8月24日はアニメーション監督・今 敏の命日、今年で没後10年となる。
『パーフェクトブルー』、『千年女優』、『東京ゴッドファーザーズ』、『パプリカ』、唯一のTVシリーズ『妄想代理人』……今 敏の監督作は虚構と現実が入り混じる幻惑的な世界を、緻密なアニメーションによって描き出す。
その圧倒的に個性的な作風は日本国内のみならず世界中で高い評価を受けており、それゆえ、2010年8月24日に47歳の若さで急逝した際は大きな衝撃を与えた。
今回は、そんな今 敏の作品世界をアニメ・特撮研究家の氷川竜介が考察した論考「漫画と映画とアニメの本質を照射してきた今 敏の『絵』」を掲載する。
本稿は2010年に出版された単行本『セラフィム』の、初回限定版付録「KON’S MEMORIAL」に寄稿されたもの。
『セラフィム』は漫画家としてそのキャリアをスタートした今 敏がアニメージュ誌上で連載していた漫画(原作・押井守/連載途中から押井のクレジットは「原案」に変更)で、諸事情により連載が中断され未単行本化だったが、急逝を受けて追悼出版として単行本化された(現在は復刊ドットコムより「増補復刻版」が発売中)。
つまり本稿は、漫画作品単行本の付録に収録されるという前提で執筆されている。
だが、本稿における氷川の視野は広く、漫画、アニメーションを含めた今 敏「絵」全体を包括しており、そこでなされる考察は今 敏作品をより深く理解し、楽しむための示唆に富んでいる。
没後10年を経てなお古びることなく輝き続ける今 敏の作品たち。
本稿をてがかりにして、ぜひ、その魅惑の世界に踏み入ってほしい。
▲『セラフィム』初回限定版と付録「KON’S MEMORIAL」