2009-10-12

屋台を取り締まる警官はちんぴらと変わらない。

中国旅行記 読者より)

 偉大なる中国国慶節)を目撃した直後の裏町では。。。。。

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成都甲府とが姉妹都市はなぜ?

四川省成都にいます。午前中、杜甫草堂、そして武侯祠に行ってきました。かなりゆっくりと回り十分に堪能しました。

成都甲府が友好都市になっているようで、草堂の記念室に銭其シンや楊尚昆らのオートグラフに並んで石和温泉などのパンフレットが並んでいたのには笑ってしまいました。

しかしなぜ甲府なのでしょうか? もしかして盆地つながり? まさか。ともあれ、いにしえの中国人の偉大なる事績に触れた後、宿を取っている春煕路の付近をぶらぶらしました。

連休も最終日とあって、繁華街若者たちが多く繰り出してたいへんな賑わいです。そんなところではよく見かける光景ですが露天の物売りが多く店を開いています。串肉を焼きながら売るリヤカーのおばあさん、串飴を背中に担いで歩くおじさん、バッグ類やアクセサリーをボロ布に広げるおばさん、自転車の左右のカゴに果物を満載したおねえさんなどなど。

その中にいた30前後女性が三輪自転車の荷台にかけたビニールシートをはずしました。大量の映画DVDが載っています。知らない作品ばかりですがちゃんとパッケージされています。

一瞬、ホンモノかと思いましたが、紙に挟んだだけのパッケージはいわゆる海賊版でしょう。何人かの人が目当ての盤を捜し始めたころ背後から怒鳴り声が聞こえます。黒制服姿の若い警官2人です。彼らはパッケージを20枚ほどわしづかみにしました。

そしてにやにやしながらパラパラとめくって見ています。物売りの女性は手を合わせて返して欲しいと頭を何度も下げようやく返してもらいました。そしてすぐに荷台にカバーをかけて立ち去っていきました。

▲庶民のささやか屋台破壊

サボテン観葉植物ビニール小鉢で売る自転車のおばさんも警官に呼び止められました。

彼らは、きれいに手入れされたサボテン鉢を数個ばかり地面にたたきつけすぐに立ち去るように命令します。おばさんは半笑いの表情でサボテンを拾い砂をすくっています。

事前に買った人も同情して一緒に砂を拾っています。おばさんはその人に律儀におつりを手渡し、警官背中をふり返りながらその場から離れていきました。

次に警官は飴売りのおじさんの背中から商品を引き抜いて何かまた怒鳴っています。

警官の手に何本かの串はありますが、3、4本の飴が折れて路上に落ちました。

おじさんは走って路地に逃げ込んで行きました。しばらくすると落ちた飴がなくなっていたのでおじさんが拾ったか誰かが持っていったのでしょう。

警官路上を取り締まる間、片手に飴を持ったままです。

これはどうみても警官と言うより、地回りのチンピラという印象を受けました。折り目も消えて薄汚れた服装もだらしなく、制帽も身につけていません。おまけに上着のすそから柄ものシャツがはみ出しています。彼らは串飴をもったまま物売りたちを次々に怒鳴り退散させています。

一方で、同じくゴロツキ風の若者に肩を組まれてなにやら笑顔で話してもいます。

物売りたちは警官の姿が消えるとまたすぐに店を広げます。文字通りいたちごっこを続けていました。

こうした様子は日本からの旅行者の目にはもの珍しいのですが、地元の人たちからすれば日常茶飯なのでしょう。すべて衆人百目の前で起きています。

権力をカサに着た傲慢非情警官と苦労しても報われない可哀想な物売りたち。貧民たちの警察に対する怒りはまだまだ蓄積しているように感じました。「偉大なる中国」の事績を見学した直後に目撃した光景だけに印象に残るシーンでした。

そういえば似たような経験がありました。古代ローマ人の造った壮大で緻密な遺跡群を巡った後、いい加減でその場しのぎな現在ローマ人と接した時です。

いま中国では建国60年に合わせて公開している映画「建国大業」がたいへんな入りなようです。

春煕路の映画館でも大入りの様子です。抗日戦争から建国までの指導者群像を描いた作品です。この前のレポートで書いた「解放」と似ています。なにやら172人のスターが登場するらしいのですが、毛沢東役にはもちろん例の唐国強。

ジャッキー・チャン、アンディ・ラウジェット・リーレオン・ライチャン・ツィイーなどの豪華スターも出演しているとか。

こちらのテレビでは相変わらず国慶節関連の番組をやっています。

成都でも西安でも観光地は、というより人が集まるところはどこも「60」あるいは「国慶」という文字や大きな花飾りが目立ちます。ただ春煕路では国慶セールの方が目立つでしょうか。もちろん30メートルおきに銃を持った公安警察が隠れていますが。

  (NS生、中国旅行中)

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宮崎正弘コメント)連日、精力的に中国各地を回っているようですが、食あたりに気をつけて下さい。

さて、成都甲府姉妹都市の理由は「盆地」だけではなく、「軍師」です。諸葛孔明武田信玄山本勘助)、ともに軍略の英雄ですから。

  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

    平成21年(2009年)10月9日金曜日

       通巻第2735号  

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