
2019/12/08 - 2019/12/08
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ゆっくさん
その昔、律令国家の時代、埼玉県・東京・神奈川の一部は武蔵国と呼ばれていました。そして、その律令国内で、最も社格の高い第一の鎮守を一宮と称していました。が、一宮は、時代と共に、まれに変化する国もあります。
武蔵国の一宮も、そのまれが起きた国でして、東京都多摩市の「小野神社」だったものが、埼玉県大宮の「氷川神社」も一宮と称されるようになったそうです。しかも、この氷川神社だけでなく、7㎞南東にある、「氷川女體神社」も一宮を称しています。
ということで、埼玉の氷川神社と氷川女體神社、そしてそれらに関連する中山神社、東京の小野神社のご朱印巡りをしました。
※にわかの知識で専門家ではないため、所々勘違いしている個所もあるかと思いますが、間違っていたら、ご指摘いただけたら幸甚です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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まずは大宮の氷川神社からスタート。
氷川神社の最寄り駅は大宮駅ですが、表参道は一つ隣のさいたま新都心駅から始まっています。
東口を出て、目の前の通り(旧中山道)を北上すること5分程度で、大きな鳥居が見えてきます。一の鳥居です。 -
一の鳥居前には小さな広場があり、氷川神社の説明が書かれていました。参道の長さは2㎞程で街中に現存している参道では日本一だとか。参道スタート地点には武蔵国一宮と書かれた石碑も建っています。
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参道というよりは、玉砂利の道でもないですし、心地良い公園というか並木道でして、江戸時代には松、大正時代には杉、そして今はケヤキが主となっているそうです。
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参道によくある土産店や露店等は無く、静かな住宅街を進みます。車道と歩道が分離されている区間もあるため歩行者には優しい道です。この時期は紅葉も綺麗でした。
武蔵一宮氷川神社 寺・神社・教会
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信号を3つほど渡ると二の鳥居が見えてきます。ここまで三分の一程度。境内までは、まだまだです。
ちなみに中山神社までは3㎞程度、氷川女體神社までは更に4㎞程度離れています。この参道も2㎞ですので、一度に巡る際は、レンタサイクルがお勧めです。ちょっとした坂道もあるため、脚力に自信のない方は電動を。 -
二の鳥居です。
二の鳥居は、もともと明治神宮の鳥居だったそうで、落雷後こちらに移設されたそう。木製の鳥居としては関東一だそうです。 -
二の鳥居の前には狛犬が居ます。
向かって右側に座している口の開いた阿形(あぎょう)。正式には、頭に角が生えたものが狛犬で、生えていないものは獅子だそうですので、こちらは獅子になるのかな。 -
向かって左側に座しているのは、角が生えているので狛犬ですね。そして、口を閉じている吽形(うんぎょう)です。
阿吽(あうん)は、宇宙の始まりから終わりを指す仏教用語らしいのですが、仏教の教えが、神社を護っているのが、なんとも日本らしいです。 -
そして、更に進むと三の鳥居があり、ここから境内となります。最寄り駅は大宮駅です。一駅分歩いたことになります。
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境内は広く、摂社・末社もいくつもあります。氷川神社裏手の大宮公園も、明治までは氷川神社の社域だったとのこと。大宮と言う地名も、大いなる宮居に由来しているらしく、氷川神社は宮中の四方拝で遥拝される一社です。さすが武蔵国一宮。
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神橋を渡り、楼門です。朱塗りで、立派ですね。ちなみに、氷川神社のご朱印帳の表紙には、この楼門が書かれています。
楼門に向かって左手前に手水舎があります。 -
楼門を潜ると、まず目に飛び込んでくるのが舞殿(ぶでん)です。祭典の際には、こちらで神楽を奉納したり、節分には豆まきをしたり等するそうです。
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舞殿の奥に拝殿があります。
関東一円の氷川神社の総本社です。御祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)。そして、その妻の稲田姫命(いなだひめのみこと)、その子供の大己貴命(おおなむちのみこと)です。
2400年前の第5代考昭天皇時代に創立されたと言われており、第13代成務天皇の時代に出雲一族が武蔵国造となって氷川神社を奉崇し、第45代聖武天皇の奈良時代に武蔵一宮となったそうです。その後も源氏、足利氏、北条氏、徳川氏といった関東の武将達からも尊崇されてきたとのこと。武蔵一宮氷川神社 寺・神社・教会
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ご朱印は、拝殿向かって右の授与所にて拝受できます。
