初聴きディスクレポート |
2015年7月に初聴きした音源の感想まとめです。上半期の買い逃しなどがいくつか届きました。5つ星多め。
★★★★★ 年間ベスト20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした
*今年リリース作品でない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベスト20位以内クラス
7月のALBUM OF THE MONTHは世間的にも評判の良いこちらの作品でした。
★★★★★ 年間ベスト20位以内クラス*
★★★★☆ すばらしい
★★★☆☆ 標準レベルの良作
★★☆☆☆ 若干気になる部分あり・もっと聴きこみ必要
★☆☆☆☆ 期待ハズレ
☆☆☆☆☆ 全然ダメでした
*今年リリース作品でない場合、旧譜のみから選ぶ年間ベスト20位以内クラス
7月のALBUM OF THE MONTHは世間的にも評判の良いこちらの作品でした。
■ALBUM OF THE MONTH■
Jamie xx / In Colour (2015)
★★★★★
The xxの頭脳、Jamie xxによるソロ一作目。ビート、音のチョイス、サンプリングネタそれぞれにずば抜けたセンスと知性が感じられ、The xxの作品だけではわからなかった彼の音楽性をさらに深く窺い知ることができる。しかし何よりも重要なのは、エレクトロニック系プロデューサーでありながら必ずしも彼がビート界隈やクラブ・ミュージックの枠に留まる存在ではなく、ポップ・ミュージックのプロデューサーとして活躍する素養があることが明らかになったということ。バンドメイトであるロミーやオリヴァーをゲストに迎えたヴォーカル曲であろうとインスト曲であろうと、しっかりと幅広いリスナーに届けるための「歌心」が感じられる。
Jamie xx - "Loud Places (feat. Romy)"
Hannah Cohen / Pleasure Boy (2015)
★★★★★
サンフランシスコ出身の美麗な女性SSWの2nd。1st『Child Bride』もフォーキーなアコースティック作品で素晴らしかったけど、本作はダークでジャジーな「Queen of Ice」の他、エレクトロニック・サウンドを大幅導入したダブステップ/トリップホップ風の「Keepsake」「I'll Fake It」といった新機軸な曲も多数。ただ、それらのいくつかは若干Lana Del Reyの焼き直し感も拭えない。その中でもラストを飾る、前作路線を踏襲した珠玉のバラード「Baby」の甘美な歌声とサウンドがとりわけ素晴らしかった。
Hannah Cohen - "Baby"
Best Coast / California Nights (2015)
★★★★★
LAの人気インディー・ロック・デュオによる3作目。1st『Crazy for You』は淡いリヴァーブに包まれたノスタルジックな作品で当時もかなり好きだったものの、続く2nd『The Only Place』はごく普通の音になり熱もかなり冷めてしまっていた。しかしこの3作目はプリミティヴなロックンロールに回帰。ハード過ぎずソフト過ぎない、ほどよく歪んだギターがギャンギャンとかき鳴らされる痛快なロック・サウンド。この音の感触は彼女らが昨年コラボしたWeezerを思い起こさせた。
先行公開された「Heaven Sent」の段階では全編アッパーなポップ・パンク寄りの音になるかと思われたけど、アルバム全体としてはミディアム中心で、むしろパワーポップやギターポップという感じ。メランコリックかつノスタルジックなメロディーと、ハード・ドライヴィンなギターの組み合わせはやはり最高。
Best Coast - "Feeling Ok"
LLLL / Cruel (2015)
★★★★★
いま海外から最も注目を集める日本発のプロデューサーのひとり、LLLLがMaltine Recordsからリリースした5曲入りEP。こちらからフリーダウンロード可。
6人組ニューウェーブ・アイドル・グループ「ゆるめるモ!」の”あの”をフィーチャーしたオープニング・トラック「ふと全て夢と知った」(年間ベストトラック候補!)を筆頭に、多彩なビートやノイズ、シンセ音、そして美しいヴォーカルが眩いほどに乱反射しながらカオティックに暴走していく楽曲はこれまで以上にハイクオリティ。圧倒的なカタルシスを生み出している。
なお、Spincoasterに寄稿した記事はこちら。
LLLL - "ふと全て夢と知った Feat.あの from ゆるめるモ!"
