齋藤孝著 「偏愛マップ」
前回、7月1日に開催される「フジ55 in 富士スピードウェイ」に4人のメンバーで参加することになり、懇親会を兼ねて集まったらね、という記事を書きました。
集まった4人のメンバーがそれぞれ“初めまして”ではないのですが、それほどお互いに親しいわけではなく、「顔と名前くらいは知っているけど」程度ですので、微妙に心配していたのですが思いの外盛り上がり、楽しい会合になりました。
共通の興味の対象のある人たちが集まって、その話題を酒の肴に飲むのって、こんなに楽しかったんだということに気が付きました。
これまでも、自分なりにハマってきた趣味はそれなりにありますが、考えてみるとどれもこれもあまり人と交わってやるようなものではありません。
自転車ももう何年も乗っていますが、どちらかと言うと一人でどこそこに行ってという感じでしたので、今回のような状況になったのは初めてのような気がします。
「偏愛マップ」とは、その名の通り「偏って愛するもの」を一枚の紙に書きこんだマップです。“ちょっと好き”程度ではなく、その人が“愛している”ものを集めてマップにしたものです。
それも“偏愛”なんです。なんとなく流行っているから好きとかとは次元が違います。
自分がホントに好きなもの、偏愛していると言えるようなものを、マップにしてコミュニケーションの方法として使ってみましょうというのが本書の提案です。
ここは偏愛でないとダメなようです。なぜなら、人との嬉しい出会い、通じ合う楽しみ、いい人間関係というのは、互いの偏愛やクセの結びつきによって起きるものだからそうです。
オタクと言われている人たちの一つの弱点は、お互い詳しく知っている人同士でしか会話が成立しないという閉鎖性にあります。愛しているものの知識が非常に豊富であるのに、それを他の人に分ち与えることができないので、知識がある分だけキラわれてしまうという現象が起きてしまうとのこと。
でも、オタクと言われる人同士、共通する偏愛を持つ者同士は、仲がよく、話が異常に盛り上がる、という点に注目です。
偏愛が一個や二個だと、それは閉鎖的になってしまいますが、偏愛が数多くあって、その数だけ多くの人と盛り上がることができるとしたらどうですか?
非常に有効な、簡単にお互いを深く知ることができる、コッミュニケーッションの手段になりそうですよね。
私も、「PS3を持っていますか?」、「フルマラソンを走ったことがありますか?」、「ゴルフをやったことがありますか?」なんて質問を8個考えて書きました。
書き終えた皆が次に指示されたのは、席から立ち上がって会場にいる色々な人と出会って、お互いに「得意なこと、すきなこと」、「現在求めている情報や人」を伝え合います。
そして、「あなたが初めて会った人に聞いてみたいこと」を相手に質問するのです(8つの内のまだ「Yes」をもらっていない、どの質問でもOKです)。
相手の答えが「Yes」ならば、その相手の名前と共に、その人の「得意なこと」と「求めている情報」を、紙に書いていきます。
答えが「No」ならば、次の人に移っていきます。こうやって、制限時間内に何人の人から「Yes」をもらえるかというゲームです。
これは面白い体験でした。
何よりも、初めて会った人なのに、会話が弾むし、「へー、そんなことが得意なんだ」とか「そんな情報を求めているんだ」といったことが、結構意外だったりして、興味深かったですね。
本書の偏愛マップにも同じような効能があるんだと思います。
この時、できるだけ具体的に書いていく方が話題が盛り上がるようです。
例えば、趣味はと聞かれて、「読書」というと、あまりに一般すぎて話が広がりませんが、「小林多喜二の『蟹工船』が好き」となると、相手も突っ込みやすくなるわけです。
自分はあんまり偏愛と呼べるようなものは無いしって思う人もいるかもしれません。でも、いろんなジャンルがありますよね。
「映画」「ファッション」「食べ物」「アニメ」「旅行」「アート」「音楽」「スポーツ」「演劇」「家具」「ペット」「温泉」「景色」「楽器」「休日の過ごし方」「リラックス方法」
こんな風に考えていくと、誰の中にでも必ずたくさんの“偏愛”がある筈なんです。
個性とは、その人の持っている「世界」のことであり、そしてそれは、その人の好きなもの、偏って愛しているものの集合体だと考えられると斎藤先生は言います。
「偏愛マップ」を見れば、この人はこういう人生を生きてきたのか、こういう世界を作り上げてきたんだな、ということが分かるんです。
お互いの「偏愛マップ」を眺めれば、それが初対面の相手であっても、そこからその人の世界に入っていくことができます。ましてや、同じ人や同じ趣味を愛したりしていると、一気に距離が縮むのは、想像に難くないですよね。
突然四十代の中年男性が二人立ち上がって、ガッチリと固い握手を交わしたのです。この人たちはまったくの初対面。それが、数十年来の親友のように熱く語り合い始めたのです。
いったいどうしたのだろうと、驚いてたずねてみました。
すると、「ハ、ハトがっ」との答えが。
この二人を結びつけたのは、偏愛マップにあった「ハト」の一文字だったのです。
実は、二人とも数十年前の少年時代に伝書鳩を飼っていたのです。ところが、それぞれの職場で、彼らが鳩について口にした事は一度もありませんでした。鳩への偏愛は、二人の胸の中に語られずにしまわれていたのです。
それが、この日書いた「偏愛マップ」の中ではじめて解き放たれたのです。しかも、話し始めてわずか五分で!