御祭神の須佐之男命は、八俣大蛇退治で有名ですが、一説にはこの話は出雲の斐伊川(ひいがわ)の治水のことを指しているらしいです。この神社の周りの低地は、かつて沼地だったらしく、出雲一族が、この地を開拓するにあたり、斐伊川にちなみ氷川として、須佐之男命を祀るのは合点がゆきますね。沼地は江戸時代の開墾によってなくなりましたが、今でも見沼と言う地名として残っています。この氷川神社のある場所も、突き出た高台を指す高鼻という地名です。
※諸説あります。 -
氷川神社には摂社が3社あります。
特に重要なのが、授与所隣の東門をくぐった先にある門客人神社らしいです。御祭神は須佐之男命の奥様である稲田姫命の両親の足摩乳命(あしなづちのみこと)と手摩乳命(てなづちのみこと)です。
実は、この神社は、江戸時代までは荒脛巾(あらはばき)神社と呼ばれていたらしく、あらはばき神とは、出雲一族が来る前から信仰されていた地主神だそうです。須佐之男命を主祭神にするにあたり、元々居られた神様は、お客様として主客転倒し、門客人として祀られることとなったそうです。
※諸説あります。 -
その隣に、末社の御嶽神社があります。御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)。
大己貴命は、須佐之男命と稲田姫命の子供(子孫)にあたります。大己貴命は国造りの神様ですが、その相棒が少彦名命となります。少彦名命は海からやってきて、様々な知識を教えながら国造りを支えます。
三の鳥居から入って右側に、少彦名命のみを御祭神として祀った摂社の天津神社があります。天津とは天の国を指し、天照大神を主宰神とする国を指します。つまり少彦名命は天の国の神様になりますね。一方、人間が住む国を国津といい、主祭神は大己貴命となります。ゆえに大己貴命は国造りの神様となるわけですね。
少彦名命は、海から知識を携えてやってきたので、海から宝をもってきた恵比寿様と同一神として扱われることも多いとか。
※諸説あります。 -
そして、3つ目の摂社が神池に建っている宗像神社となります。御祭神は、多起理比売命(たぎりひめのみこと)と市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)と田寸津比売命(たぎつひめのみこと)の、いわゆる宗像三女神です。
宗像三女神は、須佐之男命と天照大神との誓約によって産まれた神様で、道しるべの神様です。福岡県にある世界遺産の宗像大社で航海の神様として有名ですね。
また、この神様は、大己貴命の奥様でもあり、弁財天とも同一視されています。
※諸説あります。 -
ということで、氷川神社を参拝しご朱印も拝受しました。神社の歴史を学ぶことは、その土地の歴史を学ぶことでもあるんですね。
次いで、4㎞程南東にある、中川神社に移動します。 -
途中、住宅街にぽつんと中川神社の一の鳥居がありました。気を付けないと、見落とすかもです。ここから真っすぐ中川神社まで参道が続いていますが、途中非常に大きな道路を渡らなければなりません。
自転車でない場合は、この中川神社は駅から遠いため、大宮駅東口から国際興業バス「中川循環」で、最寄りバス停はその名も「中山神社」となります。 -
神社境内前の一の鳥居です。
中川神社の創建は今から2,000年前の第10代崇神天皇時代。先ほどの大宮の氷川神社と、これから向かう氷川女體神社のちょうど中間に位置することから中氷川神社と称され、この神社の主祭である鎮火祭により氷が溶け中川神社になったとか。なんともロマンチックですね。なので、この地の地名は中川。そして明治時代に近隣神社との合祀により中山神社と名前を変えたそうです。 -
鳥居の扁額はよく見ると「氷川神社」と掲げられていました。謂われを知らないと、あれって思いますね。
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拝殿です。
主祭神は、大己貴命(おおなむちのみこと)です。先ほどの大宮の氷川神社の主祭神である須佐之男命(すさのおのみこと)の子供(子孫)となります。ちなみ、これから行く氷川女體神社の主祭神は、お母さんの稲田姫命(いなだひめのみこと)ですので、両親に挟まれて鎮座していることとなります。中山神社 寺・神社・教会
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拝殿の前に鎮火祭のための御火塚があります。12月8日に祭があり、この炭の上を歩くと無病息災になるとのこと。
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拝殿をぐるっと一周できます。本殿も見ることができました。
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また、拝殿・本殿の裏には旧社殿が保存されています。桃山時代の様式で、「見世棚造り」から「流造り」への過渡期の遺構で市内で最も古い建物だそうです。市の文化財にも指定されているそうです。
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と言うことで、御朱印を拝受いたしました。ご朱印には二種類あり、「中山神社」と記載されたものと、そして、写真にように氷川の神様の子供を表す「氷川簸王子神社」というものです。
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一の鳥居の横には、大宮の氷川神社と同様に、地主神を祀った荒脛(あらはばき)神社があります。ここでは門客人ではなく、ちゃんと荒脛ですね。この荒脛神社によって、大宮の氷川神社と繋がっているとのことです。
それでは、お母さんの氷川女體神社に向かいます。 -