Girl Band / France 98 (2012), In My Head (2012)
★★★★★
ラフトレードからリリースされた『The Early Years EP』が素晴らしかったアイルランドのノイズ・パンク・バンド。他の初期音源はBandcampにてフリーDLされており、後追いでこれら2作品をDL。まだ楽曲の完成度や「音のトガリ度」はそこまで高くないものの、彼らをノイズ・パンク・バンドたらしめる荒削り感がたまらない。一歩間違えれば普通のガレージ・バンドとして埋もれてしまったと思うだけに、そこからアタマひとつ抜きん出るほどのポップ・センスとカッコいい音を出すテクニックを備えているのだと思う。年内リリース予定というアルバムにも期待。
Girl Band - "You're A Dog"
Years & Years / Communion (2015)
★★★★★
BBC sound of 2015で1位に選出され、本作がUKチャート初登場1位といま最も注目を集めるトリオ。ヴォーカルOlly Alexanderの本業は俳優ながら、ルックスだけでなく歌声にも色気があって素晴らしい。サウンドも、トレンドをうまく嗅ぎ取った感じの洗練されたシンセ・ポップ。これは売れてしかるべき。
Years & Years - "Desire"
ONE OK ROCK / 35xxxv (2015)
★★★★☆
今や女子中高生に大人気というワンオクの最新アルバム。今年の9月には本作のデラックス盤で北米デビューも決まっている。フジロックに出演が決まったことがキッカケで聴いてみたのだけど、予想以上に琴線に触れるサウンドだった。ベースとしては2000年代中期にアメリカを中心に大流行したエモ/スクリーモ/ポップ・パンクなどに近い。ただ、それらをただなぞるだけだったら北米デビューできなかっただろうし僕の琴線にも触れなかっただろう。彼らのサウンドの最大の魅力はダブステップやエレクトロなどの要素を(安易に流行に乗ったり表層的に模倣をするのではなく)しっかりと自分の音として取り込んでいる点で、その成果は「3xxxv5」や「Paper Planes Feat. Kellin」といった楽曲に顕著だ。
また、TAKAのヴォーカルも素晴らしい。的確な音程、丁寧な発声、伸びやかな高音、洗練すらされている強靭なスクリーム。おそらくしっかりボイストレーニングをしているであろう彼は、一曲の中で日本語と英語を違和感なく織り交ぜて歌うテクニックも備えている。
もうひとつ付け加えると、このバンドはドラムが上手い。ダブステップ的なビートに四つ打ちを重ねたりしているところや、「Memories」のようなアップテンポな曲におけるフィルの入れ方にセンスを感じる。
L'Arc~en~Ciel / REAL (2000)
★★★★☆
先月から続いているラルクブーム。一応自分の中ではインディーズ1st『DUNE』からこの通算8作目『REAL』までで終えようと思っている。本作は後述の『ark』『ray』と比べるとかなりオルタナティヴ・ロック寄りなサウンドながら、初期の耽美さが戻っている曲や『heavenly』の頃のJポップ感が強い曲などもあり、これまでの総決算的な魅力がある。そして各メンバーのソングライティング・センスもこれまで以上に磨きがかかっている。ただし亀田誠治氏がプロデュースした「bravery」の歪み系サウンドは個人的にはNG。
Tame Impala / Currents (2015)
★★★★☆
いつの間にかケヴィン・パーカーのソロ・プロジェクトみたいになっていたオーストラリア出身バンドの3作目。Tame Impalaと言えばピッチフォークをはじめとした海外メディアでやたらと評価が高いけど、過去2作はどれもピンと来ず、スルーしている間に今やヘッドライナー級になってしまった(海外で)。
今作はまずヒプノシスっぽいジャケが気に入り数曲試聴したところ、プログレやサイケやヒップホップ的ビート感をうまく取り入れている点が良かったので購入。クレジットを見ると、歌と全楽器とソングライティングとプロデュース・録音・ミックスが全てケヴィンによるものとなっていて、まさにポップ職人としての才能が惜しみなく発揮されている。
LUNA SEA / COMPLETE BEST
-ASIA LIMITED EDITION- (2013)
★★★★☆
空前のラルクブームの煽りを受けて始まったLUNA SEAブーム。こちらもラルクと同様にかつてファンだったわけではないけど、アルバム『Mother』と初期のシングル数枚はリアルタイムで借りたことがあるので一応ラルクよりは詳しい。
DISC1は全シングルがリリース順に並べられているだけ。しかしさすがシングル曲、どの曲も知っていたし、今聴いてもとてもカッコいい。そして、リリース順に並べたベスト盤を作ることを想定してシングル切ったんじゃないかと思うほどに曲順がいい。
DISC2はシングル以外で人気の高い曲、DISC3はそこからさらに漏れた人気曲で、ASIA LIMITED EDITIONのみに追加。いずれもJポップ、Jロックどちらの文脈からも語れるようなサウンドで、特にギターやドラムの音はリアルタイムではほとんど意識していなかったけど、あらためて聴くとかなりトガった音を出していると思う。
Little Boots / Working Girl (2015)
★★★★☆
