2019年01月20日
朝生への提案、真に平成を総括する出演者を揃えるべきだ
(朝まで生テレビ・元旦スペシャルから引用)
大晦日の夜に自分のタイムラインで朝生の話題が流れてきたので久しぶりに番組名を目にした。中学生の頃は良く見ていた番組であり、当時は朝までエキサイトしながら楽しめたものだ。
今回の演題は「激論! 平成の総括と“新時代”」ということだったらしいが、面子を見て脳内に?しか浮かばなかった。以下のメンバーを見てほしい。
司会
田原 総一朗
パネリスト
齋藤健(自民党・衆議院議員、前農林水産大臣)
長妻昭(立憲民主党・衆議院議員、党政務調査会長)
福島みずほ(社民党・参議院議員、党副党首)
猪瀬直樹(作家、元東京都知事)
落合陽一(ピクシーダストテクノロジーズCEO、筑波大学学長補佐・准教授)
金子勝(立教大学大学院特任教授、慶応大学名誉教授)
瀬口清之(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、元日銀北京事務所長)
中林美恵子(早稲田大学教授、元米連邦議会上院予算委員会補佐官)
古市憲寿(作家、社会学者)
三浦瑠麗(国際政治学者、東京大学政策ビジョン研究センター講師)
藻谷浩介(日本総研主席研究員、地域エコノミスト)
森本敏(拓殖大学総長、元防衛大臣)
個々に見れば立派な方もいるものの、正直言って意味不明な人選である。平成の総括と銘打っているわけだが、総理経験者でも幹事長経験者でもない。平成の政局を作った人物が一人も入っていない。新時代を担う若手の方とされる方も他に幾らでも経営者・有識者として揃えるに足る面子がいるはずだが、電波芸人化している若手評論家を並べただけでチョイスに納得性の欠片もない。
仮に筆者が「平成の総括と新時代」と題して面子を集めるならば下記の通りだ。
小沢一郎
小泉純一郎
森喜朗
古賀誠
鳩山由紀夫
橋下徹
竹中平蔵
亀井静香
村上世影
白川方明
野口悠紀雄
大前研一
もちろん大物ばかりなので呼んだところで番組に出てこない方も多いだろう。既に鬼籍に入った総理経験者・幹事長経験者も多いので人選も難しい。
しかし、最初から軽量級でまとめた番組など見ても面白くない上に歴史的な価値も一切ないことは確かだ。むしろ、国内人材以外に話を聞くべき米国要人らもゴロゴロしている。大手テレビ局は普段から散々儲けているのだから会社としての社会的責任としてそのぐらいのことをやるべきだ。
現状のような貧弱な人選・コンテンツでは存在価値はないので、田原氏と歴代首相のタイマン勝負版の編成内容でもう一度番組をやり直したら良い。ネットではやれない内容だからこそ価値がある。それができないなら平成のテレビメディアがオワコンであることを証明した番組として歴史的に語り継がれることになるだろう。
2019年01月16日
日本政府は韓国の防衛産業弱体化という報復措置を徹底すべきだ
(金正恩からの書簡を読むトランプ大統領、AP)
韓国が火器管制レーダーを日本の哨戒機に発したことに逆切れし、日本の対応に逆に謝罪を要求してくるというトンデモぶり、の背景には何があるのか。最近の韓国政府や韓国海軍の日本に対する一連の横暴な振る舞いは朝鮮半島情勢の変化から生じていると考えることが妥当だろう。韓国人の民族的メンタリティーなどの矮小な問題に物事を帰結するのではなく、現在の東アジア空間がどのような状況にあるのかを冷静に分析し、その上で日本政府は断固たる対応を実施すべきだ。
韓国が日本に横暴な振る舞いを行うことができる環境は、米朝首脳会談による米国と北朝鮮の対話ムードによって形成されている。つまり、米国による北朝鮮への軍事力行使という選択肢が排除された状態において、韓国にとって日本との連携を重視する必要性が落ちていると思うべきだ。韓国にとっては米朝衝突の可能性が極めて低いと判断するなら、日本との友好関係の構築は政治的にはデメリットしかない。
また、米国が北朝鮮に直接関与することによって、地理環境的に対北朝鮮政策でイニシアティブを取れるはずの韓国も米国に配慮して行動せざるを得なくなっている。したがって、文政権にとっては厳しい経済情勢の中で対外政策で支持率を繋ぎ取るための方法が限定された状況となっている。韓国にとっては、本来は米国は中国に対面し、韓国は北朝鮮に対面するという構図が理想であろうが、トランプ大統領が習近平と金正恩の両者と直接話す以上、外交上の格の観点からどうしても韓国の小物感が否めない状況となる。
このような状況の中で、日本は北朝鮮外交から実質的に外された存在となっており、韓国にとっては何も配慮することなく挑発することができる相手ということになる。日本をどれほど侮辱したところ、日本は遺憾の意を示すだけの存在であり、北朝鮮情勢に対して何ら影響を及ぼす手立てがないのでやりたい放題できるからだ。たとえ日韓関係がそれらの影響で悪化したとしても、日本はトランプ政権に追随するだけで米国の北朝鮮外交を阻害しないために、日韓関係を決定的に破壊するような制裁行為に踏み出さないと思われていることだろう。
日本が日本側の主張の正しさを国際的に示すことは重要であるが、外交・安全保障環境に影響を及ぼすことができない国家の力は知れたものでしかない。
さて、このような状況下において日本政府はどのように対応するべきであろうか。国際的に自らの正当性を主張することは当然のこととして、更に韓国海軍の継戦能力を削ぐための経済制裁などを実施していくことが肝要だ。仮に米国が北朝鮮を本当に懐柔できるならば、韓国軍の矛先は将来的には日本側に向く可能性が高い。現在は日本と韓国は準同盟国であるが、それは北朝鮮という共通の敵国が存在していたからであり、今後向き合うことになる相手が中国とロシアとなった場合に韓国がどちらにつくかは予断を許さない。
したがって、日本側はこの機に乗じて韓国海軍関連企業に対する徹底した制裁を加えておくことが重要である。日本側は既に遅きに失したとは言えども、昨年11月に韓国海軍の基盤となる大宇造船海洋への公的資金投入についてWTOでの二国間協議を申し出ている。本来、2015年の公的資金投入直後に実施すべきものではあるが、隣国に対して腰抜け姿勢の日本政府が今更でも動いただけマシと言えよう。
今後、韓国の防衛産業基盤を徹底的に弱体化させることによって、日本に対する牙を削ぎ落すことを徹底していくべきだ。具体的には、「我が国防衛産業の輸出能力を高める」「我が国のODA援助国に韓国製兵器の採用を見直させる」ことによって韓国の防衛産業育成政策の根幹である防衛産業輸出(既に事故が発生しているが)を阻止するとともに、「韓国の軍事関連企業などの日本国内での商業行為を制限または禁止する」「韓国政府の産業政策を通じた公的資金投入などをWTOに積極的に訴えること」を実施すべきだ。
軍隊は基本的に国内企業の製品を買うことになるため、韓国防衛企業の競争力が低下することは日本の外交・安全保障戦略上の優位に直結する。むろん相手側も様々な制裁措置で日本に反撃してくるであろうが、日本側は韓国製品以外の代替製品を使うことで若干のコストが上がることを甘受すべきだろう。日本の国内市場の大きさは韓国に対して圧倒的優位であり、それらを最大限活用した対応を行うべきだ。米国が中国・北朝鮮と直接対応している以上、日本も韓国と多少揉めることになっても問題ないと割り切るべきだ。
また、北朝鮮情勢にほぼ関与できていない状況についても早急に是正し、こちらは敵基地攻撃能力を始めとした軍事力整備を徹底することが望まれる。いきなり敵基地攻撃能力を持つことが難しいというのであればサイバー攻撃能力を高めることに集中的に予算投下するべきだ。自衛隊は北朝鮮のサイバー部隊に伍するだけの能力を構築することが急務だ。高度化した産業インフラを防衛するとともに、万が一の場合の北朝鮮の日本への攻撃能力を破壊する能力構築を持つことは、国民に対する日本政府の国防上の基本的な義務である。自分を攻撃できる能力がない国の話を真剣に聞く国など存在しない、北朝鮮が拉致被害者を返さないのは日本政府が無能だからである。
最後に日本の国会議員らは昨年末に韓国に表敬訪問したらしいがそれらの行為は全く的外れなものだ。日本の税金で雇われた国会議員は隣国のためではなく日本のために働くべきである。善隣外交とは制裁力という具体的な力を持った上で行うことが大事であり、国際社会とはシビアな競争社会であることを真面目に考えて実践するべきだ。自らを挑発する国にヘラヘラと社交に出かけることは外交ではない。
他国に対する威嚇的な軍事力を維持するためには、国内防衛産業基盤と潤沢な防衛予算が必要である。将来を見据えて韓国から予めそれらを奪っておくことは非常に有益なことである。
2019年01月11日
トランプ大統領に影響力を強めるリバタリアンのランド・ポール上院議員
ランド・ポール連邦上院議員がトランプ大統領のシリア・アフガニスタンからの撤退を支持しており、昨年末から同大統領への影響力が上がったと報道されている。率直に言って、筆者はリバタリアン的傾向が強いランド・ポール議員に強いシンパシーがあるため、それらの報道内容については些か懐疑的ではあるものの、この動きを非常に興味深くみている。
ランド・ポール議員は対外的な米国の介入主義に強く反対する人物であり、内政面においてもオバマケアへの徹底的な反対姿勢で知られている。そのため、同氏の政治姿勢に反対する暴漢に襲われるなど度々危険に晒されることもあり、それでも自らの政治信条を変更しない硬骨の士である。同上院議員は米国においては数少ない親ロシア派の議員とみなされているが、それもロシアに対するシンパシーというよりは対外的な介入主義から撤退するにはロシアとの協調と応分負担が必要という考えから来ているとみなすべきだ。。
トランプ大統領はそのランド・ポール上院議員と最近になって頻繁に連絡を取り合うようになり、自らの外交・安全保障政策について助言を得ているようだ。トランプ大統領がランド・ポール上院議員と頻繁に連絡を取るのは、2017年にオバマケアの見直しで同上院議員が徹底抗戦していた際に直接説得を試みた時以来ではなかろうか。
筆者の見立てでは、トランプ大統領のシリア・アフガニスタンからの撤退決断はリバタリアン的な意思の発露によるものではないと思う。たしかに、同地域における米軍駐留は多額の経費を要する全く間尺に合わないものであるため、撤退決断にコストカットの視点はあることは確かだろう。しかし、同大統領の場合はイデオロギーというよりも実利、そして対中交渉へのリソースのシフトという意志の方が強いように見える。同大統領の政治決断を対外関与からの撤退と考えることは早計であり、理念的なリバタリアンであるランド・ポール上院議員との関係も中東方面における部分的な協調とみなすべきだ。
米国の世論調査上もシリア・アフガニスタンに米軍を駐留し続けることについて、中東にこだわりがある一部の保守派を除いて必ずしも支持を受けているわけではない。ただし、トランプ大統領は自らの支持基盤の中核を占める保守派の人々からの批判を弱める防波堤を必要としている。トランプ大統領とランド・ポール上院議員の接近もトランプ大統領による方向転換のための支持基盤の組み直しの一環に向けた現象だろう。