあとからついて出た。

 二人が表で並んだ時、美禰子はうつむいて右の手を額に当てた。周囲は人が渦を巻いている。三四郎は女の耳へ口を寄せた。

「どうかしましたか

 女は人込みの中を谷中の方へ歩きだした。三四郎もむろんいっしょに歩きだした。半町ばかり来た時、女は人の中で留まった。

「ここはどこでしょう」

「こっちへ行くと谷中天王寺の方へ出てしまます。帰り道とはまるで反対です」

「そう。私心持ちが悪くって……」

 三四郎は往来のまん中で助けなき苦痛を感じた。立って考えていた。

「どこか静かな所はないでしょうか」と女が聞いた。

 谷中千駄木が谷で出会うと、いちばん低い所に小川が流れている。この小川を沿うて、町を左へ切れるとすぐ野に出る。川はまっすぐに北へ通っている。三四郎東京へ来てから何べんもこの小川の向こう側を歩いて、何べんこっち側を歩いたかよく覚えている。美禰子の立っている所は、この小川が、ちょうど谷中の町を横切って根津へ抜ける石橋そばである

「もう一町ばかり歩けますか」と美禰子に聞いてみた。

「歩きます

 二人はすぐ石橋を渡って、左へ折れた。人の家の路地のような所を十間ほど行き尽して、門の手前から板橋こちら側へ渡り返して、しばらく川の縁を上ると、もう人は通らない。広い野である

 三四郎はこの静かな秋のなかへ出たら、急にしゃべり出した。

「どうです、ぐあいは。頭痛でもしますか。あんまり人がおおぜい、いたせいでしょう。あの人形を見ている連中のうちにはずいぶん下等なのがいたようだから――なにか失礼でもしまたか

 女は黙っている。やがて川の流れから目を上げて、三四郎を見た。二重瞼にはっきりと張りがあった。三四郎はその目つきでなかば安心した。

ありがとう。だいぶよくなりました」と言う。

休みましょうか」

「ええ」

「もう少し歩けますか」

「ええ」

「歩ければ、もう少しお歩きなさい。ここはきたない。あすこまで行くと、ちょうど休むにいい場所があるから

「ええ」

 一丁ばかり来た。また橋がある。一尺に足らない古板を造作なく渡した上を、三四郎は大またに歩いた。女もつづいて通った。待ち合わせた三四郎の目には、女の足が常の大地を踏むと同じように軽くみえた。この女はすなおな足をまっすぐに前へ運ぶ。わざと女らしく甘えた歩き方をしない。したがってむやみにこっちから手を貸すわけにはいかない。

 向こうに藁屋根がある。屋根の下が一面に赤い。近寄って見ると、唐辛子を干したのであった。女はこの赤いものが、唐辛子であると見分けのつくところまで来て留まった。

「美しいこと」と言いながら、草の上に腰をおろした。草は小川の縁にわずかな幅をはえているのみである。それすら夏の半ばのように青くはない。美禰子は派手な着物のよごれるのをまるで苦にしていない。

「もう少し歩けませんか」と三四郎は立ちながら、促すように言ってみた。

ありがとう。これでたくさん」

「やっぱり心持ちが悪いですか」

あんまり疲れたから

 三四郎もとうとうきたない草の上にすわった。美禰子と三四郎の間は四尺ばかり離れている。二人の足の下には小さな川が流れている。秋になって水が落ちたから浅い。角の出た石の上に鶺鴒が一羽とまったくらいである。三四郎は水の中をながめていた。水が次第に濁ってくる。見ると川上百姓大根を洗っていた。美禰子の視線は遠くの向こうにある。向こうは広い畑で、畑の先が森で森の上が空になる。空の色がだんだん変ってくる。

 ただ単調に澄んでいたもののうちに、色が幾通りもできてきた。透き通る藍の地が消えるように次第に薄くなる。その上に白い雲が鈍く重なりかかる。重なったものが溶けて流れ出す。どこで地が尽きて、どこで雲が始まるかわからないほどにものうい上を、心持ち黄な色がふうと一面にかかっている。

「空の色が濁りました」と美禰子が言った。

anond:20241001033922

2024-05-13

anond:20240512152055

女性向けでもまぁ同じようなの聞いたことある

サークル主の彼氏を連れてきたパターン

同人女界隈はまぁドロドロとしてるので頭おかしい女がサークル突撃してくることもあるのね

そういったのを除けるために男を置いておくことがあるんだけど、

あるサークル主がイケメン彼氏(一般的にはの話。絶世のイケメンとかではない)を連れてきたばっかりに

彼氏と絡む客が多発。彼氏もまぁ優しいし彼女のことで大事にしたくないからって来るもの拒まずで接してたら

サークル主が鍵垢で爆発してた。

その時期にジャンルは離れたから見てはないけど、勝手知ったるフツメンオタク友達を連れてきてたらしい。

 