3作目。デビュー作の内容は期待値以下だったしルックスも声もライブ・パフォーマンスもいまひとつで、最近ではすでに興味を失いかけていた。しかしDim MakからのリリースでCom Truiseらがプロデュースを手掛けたという本作は90年代のユーロ・ハウス、ユーロ・ディスコ色が強くてとても好み。
ヴォーカルに関してはやはり少し無個性ではあるけど、デボラ・ハリーかNicoか、みたいなルックスのジャケや、一貫してオフィスワークをテーマにしたコンセプト性は面白い。
ボーナストラックが2曲追加されており、最終曲は「Working Girl」のアコースティック・バージョンというイヤなパターンだったけど、それがちょうどリプライズのような役割を果たし、コンセプト作らしく本作を上手く締めている。
L'Arc~en~Ciel / ark (1999)
★★★★☆
『ray』と同時発売されたアルバム。ヒットシングルが多数(5曲)収録されている半面、それ以外の曲はやや影が薄いけど、yukihiroによる打ち込みインスト「Larva」のような曲があって面白い。
L'Arc~en~Ciel / ray (1999)
★★★★☆
『ark』と同時発売。こちらはシングル4曲を収録。当時はシングル曲すらまともに聴いていなかったけども、あらためて聴くと「snow drop」、「花葬」、「浸食 ~lose control~」の出来がとりわけ素晴らしい。こちらもシングル以外の曲は影が薄いと感じた。
AFX / Hangable Auto Bulb (1995)
★★★★☆
Aphex TwinことRichard D. Jamesによる、AFX名義では最初となる作品。ぶっちゃけサウンドはAphex Twinと大差はないけど、ここでもひたすら「Mashed Potatoes」という声をサンプリングしていたりと変態性は抜群。
The Internet / Ego Death (2015)
★★★☆☆
OFWGKTAの紅一点メンバーSyd tha Kydを擁するR&B/ソウル・プロジェクト。AaliyahやSWVなど90年代のR&Bを彷彿させるスウィートでメロウなヴォーカル&トラック。ただ、ビートがもう少し(OFWGKTA風に)トガっていたら面白かったと思う。あと非常に個人的な好みの話だけど、アルバム1曲目の出だしでヴォーカルとビートとウワモノが同時に始まるのがどうも好きではない。
Disclosure / Settle (2013)
★★★☆☆
Disclosureの音楽にはあまり新しさを感じることができず、これまであまり聴いてこなかった。しかしようやくちゃんとアルバムを聴いてみると、新しさは確かにないものの、曲のクオリティは高いと思うしカッコいい(ただ、「F For You」は依然として好きになれない)。アルバム通してやや一本調子な感じは否めないものの、懐かしの2ステップ曲「You & Me Feat. Eliza Doolittle」がいいアクセントになっている。
L'Arc~en~Ciel / DUNE (1993)
★★★☆☆
インディーズ時代にデンジャークルー・レコードからリリースした記念すべき1stアルバム。全体的にエコーがかかり輪郭をぼかした音質なせいでインディーズ臭がぷんぷんしているし、まだビジュアル系シーンがサブカル的なものだった当時の感じが強く出ている。ブックレット内のメンバー写真や歌詞のフォント、アートワークなどは電波系カルト宗教っぽさがにじみ出ていていただけない。楽曲のクオリティや演奏力はこの頃から既に高いものの、まだマニアックな感じで、この時点では数年後に日本を代表するバンドになるとはなかなか想像しがたいと思う。
How To Dress Well / What Is This Heart? (2014)
★★★☆☆
アメリカ出身のR&BシンガーTom Krellによるプロジェクト。ファルセットとブレスを強調した歌い方はR&Bマナーに則っているけど、サウンドや声質はソフトで洗練されている。曲によってアコースティック、シンセポップ、チルR&B、ダブステップなどさまざまなエッセンスが交差しているが、アルバム全体としてはややとっ散らかった印象も。しかしそんな中でも重厚なストリングスが印象的な、最も荘厳なナンバー「Pour Cyril」と「House Inside」が一番しっくりきたので、今後この方向に突き進んでくれたら個人的にはうれしい。
Otis Redding / The Dock of the Bay (1968)
★★★☆☆
「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第4位、1967年に飛行機事故により亡くなったソウル・シンガーの代表作。ソウルの名曲「(Sittin' on) The Dock of the Bay」収録。穏やかでレイドバックしたソウル・ナンバーを少しかすれた声で歌い上げ、ホーンセクションやストリングスなど多彩な楽器が楽曲に華を添えている。音のバランスが悪い(ギター、ドラム、ピアノの音が小さい)のが残念なところ。
Cancers / Fatten the Leeches (2015)
★★★☆☆
米ジョージア州アセンズを拠点とするガレージ・ロック・デュオ。ギターの音はDinosaur Jr.やThe Breedersを彷彿させるけど、けだるくもキュートな女性ボーカルはShragやThe Apples In Stereoといったローファイ・ポップ・バンドとも親和性が高いと思う。
