ポインセチア
ネコの夢見る枕もと
ネコの夢見る枕もと
松村禎三・三善晃・広瀬量平氏らと並んでアジア的日本的な素材や情念を現代音楽に組み込み新しい響きを創った日本を代表する作曲家のひとり。
基本的には現代音楽の人なのだが、わらべ歌とかアフリカのリズムとかモダンジャズを曲の中に編み込む独特のセンスが出色だった。
個人的に、弦楽四重奏曲第1番(1963)で弦楽器がコルレーニョでリズムを刻む(アフリカのダンスのような)部分が大好きで、「鳥たちの時代」で引用している。実はこの曲の初演の時(1986年)文化会館のロビーでばったりお会いし、開口一番「あそこ、引用させて貰いました」と言うと、「あ、そうなの」と笑顔で応じてくださったのが最初の出会い。
民族音楽からジャズまでを恐れることなく現代音楽に組み込む…という姿勢にはずいぶん影響を受けた(というより力付けられた)。ヴァイオリン・ピアノ・打楽器とコントラバスのためのソナタ(1966)の完全にジャズバラードな第2楽章、合唱のためのコンポジション第5番「鳥獣戯画」の強烈な声の絵物語、平家琵琶のような情念を紡ぐ無伴奏チェロソナタ…などの作品は今でもピアノの横に楽譜が置いてある。
私の交響曲第5番を演奏する若いオーケストラ(Orchestra Neige)の旗揚げ公演を聴きに川崎へ。指揮は昨年 藤岡幸夫氏の代役で私の交響曲第3番を振ってくれた山上紘生氏。
・鳥は静かに
・プロコフィエフ交響曲第7番
・交響曲第5番
山上紘生指揮オーケストラ・ネージュ@ミューザ川崎シンフォニーホール
私が高校の学生オケでショスタコーヴィチの交響曲第5番を演奏したのが1968年。1年生の私は2番ファゴットで、その頃はショスタコーヴィチも60代(交響曲第13番が最新作の頃)で現代を生きている作曲家だった。
あれから50余年が経ち、今度は私が「(まだ)生きている作曲家」として交響曲第5番を若い人たちのオーケストラの演奏で聴く立場になった。
なんと不思議でなんと有り難いことだろう。精緻で熱い演奏を聴きながら鳥肌が立つのを覚える。
ちなみにプロコフィエフも、私が生まれた月(1953年3月)に亡くなっているので、ちょっと他人とは思えないヒト。小学校にあがった頃に父が買ってきた「ピーターと狼」(ナレーションは英語だったが)のレコードをそれこそ擦り切れるほど聴いてオーケストラの楽器を覚えたので、私の最初の師匠と言えるのかも知れない(笑)。
12月7日(土)19:00 ★
交響曲第5番・鳥は静かに
山上紘生指揮オーケストラ・ネージュ
@ミューザ川崎シンフォニーホール
12月8日(日)20:00 ☆
カルチャーラジオ日曜カルチャー
「人間を考える~聴くということ~」
@NHKラジオ第2
再放送15日(日)10:00。聞き逃し配信あり
上野の国立科学博物館へ特別展〈鳥〉を見に行く。