TALK -- talkin'bout altered lost kraps
- Hally
- 大変お待たせ致しました、第1回と一応言っちゃっていいですかね?VORC開催の異例のトークイベント、その名も"TALK"、お越し頂きまして、まことにありがとうございます。私、VORCのメインライターを勤めさせていただいておりますHallyと申します。ライブとかに来て頂いてる方はご無沙汰しておりますという感じで、今回初めてお目にかかる方は、はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします。
- Do.
- えーっと、VORCのデザイナー、Do.と申します。普段は表に出て何もやらないので…。そうですね、僕は曲を聴いて「あ、Hallyさんコレいいですよ!コレいいですよ!」って言う係です、それだけです(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- まぁ一応レジュメらしきものを作って来はしたんですけども、そんな堅苦しくなく、ざっくばらんに思いついた事を色々とお話していきましょうという、そんなところがホームページの方から伝わったかどうかっ…ていうところは、微妙かもしれないですけども(笑)
- Do.
- あのー
- Hally
- はい
- Do.
- これHallyさんまた大きく書いちゃってるんですけども、「ゲームミュージックが好きだけど色々とうんざりだ」という、コレに関して反応してた方もネットでは散見されたという事で、この辺はちゃんと言っといた方がいいんじゃないすかね(笑)
- Hally
- そうですね。このフレーズに反応して今日お越しいただいた人は、色々と今のゲームミュージックの状況に対して思うところがある方々なんじゃないかなと思うんです(笑)。今日は、皆さんそれぞれ思うところがあるという、その意識が確認できるだけでも意義のあることなんじゃないかなと思っておりまして。
- Do.
- まぁ色々誤魔化して綺麗ごとを言ってますが、Hallyさんは立場上、色々と黒い事が言えないという事になってますんで、よろしくお願いします。(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- はい(笑)
- Do.
- 僕が悪者役になるということでね。
- Hally
- 悪者役(笑)
- Do.
- 実際にイベント内容を…どういう人ならこのイベントに来てもらった時に面白いのか?というのを考えたときに、「うんざりだ!」って思ってる人が来たらいいなと。僕らがそう思ってるというより、「うんざりだ!」って思ってる人が来た方が面白いんじゃないかというのが大きかった、これなんですね。
- ―
- (笑)
- Hally
- 「ネガティブシンキングじゃないか?」って言われたらそうかも知れませんけれども、それをポジティブに変えて行こうじゃないかというね。また綺麗事言ってますか?
- ―
- (笑)
- Do.
- いやいいんじゃないですか?(笑)というわけでじゃあこれがイントロですね。
ゲームミュージックというコトバ、その認識の乖離
誰しもみんな「ゲーム音楽が好き」なのは同じだけど…。
- Hally
- 自己紹介がてら、僕ら二人のお気に入りをそれぞれまず一曲づつかけてみるってのはどうですかね。
- Do.
- 後は全部ダメな曲です(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- そ、そういうわけじゃなくて(笑)お勧めみたいなのを一曲かけるってのはどうですか。
- Do.
- あー。あのねぇ、お勧めって時と場合で色々変わっていくと思うんです。
- Hally
- そうですね。
- Do.
- なので、僕がとりあえず一番最初にかけさせて頂くのはですね…ちょっと前に色々話をしてる時に「ホントにNEO-GEOって聴くもん無いよなぁ」と。
- ―
- (笑)
- Hally
- いきなりぶっちゃけトークになってますけど!(笑)
- Do.
- いや、実際のところ、最初の何作か以外は無いですよね!
- Hally
- あのまぁ(笑)画一的な音ばっかりだっていうところは、認めていいところじゃないかと思うんです。
- Do.
- その中で、コレを聴いた…わざわざチェックしてる方も居るとは思うんですけど、でかい音でちょっと聴いてみましょうということで。『 サッカーブロール 』聴いていただきます。あ、反応した方居ました?
- ―
- (笑)
- Do.
- というか皆聴いてない?『サッカーブロール』、これねぇ…すんごぃ亀忍者っぽいんですよ(笑)
- Hally
- (笑)
- (サッカーブロール)
- Do.
- こんな感じなんですけれども…SNKがこんな曲作れる訳が無い!
- ―
- (爆笑)
- Hally
- えー、えー、えっとえっと(笑)
- Do.
- ゲーム自体は「近未来サッカー」なんですね、で、ロゴとか見れば「これ完全にデータイーストだな」と。
- ―
- (あー…)
- Do.
- ちょっと調べただけではデータイーストかどうか判んなかったんですが、ロゴデザインや画面を見る限りはデータイーストだと思うんで、皆さんあったら確認してみて下さい。SNK…NEO-GEOに関してはホントに「SNK以外の会社だけが頑張ってた」っていう。
- ―
- (笑)
- Hally
- えーじゃあ次(笑)
- Do.
- いや!これけど悪口言ってるわけじゃないですからね。
- ―
- (笑)
- Do.
- 本当にもうバカじゃないのか!っていうね。 あのすいません、関西がちょっと長かったもんで。
- Hally
- (笑)
- Do.
- 先に言っとくべきだった。「しね!」とか「しねばいいのに!」とかすぐ言っちゃうかと思うんですが、「こんにちは!」とかそういうぐらいの意味で。
- Hally
- 今後もドギツイ発言のオンパレードになるんじゃないかなと(笑)
- Do.
- キツくはないですよ(笑)
- Hally
- 心臓の悪い方はくれぐれもご注意くださいということで。えーとじゃあ僕は「○○っぽいつながり」ということで、AMIGAの『 Carrier Command 』というゲームがあるんですが、これが洋ゲーのくせに非常に ZUNTATA っぽい。
- ―
- (笑)
- Hally
- …っていう事で、まずはお聴きいただこうかと思います。
- (Carrier Command:観客から笑いが)
- Do.
- これアレンジか何かですよね。
- Hally
- そうです、向こうの雑誌に付いてたアレンジテープの中に収録されてたバージョンで、AMIGAバージョンよりちょっと音が豪勢になってるかな?という感じ。僕はこれ初めて聴いた時「あれ?『 ダライアスII 』じゃねぇの?」って思って。
- ―
- (笑)
- Hally
- 女の人の声が入るところとかね。で、実際問題として ZUNTATA っていうのは日本だと凄い、あのー、よそとは違う…
- Do.
- Hallyさん!
- Hally
- はい?
- Do.
- ZUNTATA批判はヤバいっす!