Public Image Ltd / Flowers of Romance (1981)
★★★☆☆
Sex Pistols解散後にJohn Lydonがスタートさせたポスト・パンク/ダブ・バンドの3作目。ベースのJah Wobbleが脱退し、より呪術的でトライバル感が増すとともにフリーキーさもアップ。正直、どんな気分の時でも聴けるタイプの音楽ではないけど、体調の悪い時に爆音で聴きたいほどにカッコいい。
Wilco / Star Wars (2015)
★★★☆☆
USインディーの大御所的バンドの9作目が突如フリーで公開。ポップでありながら風変りなメロディー、予測不能な展開はどこかPavementを思わせる。前作『The Whole Love』の「Art of Almost」を押し進めたような方向性だと嬉しかったんだけど、演奏はやや普通になったように思う。
The Band / Music From Big Pink (1968)
★★★☆☆
最近アメリカン・ニューシネマ系の映画を何本か観ていたら、泥臭いコテコテのカントリー・ロックが聴きたくなったので購入。カナダ出身ながら非常にアメリカンな臭いがするのはカントリーやブルース、フォークなどを下地にしているからだろう。有名な「The Weight」はやはり名曲だと思うけど、他の曲は少しインパクトが弱かった。
Ykiki Beat / When the World is Wide (2015)
★★☆☆☆
おそらく邦楽インディーファンからの期待も相当大きかったであろうYkiki Beatのデビュー・フルアルバム。その期待を加速させるきっかけとなったのは間違いなく昨年リリースのシングル「Forever」だったと思うけど、この曲から思い描いた方向性とはだいぶ異なる印象。
「Forever」は洗練されたメロディーとほのかなスタジアム感さえ漂わせるグルーヴィー・チューンで、2010年代の邦楽ロックにおいてメジャーとインディーの境目を取り払い、エポック・メイキングとなりうる可能性を秘めていたと思う。そこに自分は、The 1975の存在を重ねた。彼らもまた、Ykiki Beat同様に初期の音源はチルウェイヴ色の強いインディー・ポップだったが、徐々にメジャー感が増し、大きなハコで鳴らされていても違和感のない骨太なサウンドに変化していった。自分としてはYkiki Beatもそうなると思っていたし、そうなってほしかった。
しかしその期待に応えるには、スケール感やグルーヴ感が足りなかった。要因としては演奏能力もそうだと思うし、ミックスに依るところも大きいように思われる。全体的にリヴァーブがかけられ、ドラムとベースの音圧は弱め。ミックスとマスタリングはWeezerやBloc Party、Editorsなどを手掛けたTom McFallが手掛けたそうだけど、どうも宅録っぽい印象が拭えない。もっとビート感が強い、輪郭のハッキリした音であってほしかった。
本作はThe 1975というよりは、むしろThe StrokesとVHS or Betaを引き合いに出したい。前者は特に「Never Let You Go」や「All The Words To Say」などに顕著なように、ヴォーカルの歌い方やギターの弾き方がかなり最近のThe Strokesっぽく聞こえる。オープニングを飾る「The Running」はVHS or Betaの「Bring on the Comets」にどことなく似ているけど、そこまでの高揚感のある展開がなかったのも物足りなかった。作品自体は決して悪くはなかったけど、期待値が高すぎたためここでは星2つに留めたい。
【次月予告】※購入済みや予約済みでまだ聴けていないタイトル
The Maccabees / Marks to Prove It (2015)
Lianne La Havas / Blood (2015)
The Weeknd / Beauty Behind the Madness (2015)
Beach House / Depression Cherry (2015)
HEALTH / Death Magic (2015)
Brandon Flowers / The Desired Effect (2015)
Nero / Between ⅡWorld (2015)
Shlohmo / Dark Red (2015)
The Libertines / Anthems for Doomed Youth (2015)
Carly Rae Jepsen / E•MO•TION (2015)
D.A.N. / EP (2015)
Muse / Drones (2015)
MEW / + - (2015)
Yogee New Waves / PARAISO (2014)
Oneohtrix Point Never / R Plus Seven (2013)
木下美紗都 / 海 東京 さよなら (2007)
American Football / American Football (1999)
Elliott Smith / XO (1998)
RATS & STAR / BACK TO THE BASIC~The Very Best of RATS&STAR~ (1996)
山下達郎 / RIDE ON TIME (1980)
Queen / The Game (1980)
Queen / A Night At the Opera (1975)