サークル主がイケメンすぎたパターン

サークルにすっごいイケメンがいて「あれ誰?」「誰かの彼氏?」とかなってたんだけど、実はサークル主だったパターン

普段男性向けで描いてるらしく、内容的にはBLというよりブロマンスくらいの軽さ。

だいたいが顔を2度見して近づいて本を買っちゃうから珍しく午後一完売

撤収しようとしてたけど列がそれなりにあったから若干握手会みたいな様相になってた。

でもその後は一度も女性向けジャンルのとこで見かけてない。

真偽不明だけど、あのあと同人女DMとかで絡まれすぎて女性向けジャンルが嫌になったとか。

2024-03-29

anond:20240328215524

ごめん、これ何が面白い・・・

ストレートすぎて謝るけど、土人みが物凄い

司会役の上司が言ったので、僕はすかさず後輩の誤字を茶化す

「体調悪くなるほど会議に出たくない私情、よっぽど皆さんと話したくなかったんですね。心配です」

上司が堪えきれず笑った。ミュートになっている他の参加者もきっと笑っただろう。別のお調子者の後輩が続けた。

「いや-、自分午後一の打ち合わせ、私情で欠席したくなってきたなぁ」

「いや、それ自分との打ち合わせでしょ。そんなに嫌われてたの?」

ひとしきり笑った後、会議は和やかに進んだ。

2024-03-28

私情で仕事を休む現代若者

朝一の会議に参加しようと在宅勤務用ラップトップPCを開くと、新卒一年目の後輩から会議チャットメッセージが届いた。

『私情で申し訳ありませんが、通院のため会議を欠席します』

「じゃあ後輩さんは欠席らしいので、揃いましたかね」

司会役の上司が言ったので、僕はすかさず後輩の誤字を茶化す

「体調悪くなるほど会議に出たくない私情、よっぽど皆さんと話したくなかったんですね。心配です」

上司が堪えきれず笑った。ミュートになっている他の参加者もきっと笑っただろう。別のお調子者の後輩が続けた。

「いや-、自分午後一の打ち合わせ、私情で欠席したくなってきたなぁ」

「いや、それ自分との打ち合わせでしょ。そんなに嫌われてたの?」

ひとしきり笑った後、会議は和やかに進んだ。

休み、朝の出来事趣味の仲間が集まったSlackに書き込むとその中の大学教員が反応した。

『それ、うちの研究室学生もよく使ってる」

と言ってリンクを示す。

「私情」で欠席?|NHK放送文化研究所

『この時期は特に就活イベントやら面接やらの″私情″で休む奴だらけよ』

『変やで、とは逐一伝えてるけど客員やってる関東大学生も使ってるから特定地域に限らず相当広まってると思う』

大学教員が示した記事を読むと、20代と30代を境に『私情』が『個人的感情』に加えて『個人的事情』の意味も持つと考える割合が大きく増えている。

若者言葉って事なんですかね。こう言う事態に直面するとおっさんになったのを実感しますね』

大学教員やってるとそんなことばっかよ』

私事や私用という便利な言葉があるのにわざわざ紛らわしい表現を使う理由理解できない。しか言葉意味合いは変わっていくし若者言葉として浸透し始めたなら抗っても仕方がないという気持ちもある。そんなモヤモヤとした気持ちを抱えたまま昼休みが終わった。

午後一会議雑談で、昼休みモヤモヤを少しでも解消すべく話題をふる。

「朝、私情で欠席ってメッセージを茶化したけどこれって若者言葉なんですね。後輩さんも使うんですか?」

自分は紛らわしいと思うので仕事では使わないですね。ただ個人事情を表したいとき私事や私用よりも私情って言う言葉がなんとなくしっくりくる感覚はわかります

なるほど若者感覚が私情という表現を選んだのであればもはや何も言うまい若者感覚に合った言葉が今は不合理だとしても、未来日本人気持ちをよりよく表せる表現が私情なのだろう。

そう納得したからかその後の午後の仕事には集中して取り組むことができ、珍しく定時には勤務終了となった。

特に予定が入っていたわけではない夜、時間を持て余した自分デリヘルを呼ぶことにした。

『清楚系・巨乳現役女子大生』という男の心をくすぐる文字が並ぶ。新人のようなのでレビューはないが、新人であればこそ年齢は大きく外さないだろう。今日はこの娘に決めた。

30分後、あらわれたのは同年代と思われる30代中盤の嬢だった。

よろしくお願いします。えっと、ゆみさん、ですよね?21歳の」

はい、ゆみです。よろしくお願いします」

女性の年齢は見た目だけでは分からない物だ。干支での年齢確認.....は設定と一回り近く違ってそうなこの嬢では意味が無いだろう。服を脱がされながらも年齢を確認するための手段を求めて頭を回す。

今日お仕事終わりですか?」

21歳のゆみが聞く。自分はここだと思い渾身の回答をぶつける。

「いやぁ、今日は私情で仕事を休んだんだよね。ゆみちゃんは私情で休んだりとか出来るの?」

「私情?私用のことかな?予約とか入ってなければ出来るけど、あんまり当日休みすぎると怒られるよ」

30代中盤のゆみはそう答えた。

年齢は偽りで特に清楚さも感じられなかったゆみだったが、巨乳真実だった。またベテランの風格を感じるサービスも素晴らしく、最終的に自分の私情はゆみの胸に包まれ決して未来日本人へは繋がらない場所へと果てた。

若い女と遊びたいという私情を捨てて、ベテランテクニックを感じるのもたまには悪くはない」と思った。

2024-01-06

風邪引いたかApple Musicで「風邪」と検索して出てきた曲全部聴いてた

全6曲。

風邪をひいた時の歌/[Alexandros]

落ち着いたアレキサンドロス。よく聴いてるわけじゃないけど『kick&spin』とか『閃光』とかのイメージが強くて意外な気もしつつ、耳触りのよい英語結構好き。何言ってるのか分かんないけど。

日本語で歌うパートにくると歌詞の内容が分かりだす。「午後一時半の小田急線」——どうやら、一度出勤したけど風邪気味だから午後休取って早退したやつの話らしい。サボってる学生や、楽しそうな主婦がいたりする時間帯だ。うんうん、わかるわかる。

そして彼は、最寄りに着いたところでふと気付く。このまま乗っていれば実家に帰れる、と。そして実家で猫に会い、(おそらくは親に)小言を言われ、おいしい味噌汁を飲む——。

は?

小田急沿いに実家……?

ペットを飼えてる実家……?

そして自分独立……?

この曲は、俺のような英語リスニングもできない片田舎人間風邪をひいた時に聴く歌ではない。ただただ、恵まれ環境にいる人間風邪をひいた時の歌なのだ

「いや、そんな恵まれてもないだろ」と思う方もいるかもしれないが、2番の日本語パートで彼自身もこう内省している。

「思えば恵まれ生活をこう/与えられてたこ坊ちゃんが/ロックンロールなんて/叫んでいいんだろうか?」

彼は会社員というよりはロックを叫ぶバンドマンのようである。アレキサンドロスの人そのものを描いているのかどうかは分からないが(まあどちらでもよい)、芸術系とか創作系・表現系に全ベットできる人間実家が太いというのはままある話である

彼の悩みに答えは出ず、玄関まで送りに出てきた親(おそらく)の顔も見ることができずに電車に乗り込む。「一人部屋のアパートに帰ろう」——ロックで売れまくってるってわけでもないようだ。

曲を聴くというよりは歌詞を読みふけってしまった。この曲で描かれる人物は俺とは全然違うところを生きているけども、好感が持てないかと言えば全然そんなことはないし、そういう人間風邪をひいた時の情景を描いた歌として、うん、よかった。しっとりしたアレキサンドロスも良い。

風邪/amazarashi

名前だけは見たことあるけどちゃんと聴いたことのなかったamazarashi

ピアノイントロから入っていきなり「37℃の微熱」、うん、風邪の歌だ。

そしてなんか、フィロソフィーとか運命とか必然とか言い出したな……と思ってるうちに曲が終わった。歌詞サイトを見る。さっきのアレキサンドロスでも見ていた。

2回目の再生ボタンを押すと、なんとこの曲1分55秒である。そりゃすぐ終わるわけだ。

しかし改めて歌詞を見ると、この曲で描かれる風邪を引いた人間もまあ、全然共感できない類の人間だ。部屋にはソファがあるし、彼女がいるし。フィロソフィーとか運命とか必然とか言い出すあたり、俺には話を合わせることもできなさそうである

彼は「ごめんちょっと調子が悪いだけなんだよ本当に」と言い訳をし、「かれこれ数時間/便器にしがみついて/朦朧と/うわ言」。うわ言だったらフィロソフィーとか言うのもやむなし……か?

