「自由貿易」と言う名の「貿易の強制」
自由貿易の功罪がよく論じられます。よく言われる「功」の部分に胡散臭さを感じるのは私だけではないでしょう。
自由貿易のメリットは、「国際取引の拡大により、各国の生産効率が向上し、世界全体の経済成長を促進すること」などと言われています。
経済産業省のプロパガンダ?
「保護貿易によるブロック経済が第2次世界大戦の大きな原因の一つ・・・だから戦争防止のためにも『自由貿易』は必要」などとも言われています。中学・高校での社会科の授業などでもそう教えているそうです。(一理はあるにしても、こんな「メリット」を教え込んでいいものでしょうか??)
自由貿易と保護貿易のステレオタイプの説明。
自由貿易が公平だとしても公正か?
1947年にGATT[関税及び貿易に関する一般協定]が設立され、WTO [世界貿易機関]に発展して経済のグローバル化が押し進められました。さらに21世紀にはFTA[自由貿易協定]やらEPA[経済連携協定]、TPP[環太平洋パートナーシップ協定]等よく分からない胡散臭い2国間、多国間の協定が次々に出来て、一層の自由貿易が押し進めらてきました(ゴリ押し?)。
これらの機関、協定の設立趣旨は建前だけのものであり、実際のところは一部の人々による「金儲け」が目的でしょう。大航海時代の搾取の構造と大して変わりないんじゃないでしょうか?最初に示した「自由貿易のメリット」も推進の為のプロパガンダに他ならないでしょう。
個人的には「自由貿易」といえばいい印象はほとんど無く、環境と地域社会の破壊に思えます。「自由貿易」の「自由」は、「身勝手な自由」であり「貿易の強制」と言った方が実情を反映しているのではないでしょうか?自由貿易で儲けることが主たる目的でしょう。
「自由貿易」の名の下にエネルギー(特に石油)を大量に使って遠くの国から物資を運び込むのは、エネルギー資源の浪費であり環境汚染です。地球の反対側から大量に物資を運び込むなんて浪費がこの先ずっと続けられるとは思えません。
「より安い」の一点で、他国から大量に食糧その他を輸入して、自国の農業を破壊した代償は計り知れないでしょう。そしてそれは農業だけに留まりません。
独立国家は、貿易をするしないの自由、関税をかける自由があるはずです。
槌田敦氏はその著書『新石油文明論』(第5章)で「現代の砂漠化の犯人は自由貿易」と述べていますがそれもさもありなんです。そのうち記事にしようかと考えています。
アメリカの大統領に返り咲いたトランプは、海外諸国からの輸入関税を大幅に増やして保護貿易を拡大すると言って他国から警戒されています。それによって中国はじめ、日本を含む多くの国に経済的打撃があると言われていますが、それは悪いこととは言い切れないでしょう。ただ、アメリカもダブルスタンダードではなく、自国と同様に他国も関税をかける事を認めるべきです。世界の貿易が縮小することは淋しいことかも知れませんが、淋しいだけのレベルです。長い目で見れば社会にとっても環境にとってもいいことです。保護貿易くらいで戦争を始めようとする強欲な連中こそ異常なサイコパスでしょう。このままでは自由貿易も世界の破局の大きな要因となることでしょう。
ただ、現実的にはここまでグローバル化してしまった世界が貿易を縮小することは非常に困難である事も確かです。
ルネッサンス時代の木版世界地図
21世紀に文明が崩壊するのを止めるには1つ1つの要因がそれぞれ非常に困難です。そしてそんな要因がたくさんあるのです。21世紀はまさに綱渡の世紀です。
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