- ―
- (爆笑)
- Hally
- 大丈夫!批判はしません!大丈夫です(笑)はい。
- ZUNTATAっていうのは日本ではちょっと一線を画した、分類不能な存在みたいな感じになるんですけれども、割とヨーロッパのニューウェーブとかエレポップとかの影響を如実に受けてて、こういう形でぜんぜん違う場所に似たようなテイストの曲が現れている。そういうのを探していくのも面白いなと。
- 僕はVORCというものを通してそういう探求を色々やってますという、そういう意味での挨拶も込めまして、この曲を選んでみました。
- Do.
- あの、僕の場合は『サッカーブロール』が一番好きとかじゃないんで。
- Hally
- あ、そうですか(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- これはゲームミュージックの…ゲームミュージックというか音楽全般なんですが、「ずっと同じ曲好き」とかは無いので(笑)
- Hally
- まぁそうですよね、ひとつの場所にこう留まらずにどんどん色んなものをね。
- Do.
- 最近見つけて「うわーこれいいじゃん」ていう素直な気持ちをぶつけてみました(笑)
- Hally
- Do.さん的に一番ホットな曲だったと言うことで(笑)
- Do.
- はい(笑)
- では、「誰しもみんなゲーム音楽が好きなのは同じだけど」の「だけど」、これ行ってみましょうか。
- Hally
- はい、「だけど」…何でしょうというね。
- Do.
- 考えてなかったですが(笑)
- Hally
- みんな「ゲームミュージック好きだ」って言うけれど、その「ゲームミュージック」って言葉の指すものが、例えばスクエニ一辺倒の人も居れば、昔のナムコしか認めないぜって人も居れば、という。
- Do.
- そういう人が来てもしょうがないっていうのも込めて、「うんざり」+「スーファミ以降のRPGかかりません」っていうね。
- ―
- (笑)
- Do.
- 「来ても面白くない人が来たらかわいそう」っていうのがありますからね。
- Hally
- とはいえね(笑)そういう所で、何かしらやはり根底に通じるものはあるはずだということで、そこを探りつつ、同時に色んな枠を破って行きたいなとまた綺麗ごと言ってますかね僕は(笑)
- Do.
- いいんじゃないですか(笑)次の項目がまた既に問題ありみたいな感じなんですけど。
- ―
- (笑)
- Do.
- これ「~RPG」の話からそのまま綺麗につながるんですけどね、「大御所主義と老害」。
- Hally
- (笑)
大御所主義と老害
思い入れは分かる。でも、それだけでいいの?
- Hally
- そういう、ゲーム音楽ってものは色んな可能性を秘めてるにもかかわらず、どうもここしばらくのゲーム音楽ってのは、殻に閉じこもり気味じゃないかと。有名な人ばかりがやたら持て囃されて、無名な人は無名のままという状況が、随分長いこと続いているなぁと思うわけなんです。
- Do.
- ありますよねぇ~。で、その大御所主義っていうのは結局名前が出る人しかCD化されないとか、そういうところとかですね。
- Hally
- そうですね、もっと言えば、一度大作で…大作もそうだし、何かしらの話題作…で名前が売れた人っていうのは、そこからまたクローズアップされて行く。逆に言うとゲームに恵まれない限り、どんなに優れた曲作ってても、まったくダメだというね。
- Do.
- しかもそれが音楽と関係ないところでなんですよねぇ。すいませんなんか棒読みみたいになっちゃって。
- Hally
- 脚本読んでるんじゃないんだから(笑)
- Do.
- どこまで言っていいのか悪いのかという。
- で、音楽作る人も、ずっと同じテンションで曲が作れるか?と言えば、上手くなっていく人も居れば下手になっていく人も居る。そんな中、昔有名だっただけで、今でもその名前で飯食ってる人が一杯居ますねって話ですね。
- ―
- (笑)
- Hally
- 実際ね、本当にゲーム音楽に限った話じゃなくて。普通ミュージシャンていうのがずっと同じ作曲レベルをキープし続けるって事はあり得ない。何人か凄い少ない例外は無くはないですけども、普通はどっかで上昇曲線なり下降曲線なりを辿って行く、そういうもんですね。
- そこをゲームミュージシャンだけ例外視するのは、ちょっと出来ないんじゃないのかなという。冷めた意見かも知れないですけれども。
- Do.
- 音楽だけ聴いていれば、その辺はちゃんと判るはずなんです。けれど、どうしてもそのファン心理みたいなのがね。
- Hally
- あー、そうですねぇ。
- Do.
- 自分が好きだった昔のものを裏切れないみたいなね。この辺はちょっと後の項目の「ベーマガイズム」だと思うんですけれども。
- Hally
- (笑)
- Do.
- ほんとね、ベーマガの「前向きだったら何でも正しい」みたいな意見はね、バカか、死ねっていうね。
- Hally
- ベーマガって今にして思うと、あれは「青年の主張」だったなと。
- ―
- (笑)
- Do.
- 音楽の話とか全然関係無いですからね。
- Hally
- そうですね、「僕はこう思います!おわり!」みたいな感じで、発展的批判っていうところまで行かないというのがありました。
- Do.
- というわけで、これ、関係あるかどうか難しいところなんですけれども…(NINTENDO)DSでFM音源。
- Hally
- あ、はいはい。DSでFM音源と言えば!
- Do.
- DSでFM音源と言えば!
- Hally
- 言えば!
- ―
- (笑)
- Do.
- まぁいいんですけど(笑)
- Hally
- (笑)
- Do.
- 話題になりましたね、ちょっと前にね。
- Hally
- 話題になりました、だから「みんなDSでFM音源聴きたかったんだ?」という事は判りました。「じゃあ何でコレを評価しなかったの?」というものを。
- Do.
- というものをちょっと一曲…一曲じゃないですけど続けていきましょう。サクセスで『 プロになる麻雀DS 』
- (プロになる麻雀DS)
- Hally
- これは2005年のタイトルっていうことで、結構早くからFM音源の音をサンプリングして、DSで流してたんですけどちっとも話題にならなかった。…と、こないだサクセスの方がぼやいてました(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- まぁ麻雀ゲーム買いませんよね、普通。
- Hally
- そうですね。あと、この曲聴いて誰もマージャンだと思わないんで(笑)
- ―
- (爆笑)
- Do.
- けどまぁこんな感じで、なんていうんですかね、単なる「縮小再生産」というところにはいかない、ちゃんとした曲を作ってるんじゃないかと。
- Hally
- そうですね。
- Do.