2分に満たない短い曲の中で、「朦朧と」のフレーズが繰り返される。印象に残る曲だ。全然好きだ。好きだ、amazarashiもっと俺の調子がよくて、なんか小難しいことを考えたいときに聴きたい。

恋風にのせて/Vaundy

恋風邪じゃねーか!

でもまあ、Vaundyは好きなので(数曲しかいたことないけど…)楽しみである

これ前に聴いたな……。

Apple Music自動再生で似たような曲や売れ線の曲を流してくるので、Vaundyなんかは知らぬうちに受動喫煙しているのだ。

恋風にのせて」というタイトルには、いわゆる恋の病的なもの風邪に例えた「恋風邪」と「風にのせて」言葉や思いを吐き出す行為がかかっていて、全編的にそんな感じの曲である俳句みたいな技法で割とすき。

しゃらくせぇ曲だなあとは思うものの、そのしゃらくささがVaundyの魅力だとも思う。いい曲。

「くだらない愛で/僕たちはいつも笑っている」

風邪/小林

Twitterフォロワーにこの人のファンがいて、ちょくちょく名前情報が目に入っていた。実は曲を聴いたことはないのだが、シャニマスが好きみたいなので信用の持てる人だと思う。

そして肝心の『風邪』。風邪をひいた舞台役者脚本家?のつらさを綴った曲のようであるあんまり面白くない舞台あんまり上手くない芝居をして、叩かれて、病んでいるようだ。そんな感じの「風邪ニュアンスを感じた。

自らの作品表現稚拙さに苦しむというのは、個人的には結構わかる。わかるけれども、今食べたい料理はそれじゃない。それじゃないんだ……全然上流階級人間を描いてていいからがっつり熱出して寝込んでてほしかった……。こういう形の風邪全然あるんだけども。こういう形の風邪の話だよね?解釈に失敗してるような気もする。

それはそれとしていい曲だと思うし、小林私のボーカル結構すき。やはり信用の持てる人だと思う。元気になったら(あるいは精神的に病んだら)他の曲も聴いてみようかな。

⑤ただの風邪/KIRINJI

エイリアンしかいたことのないキリンジ

この曲もしっとりした雰囲気で、熱が出てぼーっとしたいときに合っているような気がする。

歌詞としては、風邪が治った直後の情景が描かれている。まだ少しぼんやりとしつつ、でも体の軽さがある、そんな感じ。早くこれになりたい。

「君の手のひらはbutterfly」「僕の額をその翅で慰めた/あぁ」

どうやらこいつにもパートナー的な人間がいるらしい。だけど、不思議嫉妬のような気持ちは湧いてこない。キリンジの、この曲のふんわりとした雰囲気ゆえだろうか。

曲は終盤に1分ほどbutterfly…を連呼して終わる。すごい余韻である風邪ときってこれぐらいの余韻がほしいというか、ぼーっとしたい。いい曲だ。好きだ、キリンジ

風邪が治るまでを再現/ヌミャーン(三味線漫画奏者)

間違いなく1番ひどい。

検索しても歌詞は出てこないし、そもそも歌詞というか一般的な曲の体をなしていない気がするし……音楽に決まったルールなんてねえんだよと言われたらそれまでだけど……。

でも、これが1番なんというか風邪っぽい気がする。風邪引いたときに聞けてよかった。

2023-10-17

ええ?Yunomiってのと大森日雅ってのが結婚?どっちが男で?どっちが女なんだ?日雅って名前はなんか男っぽいからYunomiってのが女か?え?日雅の方が女?じゃあ同性婚か…なんかTwitterでの発表の仕方もややこしかったもんな…同姓同士はなかなかなぁ

いやYunomiが男で!大森日雅が女かい普通結婚かい

 

 

 

ってなってたご機嫌な午後一時、いかがお過ごしでしょうか?

2023-07-19

説教するってぶっちゃけ快楽ではない

昨日の飲み会で、経緯は覚えていないが出世だなんだという話になった。

たまたまその場で1番出世が早かった人間だったことや、新人含めた若手に持ち上げられたこともあり、やや説教くさい話をしてしまった。

今までの経験やら社内で積み上げてきた結果についてベラベラと偉そうに話していたが、正直どれも運良く話が転がってきて、たまたま結果が付いてきただけものに過ぎず、それに見合う努力も何もしていないことは自分が一番知っているので、話せば話すほど嘘をつき、見栄を張っているような気持ちになって非常に恥ずかしかった。

そもそも別に若手だって俺に媚びを売りたかっただけで、本心から俺の虚栄まみれの武勇伝が聞きたかったわけではないこともわかっていたしな。

こんな午後一発目から増田に入り浸っているような人間の話を長々と聞かせてしまった罪悪感で、昨日同席した若手と仕事するのが妙に気まずい。

もう彼らの中では偉そうなおじさんという枠に入れられて、そのまま辞めていくまで変わらないんだろうな。

しょうもない自慢話ばっかしてんなよと、若手の頃から思ってたはずなのにな〜。

2023-02-17

[]

今日は午前中なにしてた?すこし文書をかきうつしたな。いわゆるコピペ。そのあと、書類整理。メールの返信やってるうちに正午となり、そっからランチ食べて、午後一から会議。90分でおわる予定がのびのびして、午後三時前におわる。マシンガンのようにメールがきて、その応対。人生相談レベルの深刻さ。そのあと来客。おわったら、午後四時すぎ。そのあとコーヒーのんで、のんびりしたら午後五時。ああ、しんどい。相変わらずむなしい一日だな。

2023-02-08

外国で暴れて精神科に入れられたんだけど

なんか書いたけどクソ長いか外国精神科措置病棟が気になるやつは下までスクロールしてくれ。

入院に至るまで

お前らは精神科入院したことはあるか?俺は一回もなかった。でも精神科/心療内科に通院はしてた。俺はADHDから毎日ストラテラを飲まないと仕事にならない。ストラテラは処方薬だから医者に行かねば貰えない。毎回医院に行って1分話して処方箋貰って金払うだけ。

ある時、俺は海外一身上の都合引っ越した。医療制度というのは国毎に大幅な差異がある。引っ越した先の国では生憎ストラテラは18歳以下のみの保険適用だった。やっとのことで見つけたクリニックの先生は、ビバンセを勧めてきた。言うには最新の作用機序リタリンよりOD不安もない。そして保険適用。かつてコンサータがまるで駄目な方にしか効かなくて3日でやめた記憶もあったものの、軽い気持ちスイッチしてしまった。

ADHDにはニ種類の薬がある、と俺は思ってる。集中力を高める薬と、気が逸れにくくする薬である。似たような響きだがまるで逆だ。後者が俺の相棒であるストラテラ、前者はコンサータ(どちらも先発名)。コンサータは薬というと聞こえはいいが、どちらかといえばヤクと読むべき、ほぼ覚醒剤である。もちろん患者が薬物依存になるとまずいので、徐放剤といってガツンとキメないように調整はされている。先生の勧めてきたビバンセもこの覚醒剤サイドで、違いといえば覚醒剤原料が体内で覚醒剤に変わるというところであるビタミンAじゃなくてカロチンなのかくらいに俺は認識していた。間違ってたら教えて。

