札幌の夜はチャイナブルーで

今宵の宿は、バーと同じく今年創業90周年を迎える札幌グランドホテル。
赤レンガ道庁のすぐ横という立地です。
チカホという地下通路からダイレクトにアクセスできるので、札幌駅からは一歩も外に出ることなくやって来れる。寒がりな人にピッタリ。

エントランスは伝統的なシティーホテルの構え。

格式的には札幌でもナンバーワンと思います。
札幌を訪れた数々のセレブ達をもてなしてきた。

ホテルのスタッフもそういう自覚を待って働いている気がします。

飾り付けは季節を反映している

もともとローマの農業神の祭りに過ぎなかったクリスマスが、どうして日本の片隅にまで浸透しているのか、ちょっと不思議な気持ちがしていましたが、長く北海道に暮らしてみて、冬至を迎えた北国がどれほどホッとするか、少なくとも同じく高緯度のヨーロッパの人々の気持ちはよく理解できるようになりました。

老舗ホテルのラウンジバーでまったりと過ごすという企画をたてたのはふた月くらい前ですが、どうせ飲むなら部屋も取ろうということになって、後から宿泊予約を追加しました。
与えられた部屋は幸運にも、予約していた本館のツインではなく東館のツインです。
とても広い部屋です。
二回目の利用で、名前を覚えてくださったのか。
でも1度目も、これもコロナ下の宿泊だったせいか、同じくこのタイプの部屋でしたから、よく分からないけどとにかく嬉しい。

1976年竣工の東館815号室。
たぶんスタンダードデラックスツイン。
たしか44㎡あるはず！

ホテルで温泉
広い浴室には洗い場とバスタブがあり、道東の名湯「つるつる温泉」で買った温泉の素を入れ、まったり過ごしました。
これが中々の入浴剤で、温泉から取られたわけではないものの、成分を再現して仄かに硫黄の香りがするアルカリ泉。
「あったまったー！」
と絶叫しながら出てきた妻の顔が、あかねリンゴみたいになってました。
入浴剤は一回あたり百円です。

すぐ近くの大通公園では、先週から始まったホワイトイルミネーション。

今年は色使いも華やかに、グレードアップした気がします。

時間と共に白→ピンク→赤→紫と変化してゆく。

2丁目会場ではミュンヘンクリスマス市が開催され、観光客でごった返します。
このマトリョーシカのお店は、以前からロシアの方（たぶん）がやっていて、今年は若い方でしたので、娘さんかな？
ほとんどの店は日本人がやっているので、このロシア人の店が一番ミュンヘンっぽい。
後日、「本場の」サンタクロースが来て来場者と記念撮影のサービスをやってました。
まあ、楽しければ何でもいいのが日本。

おりしも、スマホがブーブー鳴ってLINEでたくさんの画像が送られてきました。
見るとミュンヘンの写真！
仕事でヨーロッパに行っている友人が、ちょうどドイツにいるらしい。
「タイミング良すぎだな」
と心の中でつぶやきつつ、「こっちもミュンヘンです」とこの画像を送信しました。
なんでも突っ込んでくる友人なのですが、この度はビックリマークのスタンプが帰ってきただけ。
聞けば風邪気味なんだとか。
帰ってきても、しばらく距離を置こう、っと。

ホテルに戻り、予約していた時間にラウンジバーオールドサルーン1934へ。
フリーブルプランというオードブルとドリンクが食べ飲み放題を予約。

奥の落ち着いた席に通されました。
ピアノの生演奏が響いている……。
ピアノの近くの席には、いかにも役職の高そうなスーツの男性をもてなす二人のサラリーマン。
ビールやワインを片手に談笑しています。

左手に、仕事の打ち合わせと思しききれいな二人の女性。
打ち合わせもそこそこにガンガン飲んでます。

まずはビールやワイン、ロングカクテルなどを一杯注文するのがスタイル。
カシスソーダ割りとカンパリグレープフルーツを頼みました。
それを飲みつつ、500種類以上のカクテルなどの飲み物をオリジナルの「カクテルブック」でチョイスしてオーダー。

オードブルは、コースで順次テーブルに運んでくれます。
その後、自由にお替りもできる。
だいたいひとコース頂くと、けっこうお腹いっぱいになります。

まずはオニオンスープで温まります。
若手のスタッフが手慣れた感じで運んでくる。

いいタイミングで運ばれてくる料理は、ワインやカクテルによく合うようセレクトされている感じです。

このフリーブルプランは、いわゆるハッピーアワーで、料金はひとり5000円。
普段外で飲む習慣のない私たちには、ポッキリがありがたい。
自慢ではありませんが、むかし旅先で入った居酒屋でお通しというシステムを知らず、すったもんだしたこともあります。

父は新宿の会社務めのサラリーマンで、戦後の高度経済成長を支えた猛烈社員でしたから、散々こういうもののお世話になっていたのだと思います。
ふと、ぐでんぐでんに酔って追い回された子供時代を思い出しました。

カクテルブック片手にいろいろ悩んだ末、こちらのバーのオリジナルカクテル1934とチャイナブルーを頼みました。
流石に美味しい！

カクテルの味を覚えたのは30年ほど前、タイのチェンマイでした。
オーキッドホテルという、各国の王室をはじめエグゼクティブを迎えてきた老舗ホテルなんですが、時間つぶしでバーにふらりと入り適当にカクテルを注文すると、きれいな女性バーテンダーがかっこよく入れてくれたのが実に旨かった。
以前にスゲーまずいカクテルを飲まされて、こんなものよく飲むなと思っていたのがすっかり認識を新たにした次第です。

つづいてミュージカルシリーズ。
美女と野獣にオペラ座の怪人という怪しげな名前のカクテル。

美女と野獣には小さなバラのような花が一輪差してあり、憎い演出。
飲みやすいです。

オペラ座の怪人は、ほのかな苦みが加えられた大人の味。

昔、ロンドンでこのミュージカルにはまり、連続２回見に行きました。その時購入したミュージックテープは擦り切れるほど聞きました。
シャンデリアのオークションの場面から始まり、突然あの音楽と共にそのシャンデリアが引き上げられミュージカルの幕が開く。
カクテルはあの切ない物語を思い出させます。

シーフードのカレー鍋は、カクテルの小休止。

ローストビーフのサラダ。

アレキサンダー(右)とソリチュードをオーダー。
「ソリチュード、効くねー！」
相方は、ほとんど顔に出ないタイプで、私の方は見るからに飲んだ顔になるタイプ。
この日は、あまり顔に出なかったので、もう一杯行けそうですな。
アレキサンダー、実に飲みやすいカクテルです。

マティーニ、行っちゃいます。
これはかなり辛口でした。

妻は、キールロワイヤルを注文。
京王プラザホテル札幌の朝食バイキングで飲んで以来、すっかり気に入っています。
カクテルブックによると、いっぱいで2000円だとか！
シャンパンが高いからでしょうね。

「ラストオーダーの時間です」
「では、オニオンスープをもう一杯ください」

オニオンスープが来る前に、とけかかったデザートのアイスとホテル自慢のアップルパイを口に運びます。

普段しないことをすると、脳が活性化されるのか、無敵な気分になります。
無敵な気分になったのは、あるこーるのせいかもしれません。

翌朝
昨晩は、よく寝ました。
楽しかったので、ここしばらくのストレスのある生活から解き放たれた感じ。

朝食は4階のガーデンダイニング環楽(わらく)。

庭園があるんですね。

知らなかった。
お勧めです。

1日20食限定のメニュー。
北海道野菜を中心にした料理。
本日、天気快晴