- うん、あれ、何でしたっけ話。
- Hally
- えーと…
- Do.
- あ、大御所主義と老害でしたね。
- まぁこれで何人かキチンと皆さんの頭の中にその人が浮かんでるといいなと。
- ―
- (笑)
- Hally
- うん。あのね…名前の売れてる人が、昔のまま、凄いままだったら…ゲームミュージック業界は今もっと凄い事になってるはずなんです(笑)。けれど業界の状況を比べれば何かおかしいなと…そういう違和感くらいはあってもいいんじゃないかなというね。
- 別に明日あるイベントの事を何か言いたい訳では無くて。
- ―
- (爆笑)
- Do.
- あ、それは本当に僕全然思ってなかったですよ!
- Hally
- ついでに言うと、このイベントを今日(2007年7月6日)やってるのも、全然当て馬とかそういう訳ではないので。
- Do.
- 会場の予約が空いてる日が2つあったんですが、(イベントを)手伝ってくれる人が片方来れない日だったので「じゃあこっち(7月6日)でやろう」…ってやってるだけなんで。
- Hally
- えーとね、色々勘ぐって下さってる方も居るみたいで、ありがたいと言っていいのか何と言っていいのか判りませんが(笑)そんな感じで「現状に対しての違和感」というお話でした。
- Do.
- まともな「ゲームミュージックのCD」って出てませんよね。
- Hally
- えーと、そうですね、まともというか…
- Do.
- 音楽的に面白いか…っていうものは出てないですね。
- 昔の G.M.O. 時代…当然ここ来てる方はご存知だと思うんですけど、効果音とか入って、音楽にする意味があったんですね、パッケージングするね。
- Hally
- そうですね。
- Do.
- ただ流れてるだけのものを、今ならエミュレータなりなんなりで聴ける時代にそのままCDにしたら、何の意味があるんだ?という。その辺、今の作り手側に音楽としての意識が低すぎるんですよ。
- Hally
- というかね、「アルバム単位での楽曲の流れ」というもの?そういうものが残念ながらG.M.O.以降は全く無くなっちゃってるなと。
- Do.
- 今のCDは正直、誰でも作れるんですよ。
- Hally
- うん。
- 「綺麗に録って、それをパーフェクトに収めました」、まぁ志は大変良いと思うんです。ただ、それは売るんじゃなくて、図書館とか博物館に収めるべきものじゃないのか?というのが僕の思うところでして。
- Do.
- 実際、僕もうゲームミュージックのCDは殆ど買ってないんです。
- ―
- (笑)
- Do.
- で、代わりに何を買ってるかというと、ゲームミュージックのCDって有名人のしか出ないんですけど、アニメの劇伴が面白いんですね。
- Hally
- へぇ。
- Do.
- 色んなジャンルが「本物」まで行かないまま混ざった音楽で、しかもどのCD買ってもちゃんとコンポーザが誰か判るという。
- Hally
- そうですねぇ。
- Do.
- で、アニメだったら作品は何であってもCDは出ちゃうんですよ(笑)ゲームミュージックってほんと有名人のしか出ないから、追っかけてても全く音楽として面白くない。
- Hally
- そういう意味では、アニメのサントラってのは非常に対等に色々な聴き比べが出来る。その状況を比較するだけでも、ゲーム音楽の状態ってのはまだまだイビツなんじゃないかな?というのが判ると思うんですね。
- この辺の話はそれぐらいでいいですか?(笑)
- Do.
- まぁ事あるごとにケチをつけると思うんで(笑)
ゲーム音楽史の再構築
- エレメカ時代は華やかだった
- G.M.O.の様式美
エレメカ時代は華やかだった
- Hally
- そもそも、なんでそういうイビツな状況になっちゃたのかなっていう…まぁイビツだって思ってる人達がどれぐらい居るのかっていうのも、イマイチ判んないといえば判んないんですけども。この現状に行き着いた経緯ってのは一体どういうものだったのかなっていう事を、改めて振り返ってみたいなと思うわけです。
- 何しろゲーム音楽史っていうのは、一環して語ってきた「歴史の語り部」というのが居ないんで、皆それぞれの好き勝手な事を言っている。例えばどこかの会社の意見だと「ゲーム音楽の歴史は『ドラゴンクエスト』から始まった」とか言ってるわけです。んなわけないだろと(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- さりとて、黄金時代のナムコから始まったと言う人も居るし、任天堂から始まったと言う人も居るし、どれが正しいねんという話なわけなんですけども。
- Do.
- (レジュメを見て)タイトルでネタバレしちゃってるじゃないですか(笑)
- Hally
- はい、そうなんです。「ゲームの音楽でしょ?」ということで、それは何も電子ゲームの音に限る必要は無くてですね、実はゲーム音楽の歴史ってのは エレメカ の前からずーっと始まってるっていう、ちょっとそこに目を向けてみるのもいいんじゃないですか?ということを言ってみたいわけなんです。
- 世界で初めて音を出したビデオゲームっていうのがATARIの『 PONG 』だったっていうのは非常に有名な話なんですけど、そのATARIの『PONG』は「電子音で」音を出したのが初めてっていうだけであって、エレメカの世界では60年代の後半ぐらいから筐体にカセットデッキをぶち込んで、それを割とインタラクティブに操作してBGMを聴かせるということを結構長い間やってたんですね。そういう事をご存知の方はどれ位いらっしゃるか判んないですが、そういうエレメカの音楽を聴いた事がある方ってのはこの会場には居ないんじゃないかなと思うので、それを今日はちょっとかけてみようかなと思います。
- レジュメの方にちょっと写真を出している、Midwayが1972年…奇しくも世界初の商業用ビデオゲームの『 Computer Space』と同じ頃に出たエレメカで『 DUNE BUGGY 』というのがあるんですけど、これの音楽をちょっとかけてみようかなと思います。
- (DUNE BUGGY:左チャンネル)
- Hally
- 面白いことに、このカセットテープは右と左で全然別の曲が入っていて、今は左だけ鳴らしてるんですけど右にすると…
- (DUNE BUGGY:右チャンネル)
- Hally
- こんな感じで切り替わるんですね。あと『 SHOOT OUT』ってゲームがあるんですが…
- (SHOOT OUT:右チャンネル 曲が流れる)
- Hally
- こう曲が鳴ってる、『SHOOT OUT』は言ってみればガンシューティングなんですけれど、ターゲットが出てきた瞬間に…
- (SHOOT OUT:MIX 左チャンネルの「SHOOT OUT」という声が入る)
- Hally
- …っていう風な具合にアナログに切り替えをしてたというね。
- 昔は昔で、色々インタラクティヴ・ミュージックの工夫をやってた。で、こういう技術が割と盛り上がった段階で、デジタルのサウンドが出てきて…「一回ゲームミュージックはリセットがかかっちゃったんです」という事が言いたかったわけです、はい。
G.M.O.の様式美
- Do.