そうして薬をビバンセに変えたら途端に寝れなくなった。初日なんて考えてるだけで夜が明けた。今思えば当たり前で、覚醒剤なんだから眠れなくなるのは当然だ。でも俺は一日の睡眠が減っても活動できると喜んでいた。季節は夏。高緯度の日照も相まってたいそう便利だった。

しかし季節が進むにつれ、困ったことが出てきた。まとまって考えることができないのである仕事の都合上ゆっくり腰を据えて考えられないのは致命的だ。家族にも最近まるで話ができないと呆れられている。俺は薬が足りないのだろうと考えた。先生相談して薬は一日40mgから徐々に増え、ついには120mgまで達した。高緯度では夏昼が長いかわりに冬がとことん暗い。俺史上で最悪の冬が迫っていた。

冬になると俺の考えはいよいよまとまらず、出前一つ頼むにも1時間かかるレベルになっていた。仕事でも当然頭は微塵も回らない。上司は進捗の無さに苛立ちを隠せず、俺は完全に途方に暮れていた。家族心配してるものの俺にも全く見当がつかない。しっかり薬を飲んでるのに…俺は焦って更に薬を飲んだ。そうして寝室に籠もって考えると、ふと人生とは詰んでいる気がしてきた。人生とは詰んでるから人生は詰んでるのだ!ただの循環論法小泉進次郎も逃げ出すくらいのアホくさい"証明"だが、当時の俺にはQEDと思えた。そして俺は一切の社会活動をやめた。

俺は恐怖に怯えて布団にこもる。世界は詰んでるから何をすべきかわからない。俺は何日も何週も寝てないように感じた。もはや家族もこの世界を詰ませた陰謀一角に違いない。俺は家族の一人をその首謀者と断定し、他の家族と俺は囚われているか処分しなければならないと画策した。幸いこの企てはすんでのところで失敗し、家族は俺を行きつけの精神科に連れて行った。そこでも俺は先生に向かっていか家族が俺の世界ダメにしたか語った。診断は統合失調症、なんか薬を処方されて俺はそれを飲まざるを得なかった。そして俺は意識を失った。

意識を取り戻すと俺は大変なことに気づいた。家族は俺を陥れるのに成功し、完全に俺は世界から分断されてしまった!行動するのは今だ、そう思った俺は誰かに家族陰謀告白するたった5,6行のメールを2時間かけてしたためて、覚悟を決めて救急車を呼んだ。俺はこの内容を見せて告発するんだ。しばらくして警察が家に来た。俺はぱっと玄関に出た。あれ、俺は鍵かけて閉じ込められてたんじゃなかったのか?それに警察?でも俺が家族に嵌められてることを説明するには誰でもいいか。そう思い俺は警察官についていった。本当は俺が傷害罪犯人っぽいか警察署に連れて行かれたんだけど、俺は家族が悪いと信じて決めつけている。警察官も通訳挟んでもまるで話が通じない東洋人にさじを投げたのか、救急車措置入院と相成った。

入院

救急車外国っぽい青いライトを光らせて夜の山道をひた走る。救急車に本人として乗るのに怪我一つしてないのは不思議なもんだなと、妙に冷静なつもりの俺は思っていた。どれくらい走ったか救急車は薄暗い建物の前に止まった。俺は促されるとおり建物に入った。石造りの古い建物で、照明もロクにない薄暗い廊下を右に折れて、15人位入りそうなでかい部屋に通された。巨大な机の向こうに何人か人がいて、書類に何通かサインさせられた。正直何喋ってるのか全然わかんなかった。部屋が暗かったのか、その人たちは顔だけ真っ黒に塗りつぶしたように見えた。その後は夜も遅かったこともあり、すぐ相部屋の寝室に通された。枕元にはスーパーで一番安い炭酸水ボトルが置かれていた。一杯だけ飲んで徐々にせり上がってくる不安に蓋をした。途中同房の人にトイレ場所を聞いたところ、寝ているように見えたもののすぐ教えてくれた。でも何言ってるか分かんなかったか自分で探した。

次の日起きて俺は焦っていた。なんで精神科入院してるんだ…言ってる意味が全く分からないと思うが、マジで焦っていた。

朝起きたら何もすることはない。みんなおもむろにロビーに出たり朝飯を食べている。それがまず気に食わない。生産的ではない気がする。周りのやつの目が全部死んでるように見える。ここにいたら俺は終わりだと思った。なんのことはない、家族仮想敵に仕立ててたのが精神科になっただけだ。なんだけど、俺は自分危機的状況に最悪なリアクションを取った。錯乱だ。

まずはでかい声を出して職員を探した。しかしまるで相手にされない。そのまま逃げようと思って大声を出しながら雪の上を素足で走った。しかし、精神科だけに柵がある。逃げ場はなさそうだ。少しだけの理性で俺は柵をよじ登るのを諦めて戻った。すると職員が騒ぎを聞きつけて何人か集まってきた。外に出れるチャンスか?俺は必死自分はまともだからここから出せと迫った。しか職員はつれない態度ですぐ俺を元のロビーに戻して対応をやめようとする。なるほど、騒ぎを大きくすればするほど対応する職員も増えるんだな。それを学習した俺は更に声を荒らげて職員を捕まえた。

彼は俺にこういった。あなたがまともなら、それでいいじゃないですか。俺は焦った、こいつはこのまま話を終わらせようとしている。逆を言えばいいのか?そう思って俺は自分サイコパスから危険から病院から追放したほうがいいと逆張りしてみた。そうすると職員サイコパスかどうかは血液検査しないと分かんないですねと返してきた。んなわけないだろ、その時の俺ですら分かった。分かったが、検査を受けないと何も変わらない気もしていた。なので必死サイコパスだね俺は危ないねと話を合わせ、とうとう採血までされるに至った。

しかしどうだろう、検査が終わったら彼は、はい用済みと言わんばかりに俺をロビーに戻すではないか。これまでの会話で勝手検査=退院と思い込んでいた俺は完全に頭にきて、いよいよ本気で暴れた。そうすると複数職員外国語で(当たり前だ)何か言いながら迫ってきた。それがちょうど進撃の巨人普通巨人みたいに見えた俺は恐ろしくて走って逃げた。ロビーから裏の通路を通って行き着く先は袋小路。ドアが閉められたとき、俺はそのドアにドアノブがない事に気がついた。

