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    【創の独り言】桔梗ボトル

    2023/ 09/ 25
                     
     よく思い出せない、何をしたかったのか思い出せない。僕にしたら2日前の出来事だったかな、昨日は表に来てない。

     思い出せないな、あの子が寝るからって起こしてくれたけど、僕は裏であの子と遊んでた。其れ迄の隙間が空いてて、今の僕は何時の僕なのやら。ズレてて、困ってしまうね。ああ、でも確かに今日は其の子を描こうかな。こう言う漠然な不安に家族の顔を心から浮かべて描き出すと、安心する。

     何も思い出せない様な気分だと不安になるんだ。何もしてなかった筈は無いのにまるで、空白が襲って来る程不気味で仕方が無い不安を覚える、其れは優しくない。何が思い出せるか…前回、2日前位の深夜には縫い物と少しゲームをしてた気がするけどどうだろう?一緒の日に遣ったか思い出せない。昨日は有るのに無い。


     でもきっとロシンは僕が怯える事を喜ばない。形しかない空白より色の有る形に眼を向けよう、其れでも怖いのは申し訳無いけれどね。新しい形を。
     欲を言えば僕も毎日起きたい、月日の位置がズレないし感覚の違いが大きくならないから、起きた時こんな不安に襲われたりは余りしない。でも多分アタ君が昨日不機嫌だった様だし何か駄目だったんだろうね、仕方無い。分かる様で分からないけれど、もう休んでるから訊く事はしないな。

     何も無いなら桔梗で埋めてしまえば良いよ、色が変な桔梗。八重咲の様な桔梗。家族の桔梗。空っぽの瓶を見たなら、花が似合う。恐怖への手向けに決して穢れる事の無い花を、其の花に恐怖が滅されん事を祈ろう。不完全な毎日と此の世で不完成にしか過ごせない、其れへの報いに綺麗な桔梗を描こう。そしたら、何も怖くない。


     でも其の前にアタ君を起こして上げよう、最近漸く日記を書く事を再開したみたいだし薬が増えたから早くに飲まないと眠気が長引くらしい、君が隣に居て欲しいけれど、今日は窓から吹く風に体を添わせたい気分なんだろうね、曇天の風はさぞ気持ち良いだろうね、冷たくて冷たくて。そんな君だって描いて良い、一体君が何の衣裳を気に入るのか、何着と僕は提案的に描いたが未だ決まらない、おしゃれな君に僕は頑張って付いて行くよ、だから筆を持って居る、なんてね。あはは。其れだけだったらどんな筆でも良い。


     誤りの耳鳴りが早く鳴り止むと良いね、其の日には器が死んで居るのだろうが。
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