- じゃ、この「G.M.O.の様式美」とありますが。
- Hally
- はい、それでゲーム音楽に一回リセットかかって、音楽知らない人が音楽やるようになった(笑)で、折りしもYMO以降のテクノムーヴメントの影響もあったり、ピコピコした電子音が面白いよという事もあって、素人が作った音楽でも面白いということでゲーム音楽がレコード化されるようになったわけです。ただまぁ当時の電子音楽は、いかにYMOなどの功績があったとはいえ、まだあまりに奇抜なものだったので、編曲作業で色々工夫を凝らしてたと言えると思います。
- 「世界第一号のゲーム・ミュージック・アルバム」の『 ビデオ・ゲーム・ミュージック 』というのが、編曲面で相当気を使ってたアルバムだというのは、ここに来てる皆さんだったらご存知なんじゃないかと思うんですが、巧みに「効果音を入れる」ということをやっていた。その効果音を入れることによって、原曲には無い旨みも出せるし、原曲だけじゃ物足りないって人を満足させる事も出来たという。
- Do.
- あれは、当時の「やっぱり家で聴きたい」って層には不評だったようです。
- Hally
- そうですね、ゲームそのもののファンは「素の音をありのままに聴かせてくれよ」と。
- Do.
- 正直なところ、僕もあれは当時不満でした、けど・も!時間が経って「あ、やっぱりコレが無いと音楽として出す意味が無かったんだ」という事は判ります。やっぱり今の、90年代後半から出てきたCD…2ループ入って、効果音が入ってない…それだけで「はい、曲がハダカで入ってますよ」っていうのを、家で聴いてられないんですよね。
- Hally
- そうですねぇ(笑)
- Do.
- 10秒くらいで「あー、もういいス、もういいス!」みたいな、そういう感じになっちゃうので。
- Hally
- 断片としての面白さもあるかも知れないけれど、CDっていうのは一応60分とか流して聴くもんだという、アルバム全体としての盛り上がりっていうところを、割と軽視されちゃったなぁ…というのが90年代以降の流れとしてあって。要するに編集する側のこだわりというものが極端に無くなってしまった。それは、割と哀しい事だなと僕らは思ってる訳なんです。
- Do.
- その、G.M.O.の美しい仕事、これしか無いだろう!というのをちょっと流しますけれど。まぁ、皆さん聴いた事はあると思うんですが、もう一回その「効果音が入ってる事の意味」というのを意識して聴いてみてください。テクモの『 ボンジャック 』ですね。
- (ボンジャック)
- Do.
- いやぁ、最後のところの高揚感がね…僕あそこ何度聴いてもグッと来るんですが、僕だけだったようです(笑)
- Hally
- いやいやいや(笑)曲と曲とが繋がることによって、一曲づつでは出てこない新しい魅力が出てくるというね。ゲーム音楽の「一曲一曲の素晴らしさを語る」っていうのも、それは当然必要な事なんですけれども。「アルバムとしての全体の構成美」っていうところを語る視点が無くなってしまったという意味では、今のゲーム音楽の語り手というのは残念ながら退化しちゃってる。
- これはちょっと厳しいですけれど言っておかなきゃいけないところじゃないかと思います。
- Do.
- そうですね。あと、さっきちょっと出た「素人が作った音楽」という話で。
- Hally
- はいはい。
- Do.
- 初期だとやっぱり、話題に上るとしたら「東亜プラン」だと思うんですけど。
- Hally
- あー(笑)
- Do.
- 東亜プランもいいんですけど、ちょっと最近のものから…というところで。腹抱えて笑ったという…
- Hally
- これ行きますか?(笑)
- Do.
- 突然ノリが変わり過ぎるんですが、行ってみましょう。怒首領蜂、IIの方を。
- ―
- (笑)
- Do.
- これねぇ、ホントねぇ、冷静な気持ちでは聴けない音楽です(笑)
- (怒首領蜂II)
- Hally
- あのー…「サンプラー手に入れて初めて作った音楽じゃないのか!?」と(笑)
- ―
- (爆笑)
- Do.
- なんかもう、鳴ってるもんのタイミングがおかしいんですよ。
- Hally
- タイミングもおかしいし、音程感もおかしいし、あらゆるものが強引過ぎる(笑)これは…何でしょうね、「普通に聴く分には、聴くに耐えないと言われかねない曲」だと思うんですが、"ゲームミュージックというカテゴリ"の中だったらこういうものが許されたという、そういう残滓みたいなところがありますよね(笑)
- Do.
- 許されてましたかねぇ…これ(笑)
- Hally
- (笑)
- Do.
- 話題になってなかった気もするんですけどね、全く。
- Hally
- 話題にはなってなかった、だけど…
- Do.
- 酒飲んで聴くと凄い面白い音楽だという。
- Hally
- (笑)
- Do.
- はい、というわけで…え?もう「G.M.O.の様式美」終わっちゃうんですか?終わってもいいですけど。
- Hally
- 色んな認識の仕方があると。皆さん、聴き方の裾野を広げて下さい、っていうところは伝わったんじゃないでしょうかね。そんなこと僕らに言われるまでもないよ!っていう方も沢山いらっしゃるとは思うんですけれども。
いまだ根強い『ベーマガ』イズム
技術論はもういいから…。
- Hally
- そういう、「いいゲーム音楽」とはどういうものか?っていう視点が、割と一本化していっちゃったところは…やっぱりベーマガ含むゲーム雑誌の功罪ってところがあったんじゃないかなと思うんですね。
- Do.
- 「世界観」ですね?(笑)
- Hally
- 「世界観」(笑)
- Do.
- 「プロデューサーと音楽家の綿密な打ち合わせ」とかね。そういうどうでもいい幻想があの辺のせいで一杯バラ撒かれて。いまだにその辺から脱却できてないな…と思える話が時々ありますね。
- Hally
- その頃培ったモノの見方で今も見てます、という、それは別に全てが悪いことでは無いんですけども、ベーマガの…ベーマガのというか、当時のゲーム雑誌の音楽に対する影響力っていうのはデカかったんだなということを、今でもまだ思い知らされますね。
- Do.