Sparks / Kimono My House (1974)
Jamie xx / In Colour (2015)
★★★★★
The xxの頭脳、Jamie xxによるソロ一作目。ビート、音のチョイス、サンプリングネタそれぞれにずば抜けたセンスと知性が感じられ、The xxの作品だけではわからなかった彼の音楽性をさらに深く窺い知ることができる。しかし何よりも重要なのは、エレクトロニック系プロデューサーでありながら必ずしも彼がビート界隈やクラブ・ミュージックの枠に留まる存在ではなく、ポップ・ミュージックのプロデューサーとして活躍する素養があることが明らかになったということ。バンドメイトであるロミーやオリヴァーをゲストに迎えたヴォーカル曲であろうとインスト曲であろうと、しっかりと幅広いリスナーに届けるための「歌心」が感じられる。
Jamie xx - "Loud Places (feat. Romy)"
Hannah Cohen / Pleasure Boy (2015)
★★★★★
サンフランシスコ出身の美麗な女性SSWの2nd。1st『Child Bride』もフォーキーなアコースティック作品で素晴らしかったけど、本作はダークでジャジーな「Queen of Ice」の他、エレクトロニック・サウンドを大幅導入したダブステップ/トリップホップ風の「Keepsake」「I'll Fake It」といった新機軸な曲も多数。ただ、それらのいくつかは若干Lana Del Reyの焼き直し感も拭えない。その中でもラストを飾る、前作路線を踏襲した珠玉のバラード「Baby」の甘美な歌声とサウンドがとりわけ素晴らしかった。
Hannah Cohen - "Baby"
Best Coast / California Nights (2015)
★★★★★
LAの人気インディー・ロック・デュオによる3作目。1st『Crazy for You』は淡いリヴァーブに包まれたノスタルジックな作品で当時もかなり好きだったものの、続く2nd『The Only Place』はごく普通の音になり熱もかなり冷めてしまっていた。しかしこの3作目はプリミティヴなロックンロールに回帰。ハード過ぎずソフト過ぎない、ほどよく歪んだギターがギャンギャンとかき鳴らされる痛快なロック・サウンド。この音の感触は彼女らが昨年コラボしたWeezerを思い起こさせた。
先行公開された「Heaven Sent」の段階では全編アッパーなポップ・パンク寄りの音になるかと思われたけど、アルバム全体としてはミディアム中心で、むしろパワーポップやギターポップという感じ。メランコリックかつノスタルジックなメロディーと、ハード・ドライヴィンなギターの組み合わせはやはり最高。
Best Coast - "Feeling Ok"
LLLL / Cruel (2015)
★★★★★
いま海外から最も注目を集める日本発のプロデューサーのひとり、LLLLがMaltine Recordsからリリースした5曲入りEP。こちらからフリーダウンロード可。
6人組ニューウェーブ・アイドル・グループ「ゆるめるモ!」の”あの”をフィーチャーしたオープニング・トラック「ふと全て夢と知った」(年間ベストトラック候補!)を筆頭に、多彩なビートやノイズ、シンセ音、そして美しいヴォーカルが眩いほどに乱反射しながらカオティックに暴走していく楽曲はこれまで以上にハイクオリティ。圧倒的なカタルシスを生み出している。
なお、Spincoasterに寄稿した記事はこちら。
LLLL - "ふと全て夢と知った Feat.あの from ゆるめるモ!"
Girl Band / France 98 (2012), In My Head (2012)
★★★★★
ラフトレードからリリースされた『The Early Years EP』が素晴らしかったアイルランドのノイズ・パンク・バンド。他の初期音源はBandcampにてフリーDLされており、後追いでこれら2作品をDL。まだ楽曲の完成度や「音のトガリ度」はそこまで高くないものの、彼らをノイズ・パンク・バンドたらしめる荒削り感がたまらない。一歩間違えれば普通のガレージ・バンドとして埋もれてしまったと思うだけに、そこからアタマひとつ抜きん出るほどのポップ・センスとカッコいい音を出すテクニックを備えているのだと思う。年内リリース予定というアルバムにも期待。
Girl Band - "You're A Dog"
Years & Years / Communion (2015)
★★★★★
BBC sound of 2015で1位に選出され、本作がUKチャート初登場1位といま最も注目を集めるトリオ。ヴォーカルOlly Alexanderの本業は俳優ながら、ルックスだけでなく歌声にも色気があって素晴らしい。サウンドも、トレンドをうまく嗅ぎ取った感じの洗練されたシンセ・ポップ。これは売れてしかるべき。
Years & Years - "Desire"
ONE OK ROCK / 35xxxv (2015)
★★★★☆
今や女子中高生に大人気というワンオクの最新アルバム。今年の9月には本作のデラックス盤で北米デビューも決まっている。フジロックに出演が決まったことがキッカケで聴いてみたのだけど、予想以上に琴線に触れるサウンドだった。ベースとしては2000年代中期にアメリカを中心に大流行したエモ/スクリーモ/ポップ・パンクなどに近い。ただ、それらをただなぞるだけだったら北米デビューできなかっただろうし僕の琴線にも触れなかっただろう。彼らのサウンドの最大の魅力はダブステップやエレクトロなどの要素を(安易に流行に乗ったり表層的に模倣をするのではなく)しっかりと自分の音として取り込んでいる点で、その成果は「3xxxv5」や「Paper Planes Feat. Kellin」といった楽曲に顕著だ。