入った部屋は6畳くらいで、日本人感覚で言えば十分な広さだった。床はリノリウム、壁はクリーム色一色で、はめ込みの厚い窓が冬の寒々しい景色を切り取っていた。部屋には唯一つベッドが置いてあった。退院するために暴れてたのに閉鎖病棟に入れられるだって冗談じゃない。俺はドアをバンバン叩くがまるで開けてもらえなさそうだ。覗き窓からゴミを見るような職員の顔がちらりと見える。次に俺は窓を開けようとした。割ろうとも思ってこちらも叩くがなかなか頑丈でヒビひとつ入らない。この時点で俺は寝たら廃人になると思い込んでいた。ここ10日寝てない(体感から、寝たらパソコンRAMのように頭に入ってる記憶知識知恵すべてが失われ廃人になるに違いないと。しかし体は完全に疲労困憊していた。トイレに行きたいが行かせてくれる気配もまるでない。いよいよ俺は錯乱して部屋の中で小用を足した。これがもしかたら窓の外から目に止まり救出されるのではと思ったが、あとから思えばもし見えたとて重度の精神病患者が暴れてるようにしか見えないだろう。ともかく俺は疲れ果てて寝落ちした。

どれほど寝ただろうか、気がついたら閉鎖病棟に寝ていた。さっきの部屋だ。少なくとも廃人というには認知能力記憶連続性は失われてなさそうだった。あと、漏らして寝たはずなのに服やシーツは取り替えられていた。それには少なくとも満足した。

しかし俺はあまりの空腹と便意ですぐ耐えられなくなった。部屋は暗く時間も何日たったのかすら分からない。とはいえ2大欲求が充たされないことには始まらない。俺は再度ドアを叩いた。しかし飯が全く出されない。トイレも連れて行ってはもらえない。刑務所の部屋にはトイレがついてると聞いたことがあるが、この部屋はベッドしかない。ドアをひたすら叩いてようやく職員から得られたものは、おまるですらない用を足すお椀であった。このとき俺は完全に人権を失ってることを理解した。その後しばらくして食事も与えられた。ツナと冷たいジャガイモを混ぜた犬のエサレベルのもので、俺はさら人権がないと思って涙をこぼして食べた。こっちはよくよく考えると、実はただのメシマズな賄いだったのかもしれない。ともかく起きた日は俺の人生でも指折りの人権のない日だった。

次の日俺はまたトイレ交渉をしてみた。ダメ元だ。しかしあっさり外のトイレに連れて行ってもらえた。人は一度酷く当たられると、多少でもマシな扱いをされた時いいことをしてもらったのではと勘違いする。その時の俺はまさにそれで、トイレに行けただけで感謝した。同時にトイレに行けない可能性に恐怖した。何も口答えする気がなくなった。そしてその日はパンバターだけ食ってたまにトイレに出て終わった。

次の日は更に良くなった。部屋の扉を常に開きっぱなしになるように、食事も他の患者たちと取るようになった。もちろん俺はクワイエットルームに逆戻りしたくないから何も口答えはせず唯々諾々と従った。病棟全体には10人ほど入院していた。そのうち数人から閉鎖室に入れられるなんて可哀想にと同情されてしまった。そうして開かれた閉鎖部屋に何日いただろうか、ほどなくして相部屋に移された。

相部屋の相手はまともな学生さんに見えた。挨拶もするし自己紹介もしてくれた。ただ、虚空に向けて話し出すときと、段ボール箱ラジオと称して実際には携帯音楽を鳴らすときだけはヤバい奴だと思った。実際彼は軽症なのか、一週間ほどで退院していった。他の患者は古株そうに見えた。分かんないけど。常に冷蔵庫自分の食い物を入れては食べてるおばあちゃん、常に食洗機を回すおばあちゃん、常に電話してるトルコ人の女、2chにいそうな青年偶数日はクレオパトラ級のゴリゴリメイク奇数日はサロペットの地味子になる女の子、みんなそれ相応に精神を患ってそうに見えた。

部屋から出られるとはいえ閉鎖病棟自分のいる階から外には出られない。と言っても中で暮らしていくのは暇な事以外何も不自由はなかった。朝昼晩三食食事は出るし、キッチンで持ち込みの食事を作るのも自由だ。途中から家族文明IT機器を持ち込んでもらってからは暇潰しも簡単だった。社会に触れるのは怖かったから、オフラインゲームだけを黙々と遊んだゲーム時間を埋める作業か、あるいは順序立てて行動する訓練のように思えた。ゲームでもいいから何か進捗がないと人間としての価値がなくなるような切迫感を感じてプレイし続けた。

夜は就寝時間があり、あまり遅くまで起きていると当直の人にハロペリドールを飲まされた。すごく頭が鈍くなって好みではなかったが、あの部屋に戻りたくはないから諦めて飲まざるを得ない。

先に書いた通り閉鎖病棟から俺は一歩も出られなかった。当たり前に聞こえるけど、俺だけ外出が禁止されていた。他の患者たちは毎日午後一時くらいにお散歩に出かけていた。たまには俺も外に出たいと思って参加していいか職員に尋ねたが、あなたズボンと靴がないんですと残念そうにみな口を揃えた。自分の足で歩いて入院したのにズボンと靴が無いことがあるだろうか?しかし何度聞いても埒が明かないので、ズボンと靴は汚れて捨てられたのだろうと解釈した。家族に頼んでズボンと靴を差し入れしてもらった。そうしてズボンと靴が揃ってもなんやかんやと言い訳して外に出れず、入院して2週間たちようやく外に出ることができた。

散歩病棟の唯一外に出る玄関職員が開けて、その引率でぞろぞろと歩いてついていく。まず、俺が最初にいた病棟を通った。驚いたことに、この病棟は外の道路からなんの障害もなく行き来できるようだ。柵があって出られないと思っていたが、反対側は正面の入口に繋がっていた。はじめにもう少し理性があったら閉鎖病棟に連れて行かれなかったのにと思う反面、理性がないか入院したわけだし、あの錯乱状態で外に出たら車にはねられてそうだなとも思った。

この散歩想像していたものよりずっと大規模だった。30分から時間精神病院の周りの住宅街を黙々と歩いて回る。歩き電子タバコに歩き火タバコで吸い殻を投げる精神病患者達に近隣住民から苦情は来ないのか、非喫煙者としてはヒヤヒヤする。患者同士しゃべりながら歩いていて、小学校遠足くらい伸びた列を定期的に立て直す。そしてなぜおばあちゃん冷蔵庫食品を蓄えてるかも分かった。多分自分スーパーに買い物に行ってるのだ。そうなってくると家なんだか閉鎖病棟なんだかよく分からない。散歩で外の空気を吸えるのは嬉しいが、また俺はここにいたら駄目になると思った。今度こそ話で退院に持ち込まねばならない。

職員はのらりくらり退院の話を誤魔化し続け、医師の診察もろくになく、どうなってるのかと思い始めた、入院一ヶ月後。小原ブラス似の職員の引率で卓球テーブルサッカー遊んだ帰りに唐突に俺は数日後の退院が告げられた。退院する支度中に、その職員が「あ~ここにあったわ〜」みたいな猿芝居をしながらロッカーから俺のズボンと靴を出してきたが、既に俺にはツッコミを入れる気力は残されて無かった。彼らからしてみたら、話の通じない患者にどうやって秩序を与えるか、自分の気が狂わないか考えた結果がその猿芝居なんだろう。