- 具体的には…具体的にって話でもないですけど、やっぱりその…「 ホンキでホンネ 」とか?
- Hally
- ありましたね、「ホンキでホンネ」(笑)
- Do.
- その単語だけで笑っちゃう人が会場にもね、居ますけど。
- Hally
- あれ正に "青年の主張" でしたよね。
- Do.
- あのねぇ…音楽なんて、打ち合わせがどうこうより、腕のいい人が作った方がいいに決まってるんですよ。で、この間ネットで見たんですけれど、任天堂のインタビュー。
- Hally
- はいはい。
- Do.
- 要旨としては「BGMに徹します」みたいな事書いてたんですけど。
- Hally
- うんうん。
- Do.
- BGMに徹するのはいいんですけど、世の中に…今までですよ?「BGMが前に出過ぎててゲームの邪魔だ!」ってゲームがありましたか?それは単にゲームが面白くないだけなんですよ。
- ―
- (笑)
- Do.
- 「面白くないゲームにいい曲がついてる」っていうことはあるけど、「これはBGMが前に出過ぎてて話にならないだろー」…ってそんなゲームは僕聞いたことないですよ。
- Hally
- そうですね(笑)「話にならない」って次元まで行ったのはない。『 アウトラン 』とか、あと日本ファルコムが目立ち始めた頃によくそういう批判は聞きましたけども、「じゃあ、あなたそれでゲーム出来なかったの?」って言うとそんな事はないと。
- Do.
- とにかく「いい曲」を作って下さいって事ですよ。
- Hally
- まぁ、こういうご時勢で、ゲームの音楽がどうしても後ろに引っ込みがちです。むしろ邪魔するぐらいの勢いで血気盛んに飛び込んでって欲しいなと。
- Do.
- そして評価する時にですね、RPGの曲が何でつまらないかっていうのは、やっぱり「良いよー」っていう話をされるときに皆さん感じてると思うんですけど…
- Hally
- その前に、RPGの曲が何故つまらないかっていう、その前提が伝わってないと思いますよ多分(笑)
- Do.
- まぁRPGの曲好きな方はごめんなさいね。えーとですね、やっぱりその思い入れ、「あのシーンで流れるあれが良いんだよね」という話し方されても、やってない人には判んないんですよ。もうどんなゲームでもそうです。そりゃ確かに『 サンダーフォースV 』で「IVの自機出てきたー!」…ってすいません、僕もあれはプレイ中ちょっと涙がにじんだんですけど(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- でもあれを「あの曲いいよね」っていう時に、その部分を知らない人には伝えられない部分ですよね?
- Hally
- うん。
- Do.
- 音が鳴ってる以上、音楽っていうのはそれだけで聴けるんですよ。CD出しちゃってるようなゲームミュージックってのは、そこで言い訳を出来ないんですよ、もう。
- Hally
- ふんふん。
- Do.
- だから、せめてゲームミュージックの話を人とする時は、音楽だけで話をしましょう。「あの演出かっこいいよね」っていうのは当然アリなんですけど、それは音楽の話じゃなくてゲームの演出の話です。
- Hally
- そうですね。それを言ってる限りは、残念ながらゲーム音楽って音楽雑誌とかには相手にされない「音楽以外の何か」で終わってしまうんでね。ゲーム音楽を「音楽として」認めさせようという想いが多少でもあるのであれば、そういう「演出を排除した視点」というものを考えなきゃいけないと。
いまだからこそチープにきこえるCD-ROMゲームの音
ゲームミュージックのなかのモンド
- Hally
- 「いまだからこそチープにきこえるCD-ROMゲームの音」ということで。
- Do.
- ピコピコした音楽を聴こうと思って来て、まさかCD-ROMの曲を聴かされるとはね。
- ―
- (笑)
- Hally
- PCエンジン、初めてCD-ROMというものを採用したゲーム機が出てきて、「ゲームの音が凄いリアルになった」…って、えらくもて囃されました。で、今日に至ってはCDクオリティで音が鳴ってるのは当たり前だっていうぐらいまで来たわけです。
- けれどそこで、80年代に言ってた「リアル」と、今言ってる「リアル」ってのが全然違うんだということを、昔のCD-ROMの音源を聴き返してみると如実に感じるわけです。いかにCDで鳴ってる音とはいえ、これはもうとっくに「レトロ」の領域に突入してるなーという事を、最近シミジミ思い知らされております。
- Do.
- だからこれは、当時は評価出来なかったんですけど、今になったら「あ、意外と聴けるな」っていう音楽ですね。
- Hally
- そうですねぇ。
- Do.
- 再評価ではなく「初評価」です。
- ―
- (笑)
- Hally
- 10年以上埋もれてたって事になりますか。最近ちょっとね、お仕事の方で色々かかわる事になったPCエンジンの『 ヴァリスIII 』あたりを、ちょっとかけてみようかと思うんです。えー、日本テレネットというとね、なるけみちこさんですとか、ウルフチーム系の人ですとか、そういった人たちの名前ばかり取り上げられてる中で、それなりに…いやかなり実力がありながら、埋もれてしまった人も何人か居ます。
- 村上慎吾さんという名前をご存知の方が居たら、その人は相当な通じゃないかなと思うんですけれども。KIDで、『 烈火 』っていうFCのゲームを手がけられた塩田信之さん…まぁ割と有名な方なんでご存知の方も居るかと思うんですが、その方と専門学校の時かな?同期だったそうで。で、塩田さんも実力を認める数少ない一人だったんだけど、今ではゲーム音楽業界には居らっしゃらないし、誰にも評価されなかった…そういう悲しいお話もあったりするんですが。
- (ヴァリスIII)
- Hally
- 「せっかくCDの音源使えるのにシンセの音ばっかりじゃないか」というね(笑)今となってはある意味で考えられない楽曲だけれど、逆にそこが魅力じゃないかなと思うんです。チップチューンには属さないかもしれないけれど、だけどこれは確かに80年代に固有の音風景を持った音だと。それはまぁ90年代にも沢山あるんですけれど、そういった部分からCD-ROMのゲーム音楽っていうのは、一般音楽とも微妙に異なるものなんですよという…そういう評価がそろそろ出来る時期に来てるんじゃないかなと思います。
- そんな路線から次はDo.さんのお奨めで。
- Do.
- オススメでもないですけれど、お約束なんでとりあえずは大きい音で聴いておきたいというのを。
- はい、『 ガルクライトTDF2 』。
- Hally
- 難しいところ来ますね(笑)
- Do.
