音楽は誰のものでしょう?
簡単です。 皆んなのものです。

作詞家や作曲家や歌手や演奏者のものでもありますが、本質的には
その音楽を聴く人、皆んなのものです。

ただ、そうは言っても、それをもとから作り上げた前記の人々には
「著作権を持たす事によって保護しよう」と言うのも、至極当然の
事です。

著作権は印税という形で、我々著作者に振り込まれ、私など、
収入の80%以上がこの印税収入です。

世間に評価され、売れる作品を創れば、自然と収入は増えますし、
そうでない場合は、食って行く事も出来ない厳しい世界です。

良い悪いと言う基準ではなく、売れる売れないの基準で判断
される訳ですから、なかなか大変です。

ただ、良い悪いなどは、そもそも何が良くて何が悪いか、
決める事ができない性格のものなので、私は、この
売れる売れない、食える食えないの基準は、厳しいけど、
世間の真っ当な評価として、受け止めて来ました。

単純に、CDや映像ソフトの売り上げだけの時代までは。


しかし、このところの世間の急激な変化により、ネット社会の
論理が、このシステムにも影を落とすようになって来ました。

いわゆる、新たな著作権破りです。

個人のサイトなどで、不法にアップされたりする間は、まだ
可愛かったのですが、
You tubeやニコ動などで、勝手に著作物がそれも大量に
アップされるにおよんでは、
ネット配信や、携帯ダウンロードなどの登場で、ただでさえ
ソフトが売れなくなって来ているのに、それに追い打ちを
かける事態になった!
と、当初は思いました。

坂本龍一さんもおっしゃっていましたが、「ミュージシャンが、
CDの売り上げだけで食って行ける時代は、もう終わった」と。

その言葉通り、音楽ソフトの売り上げは、年々下降を続け、
今や最盛時の半分にも落ち込んでしまいました。
(幸いアニメ関係はそこまでではありませんが、同じく
 落ちています)

著作者としては、憂慮すべき事態であります。

しかし、翻って、1ネット住民として考えたらどうでしょう。

こんなに面白くて、便利なものはありません。

困ったくらい面白いのです。

さて、私はどうすべきなのでしょう?

1) あくまで著作者として、不法なものに対して反対して行く

2) ネットの新しい流れと割り切って、存在を認める

3) 法改正も含めた著作者とネットのお互いの利益を模索する

世間は(こちら側は) 1と3を両刀で考えているようです。

私も著作者側にいる人間として、そのような動きで正解だと
思うのですが.....

なんか、このごろ最終的には2になりそうな予感がします。

もちろんそれには、両者の間にルールが必要ですが、
近いうちにそのようになるのではないか、と思っています。

ここで、最初に書いた、「音楽は誰のもの?」
皆んなのものです!よね。

前に一度、あるレコード会社がCDの違法コピーを防ごうと
コピー出来ないCDを出しましたが、世論の大反対ですぐに
ポシャリました。

何が言いたいかというと、
「今現在の常識で、いくら正しい事でも、将来に渡っても
 続く事とは限らない」
のです。

そして、その変化を決めるのは、ユーザーであり世間である
のです。
我々著作者が決める事ではない、のです。

しかし、だからと言って、何も発言しない訳ではありません。
何とか、良質な作品を世の中に送り出すための、最大限の
努力を続けるとともに、このままの、作り手側の環境劣化が
急速に進む事によって、
作品自体のレベルが落ちる事は、ユーザーの皆さんの望む所
ではないはずです。

ユーザーと著作者お互いが、これからも良い関係でいられる
ためにも、この問題について良く考えていただきたいのです。

私の一案ですが、
たとえば、すべての著作物は何年を経た時点で、すべてフリー
となる。
しかしその何年かの支払いに関しては、今より厳密に
(メディアやカラオケなどすべてをデジタル化して)
行う。

どうでしょうか?
色々問題点のある、ざる提議ですが、一つの方向性は
持っていますよね。
なしくずし的に事実上著作権フリーになるより、いくらかは
ましだと思いますが。


 このところ、私のブログにミュージシャンの方々が
多数おいでですが、この問題をどのようにお考えでしょうか?

もちろん、他の方々もご自分の意見をそれぞれお持ちでしょう。

もし、良かったら書き込んでくださいね。

田中公平