そうして退院して数ヶ月はものすごく不安で仕方なくどうなるかと思ったけどその後はすっかり元通りになった。相変わらずのADHD、薬を飲まねば仕事にはならない。先生も上手いことストラテラ保険で落ちるようにしてくれた。ビバンセは少なくとも依存性は無かったようで、リタリン系の薬を飲みたいとも思えない。元々飲んでキマってた訳では無いからかもしれない。そのあとめちゃくちゃ面倒なことになったんだけどそこは割愛勝手に敵に仕立てて迷惑一方的にかけたのに見捨てない家族には感謝言葉しかない。

まとめ

2022-10-23

少年自然の家に泊まってきた

家族キャンプイベント家族4人で参加

午後一集合、とりあえず部屋に荷物を置く。

2段ベッド4つの8人部屋を家族で使う。

2段ベッドですでに子供がはしゃぐ。

息子は3回ぐらい天井に頭ぶつける。

オリエンテーションの後軽い自己紹介

娘にやれと言ったらずっと順番来るまで、不安そうな顔でやらなきゃダメ?と聞いてくる。結局俺が喋る。

野外でアスレチック

楽しいけど歩く距離が長いのでアラフィフの俺と妻にはかなりハード

食堂ご飯食べてからかぼちゃジャックランタン作り。かぼちゃも道具も用意してくれる。

娘と息子が道具を取り合いながら完成。

ラウンジで焼きいもと焼きマシュマロ

風呂に入って10時就寝。普段は12時まで寝つけない俺も疲れてたのですぐに寝る。

翌日、朝食も食堂

終わったらメインイベント野外炊飯食材は持参。

薪は用意してあって道具も貸してくれる。

キャンプは全く未経験なので作るのはカレーと串にさしてあって焼くだけの焼き鳥

火おこしは2回失敗したけど3回目で成功

飯盒で炊いたご飯は水が少ないせいで固めだったけど、カレー焼き鳥普通に旨かった。

焼き鳥は鉄のフライパンで焼いたけど、テフロンのやつよりうまい気がする。

道具はきれいに洗って返却。水が冷たいかゴム手袋持ってきてよかった。

4人で一泊2食とアクティティいっぱいでたった9000円でなんかもうしわけないぐらい。

2022-08-21

[]

昨晩、妻と仲良くした。本当に疲れた。翌日のダメージがすごいことに!!本日午後一時間以上シエスタしてしまった。本日午前中もゴロゴロしてたか通算の使い物にならない時間は、ものすごいことに!!昨晩の開始時刻が深夜であったこと、薬を事前に服用したこと。昨晩の行為自体はそんなに長時間ではなかったように思うが、クンニ比較的長時間で負荷が大きかったかな?舌の先をとがらせて、アレをなめ上げるみたいな動きは結構負荷が大きい。ところで妻の尿道口付近の開発がすっかりと完了したことを思い知らされた。巨根(?)をくわえこみながら、「クリじゃなくて。。。」と事細かに指示を出す妻。妻は文字通り尿道口で果てた。正確には尿道口ではなくて、カリナという部位らしい。どっかの三姉妹みたいな名前だ。

2020-10-30

かなりの仕事人間上司がいた

趣味とかほとんど無くて、打ち合わせの合間の雑談に付いていけないっていうから、今なら鬼滅っすよっておススメした

それ以来、事あるごとに何の呼吸だ何の型だちょいちょい挟んでくるのは、まあオヤジあるあるだけど、

午後一の眠そうな時とかこっそりネット見てる時とか、今までは知ってか知らずかほっとかれてたのに、最近は「全集中!」ってサムズアップしてくるのウザい

鬼滅おススメするんじゃなかった

2019-12-23

打合せ

帰宅したらすごい寒気と喉の痛みで倒れ込んだんだけど、困ったことに明日午後一大事な打合せが入っている。

これを逃すと年明け二週目以降に持ち越されるため、是非とも明日打ち合わせたい。

この場合、仮に午前中に病院に行き、インフルエンザの診断が下るのは致命的である

よって私は何食わぬ顔で打合せを済ませ、その足で病院に向かい、どのような診断であっても口をつぐむことになる。

2019-11-09

[]11月8日

ご飯

朝食:なし。昼食:弁当。夕食:餃子ビール

調子

むきゅーはややー。

午後一からずーーーっと議論する仕事

さすがに疲れたし、なんか個人攻撃とかもされたせいでメンタルクタクタになった。

ある仕組みが最適解じゃないことに気づくとそれを指摘してくるんだけど、こっち言わせれば「いやちょっと待ってくれと、後に出てくるあそこの部分をのためにあるんですよ」みたいなのを説明しないといけないから、ひとまず話を最後まで聞いてほしいのに、議論が始まるとそこを聞いてくれない。

あと、そのうえで「上流工程で決まったこと」を覆そうとするんだけど、それはもう俺の範疇じゃないから勘弁してくれ。

ウォーターフォールに向いてないんだよ……

ちょっと酒をたくさん飲んでしまったのでゲームはゼノディア少しだけ。

○本格スマホRPG

ゼノディア周回。

2019-06-07

[]

昨日

昼過ぎまで寝たり起きたり

昼過ぎに起きて夜まで起きてる

夜にトマトカレーうどん

3日ぶりの風呂

風呂上がりにコーヒーパンちゃん1本

風雨と雷がすごい

朝4時くらいに寝た

今日

さっきおきた

起きるときがもうめっちゃきつい

起きてからしばらく吐き気もする

あーでも今日こそはびょういん行かなきゃ

もう少しゆっくりして午後一でいこう

14時からから早めにいって一番で診察してもらうくらいの感覚

それでも先客いるんだろうけど

もも豆腐切れたし半額パンもなくなったから買いに行かないとごはんがない

半額パンはよくて週一だから今日我慢

2017-04-25

[]2017/04/24

午後一杯つかって久しぶりにいろいろブックオフ的なとこめぐりをした

まず博多駅ブックオフ

ここではベターマンガイドブック佐々木正勝の同人がなぜかあったから買った

次に天神ブックオフ

ここではオカルト学院ガイドブックとおじゃまじょどれみの小説2巻を買った

ダンガンロンパファンブックあってえのしまじゅんこ特集みたいに書いてあって、おまけでモノクマポーチついてるのが900円だったけど、あまりにも内容がしょぼすぎて買わなかった