- 難しくはないでしょ(笑)
- (ガルクライトTDF2)
- Do.
- これ…タイトル画面の曲なんですよね、5分ありますけれど。
- ―
- (笑)
- Hally
- 「お前は洋ゲーかっ!」っていうくらいのガンバリっぷりですけれど。
- Do.
- 曲調的には『 ライザンバー 』と全く変わりないですね(笑)、素晴らしいです。
- Hally
- そうね、データウエストのゲームですという、まずその前提を伝えてなかったような気がするんですけど(笑)そんな感じでCD-ROM音源の再評価…再評価じゃない初評価ってお話は、一旦区切りでいいですかね。
- Do.
- はい、また後でかけましょう。
スーパーファミコンとアミーガの功罪
なんで「聴ける」曲がこんなに少ないの?
- Hally
- えーとね、そうやってCD-ROMの音源が実は意外と面白かった…という事に気付く反面、スーパーファミコンとかAMIGAとか、PCMベース初期のゲーム機の音楽というのが、どうしてこう、なかなか良い音楽ってのに巡り合えないんですかねという。
- Do.
- それは、一般認識としてどうなんでしょうね(笑)スーパーファミコンの曲っていうのは世間的にはそんなにショボくはないと思われてませんか。
- Hally
- そうですね、RPGの大作の曲なんかは特に、少なくともファミコンの曲よりは評価高いんじゃないかと思うんですが。
- Do.
- ただ思うんですけど、ここに来てるような…多分にマニアックな方でも、スーパーファミコンの曲って「ハドソンとコナミぐらい押さえておけば、後は聴くもんないな」ぐらいの認識だと思いますよ、僕もそうですし。
- ―
- (笑)
- Hally
- まぁねぇ。あと色々調べていくとね、細々と頑張ってるゲームもあるし、洋ゲーだとAMIGAのMODをそのまま使ってたりというケースも割とあるんで、色々探せば「無くはないな」と思うんです。
- けど、技術的な見地で言うと、それまで音楽データっていうのは、「音色」の部分に割くデータ量がそんなに多くなくて済んでたんですが、PCMというものを使うようになってから、そこにかなりの量を取られるようになった。それでシーケンスの部分に割ける分量ってのがどんどんどんどん…すり減らされて行って…。要するに作曲で凝るよりも音色で凝る、という発想の転換が起きちゃったっていうのがあると思うんですね。ただ、それにしてもちょっと…音色にばかり比重を置きすぎだろうという、今にして思うとそんな感じなんです。
- 当時はそんな作り手側の裏側の事情など知る由も無く「あれ?なんか昔のFM音源とかの曲に比べて、それほど劇的に面白くなったとは思えないなぁ…」と。その代わり『 アクトレイザー 』にしろ『 ファイナルファンタジー 』にしろ、そういうオケっぽい、まがりなりにもオケっぽい音が使えるようになったなぁっていう部分で感心をしていた。聴く側もそういう「受け入れ方を変化させる」っていうことをやっていたと思うんですね、それが自覚的だったかどうか…ってのはまた別問題ですが。それにしてもちょっと酷い曲が多いと。
- Do.
- 「酷い曲」じゃ、かけるアレ無いじゃないですか。
- Hally
- えーとね、スーパーファミコン側はともかくとして、AMIGAも同じ状況だったということを知ってもらいたいなと思って。今からその酷い曲を代表するようなのをかけようかと思うんで。酷いですホントに、泣けてきます。
- (AMIGA版アフターバーナー:展開に合わせて「えー?(笑)」とか聞こえてくる)
- Hally
- まぁ、ここまでやっちゃえばある意味潔いかなとは思うんですけども…なんで『アフターバーナー』がこうなっちゃうのかというと、誰にも判らない。
- ―
- (笑)
- Hally
- 今度はお口直しに「AMIGA史上最高峰」と言えるものを。結局PCM音源の使い方ってもう2つに振り切っちゃってて、極力音色データを小さくしてシーケンスの方にデータを割けるようにするか、今の『アフターバーナー』みたいに割り切っちゃって、もうフレーズサンプリングでガンガン行っちゃえばいいやってなるかのどっちかなんですね。で、そのフレーズの方で頑張ってたので代表的なのが『 Gauntlet III 』。「ガントレットに3なんてあったっけ…?」って話ですけど(笑)
- (Gauntlet III)
- Hally
- 作曲は日本だと『 ソルスティス 』というFCのゲームで有名な Tim Follin という方なんですけれども、AMIGA方面の曲はあんまり知られてないんじゃないかな?ということで、ちょっとピックアップしてかけてみました。
- Do.
- 次はじゃあスーパーファミコンですね。
- Hally
- そうですね、えーと…どうしましょう。
- Do.
- スーパーファミコンで良くないのって言っても…良くないのは本当に沢山あります(笑)
- Hally
- (笑)
- Do.
- 世間的には、やっぱりコナミとハドソンは評価されてて聴き飽きてるんじゃないかと。
- Hally
- 今更聴くまでもないと。
- Do.
- そうなると…(*客席に)「何か聴きたいものあります?」
- ―
- (笑)
- Do.
- でかい音でこれは聴いといた方が良いだろう的な。
- ―
- 「蓬莱学園…」
- Do.
- 『蓬莱学園』?あったかなぁ…しかも自分の知らないタイトルが出てきて、まだまだぼくらスーパーファミコンは勉強不足ですよ。
- Hally
- 『 ガンダムウィング 』とかどうですか(笑)
- Do.
- えーと『 蓬莱学園の冒険!転校生スクランブル 』、これですかね。これかけて物凄いショボかったら面白いですけどね。
- Hally
- (笑)
- (蓬莱学園の冒険!転校生スクランブル)
- Do.
- おかげさまで間がもちました。
- ―
- (笑)
- Do.
- 今のは何かね、凄い綺麗な音で…次にかけるのがショボいんで申し訳ない感じなんですけれど。あのですね、ちょっと話は前後しますが、後で ガブリンサウンド の話するんですね、『 シュビビンマン 』…PCエンジンのね、これ曲が良いのは皆さんご存知だと思うんですが、このスーパーファミコンの『 ソニックブラストマン2 』が、実にシュビビンマンテイスト溢れる構成なんですね。
- (ソニックブラストマン2)
- Do.
- こんな感じですね…すいません、凄い良い曲ってわけじゃないんで。地味にクる曲ということで。
- ―
- (笑)
- Do.