五分で伝書鳩の話をはじめるなんて、日常生活の中ではありえないことです。わずかな時間の間に、数十年しまわれていた偏愛、一つの世界が甦ったのです。
私自身の“偏愛”はなにかなあ?
作家は、以前も書きましたが、山本周五郎、山手樹一郎、山口瞳と3人の山ちゃん。この3人は著作に関わらず好きです。
個別には、北村薫さんの「ターン」、宮部みゆきさんの「我らが隣人の犯罪」の中に入っている短編「サボテンの花」、柴田錬三郎さんの「運命峠」と「剣は知っていた」、灰谷健次郎さんの「太陽の子」、沢木耕太郎さんの「深夜特急」・・・・・。
こんなことを書いていたら、昔の本を引っ張り出して来て読みたくなりました。
集まった4人のメンバーがそれぞれ“初めまして”ではないのですが、それほどお互いに親しいわけではなく、「顔と名前くらいは知っているけど」程度ですので、微妙に心配していたのですが思いの外盛り上がり、楽しい会合になりました。
共通の興味の対象のある人たちが集まって、その話題を酒の肴に飲むのって、こんなに楽しかったんだということに気が付きました。
これまでも、自分なりにハマってきた趣味はそれなりにありますが、考えてみるとどれもこれもあまり人と交わってやるようなものではありません。
自転車ももう何年も乗っていますが、どちらかと言うと一人でどこそこに行ってという感じでしたので、今回のような状況になったのは初めてのような気がします。
以前読んだ齋藤孝さんの「偏愛マップ」という本を思い出しました
そんなことを考えていたら、だいぶ前に読んだ一冊の本を思い出しました。齋藤孝著「偏愛マップ」と言う本です。「偏愛マップ」とは、その名の通り「偏って愛するもの」を一枚の紙に書きこんだマップです。“ちょっと好き”程度ではなく、その人が“愛している”ものを集めてマップにしたものです。
それも“偏愛”なんです。なんとなく流行っているから好きとかとは次元が違います。
自分がホントに好きなもの、偏愛していると言えるようなものを、マップにしてコミュニケーションの方法として使ってみましょうというのが本書の提案です。
ここは偏愛でないとダメなようです。なぜなら、人との嬉しい出会い、通じ合う楽しみ、いい人間関係というのは、互いの偏愛やクセの結びつきによって起きるものだからそうです。
なるほど、オタクって偏愛と同意語だったんですね
偏愛って、別の言い方をすると、オタクとかマニアという感じでしょうか。オタクと言われている人たちの一つの弱点は、お互い詳しく知っている人同士でしか会話が成立しないという閉鎖性にあります。愛しているものの知識が非常に豊富であるのに、それを他の人に分ち与えることができないので、知識がある分だけキラわれてしまうという現象が起きてしまうとのこと。
でも、オタクと言われる人同士、共通する偏愛を持つ者同士は、仲がよく、話が異常に盛り上がる、という点に注目です。
偏愛が一個や二個だと、それは閉鎖的になってしまいますが、偏愛が数多くあって、その数だけ多くの人と盛り上がることができるとしたらどうですか?