次に天神まんだらけ

ここでも設定資料とか見て、いろいろあったけど値段が高すぎて何も買わなかった

初めて2F行った

エロ関係が2Fにいったんだよね

アニメーター同人とかエロゲープレミアもののショーケース見るの楽しかった

さよ教、BDあそですらプレミアついててワロタ

レイXレイ18kで売ってた・・・

5kで売り飛ばしたの損したなあ・・・あいさらだ

えいるすとかジサツとかもあった

さすがにしょいんはなかったなあ

先輩の家でみた支倉十の狼と香辛料本が12kで売られててワロタ

あとtruetearsのガイドブックも9kだったなあ

アフタヌーン四季賞CHRONICLE5kを買うか迷ったけど帰ってからamazonみたらkindle版540円だったw

外においてある50円コーナーも一通りみたけどとくに何もなかった

日差し暑かった・・・

次は箱崎マンガ倉庫

まずはエロゲ見た

とくに何もなかった・・・ほんと数少ない・・・

設定資料とか見たけどお目当てのものはなし

にんたまの資料集セットで安かったけど興味あるのくのいちだけだしなあと思って買わなかった

イナイレも同様セットだったけどかわず

ダンガンロンパv3中古在庫いか買取3800円ってかいてあって、おっと思った

俺はメルカリクーポン使って3200円で買ってもうクリア済みでどうしようかなーと思ってたところだったから、

ちょうどいいやと思った

帰りはAGBというリサイクルショップに寄ったけど、何もめぼしいものはなかった

ガンプラ組み立て済みとかがあった

放送当時の1/100のシェンロンガンダムとかあってめっちゃなつかしかった

PS2ぼくのなつやすみプレイアブルでおいてあったからはじめてプレイしてみたんだけど、

キャラクター操作ラジコンバイオ)式でめっちゃびびった

クソ操作しづらい!!!!!

なんでこんな操作にしてんだろ

カメラワークバイオみたいにちょこちょこかわるからバイオ同様移動方向維持って意味のためなのかなあ

いやーそれにしてもラジコン式久しぶりに操作するとめっちゃ操作しづいね・・・

一応バイオ2,3は10年前くらいにクリアしたことはあるけど

そのあと一回家かえってまたマンガ倉庫

ダンガンロンパを売った

まさかプラスになるとはね・・・

ネット通信買取だと2900円とかが関の山オークションとかでよーやく4000円ちかくいく、ただし手数料かかるって感じの相場だったから、

めっちゃありがたかった

一応他にも抽プレの図書カードとかゾフィー人形とか持ってったけど、そっちは図書カード定価割れゾフィーオークションの方が高値つくのが明らかだったから、買取やめといた

帰って風呂入ってシュタゲ0して寝た

初代のときはめんどかったか攻略全部みてクリアたから、お話としての楽しさしか感じられなかったけど、

これはある程度分岐がわかるから、バッドエンドっぽい終わり方しちゃったら、自力でやりなおすっていう仮想オカリンみたいな感じでチャレンジできるから、ああ攻略楽しいなあと思った

2017-03-30

[]3月29日

○朝食:ヨールグル

○昼食:助六寿司

○夕食:天津飯中華飯が合体したの

調子

はややー。

ひどい悪夢を見てしまい、朝から憂鬱だった。

だのに、朝一で久々のトラブル発生。

バグの解析の仕事ときテンションが違うね、と言われたことがある程度にはテンションが上がるタイプなので、悪夢のことはすっかり忘れて解析に集中した。

午後一には対処法含めて解析ができたので、全員に周知して、また一つこのプロジェクトの秘伝の書である「どうせ販売元に報告しても修正してくれなさそうな不具合一覧」を更新して、完了

とは言え、日々の業務が止まってくれるわけでもないので、残業

その上、例の先週金曜日受領予定のファイルが、今日の定時ぴったりに送られてくるという、面倒な自体

どうせなら、明日の朝に送ってくれればよかったのに。

とは言え、送られてきたなら、やらないといけないことがいくつかあるので、それをこなした。

終電、ではないけど、そこそこ遅くまで頑張った甲斐があって、受領ファイルの件はだいたい大丈夫

DS

世界樹の迷宮II

朝の通勤時間に3Fをウロウロ。

4Fに行ったら、うとうとしてたからか、操作ミスって全滅してしまった。

はややーだなあ。

3DS

すれちがいMii広場

プレイ

バッジとれ〜るセンター

これからログボをとる。

ポケとる

これからログボをとる。

iPhone

ポケモンコマスター

ログボのみ。

2016-09-20

[]9月20日

○朝食:ヨーグルト

○昼食:助六パンチーズ、豆)

○夕食:ナポリタンツナ缶×2(そのままと、ナポリタンに入れて)

調子

はややー。

今日台風避難警告が出るぐらいだったこともあって、会社の偉い人が「帰れ! 帰れ!」と言い出したので、午後一で帰った。

はややーっと言われた通り早引けして帰った。

ただ、この台風で雨音が凄いのが、精神状態を悪くするらしく、ちょっとぐったりしてる。

木曜日休みから明日頑張ろう。

ポケモンSM

メチャクチャ今更なんだけど、

アローラの新ポケで、僕の愛する悪ポケっていないね

既存ニャースコラッタラッタのリージョンフォームで、悪タイプは出たけど、

アローラ地方の新ポケでは、まだ悪タイプが未出なんだね。

ガルガン(まよなか)は、岩・悪かな? とか思ったけど、岩単だったし。

多分深い意味はなくて、ただの偶然なんだろうけど、早く悪ポケが見たいなあ。

バッジとれ〜るセンター

ノー課金

ポケとる

ランキングイベントボーダー内だったため、フーディンナイトメガスキルアップをゲット。

スピアー捕獲

ディアルガ捕獲

ポケモンサファリは中途(エイパムクルミルクルマル、モンメンウィンク)、エルフーンウィンク)、を捕獲

ポケモンコマスター

ログボのみ。

2016-02-29

[]2月29日

○朝食:なし

○昼食:おにぎり三つ

○夕食:カニカマ、もちいも、パン柿の種

調子

おちごとうんちょうんちょ。

って言いながら頑張った。

正直、午後一ぐらいに終わってたんだけど、また早く終わらしてクタクタ言われるのが面倒なので、

クオリティアップに時間を使っていた。

アリバイ作り的な仕事なので、見栄えを奇麗にしても意味ないんだけどね。

○王とサーカス

ミステリ小説

まだ死体すら出てきてない。

なんだけど、これさよなら妖精の続編なんだね、途中で気づいた。

かなりさよなら妖精のこと忘れてるから、読み直してから王とサーカスに戻りたい。

でも、さよなら妖精実家に置きっぱなしなんだよなあ。

親と連絡とるのタルいから、もう一冊買おうかなあ。


ゲームニュース

Killer Instinct」の“アービター”はゼル・ヴァダムではない、343が参戦の背景と幾つかの新情報を紹介

http://doope.jp/2016/0251633.html

お、おう。

まずあの人ゼルヴァダムっていうんだ……

小説版も読みたいなあ。

2016-02-05

眠くなると手に負えなくなる

文字通りだけど、手に負えなくなるというかまぶたが閉じてしまう。

ひどい時は重要な客先へ行った時も気がついたら寝ていて、

「気を失ったかと思いました。」と謎のフォローを頂きました。

こんなかんじで電車の寝過ごしはあたりまえで、

気がついたら、台所で、ソファーで、職場で寝てしまます

寝不足ではなく、毎日24時には寝て、5時には起きるので

比較健康的な方だと思っています

睡眠外来にも相談に行きましたが、不眠症相手のことが多く、

わたしのようにどこでも寝てしまうというのは専門家は会ったことがありません。

それで、とうとう、本日午後一会議中に

2015-12-30

JKだが正月の親戚の集いに行きたくない

16歳、女子高校生

  

