小沢氏は『日本改造計画』の原点に帰れ - 池田信夫

池田 信夫

小沢一郎氏の出馬は民主党が、そして日本が立ち直る最後のチャンスかもしれません。日本の政治が低迷している原因は、90年代以降の世界の変化に対応して日本が大きく軌道修正しなければならないのに、自民党政権のころの「官僚丸投げ」が続いてきたことです。それに対して政治改革を実現しようとして自民党を割った小沢氏の行動は、それがたとえ党内の権力闘争に敗れた結果だったとしても、間違っていなかった。


そのとき彼の書いた『日本改造計画』は「小さな政府」をめざす理念が明確でしたが、その後の小沢氏は政局の読みを誤って自民党政権の復権を許してしまい、政党は離合集散を繰り返して、経済の低迷はますます深刻化しました。

その中でも、自由党のころまでの小沢氏は一貫していましたが、民主党との合併以降おかしくなり、最近は菅首相より社民的な路線を打ち出すようになりました。これが田中角栄以来のバラマキ路線に戻ったのだとすれば、彼に何の期待もできませんが、彼の持論が「保守二党論」であることから考えると、これも権力を取るための戦術的リップサービスかもしれない。

『改造計画』は今となっては古い面もありますが、欧米諸国は80年代以降、多かれ少なかれこうした自由主義路線に舵を切り、それに対して「第三の道」といった形で修正自由主義が出てきました。ところが日本では、民主党も自民党も「大きな政府」志向で、国民に選択肢がない。基本路線がはっきりしないまま20世紀的なバラマキ福祉を続けてきたため、財政破綻の危機が切迫しているが、それをどうしていいかわからない。

率直にいって、どんな政権でも今の「死に体」になった菅政権よりはましでしょう。これまで20年間にわたって「闇将軍」として日本の政治を混乱させてきた小沢氏を一度は首相にして、彼のやりたいようにやらせてみてもいいのではないでしょうか。小沢氏には民主党の混乱した路線を清算し、『改造計画』のころの明快な主張に戻っていただきたい。彼がそういう国家戦略の大転換を打ち出すなら、政治とカネなんて些末な問題です。

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コメント

  1. kahonosuke より:

    完全同意です。先の小沢氏のスピーチをUstreamを見ましたが、日本改造計画で彼が言っていた上からの抑圧、規制を嫌い、自由な個人として自己を確立すべきというエッセンスを熱く語っていました。17年前の著書で多くの人が同意した彼の基本姿勢は変わることなく貫かれていると思ってます。小沢氏に今回の代表選挙で是非語って欲しいですね。

  2. https://me.yahoo.co.jp/a/u540mrdbVIb5etvNTFCFUJ40iuo- より:

     「日本改造計画」は片山さつきさんの先輩がゴーストライターであることがバレちゃったんだから、結局のところ小沢さんの政策は未だに不明ってことです。
     業界団体へ選挙協力と引換に、補助金や事業の創設を行うという、身内へのバラマキが復活するだけのような気がしてなりません。
     派閥の資金や財産(小沢氏名義の寮などの不動産を含む)を全て党に移管するなどの行動を見せてくれれば、少しは見所がありますが… まぁ、無理でしょう。

  3. jonias より:

    一時は労組に擦り寄り過ぎて、「小沢自治労」氏などと揶揄されていましたけど、あれは仮面をかぶっていただけ、ということであれば良いですね。

  4. ken355 より:

    小沢氏は、唯の賞味期限切れのチキンではないの?評論家は過去の希望に縋り、関係者は自爆テロに怯えとしか見えないのですが。

  5. disequilibrium より:

    本当にこの人が首相になるんでしょうかね。
    小沢一郎氏が今できることは、日本を壊すことだけでしょうけど。
    まあ、きちんと準備ができてないと、グダグダになって、全てが最悪になって、国民のモラルも完全に崩壊するでしょうけど。
    崩壊は早い方が良いので、そういった大混乱込みで考えても得ということですかね。
    少なくとも、遅れた上に下手な崩壊の仕方をするよりはマシと。

  6. taquonoss より:

    池田先生にしてこの読み違いは極端ですね。

    自民党も民主党も志向は「小さな政府」でしょう。ただ、選挙が怖いので口先だけで実行できず、票欲しさにバラマキしているという構図。

    民主最大の新規政策「子供手当」を見れば明確です。「大きな政府」志向なら所得制限を厳しく設定、実行するはずですが、制限なしのバラマキです。農業の所得保障にしても財源が確保できないので頓珍漢な制度でお茶を濁す始末。

    「小さな政府」というより「ケチでチキンな政府」と呼んだほうがいいです。大衆迎合の票乞食政権です。見識のかけらもない。

    自民より官僚丸投げはひどくなりました。自民党はそれでも官僚と政治家が一緒に汗をかいていた印象がありますが、民主は本当に丸投げ。最近は虎視眈々と日銀への雇用対策丸投げを目論んでいるようで呆れるやら胸糞悪いやら。

    ただ、小沢氏ならば小心者の菅氏にはとても不可能なドラスティックな財政出動の可能性があります。その意味では悪い選択肢ではないかもしれませんが、あまりに中国贔屓で角栄を追い落としたアメリカ憎しの一念で日本を間違ったところに導きそうで怖い。

  7. onyasu0222 より:

    池田先生の間違った認識を正します。

    政治と金の問題なんてありません。

    ただの記載期日のずれだけで、会社の経理ではよくある間違いです。石川代議士の起訴もしなくてもいいレベルのことです。それを小沢代議士が指示したなどは検察のシナリオでしょう。厚労省の村木さんの件も、石井一を引きずり込む検察の作り話でした。西松事件の大久保元秘書の件も、裁判では検察のシナリオが西松の担当者の証言により崩されています。

    検察審査会なんて魔女狩りと同じで、国民からしたら怖い制度としかいいようがありません。検察審査会に告発した市民団体は、ただの右翼であり、外国人参政権の導入を進める小沢を止めるといった不当な訴えを検察が認めることが危うい制度です。

    仙石が野中に擦り寄ってることがただの権力維持を狙ってるだけで、ビジョンのない官僚の操り政権と言っても過言ではありません。先の参議院選挙を菅政権の信任選挙と言って、責任を取らない。日本を任せることができない政権であることは間違いありません。