- あとこれも、元のを知ってたら面白いぐらいのネタ曲と言っても差し支えないんですけど、SFC版の『 オペレーション・サンダーボルト 』がですね、これイントロが…聴いて頂ければわかるんですけど「お前また『 ニンジャウォーリアーズ 』か!」みたいなね。
- ―
- (笑)
- Do.
- イントロ一瞬なんで、そのイントロの一瞬を聴いてください。
- (オペレーション・サンダーボルト:客席から笑いが)
- Do.
- アーケード版と全然曲が違うんで…やっぱナツメなんですかねぇ?お客さんに聞くのもなんですけど。
- Hally
- 聞いてどうすんの(笑)
- (ここでちょっと機材トラブル:Windows のエラー音が)
- Do.
- じゃあ一応あの、中途半端だと欲求不満になるということで『 ニンジャウォーリアーズアゲイン 』も…。
- Hally
- あ、これ鳴らない。
- Do.
- ダメ??欲求不満のままですね。
- ―
- (笑)
- (再生アプリケーションに不具合が)
- Hally
- じゃあスーパーファミコンこれまでということで。
- Do.
- 『 ソルスティス2 』かけてないっすよ。
- Hally
- あー。
- Do.
- すいません、手間取ってますが次に行きましょう。また後で色々かけるとして…「ゲームミュージックの中のテクノ」
ゲームミュージックの中のテクノ
「レディファントム」,AdLib周辺 etc.
- Hally
- いきなり話題が飛んじゃったんで、繋げるのに手間取ってます(笑)
- えーと、結局その、CD-ROMといい、スーパーファミコンだの AMIGA だのの PCM といい、まず音源側の変革期というものがあったと。で、そういう時期に更に覆いかぶさるようにして、音楽業界そのものも大きな変革期にかかっていて…その頃何があったかというと、まぁハウスとテクノっていう音楽が勃興して日本にもボチボチ渡ってきたぞという、そういうタイミングなわけです。
- そういう複合状態として捉えた場合、この時期の変化っていうのは尚更大きかったと判ると思うんですが、音楽ジャンルとしてのテクノっていうものがゲーム音楽に与えた影響っていうところを、もうちょっと掘り下げてみたいなと思うわけです。
- で、ゲーム音楽がテクノになったぜーって騒がれ始めた最初は…ファミコンの『烈火』だったんじゃないかという話も割とまことしやかにささやかれてる訳なんですが、実際はそれ以前にも色々と試みはあったし、前後して「やろうとして会社の突き上げを喰らって失敗した」とかそういう例も、割と小耳に挟んでおります。で、「表にとりあえず出るには出たんだけど、全く話題にならなかった」という一例として、これまた日本テレネットの『 レディファントム 』というゲームがありまして。これも…なんかまた僕の仕事方面に微妙に絡んでるお話で、宣伝めいてて申し訳ないんですけども…。
- Do.
- というか、これもまたCD-ROMですよね。
- Hally
- そうです。その『レディファントム』というゲーム、冒頭の曲だけは普通にゲームミュージックやってるんですね。
- (レディファントム冒頭)
- Hally
- こんな感じで。これさっきかけた『ヴァリスIII』の村上慎吾さんの仕事だったりするんですが、こっから先の曲がモロに当時 ブリープハウス と呼ばれてた音楽そのまんまでして。
- (レディファントム)
- Hally
- えー、どっかで聴いた 808 STATE みたいな音が鳴ってたりするんですけれど。
- Do.
- これ何年ですか?
- Hally
- これが1991年ですね。ちょうど 808 STATE のデビューから間もないんで、相当鼻が利いてる人じゃないと日本で喰いついてないっていう時期ですね。
- (レディファントム続き)
- Hally
- 「 Mark Gamble が作った曲です」って言われたら普通に信じてしまいそうな感じですが。当時のブリープハウス知ってる人間には、かなり本格的な作りだなっていうことが判ると思うんですけれど、こういうものが、日本にテクノに関する情報がまだ渡りきってない頃に生まれていたという、興味深いサンプルとして、もうちょっと歴史的に注目を集めていいかなと思ったりするわけです。
- テクノって部分で言うと、結局テクノって海外の音楽で、それが日本に渡ってきて、ゲームミュージックに入ってきた…という流れな訳で。海外では当然ゲームミュージックに対する反映っていうのはもっともっと早かった。DEMOシーンというアンダーグラウンドな文化があったんで、そっち側ではなおのこともっと早く入ってきていたという状況がある。その海外のDEMOシーンというのは、AMIGAっていう「サンプリングが普通に鳴らせちゃう」マシンがあったんで早く浸透したっていうのもあるんですけれど、日本人にはオナジミのFM音源でもそういう事を試みていた人達が居まして、海外のFM音源でのテクノというのをですね、実例をちょっと投げてみたいなと。
- デンマークにVibrantsというデモシーン・グループが1990年代初頭にありまして、こいつらがFM音源でブイブイ言わせてた海外の筆頭格なんですけれども。その人達がですね、これも…1991年から93年くらいの間に作ってた曲なんですが…。
- (曲)
- Hally
- こういった感じでですね。えーと、これ、FM音源に詳しい人に言ったらビックリするかも知れないんですけど、これ2オペレータのFM音源で全部やってます。
- ―
- (「へぇぇー」)
- Hally
- デンマークではこういう動きがいち早くスタートして、で、Jesper Kyd って言う、いまアメリカで『HITMAN』ってゲームのシリーズで大変有名な方なんですけど、そういう人もいち早くメガドライブでテクノをやってみたりとか、そういう流れを生み出してます。ゲームミュージックでテクノっていう、そういう枠で語るんだったらデンマークは外せませんというところで締めになってるんだかなってないんだかという感じなんですけども(笑)。
- Do.
- 何か色々抜け落ちてますよ(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- いやまぁ(笑)『 リッジレーサー 』とか『 F/A 』とかやってくるのはこの後のお話です、というそういう事が言いたかった訳です(笑)。
- Do.
- というわけで、ちょっと「聴いてる方も大変なので、休憩入れるのはどうでしょう」というカンニングペーパーが参りまして(笑)
- Hally
- (笑)
- Do.
- ちょっと休憩を入れて。
- Hally
- ここいらで10分くらい小休止、って事にしたいと思います。
(休憩時間)
- Hally
- そろそろ後半戦に入らせていただこうかなと思うんですけども。
- Do.