毎年1月2日の午後は自宅付近の祖父母宅で父方の親戚の集会がある日と決まっており、物心ついたときから私も父とともに参加させられている。その他の参加者は祖父母、叔父・叔母、大学生のいとこ2人。1年のうち、正月のこの日以外に彼らに会うことは皆無に近い。

  

いとこたちは祖父母ととても仲がいい。普段から祖父母宅を訪ねたり、一緒に出掛けたりしているのだろう。

メンバーのなかで私だけが浮いている。祖父母にも叔父叔母にも年上のいとこにも敬語を使い、みんながあぐらをかいて車座になっているなかでひとりだけ正座を崩せない。話題も居場所もないので、無言で出された飲み物をすすってばかりいる。幼少のころから、年下のいとこがほしいと何度願ったことか。母が高齢出産だったせいか、父方のいとこも母方のいとこも年上ばっかりだ。

  

ちなみに祖父母宅では毎年大量の菓子類飲み物がふるまわれる。飲み物は祖母や叔母によって各自のグラスに勝手にどんどん注がれる。約5時間にわたる集会あいだ、メンバー全員が平均して2回ほどトイレに行くが、私は今更トイレ場所がわからないと言い出すこともできない。

  

親戚の集いでやること。

1、各自新年抱負の発表。

2、お年玉授与式。

3、持ち寄ったトランプUNO交流

4、互いの家庭の近況に関する情報交換。

  

[1について] いとこたちは良い高校大学に進学しており意識が高いのか、「教養をつける」「しっかり勉強する」といった立派な抱負ばかり述べる。私はいつも「本をたくさん読みたいです」くらいしか思いつかないのだが、毎年同じことばかり言っていると皆にはバレているのだろうか。

  

[2について] もっと重要イベント。むしろ親戚の集いはこのために行われていると言っても過言ではない。これがあるから、私もうかつに失礼な態度がとれない。

  

[3について] ゲームを通しての世代(と心の壁)を超えた交流。私を親戚の輪の中に入れるための配慮から企画されているのだろう。ありがたい。しかし早く終わらせて帰りたいというのもまた本音だ。

  

[4について] これはほんとにクソだ。互いのペットの近況を尋ねるのはもはや恒例だが、うちのペットが今年亡くなったことを告げれば全員が口を閉ざし「あら…ごめんなさい……」と気まずい雰囲気が部屋中に広がるのは間違いないだろう。最悪である

  

  

いままで16回くらい我慢してきたけれどいよいよ本当に嫌だ。年にたった1日、5時間くらいなら耐えろというお叱りもあって当然だと思うが、私は根性なしの気弱なJK(なお教室でもぼっち)なので可能であれば親戚の集いを回避したいと切実に願っている。

  

そこで今回は『(祖父母宅訪問直前の)午後一番に携帯を置いて家を出て、音信不通のまま公園マック半日を過ごし、(集い終了直後の)日没後に帰宅する』という逃亡計画をひそかに練っている。家の玄関に「親戚のみんなで食べてください」として置いておく菓子折りも購入済みという用意の良さだ。祖父母不孝のひどい孫だと自分でも思うし、帰宅後の父のカミナリを免れることもできないだろうが、もう集いへの参加を回避できればなんでもいい。お年玉だってもらえなくて構わない。17回目にしてはじめてのボイコットである絶対成功させるぞー。おー。

 

 

(2015/12/30 12:10 追記)

 

子どものつたない長文を読んでくれた人がいるみたいで、予想外にブクマがついてて驚いています

『なぜ現時点で16歳なのに参加が17回目なのか?』

ブコメでこんな指摘がありましたが、物心ついたときから参加してるものから自分でも何回目だか把握してません。

私は夏生まれなんだけど、0歳のときに初参加(1回目)だったとしたら、今回(16歳)は17回目にあたるのではと考えました。ほかにおかしいところがあればまた教えてください。

 

 

(2015/12/30 14:12 追記)

ブコメを見て。

 

文章がしっかりしてる、いい文章書いてるって言ってくれた人ありがとうございます。もともと文章を書くことは好きで、文章力の高いブロガーさんたちへの憧れもあるのですごく嬉しいです。

 

・集まりをバックレたいのは今年だけです。さぼりたい理由は大きく2つあって、

①今年は2人のいとこのうち年下のほうが東京いい大学に進学したので、私の進路(将来の夢や大学受験など)のことも話題上りそうで嫌

②(本文にも書いたけど)飼い猫が亡くなったので、気まずい雰囲気になるのが嫌

という感じです。来年からはちゃんと行こうと思っています

 

・親戚に気を遣いつつ5時間の集いを耐久する苦痛を考えると、お年玉金額でそれが回避できるのなら安いものだと考えてしまます。私のメンタルが弱いだけかもしれませんが。

 

・父に親戚の集まり行きたくない旨を伝えるということは、父の両親や姉妹(=私の祖父母や叔母)を否定することとイコールにとられてしまう可能性があります。いずれにしてもバックレたら同じことですが…… 父公認で集まりをさぼることは難しそうです。

 

 

(2015/12/31 2:14 追記)

 

たくさんのご意見ありがとうございます

さきほど両親に(別々に)自分気持ちを伝えてみました。

 

・父は「行かないなんてありえない、ダメだ」の一点張りで、あまり話を聞いてもらえませんでした。普段からかなり怒りっぽい人なので、これ以上蒸し返すと激昂して爆音で怒鳴ったりものを投げたりしそうです。

 

・母(私の父方の親戚とはほぼ絶縁状態)は私の話に一定の理解を示してくれたので、当日の計画についても相談してみました。突然のバックレで迷惑をかけるであろう旨を伝えると「仕方ないね」と許してくれました。一安心です。

 

また何か進展があれば、あるいは当日に何かあればここで報告させていただきます

2015-12-23

http://anond.hatelabo.jp/20151222164937

身体的・精神的に苦しい状況が続いている時は、自分客観的判断を下すのが難しい状態になっていると考えた方が良い。

今日午後一で、親兄弟または親友・恩師等、信頼できる相手がいればその人に相談に乗ってもらう事をお勧めする。

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん