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荻野庵

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オタク斑目と傭兵ピエール(漫画)

注 これはとてもとても真面目な論考です。(ホントだよ) 途中まで作成して放置していたのですが、中途半端は気分が悪いので何とか完成。ダラダラ長いレビューなので冗長に思われる方はスルーしてください。
いつぞや正統派の中の正統派、王道中の王道たる咲×斑をイメージしてみました・・・。
そして・・・見えた・・・見えたぞ!!
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斑目が咲にデンプシーロールくらってリング外に吹き飛ばされている姿が!!
こっこれは・・・一体何故?!  私はその疑問に自ら答える事ができず、まっいいや!!という軽いノリでしばらく放置しておりました。
ところがある日ふと本屋で目にとまった漫画が急に気になりました。その漫画のラストシーンを立ち読みでみかけて以来、何故か気になっていたのですが、その時急に斑目の顔が浮んだのです!!
その漫画こそ「傭兵ピエール」でした。
斑目と何の関係があるのかと皆さんも思いでしょう。
この漫画は中世史の本職の先生であった佐藤賢一氏の原作に基づき描かれています。
この原作はなんと宝塚の劇にもなっているのですが、原作の内容はややエログロな描写も多いので宝塚用にロマンチックに改編されているのでしょう。観てないのでその辺は分かりませんが、原作ファンを失望させるような改悪はなされていない事でしょう。
この漫画でも原作の改悪という事態は避けられました。漫画家の野口賢氏も気になる漫画家でした。よく原作と漫画家の相性が悪く改悪されるケースがありますが、むしろ二人の場合はこれ以上は無いと言っていいほど絶妙なコラポレーションが生まれたと思います。
この漫画によって私は先の疑問が氷解したのです。
曇った空から一筋の光明が差し込み、蒼い空を垣間見たようなスカッと爽やかな気分になりました!! いや、よかった、よかった。

そんなわけでここでは傭兵ピエールという作品を通して、何故、斑目が咲にデンプシーロールを食らわねばならないのか!!を真面目に論考していこうと思います。

以下はかなりの数の漫画の画像とネタバレが書かれているのでご注意ください。
なおこの記事に問題があり、通報および抗議を受けた場合には平身低頭、ヘコヘコ謝って速攻で、何のポリシーも無く削除いたします。

また、勢いでやってみましたが実に不毛で疲れるだけですのでこのような大量の画像うpは今後しない所存です。

物語の時と場所は中世のフランス、ジャンヌダルクの時代です。映画では怪電波中継基地扱いされ、安彦良和氏には聖女扱いを受けたジャンヌですが、この物語は一傭兵隊長の目を通したジャンヌとして描かれています。
はじめに断っておきますが、この物語は男の欲望というか男の願望として描かれた話ですので、そうした価値観や視点については特にご指摘ありませぬよう。
傭兵隊長の名はピエール。この時代の傭兵は戦争の合間に略奪を平然とする悪質な集団でした。彼もまたそうした悪党の一人でした。
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そんな彼が一人の少女と奇妙な「約束」をする事になります。
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不思議な出会いは彼の心境を少しだけ変えたようでした。彼はただの傭兵というわけではなく、貴族の私生児(バスタード)として生まれた身の上でした。幼い時に戦場で庇護者とはぐれて、傭兵部隊に拾われて以来、傭兵に身を持ち崩した境遇でした。
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拾って保護した傭兵隊長もピエールの身の上が貴族だからこそ、その損得から彼を拾ったのでしょう。正式な結婚で生まれてこなかった私生児は当時としては財産を相続する権利も無く、武門で身を立てるしかなかったので、双方損得の間柄だったのでしょうが、彼は長じるとあっさりその傭兵隊長を殺してしまいます。
その傭兵隊長もいっぱしの悪党でしたが、傭兵隊長殺しはその世界でも忌み嫌われる行為で、それを平然とやってのけたピエールもまたそれで悪名を馳せました。
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そんな彼ですが、養母の教えの影響か妙に女に優しいのです。彼は偶然同郷の娼婦と床を共にします。お互いうらぶれた身です。ささやかな偶然の出会いにお互い身を寄せ、淡い故郷の匂いを感じ合います。
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一方、再会した少女は手の届かない「聖女」「救世主」として自分の前に現れます。
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「聖女」が不道徳な娼婦を追い出した為に、同郷の女は別の町に移り住もうとします。そんな彼女にピエールは有り金を全部くれてやります。自分の事は差し置いてまっとうに暮らせと諭して。ここら辺はエンコーして説教する輩のようで、身勝手と受け取る場面かもしれませんが、ピエールの小粋で子憎たらしい厚意にはあまりそうした嫌味が感じられません。
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どんなに強かに小賢しく生きているつもりでも、誹謗中傷、嫉妬とねたみ渦巻く世の中では人は中々要領よくなど生きれません。そうした事をお互い分かっている身であるからこそ、、女にはピエールのいう事が上っ面でないと信じられるのでしょう。
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そんなピエールの優しさは仲間に対してもです。何が彼を仲間を本物の家族のように思わせるのでしょうか。疫病で身寄りを亡くした浮浪少年に対しても何故か知らん振りできません。仲間のトマは商人の出で損得に合わない事は納得できません。男伊達でピエールと同じく貴族の私生児で弟分のジャンにいたっては無関心です。
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仲間や女性に対する甘さがトマには理解できません。ピエールの冷酷な面を知る彼にはなおさら理解し難い存在でした。
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彼の真骨頂は戦場にありました。彼は戦神です。彼の存在意義は闘うためにあるようなものです。コミケで神を見る斑目のようにw
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しかし彼はただの野獣ではいられなくなってきたようです。そうした変化を彼にもたらしたのはジャンヌでした。

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拾った浮浪少年だったオリヴィエの死にも平然ではいられません。
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ピエールの変化は周囲の関係にも変化を与えました。身の回りの世話をさせるためだけにさらってきた女たち中心に傭兵部隊は変わりつつありました。着実に何かが変わっているようでした。何となく咲や大野さんが入ってきて変わってきた斑目やサークルのようでもありますw
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戦況も王の戴冠式を経て着実に変わりつつありました。
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一応、貴族の端くれであるピエールも戴冠式の末席に連なりました。冷淡なリアリストのピエールさえも何か変わった事を感じて涙しています。不幸な時代は終わりました。誰もが幸せになっていいのだと・・・。
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しかし戴冠式を境に、ジャンヌから神々しさが消えてしまった事にピエールは気付きました。「神の使命」を果たし終わった「救世主」はただの人になっていました。
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それでも「救世主」は「救世主」です。彼は自らを卑下します。このシーンはリアルな描写は無いのですが一応モザイクをかけさせていただきます。
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ヴィヴェット!! この黒髪に深く大きい黒目の少女は好みですね。読んでいくうちにヴィヴェットに目がいく自分に気付きます。この「身の回りの世話」にあてがわれただけの女がピエールに救いを与えます。
彼はジャンヌによって変わった自分を受け入れる女と共に神の秘蹟を受け、身の丈にあった生き方をしようと決めます。
ああ、斑目にはそんな人は出てきませんでしたが('A`) 色々なカップリングは二次創作ではありましたけどねw
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ヴィヴェットもまたささやかな幸せを見いだします。
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ここにいたってヴィヴェットに感情移入してしまいます。むしろジャンヌよりも魅力的に感じます。
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このシーンにいたっては呆然として魅入ってしまいます。故郷の広がる一面の向日葵畑。それを何時間でも飽きることなくいつまでも見つめ続ける少女!!
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ヴィヴェットは自分の太陽を見つけた事に気付くのです。
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しかし市場で荒れるジャンヌを気にかけるピエールにヴィヴェットは心を暗くします。そういう負の感情に囚われている自分がなお一層惨めであるかのようです。
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家事しか知らない自分。想い人の心を占めるのは国を救う救世主様。ピエールはこの時においても女の世界から追い出されたジャンヌを哀れみます。しかし気付いてあげるべきだったのです。靴下の穴の話題でしか想い人との絆を見いだせないヴィヴィットのやるせない不安な気持ちを!! 切なさを!! ヴィヴィットに対して必要以上な思い入れをしてしまっています。
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ピエールに対するささやかな尊厳。うう・・・ヴィヴェットォォォォォ。
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このアイタタさ・・・まっ斑目ェェェェェェェェェェェと言いたくなるシーン。
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ヴィヴェットに悲劇が訪れます。ピエールに恨みを持つ者の仕業でした。ここにきて読むのがつらくなります。他の漫画でも残忍なシーンはありますし、特に描写的に残酷とは言いませんが、ヴィヴェットの惨劇は私にはきつくてお見せできません。
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全てを悟ったピエールは闇に消え聖なる復讐を冷淡で無駄の無い行動で遂行します。
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幸薄かったヴィヴェットの魂が御国に至らん事を。個人的にはジャンヌよりヴィヴェットとの物語に心動かされます。
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戦争は冬の季節を迎えて終わりを告げました。しかしピエールの横をすり抜けるように、おぼろげな面影をヴィヴェットは残していきました。永遠の悔恨と共に。この辺、ちょっと泣けてきます。
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ピエールはジャンヌの為に軍の残留を求められて、初めて自分の気持ちに気付きます。
同時にその為に仲間を失う事になった事にも。そしてヴィヴェットも・・・・。

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彼はジャンヌの下を去ります。
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戦況は確実に変わりました。すでに傭兵の時代は終わろうとしていました。皮肉な事にジャンヌの登場が軍隊の近代化を促進したのでした。特にピエールとジャンはなまじ生まれが尊い為に軍人以外の生活ができない身となっていました。ピエールたちはさらった女の「婿殿」の意見で襲撃した村に戻ったのでした。女は強し。無理やりさらわれたのに適応して逆に「婿殿」を連れて村に戻ったのです。
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しかし村では別の傭兵たちの脅しにあってました。「婿殿」たちの願いもあって、ピエールは以前自分たちで襲撃した村の護衛を引き受けます。その晩、水汲みをする女の子を見かけます。
野口賢氏は戦闘シーンもさることながら、けなげな女の子を描くのも得意なようです。
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この時代(いや今もか)、子供さえも過酷で容赦の無い世界で生きていかなければなりません。ぼんやりしてれば蹴飛ばされるのが当たり前の時代です。自分の持分はたとえ何であろうと果たさなければなりません。どんなに水が重くて手に食い込もうとも、痛かろうがそれが彼女の受け持ちの仕事です。
それなのに何でピエールはこれほど優しくなれるのか。ピエールの親切に戸惑う少女の表情に目が奪われます。闇にさす一筋の光です。ヴィヴェットの愛した男はまぎれもなく太陽でした。
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小さいながらも健気に女の子は・・・マリーはピエールの役にたとうとします。何か仰々しい見返りを求めているわけではありません。普通にありがとうという言葉を期待しているだけです。
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戦闘シーンも見せ場です。
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七人の侍のような話です。やはり日本人の手によって書かれた日本人好みの物語です。
マリーがとても嬉しそうです。
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国や世界を救ったわけではありませんが、忌み嫌われた傭兵は輝かしい英雄となって皆から祝福されています。
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二年の歳月が流れ、ピエールは村の守備隊長として名士に加わり、他の者も生業に転身して平穏な日々が過ぎました。そんなピエールの下にジャンヌ救出の依頼がきます。
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もう荒野を彷徨う獣ではありません。「僕には帰るところがある」です。
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一方でピエールの心は浮き立ちます。心が研ぎ澄まされていきます。これはまさに「男の願望」の物語なのです。
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しかし待ち構えていたのは、薄汚い偽善と政争の道具にされたジャンヌという現実でした。この辺も残忍なシーンが続くので割愛します。彼の心はすぐさま冷算に長けた暗殺者の心に切り替わります。
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ただの人になりながら「救世主」を演じ続けたジャンヌとの再会。これも男の願望と言われそうでしょうが、まあいいではないですか。
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言うまでも無く、ピエールは善人などではありませんから、守衛を平然と殺し、身代わりの女を顔を分別できないまで殴り、口も利けないようにするのも手際よくやってのけます。
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しかし悪を超えた偽善というのも存在します。身代わりが愛人であるにもかかわらず表情一つ変えない大司教に愕然とします。彼にとっては「聖女」を貶めてしまう事が重要だから処刑するのは誰でもよかったのです。
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自分が身代わりにしておきながら、ピエールは身代わりの女を哀れみます。
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逃避行は原作でも長々とあるのですが漫画では割愛されてました。
四年の歳月が流れました。紆余曲折の末、ピエールは小領主の地位に納まってました。五歳だったマリーも十一歳になって、まるで世話女房気取りです。
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ジャンヌも小領主の奥方に納まり、すっかりただの人になってました。
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ジャネットに名を改めたジャンヌに殴られっぱなし・・・。まるで姫を救った勇者の後日譚か、大恋愛の成れの果てのようですw 他のレビューを見るとこの辺が読後感がよくないと敬遠する人もいるようです。
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戦争以外とりえの無いピエールは酒場で手柄話や猥談しかする事がありません。
思春期前のマリーはそんなだらしないピエールが許せません。立派なご領主様に「教育」しようとジャネットと結託する始末。
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そんなピエールの下に今は自立して傭兵隊長になった弟分のジャンが訪ねてきます。
実は裏向きの用事で。ピエールはジャンヌを救った事で表の仕事から遠ざけられ、「傭兵ピエール」として薄汚い謀略の道具としての「暗殺」を引き受けていました。
それが小領主としての平穏な生活の「代償」でした。イギリスの少年王の暗殺をピエールが断った事を調べるように命じられてきたのでした。その理由も「ジャネットが怒るから」でした。
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ジャンはピエールが誉れある戦場から遠ざけられて薄汚い暗殺者として生きなければならない身となった事をジャネットのせいと憤ります。思いつきで戦争に誘う先から涙が止まりません。
きっと口にしてそれが明らかに不可能な事を悟ったからかもしれません。
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ジャンはピエールの身の上が哀れでしかたありません。涙を止める事ができません。ジャンの涙は私たちの涙でもあります。残虐な世界を見続けてきた男にとって殴られるくらいなんだというのでしょう。自分への怒りも伝えられずにヴィヴェットのように死なれるのに比べればどれほどのものだというのでしょう。哀しみを知った獣はもう以前の獣には戻れないのです。斑目もまた哀しみを知ったオタクですから。
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だからこそこのラストシーンが実に爽快に見えてしまうのです。
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なんとなくハハッと空に向って笑った無言劇のラストシーンを連想させます。

それ故に、斑目にはぜひとも咲にデンプシーロールをくらう身であってほしいのです。
この論旨は実に奇妙で不可解かもしれませんがご理解いたただきたいものです。
あと足で踏まれるのも悪くないな、クークックック。あれ?
by yukimian | 2007-06-17 22:59 | 現代視覚民俗文化的レビュー
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