また、TAKAのヴォーカルも素晴らしい。的確な音程、丁寧な発声、伸びやかな高音、洗練すらされている強靭なスクリーム。おそらくしっかりボイストレーニングをしているであろう彼は、一曲の中で日本語と英語を違和感なく織り交ぜて歌うテクニックも備えている。
もうひとつ付け加えると、このバンドはドラムが上手い。ダブステップ的なビートに四つ打ちを重ねたりしているところや、「Memories」のようなアップテンポな曲におけるフィルの入れ方にセンスを感じる。
L'Arc~en~Ciel / REAL (2000)
★★★★☆
先月から続いているラルクブーム。一応自分の中ではインディーズ1st『DUNE』からこの通算8作目『REAL』までで終えようと思っている。本作は後述の『ark』『ray』と比べるとかなりオルタナティヴ・ロック寄りなサウンドながら、初期の耽美さが戻っている曲や『heavenly』の頃のJポップ感が強い曲などもあり、これまでの総決算的な魅力がある。そして各メンバーのソングライティング・センスもこれまで以上に磨きがかかっている。ただし亀田誠治氏がプロデュースした「bravery」の歪み系サウンドは個人的にはNG。
Tame Impala / Currents (2015)
★★★★☆
いつの間にかケヴィン・パーカーのソロ・プロジェクトみたいになっていたオーストラリア出身バンドの3作目。Tame Impalaと言えばピッチフォークをはじめとした海外メディアでやたらと評価が高いけど、過去2作はどれもピンと来ず、スルーしている間に今やヘッドライナー級になってしまった(海外で)。
今作はまずヒプノシスっぽいジャケが気に入り数曲試聴したところ、プログレやサイケやヒップホップ的ビート感をうまく取り入れている点が良かったので購入。クレジットを見ると、歌と全楽器とソングライティングとプロデュース・録音・ミックスが全てケヴィンによるものとなっていて、まさにポップ職人としての才能が惜しみなく発揮されている。
LUNA SEA / COMPLETE BEST
-ASIA LIMITED EDITION- (2013)
★★★★☆
空前のラルクブームの煽りを受けて始まったLUNA SEAブーム。こちらもラルクと同様にかつてファンだったわけではないけど、アルバム『Mother』と初期のシングル数枚はリアルタイムで借りたことがあるので一応ラルクよりは詳しい。
DISC1は全シングルがリリース順に並べられているだけ。しかしさすがシングル曲、どの曲も知っていたし、今聴いてもとてもカッコいい。そして、リリース順に並べたベスト盤を作ることを想定してシングル切ったんじゃないかと思うほどに曲順がいい。
DISC2はシングル以外で人気の高い曲、DISC3はそこからさらに漏れた人気曲で、ASIA LIMITED EDITIONのみに追加。いずれもJポップ、Jロックどちらの文脈からも語れるようなサウンドで、特にギターやドラムの音はリアルタイムではほとんど意識していなかったけど、あらためて聴くとかなりトガった音を出していると思う。
Little Boots / Working Girl (2015)
★★★★☆
3作目。デビュー作の内容は期待値以下だったしルックスも声もライブ・パフォーマンスもいまひとつで、最近ではすでに興味を失いかけていた。しかしDim MakからのリリースでCom Truiseらがプロデュースを手掛けたという本作は90年代のユーロ・ハウス、ユーロ・ディスコ色が強くてとても好み。
ヴォーカルに関してはやはり少し無個性ではあるけど、デボラ・ハリーかNicoか、みたいなルックスのジャケや、一貫してオフィスワークをテーマにしたコンセプト性は面白い。
ボーナストラックが2曲追加されており、最終曲は「Working Girl」のアコースティック・バージョンというイヤなパターンだったけど、それがちょうどリプライズのような役割を果たし、コンセプト作らしく本作を上手く締めている。
L'Arc~en~Ciel / ark (1999)
★★★★☆
『ray』と同時発売されたアルバム。ヒットシングルが多数(5曲)収録されている半面、それ以外の曲はやや影が薄いけど、yukihiroによる打ち込みインスト「Larva」のような曲があって面白い。
L'Arc~en~Ciel / ray (1999)
★★★★☆
『ark』と同時発売。こちらはシングル4曲を収録。当時はシングル曲すらまともに聴いていなかったけども、あらためて聴くと「snow drop」、「花葬」、「浸食 ~lose control~」の出来がとりわけ素晴らしい。こちらもシングル以外の曲は影が薄いと感じた。
AFX / Hangable Auto Bulb (1995)
★★★★☆
Aphex TwinことRichard D. Jamesによる、AFX名義では最初となる作品。ぶっちゃけサウンドはAphex Twinと大差はないけど、ここでもひたすら「Mashed Potatoes」という声をサンプリングしていたりと変態性は抜群。
The Internet / Ego Death (2015)
★★★☆☆
OFWGKTAの紅一点メンバーSyd tha Kydを擁するR&B/ソウル・プロジェクト。AaliyahやSWVなど90年代のR&Bを彷彿させるスウィートでメロウなヴォーカル&トラック。ただ、ビートがもう少し(OFWGKTA風に)トガっていたら面白かったと思う。あと非常に個人的な好みの話だけど、アルバム1曲目の出だしでヴォーカルとビートとウワモノが同時に始まるのがどうも好きではない。
Disclosure / Settle (2013)
★★★☆☆
Disclosureの音楽にはあまり新しさを感じることができず、これまであまり聴いてこなかった。しかしようやくちゃんとアルバムを聴いてみると、新しさは確かにないものの、曲のクオリティは高いと思うしカッコいい(ただ、「F For You」は依然として好きになれない)。アルバム通してやや一本調子な感じは否めないものの、懐かしの2ステップ曲「You & Me Feat. Eliza Doolittle」がいいアクセントになっている。
L'Arc~en~Ciel / DUNE (1993)
★★★☆☆
インディーズ時代にデンジャークルー・レコードからリリースした記念すべき1stアルバム。全体的にエコーがかかり輪郭をぼかした音質なせいでインディーズ臭がぷんぷんしているし、まだビジュアル系シーンがサブカル的なものだった当時の感じが強く出ている。ブックレット内のメンバー写真や歌詞のフォント、アートワークなどは電波系カルト宗教っぽさがにじみ出ていていただけない。楽曲のクオリティや演奏力はこの頃から既に高いものの、まだマニアックな感じで、この時点では数年後に日本を代表するバンドになるとはなかなか想像しがたいと思う。
How To Dress Well / What Is This Heart? (2014)
★★★☆☆
アメリカ出身のR&BシンガーTom Krellによるプロジェクト。ファルセットとブレスを強調した歌い方はR&Bマナーに則っているけど、サウンドや声質はソフトで洗練されている。曲によってアコースティック、シンセポップ、チルR&B、ダブステップなどさまざまなエッセンスが交差しているが、アルバム全体としてはややとっ散らかった印象も。しかしそんな中でも重厚なストリングスが印象的な、最も荘厳なナンバー「Pour Cyril」と「House Inside」が一番しっくりきたので、今後この方向に突き進んでくれたら個人的にはうれしい。
Otis Redding / The Dock of the Bay (1968)
★★★☆☆
「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第4位、1967年に飛行機事故により亡くなったソウル・シンガーの代表作。ソウルの名曲「(Sittin' on) The Dock of the Bay」収録。穏やかでレイドバックしたソウル・ナンバーを少しかすれた声で歌い上げ、ホーンセクションやストリングスなど多彩な楽器が楽曲に華を添えている。音のバランスが悪い(ギター、ドラム、ピアノの音が小さい)のが残念なところ。
Cancers / Fatten the Leeches (2015)
★★★☆☆
米ジョージア州アセンズを拠点とするガレージ・ロック・デュオ。ギターの音はDinosaur Jr.やThe Breedersを彷彿させるけど、けだるくもキュートな女性ボーカルはShragやThe Apples In Stereoといったローファイ・ポップ・バンドとも親和性が高いと思う。
Public Image Ltd / Flowers of Romance (1981)
★★★☆☆
Sex Pistols解散後にJohn Lydonがスタートさせたポスト・パンク/ダブ・バンドの3作目。ベースのJah Wobbleが脱退し、より呪術的でトライバル感が増すとともにフリーキーさもアップ。正直、どんな気分の時でも聴けるタイプの音楽ではないけど、体調の悪い時に爆音で聴きたいほどにカッコいい。
Wilco / Star Wars (2015)
★★★☆☆
USインディーの大御所的バンドの9作目が突如フリーで公開。ポップでありながら風変りなメロディー、予測不能な展開はどこかPavementを思わせる。前作『The Whole Love』の「Art of Almost」を押し進めたような方向性だと嬉しかったんだけど、演奏はやや普通になったように思う。
The Band / Music From Big Pink (1968)
★★★☆☆
最近アメリカン・ニューシネマ系の映画を何本か観ていたら、泥臭いコテコテのカントリー・ロックが聴きたくなったので購入。カナダ出身ながら非常にアメリカンな臭いがするのはカントリーやブルース、フォークなどを下地にしているからだろう。有名な「The Weight」はやはり名曲だと思うけど、他の曲は少しインパクトが弱かった。
Ykiki Beat / When the World is Wide (2015)
★★☆☆☆
おそらく邦楽インディーファンからの期待も相当大きかったであろうYkiki Beatのデビュー・フルアルバム。その期待を加速させるきっかけとなったのは間違いなく昨年リリースのシングル「Forever」だったと思うけど、この曲から思い描いた方向性とはだいぶ異なる印象。
