5五の龍
5五龍中飛車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 14:36 UTC 版)
△羽生 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 王 金 桂 香 一 飛 銀 金 銀 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 歩 歩 歩 四 五 歩 六 角 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 七 飛 玉 八 香 桂 銀 金 金 銀 桂 香 九 ▲深浦 なし 図は▲5四歩まで第2図 王位戦 急戦型の中飛車戦法で、天王山ともいわれる5五の位をとり、9七角から中央を突破する戦法。相手が5四歩と指し先手に5五の位を取らせない手を指した場合に7六歩から角を使う変化や、香落ち用の変化もある。対居飛車用の戦法のため、後手番では指しにくいと竜は語っている。 △後手 なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 香 桂 金 王 金 銀 桂 香 一 飛 銀 角 二 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 三 歩 四 歩 歩 五 歩 六 角 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 七 飛 八 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香 九 ▲先手 なし 図は▲9七角まで第3図 「イメージと読みの将棋観2」の局面 プロの実戦としてはかつて『将棋世界』1983年6月号で「定跡実験室」のシリーズ企画で永作芳也(先手、居飛車側)対伊藤果(後手、中飛車側)が、居飛車側が有利な局面として指させている。中飛車側の伊藤は事前の検討では辛い戦型なので飛車を2二飛の位置に振り直しして指そうとしていたが、対局直前に△3四歩-△1二香の組み合わせを思いつき、そのまま中飛車で指し続けた(最終的な結果は先手居飛車側勝利)。第1図から、△6二玉▲5八金△7二玉▲1六歩△1二香▲5七銀△3四歩▲6八玉△2二角▲7八玉と進んだ。 また平成8年に、王位戦七番勝負の第1局、深浦康市対羽生善治戦で先手深浦が指した例があるが、羽生の勝利に終わった。その一戦は第2図から△5四同歩▲同飛△4三銀▲5六飛△4五歩▲9五歩△4二金▲6八銀と進んだ。 以降、「イメージと読みの将棋観2」(2010、日本将棋連盟)など、プロ棋士が検討を行ったこともある。大半が「しっかり相手に受けられると勝てない」「駒組がちょっと単純すぎる」「9七角と上がると角が活用できない」という、消極的な評価であった。但し羽生善治や谷川浩司らは後手△8五歩には▲7六歩として、以下△8六歩であれば▲同歩△同飛に▲5四歩で、△同歩▲2二角成から▲7七角を狙う将棋となっているということで、「今となっては普通の将棋」としている。他方で羽生や佐藤康光らは▲9七角と端角にするのはやはり若干不利としており、佐藤や森内俊之らは△8五歩に▲5六飛と指して、左の銀を使うイメージであれば中飛車勝率も5割はあるとしている。そして谷川は後手居飛車側は△8六歩▲9七角と決める方が後手が玉を囲いにくいので△6四歩から△6三銀と手堅く指すことを示唆している。 なお、漫画内で解明された後手の作戦が奨励会でコピーで配布される指し方は△5二金右-4二銀-4四歩-4三銀と中央を厚くするものであった。 中公文庫コミックス版の羽生善治の寄稿文によると、彼も奨励会時代に指してみたことがあるという。 なお、なぜ「5五龍中飛車」と名前に「龍」がつくのかは作中で説明されていない。単に語呂が良いからかもしれないが、一部には「端角中飛車」にすべきとの声もある。 「端角中飛車」については、『奇襲大全』などに棋譜や解説があるが、広島のアマ棋士・松田竹二郎がこども将棋教室用に独自に開発した戦法だとされており、手順も大幅に異なる上、つのだの名前も出てこない。
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