コラムバックナンバー
株式会社真摯 いちしま 泰樹
発信元:メールマガジン2018年4月4日号より
佐藤尚之さんの書籍『ファンベース』を読みました。新規ユーザー獲得の発想ではなく、支持してくれるファンを育てて中長期的な売上や価値を上げていかなければ、という内容の書籍です。至極そのとおりだと思います。
Webの領域でも、例えばWebメディアやコミュニティはファンのような固定客を増やさなければ、一過性のトラフィックの積み上げに終わってしまいます。
しかし、WebメディアのKPIはPVやユニークユーザーをベースにしたものがまだ多い印象です。サイト全体のPVやユニークユーザーを中心に見ている限り、「その全体母数をいかに大きくするか」という意識から「広く集客する」「リーチを広げる」といった新規ユーザー獲得の発想になってしまい、安易な「質より量」に堕ちてしまいます。
「固定客は根付いているか」の視点が必要です。
ファンや固定客づくりに注目すれば、KPIも打ち手も変わってきます。多くのビジネスでリピーターへのアプローチの方が新規獲得よりも工数が小さいのと同様に、固定客のユーザー数や訪問頻度を増やす打ち手は、新規獲得の施策よりも見込みが高いものが多いはずです。またメディアとして支持、シェアされることで、同じ趣味嗜好のユーザーを連れてきてくれます。
固定客の把握はむずかしいものではありません。固定客を定義する際に、「計測可能なもの」として落とし込むことが大事です。
ログインベースであれば月n回訪問のアクティブユーザーの把握でより精度の高い数字を得られますし、Cookieベースでも通算n回目訪問のユーザー数などで「過去から何度も訪問しているユーザー」を抽出できます。特定の流入チャネル経由の訪問が顕著であれば、月あたりのユーザー数と訪問頻度から固定客を分類できるでしょう。
月に固定客がユニークユーザーでどれぐらいいて、どれだけの頻度で平均何ページ閲覧しているのか、まずはこれらの計測で固定客の維持や増減が把握できます。当然それらが伸びれば全体のトラフィックに影響するはずですが、仮に全体のトラフィックが横ばいでも固定客のトラフィックが伸びていれば、中期視点での成長が期待できます。新規獲得の取り組みと固定客増の取り組みを分けて評価してよいはずです。
フォロワーよりファンを、ユニークユーザーより固定客を。固定客が同じ趣味嗜好のユーザーを数人連れてきてくれれば、コミュニティとして成長します。メディアはより質に注力できるはずです。
外食チェーンストア、百貨店、Web制作会社(株式会社TAM、デジパ株式会社)、インターネット広告代理店(株式会社アイレップ)を経て独立。2010年にCinciを設立し、のち株式会社真摯として法人化。
マーケティング視点と分析データの根拠を元に、クライアントのデジタル領域のビジネス改善を支援している。a2iセミナー編成委員会。
著書に『Google アナリティクス 実践Webサイト分析入門』(インプレス)。
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