「Forever」は洗練されたメロディーとほのかなスタジアム感さえ漂わせるグルーヴィー・チューンで、2010年代の邦楽ロックにおいてメジャーとインディーの境目を取り払い、エポック・メイキングとなりうる可能性を秘めていたと思う。そこに自分は、The 1975の存在を重ねた。彼らもまた、Ykiki Beat同様に初期の音源はチルウェイヴ色の強いインディー・ポップだったが、徐々にメジャー感が増し、大きなハコで鳴らされていても違和感のない骨太なサウンドに変化していった。自分としてはYkiki Beatもそうなると思っていたし、そうなってほしかった。
しかしその期待に応えるには、スケール感やグルーヴ感が足りなかった。要因としては演奏能力もそうだと思うし、ミックスに依るところも大きいように思われる。全体的にリヴァーブがかけられ、ドラムとベースの音圧は弱め。ミックスとマスタリングはWeezerやBloc Party、Editorsなどを手掛けたTom McFallが手掛けたそうだけど、どうも宅録っぽい印象が拭えない。もっとビート感が強い、輪郭のハッキリした音であってほしかった。
本作はThe 1975というよりは、むしろThe StrokesとVHS or Betaを引き合いに出したい。前者は特に「Never Let You Go」や「All The Words To Say」などに顕著なように、ヴォーカルの歌い方やギターの弾き方がかなり最近のThe Strokesっぽく聞こえる。オープニングを飾る「The Running」はVHS or Betaの「Bring on the Comets」にどことなく似ているけど、そこまでの高揚感のある展開がなかったのも物足りなかった。作品自体は決して悪くはなかったけど、期待値が高すぎたためここでは星2つに留めたい。
【次月予告】※購入済みや予約済みでまだ聴けていないタイトル
The Maccabees / Marks to Prove It (2015)
Lianne La Havas / Blood (2015)
The Weeknd / Beauty Behind the Madness (2015)
Beach House / Depression Cherry (2015)
HEALTH / Death Magic (2015)
Brandon Flowers / The Desired Effect (2015)
Nero / Between ⅡWorld (2015)
Shlohmo / Dark Red (2015)
The Libertines / Anthems for Doomed Youth (2015)
Carly Rae Jepsen / E•MO•TION (2015)
D.A.N. / EP (2015)
Muse / Drones (2015)
MEW / + - (2015)
Yogee New Waves / PARAISO (2014)
Oneohtrix Point Never / R Plus Seven (2013)
木下美紗都 / 海 東京 さよなら (2007)
American Football / American Football (1999)
Elliott Smith / XO (1998)
RATS & STAR / BACK TO THE BASIC~The Very Best of RATS&STAR~ (1996)
山下達郎 / RIDE ON TIME (1980)
Queen / The Game (1980)
Queen / A Night At the Opera (1975)
Sparks / Kimono My House (1974)
- 関連記事
-
- 初聴きディスクレポート Vol.76(2015年10月) 2015/11/02
- 初聴きディスクレポート Vol.75(2015年9月) 2015/10/03
- 初聴きディスクレポート Vol.74(2015年8月) 2015/08/31
- 初聴きディスクレポート Vol.73(2015年7月) 2015/08/01
- 初聴きディスクレポート Vol.72(2015年6月) 2015/06/30
- 初聴きディスクレポート Vol.71(2015年5月) 2015/05/31
- 初聴きディスクレポート Vol.70(2015年4月) 2015/04/30
次のページ |
新着 |
新譜リリース情報(2025年1月)
2024年 年間ベスト・アルバムTOP40
2024年 年間ベスト・ソングTOP100
2024年に観た映画 BEST10
Hakoniwa Chart's 2024 Best 100 Songs
2024年旧譜ベスト・アルバムTOP5
Interview : moë
Albums of the Month (2024年12月)
最近の気になる曲(2024/12/23)
Hakoniwa Chart 2024/12/22
2024年 年間ベスト・アルバムTOP40
2024年 年間ベスト・ソングTOP100
2024年に観た映画 BEST10
Hakoniwa Chart's 2024 Best 100 Songs
2024年旧譜ベスト・アルバムTOP5
Interview : moë
Albums of the Month (2024年12月)
最近の気になる曲(2024/12/23)
Hakoniwa Chart 2024/12/22
タグ |