Wiiで売れるパーティーゲーム/Wiiでも売れないパーティーゲーム
「Wiiではパーティーゲームしか売れない」という揶揄はよく見かけます。
ポジティブに言うと「Wiiでは他機種に比べてパーティーゲームが売れる」だと思うんですけど、それは置いといて……
国内ソフト売上げランキングを見れば『Wii Sports』2本、『はじめてのWii』、『マリオパーティ8』、『Wii Paty』が上位にいて。『Newマリオ』『マリオカート』『スマブラ』という“4人まで一緒に遊べるソフト”も強く、サードメーカーのソフトでも『太鼓の達人』『カラオケ』『桃鉄』などのソフトが上位に入っています(サードに関してはシリーズソフトが投入されていないというのも大きいのだけど)。
Wiiではパーティゲームが強いというのは、確かに間違いないと思います。
しかし、Wiiでも売れていないパーティゲームも沢山ありますよね。任天堂のソフトであっても。
DS版が100万本を突破した『常識力』は、Wii版は10万本に届かなかったそうで。
『NHK紅白クイズ合戦』は初週1万本台。
『安藤ケンサク』に至っては初週1000本付近だったという話です。
ネットの情報だから正確な数字ではないと思いますし、そもそも初週で大きな売上げをあげるようなソフトではありませんが。華やかに売れまくっている上述のパーティーゲーム達と比べると、何とも寂しい数字だなぁと思うのです。
Wiiであっても「頭を使う」タイプのパーティゲームは売れないんです。
ここまでは売上げランキングを見れば分かる話。
重要なのはここからです。「では何故か?」
「頭を使う」タイプのパーティゲームは、大人と子どもの実力差が出てしまうからです。
実際に遊んでみたら子どもでも楽しめるかも知れませんが、買ってみるまでは分からないんです。
『安藤ケンサク』の「パネル9」なんかはむしろ小学生くらいの方がゲラゲラ笑って楽しめると思うんですけど(言葉遊びだからね)、それは買って遊んでみるまで分からないんです。
幼稚園児の子どもと「常識力」を競っても、そりゃ大人が勝ちます。
小学校低学年の子どもと「クイズ」で戦えば、そりゃ大人が勝ちます。そう思われているんです。
「子どもと一緒にゲームを遊びたい」と思っている親からすれば、親の圧勝なんかは嬉しくないんです。子どもも楽しくないし、子どもが楽しくないのを見れば親だって楽しくないんです。
『Wii Sports』や『マリオパーティ8』が売れたのは「これなら子どもと一緒に遊べそうだ」と思われたからなんです。『太鼓の達人』が売れるのは親御さんの信頼を勝ち得ているからなんです。そのために、ゲームデザインを極力シンプルにしているワケですよ。
(関連記事:Wiiが成し得なかった“革命”~その2.予備知識の要らないゲーム)
「よし!我が子が大きくなったら『NHK紅白クイズ合戦』で対戦するぞ!」と思っている親御さんは、子どもが何歳になったらマトモに対戦出来るでしょうか?
幼稚園児ではムリですよね。小学生低学年でもムリですよね。中学生辺りでギリギリでしょうか。でも、中学生くらいの子どもって「親と一緒にゲームなんかウッゼエし」とか言いますよね。
小学校高学年くらいから子どもは同じパーティゲームでも「友達と一緒に遊ぶゲーム」を選ぶでしょうし、そうすると『マリオカート』や『スマブラ』で良いんですよね。DSだったら『ポケモン』や『イナイレ』で良いんですよね。わざわざ「常識力」や「クイズ」のゲームを選ぶ子どもは少ないでしょう。子どもは毎日学校に行って勉強しろって言われているんですから。
そう考えると、こうしたゲームってどういう家庭で遊ばれることを想定して作っているのでしょう?
『安藤ケンサク』は本当に「良いゲーム」だと思います。でも、「良いゲーム」かどうかはその人の環境にも依るので、このゲームを「良いゲーム」と思える家庭というのは物凄く限定されるんだなとも思ったのです。
小さな子どもには楽しめない、かと言ってネットに詳しくない高齢者には楽しめない――――「良いゲーム」なのに売れないのはおかしい!って思うかもしれませんが、売れないのには売れないなりの理由があるんです。
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○ 『人生ゲーム』に負け続けた日本のゲームメーカー
多くの人は「何を当然のことを言っているんだ」「売れなかったゲームの売れなかった理由なんて後から何とでも言えるじゃないか」と思うことでしょう。僕もそう思います(笑)。
今この記事を読んで「そうか!Wiiでは頭を使わないパーティゲームが売れるんだな!よし今から作ろう!」と思ったメーカーさんが万が一でもいたら、「でも完成するのは1年か2年後ですよ」と言っておきます。その頃には市場は全く違うものになっているでしょう。
『安藤ケンサク』も着想は2007年の2月、ソフト開発が本格的に動き出したのは2007年の夏だったという話です。『Wii Sports』が超絶売れまくって、Wii本体が品切れだった頃なんですよ。本当は短期で完成させる予定だったソフトが伸びに伸びて3年、3年経てば市場はガラリと変貌して、この有様です。
だから、『安藤ケンサク』が売れなくて僕が「売れない理由はコレだ!」と説明しても、「それ3年前に言ってくれないかなぁ」って話なんです。過去の話なんです。「信長は明智光秀に優しくしておくべきだった」と今言っても、信長さんは「もっと早く教えてくれよお」と思うだけなんです。
重要なのは未来の話。
今のゲームは大人数+長期間で作っているので、開発費はかかるわ、完成するまでに市場は変わっちゃうわで大変なんだと思います。3年後のニーズを予測してゲームを作るなんて、全てのメーカーに出来ることではないでしょう。
なので……ある程度のニーズが既にあって、開発も過去の資産が使える、続編モノ&シリーズモノに力を注がれるのも仕方がないですし。その結果として、少しずつ市場が先細っているのも仕方がないのかなぁと思います。
ソーシャルゲームが人気になった要因を「最初は無料だから」「携帯電話はみんな持っているから」と分析する人も多いですしそれも確かに頷けるのですが、続編&シリーズばっかりのコンシューマーゲームにはない魅力があると思われたからってのも大きいと僕は思いますよ。
今世代のコンシューマーゲームはまだ携帯ゲーム機が「ローコストで開発できる」最後の砦になっていたと思います。
でも、DSが3DSになって、PSPがPSP2になれば開発費&開発期間は膨らむことでしょう。岩田さんは「3DSでもDSと同じくらいの開発費のゲームがあってもイイと思う」と仰っていましたし自分もそう思いますけど、同じことをWiiの時も言っていた気がする……とも思うのです。だから僕は3DSの未来を楽観視していません。
自分はやっぱり、Wiiウェアで『人生ゲーム』が1位になり続けたというのが日本のゲーム業界の現状だと思うんです。作り手の思う「良いゲーム」を作ることに手一杯で、遊び手が望むものを出せていないのが現状だと思うんです。
しかもそれを「ライト層はネットでゲームの情報を収集しないからだ!」と遊び手のせいにしたり、っていうのは自称ゲーマー層の人達の話ですけど。『人生ゲーム』を打倒して現在のWiiウェアランキング1位になっているゲームは、『人生ゲーム』の続編ですからねぇ。メーカーもそう思ってんのかもなぁ、と哀しくなってしまいます。
(関連記事:『人生ゲーム』はどうしてWiiウェアランキング1位になり続けたのか)
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