行き方は説明が難しいのですが、途中、アップダウンがある中、こういった場所も通ります。さいたま新都心が遠くに見える中、突如、田園地帯が広がっていました。見沼の名残で、ブラタモリ的な地図で確認しても、明らかに、ここら一帯は低地になっていることがわかりました。富士山も見えて、サイクリングにはうってつけの場所でした。
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そして途中、中山神社と同様に、突如、住宅街の中に、鳥居がありました。この道を進んでいくと、確かに神社には辿り着きますが、両脇の住宅すれすれで、一の鳥居と呼んでいいのかしら。
中山神社から4㎞程ですが、自転車でない場合は、東浦和駅から国際興業バス「さいたま東営業所行き」に乗り、朝日坂上バス停が最寄りとなります。 -
さきほどの鳥居から道沿いに進むと氷川女體神社に到着。氷川女體神社の境内前は急な石段となっており、明らかに高台に神社が座していることがわかります。
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石段前の説明版にも、この辺り一帯は依然は沼地で、江戸時代になって田んぼに干拓されたと書かれていました。沼地の頃は、この見沼に住む竜神を祀った「御船祭」が、氷川女體神社で執り行われてたとのことです。干拓により沼地がなくなると、「磐船祭」と名を変えたものの明治時代にはなくなり、数年前から再度「祇園磐船龍神祭」として復活しているそうです。見沼は、もともと神様が住んでいる「御沼」だったんですね。
石段手前の見沼川公園には、その祭祀の遺跡があります。 -
石段を登ると拝殿がお目見えします。
創建は今から2,000年前の第10代崇神天皇の時代。その後、大宮氷川神社対し、女体社として、妻の奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)を主祭神として祀ったとのことです。
大宮氷川神社では、稲田姫命(いなだひめのみこと)でしたが、こちらでは奇稲田姫命となっていました。いずれにしても同一神です。氷川女體神社 寺・神社・教会
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社殿の扁額には、「武蔵国一宮」と書かれています。社殿は三間社流造の薄い朱色の屋根なので、どこかしら柔らかい女性的なイメージを持ちました。
ここのお守りで特徴的なのが巫女人形で、願い事が叶ったら着物を着せて奉納するとのこと。多数の巫女人形が奉納されていました。 -
拝殿に向かって左側には竜神社があります。見沼を中心としたさいたま各地に龍伝説もあり、古来より竜神を祀っていたそうです。
ということは、地主神が竜神で、出雲一族の武蔵国造に伴い、氷川神社となったと思って良いのでしょうか。 -
拝殿に向かって右側には社務所があり、その手前に御神木があります。この御神木にはこぶがあるのですが、それが「熊」の顔に見えるとのことで、パワースポットとなっているそうです。見れば見るほど確かに見えました。
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ということで、ご朱印を拝受しました。
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大宮氷川神社、中山神社、氷川女體神社が、一直線に並んでいることから、レイラインになっているとか、オリオン座の3つ星を表すとか、いろいろな説があるそうです。いずれにしても3社は関連しており、中山神社から見ると、夏至の太陽が沈む方向に大宮氷川神社、冬至の太陽が昇る方向に氷川女體神社があるそうです。
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そして、別日ですが、上記3社とは関係ないのですが、もう一つの武蔵国一宮である東京都多摩市にある小野神社にも参拝してきましたので、合わせて報告します。
小野神社は、武蔵国総社の大國魂神社において武蔵国一宮とされています。ちなみに、氷川神社は三宮となっています。最寄り駅は、京王線聖蹟桜ヶ丘です。社号標には武蔵一ノ宮と書かれています。住所は、ずばり多摩市一ノ宮です。 -
創建は2500年前の第3代安寧天皇時代。御祭神は、天下春命(あめのしたはるのみこと)と、水の神様である瀬織津姫(せおりつひめ)です。
天下春命は天孫降臨の32神の1神で武蔵国開拓の祖神らしく、瀬織津姫は水の神様です。神社の傍には、多摩川が流れていますので、水の神と、この土地を開拓した神様が、護ってくれているということですね。
小野神社の小野は、この地が昔は小野郷と呼ばれていたことに由来するとか。小野神社 寺・神社・教会
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ちなみに、境内に入る際に通る随神門の彫刻が素晴らしく、たくさんの龍やら獅子?やらがおり、風神雷神様もいました。説明文は無かったのですが、非常に見事でした。風雨にさらしても良いのかしら。
また狛犬が随神門前にも拝殿前に鎮座しており、合計4体もいらっしゃったので、珍しいなと思いました。 -
ということで、拝殿左手前にある社務所にて、ご朱印を拝受しました。
以上、武蔵国の一宮として、埼玉の氷川神社・氷川女體神社(と関連する中山神社)、そして東京の小野神社のご朱印巡りをしました。
お疲れさまでした。ありがとうございました。
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