非常に有効な、簡単にお互いを深く知ることができる、コッミュニケーッションの手段になりそうですよね。
マツダミヒロさんのセミナーでも似たような体験をしました
以前、「魔法の質問」で有名なマツダミヒロさんのセミナーに行った時、受講者が最初にやらされたのは、手元に配られた紙に以下の3つのことを書くことでした。- あなたの得意なこと、好きなこと
- あなたが、現在求めている情報や人
- あなたが初めて会った人に聞いてみたいこと
私も、「PS3を持っていますか?」、「フルマラソンを走ったことがありますか?」、「ゴルフをやったことがありますか?」なんて質問を8個考えて書きました。
書き終えた皆が次に指示されたのは、席から立ち上がって会場にいる色々な人と出会って、お互いに「得意なこと、すきなこと」、「現在求めている情報や人」を伝え合います。
そして、「あなたが初めて会った人に聞いてみたいこと」を相手に質問するのです(8つの内のまだ「Yes」をもらっていない、どの質問でもOKです)。
相手の答えが「Yes」ならば、その相手の名前と共に、その人の「得意なこと」と「求めている情報」を、紙に書いていきます。
答えが「No」ならば、次の人に移っていきます。こうやって、制限時間内に何人の人から「Yes」をもらえるかというゲームです。
これは面白い体験でした。
何よりも、初めて会った人なのに、会話が弾むし、「へー、そんなことが得意なんだ」とか「そんな情報を求めているんだ」といったことが、結構意外だったりして、興味深かったですね。
本書の偏愛マップにも同じような効能があるんだと思います。
その人の持っている「世界」とは、その人が偏って愛しているものの集合体
偏愛マップの書き方は簡単です。とにかく好きなもの、それもハンパじゃなく好きなものを紙に書き出すだけです。この時、できるだけ具体的に書いていく方が話題が盛り上がるようです。
例えば、趣味はと聞かれて、「読書」というと、あまりに一般すぎて話が広がりませんが、「小林多喜二の『蟹工船』が好き」となると、相手も突っ込みやすくなるわけです。
自分はあんまり偏愛と呼べるようなものは無いしって思う人もいるかもしれません。でも、いろんなジャンルがありますよね。
「映画」「ファッション」「食べ物」「アニメ」「旅行」「アート」「音楽」「スポーツ」「演劇」「家具」「ペット」「温泉」「景色」「楽器」「休日の過ごし方」「リラックス方法」
こんな風に考えていくと、誰の中にでも必ずたくさんの“偏愛”がある筈なんです。
個性とは、その人の持っている「世界」のことであり、そしてそれは、その人の好きなもの、偏って愛しているものの集合体だと考えられると斎藤先生は言います。
「偏愛マップ」を見れば、この人はこういう人生を生きてきたのか、こういう世界を作り上げてきたんだな、ということが分かるんです。
お互いの「偏愛マップ」を眺めれば、それが初対面の相手であっても、そこからその人の世界に入っていくことができます。ましてや、同じ人や同じ趣味を愛したりしていると、一気に距離が縮むのは、想像に難くないですよね。
「ハ、ハトがっ」
先生が、あるセミナーで幅広い年齢層の男女に、偏愛マップを使ったコミュニケーションを行ったとき、始まってものの五分もたたないうちに、奇妙な光景に遭遇したそうです。突然四十代の中年男性が二人立ち上がって、ガッチリと固い握手を交わしたのです。この人たちはまったくの初対面。それが、数十年来の親友のように熱く語り合い始めたのです。
いったいどうしたのだろうと、驚いてたずねてみました。
すると、「ハ、ハトがっ」との答えが。
この二人を結びつけたのは、偏愛マップにあった「ハト」の一文字だったのです。
実は、二人とも数十年前の少年時代に伝書鳩を飼っていたのです。ところが、それぞれの職場で、彼らが鳩について口にした事は一度もありませんでした。鳩への偏愛は、二人の胸の中に語られずにしまわれていたのです。
それが、この日書いた「偏愛マップ」の中ではじめて解き放たれたのです。しかも、話し始めてわずか五分で!
五分で伝書鳩の話をはじめるなんて、日常生活の中ではありえないことです。わずかな時間の間に、数十年しまわれていた偏愛、一つの世界が甦ったのです。
私自身の“偏愛”はなにかなあ?
作家は、以前も書きましたが、山本周五郎、山手樹一郎、山口瞳と3人の山ちゃん。この3人は著作に関わらず好きです。
個別には、北村薫さんの「ターン」、宮部みゆきさんの「我らが隣人の犯罪」の中に入っている短編「サボテンの花」、柴田錬三郎さんの「運命峠」と「剣は知っていた」、灰谷健次郎さんの「太陽の子」、沢木耕太郎さんの「深夜特急」・・・・・。
こんなことを書いていたら、昔の本を引っ張り出して来て読みたくなりました。