今年も PyCon JP に参加した。おかげさまで2年連続でトークセッションに受かったので、弊社で開発中のロボットで動かしている C 拡張モジュールを Python 3 に移植した事例をもとに、発表用にシンプル化して発表した。
喋った感想
ニッチめの話題だったためか聴いてくれた人数はまあこれぐらいかという感じ。私が入室しようとした時点で廊下から見える位置に「満室」の札が貼られっぱなしだったことや、難易度を Advanced にしたのもあるかもしれない。まあ、聴きたい人が狙って聴きに来れたものと好意的に解釈したい。
喋りは軽快にできて良かったと思う。1スライドあたりの情報量はもっと多くしてもよかったかもしれない。プロジェクターが1024x768と低解像度なので、年代物かと少々身構えすぎた。16:9でのスライド作りに慣れてしまった今、相対的に縦に情報量が増やせるはずの4:3は低情報量であると錯覚してしまう。まあ実際解像度としては低かったのだが。
本当はライブコーディングがしたかったので少しばかり未練が残る。不運というか自分の手際の悪さというか、PyCon JP 以前の1〜2週間が異様に忙しくなってしまいそれは叶わなかった。スケジューリングしかり、トーク内容の追い込みしかりは来年への課題となった。
他のトーク
集計によると、今年はWeb(Django)の話題が多かったそうだ。過去2年ほどはデータや機械学習的なものが多い印象だったので意外だ。個人的にはPythonそのものや知的好奇心をくすぐる話が聴きたいので、スポンサーブースの手伝いで聴けなかったもの以外はできる限りそれっぽいのを選択した。幸いにもライブ放送がそのままYouTubeに上がるので、聴けなかったものは帰宅してから1日ずっと聴いた。面白かったものは以下。(敬称略・表記は公式HPによる)
- Keynote: Kaufmann Manuel - Argentina in Python: community, dreams, travels and learning
- 今まで PyCon JP で聴いた Keynote の中で一番良かった
- Python に魅了された彼は、何度かの事故や食中毒、ボリビアでの暴動(!)に巻き込まれながらも、アルゼンチン国内のみならず周辺諸国にわたって Python を教えて回った。そのストーリーを語りながら発する言葉には並々ならない説得力があり、これから2日間のカンファレンスを始めるよいスタートとなった。
- Luka Sterbic - Why you should care about types: Python Typing in the Facebook Backend
- 毎年1〜2セッションはある Static type check 系のセッション
- 「Type hints は Pythonic だ」と語る根拠として、大きなコードの中のある関数にどういうオブジェクトが渡ってくるかを調べる場合などが挙げられしっくりきた; 実際、でかいコードやデプロイが必要なコードは手元で実行したりデバッガを挟むことも難しいし
- Instagram 製の MonkeyType は実行時の型情報をスタブに書き出し、コードに反映させられるため既存のコードへのアノテーション追加を加速できる
- 大きなコードにアノテーションを付加するには、まず共通で使われる小さいモジュールから付加していくといい
- Atsushi Odagiri - あなたと私いますぐパッケージン
- aodagさんのセッション
- 曰く「グ」を入れ忘れていたらしい
- パッケージングに関するPEPを渡り歩く感じ
- 北神雄太 - Pythonを使ったハードウェア開発について
- だんだんと高いレイヤーに応用が進んでいく様子が面白い
- 澁谷 典明 - JVM上で動くPython3処理系cafebabepyの実装詳解
- 去年 LT? で cafebabepy のお話を聴いてから興味があった
- 濃くてよかったー
- 間違いなくもっと評価されるべきトークだと思う
- 長谷場 潤也 - AltJSとしてのPython - フロントエンドをPythonで書こう
- 思ったよりマジで Python なコードがそのままブラウザ内で動いていた
- 曰く Python の組み込みオブジェクト・関数系はほぼ全部提供されているらしい
- 型チェックまでできるとか、商業的に使われないにしても本気度が伝わってきて楽しい
- Hideo Hattori - Rust と Python
- Rust は数年前に変化しまくっていた言語仕様に翻弄されてから触れてないが、それでも大体伝わってくるぐらいよく整備されているようだ
初スポンサー参加
(写真は弊社 Twitter アカウントより。本当は自分で撮ったのを貼りたかったがカメラを会社に置いてきてしまった、無念)
GROOVE X は昨年も PyCon JP スポンサーとなっていた(私はそれがきっかけで GX を知ることになった)が、今年はついにブース出展ができた。といっても取りまとめは人事の方にお任せしてしまっていたので、終始頭が下がりっぱなし。我々エンジニアが本当にやるべき仕事は「人と話し、ブランドを広め、弊社を知ってもらう」ことだと改めて思い直し、片付けの時間でもひたすら人と話していた。
ブースの位置もとてもよく、人の流れの中にあった。会場移動に限らずあらゆる時間で多くの人に足を止めていただけたと思う。来年は堂々とロボットを飾れるようになるだろうから、どんなスポンサーになれるか今から楽しみだ。
終わったあとも楽しみました
初めてお会いしたメルカリの Komatsu さん や c-bata パイセン と話しつつクロージング。その後とりあえず飲みたくてそわそわしてるパイセンに笑いつつ少しばかり商店街で飲んだ。そのあと PyCon JP を支えたスタッフの皆さんと合流し、労をねぎらいつつビールを飲んだ。独歩の樽生マスカットピルスが本当に美味しかった。また飲みたい。
来年
来年はどんなトークを話せるだろうか。ニッチに振りつつそれなりのクオリティのトークが出来たので今年はひとまず満足。来年はより広いオーディエンスに届き、コード書きたい欲を刺激しそうなセッションにしたいなーと思っている。