- はい、その前にですね、「リクエストタイムがあったらいい」という声が結構聞こえるということで、リクエストを取りましょうと…別にこれ楽をしようという訳ではなくて(笑)
- Hally
- (笑)
- Do.
- 結構時間的には「どうなの??」なんですけど、やっぱり訳判んない曲ばっかりかかってるんで、リクエストでスカッとしたものを聴いていただこうかなと。
- Hally
- そうですね、ここいらでそろそろ誰でも判る曲を聴かせろよ!というね(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- で、そのリクエストあったらいいなーと言った方は…
- Hally
- はい、じゃあリクエストある方、早速挙手をお願いします…。
- ―
- 「源平、お願いします」
- Hally
- 『源平討魔伝』
- Do.
- 『源平討魔伝』…の、どれですか?全部?全部ってそんな無茶な(笑)
- ―
- 「有名どころを」
- Do.
- 『源平討魔伝』の有名どころ…。
- Hally
- まぁ僕は"義経"とか好きですけどね。
- ―
- 「メインと"義経"で」
- Hally
- メインと"義経"で。
- (源平討魔伝)
- Hally
- どんどん行っちゃいましょうか。
- Do.
- はい、他にどなたかー…はい、どうぞ。
- ―
- 「サンダーフォースIII」
- Do.
- IIIとはまたなかなか渋いところを来ましたねぇ。
- Hally
- IIIの三面?
- Do.
- IIIってあったかなぁ…無かったらごめんなさい。
- Hally
- IVは言われなくても用意するんですけどね(笑)
- (サンダーフォースIII)
- Do.
- えーと、まだ行きますよ!はい、どうぞ!…って4人も挙がった(笑)
- Hally
- ハハハハ!(笑)
- Do.
- えーとどうしよう、最初に挙げたと思われるそちらの方で。
- ―
- 「68版ドラキュラの曲で、ラスボスの、Hallyさんのアレンジしたやつ」
- Hally
- 僕の!?(笑)
- ―
- (爆笑)
- Do.
- 持ってきてた?(笑)
- Hally
- いやぁ、入ってるとは思うんですけども…ちょっと…
- ―
- 「あれはかっこいいよ」
- Hally
- 「あれはかっこいいよ」とか言ってる人も居ますけれど…僕そんなことやりましたっけ?っていうぐらい、相当記憶が飛んでるんですけど。
- Do.
- 探すのが大変?
- Hally
- いや入ってれば大変でもないんですけれども…本当にやりました?なんか僕をかついでないですか?(笑)
- (捜索中)
- Hally
- えーと、なんか本人のディレクトリにはもう無いようなんで(笑)
- ―
- 「サバッシュ」
- Hally
- ちょ…(笑)なんか僕のMDXに僕以上に詳しい人が何でそんなに居るんでしょうか。
- ―
- (笑)
- Do.
- Hallyさんの『サバッシュ』とかありましたっけ。
- Hally
- えーとね、『サバッシュ』やった覚えはありますね確かに。でもね…そんな面白いことやってた記憶も無いんですけども(笑)"サバッシュ"というフォルダを見つけたので、何かあるんじゃないでしょうかね…
- えーとじゃあ、半ば僕にとっては怖いもの見たさで開けてみようかなと思うんですが。アレ?何ですかね、僕は黒歴史として封印しちゃってるのかなこの辺。
- ―
- (えー)
- Hally
- すいません、もしお持ちの方がいらっしゃったら下さいという感じで。
- ―
- (笑)
- Do.
- はい、というわけで次行きましょうか。はい、どうぞ。
- ―
- 「どこまで行ってええの?」
- Do.
- あったらあるって言いますし、無かったら無いで諦めて下さい(笑)
- ―
- 「スーファミのね、エグゾーストヒートの"タイトル"」
- Do.
- (笑)
- Hally
- いやそれはだってガブリンサウンドだから、ついこないだ調べたところなんで…っていうかまた貴方ですか(笑)。
- 内輪ネタ(?)で恐縮ですけども、この方は僕が居るイベントには必ず姿を現すという。
- ―
- 「そんなことないよー」
- Hally
- わざわざNYまで来て下さったという大変奇特な方で、ありがたい反面、どうしてそこまで出来るんだろう(笑)という。
- ―
- (笑)
- (エグゾーストヒート:タイトル)
- Do.
- はい、次行きましょうか。はいどうぞ。
- ―
- 「さっきナイトアームズの2Dステージだか3Dステージだかどっちかが(BGMで)流れたんで、それじゃない方」
- Hally
- えーと…。
- Do.
- ど、どれだ?どの曲だ?
- Hally
- こっちで適当に流してたやつだから、あるんだけど…さっき流してたのがどっちかは覚えてないんですよ。
- Do.
- 適当に流してましたからね。
- (曲)
- Hally
- これ?違う?もう一回すいません。
- (曲)
- Do.
- すいません、次のリクエストは。
- Hally
- なかなか尽きないですね。
- Do.
- さっきあちら行ったから、次はそちらで。
- ―
- 「スーパーハングオンの"SPRINTER"を」
- Do.
- 『スーパーハングオン』は"SPRINTER"ですよねぇ!
- Hally
- ハハハハハ(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- "WINNING RUN"とか言ったら「無いです」って言うところでした。
- ―
- (爆笑)
- Do.
- あれ("WINNING RUN")めっちゃダサいですよね。
- Hally
- 意外なところで共感が得られましたね(笑)
- Do.
- ハハハハハハハハ(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- 「なんでこれが褒められてんだかよく判らない」って曲がたまにありますけれど。
- Do.
- ありますよねぇ
- Hally
- 「ドラゴンスピリットの6面」がよく判らない。
- Do.
- あれめちゃめちゃダサいと思うんですけども(笑)
- Hally
- 価値観の違いだろうとは思うんですけど、どなたかちょっと判るように説明して下さいっていうね。
- (スーパーハングオン:"SPRINTER")
- Do.
- えーっとすいません、どうぞ。
- ―
- 「あるかどうかわからないんですけど、Polygonet Commanders の」
- Hally
- (笑)
- Do.
- あったっけ?
- Hally
- 多分あるんじゃないですか?
- ―
- (あるあるー)(あるあるあるある)
- Hally
- 90年代中期KONAMIっていうね、今一番評価がおろそかにされてるジャンルの一つだと。
- ―
- (笑)
- Do.
- けどこれはちょっと毛色が違いすぎでしょう。
- Hally
- そうですね、まぁ判りやすい部類だとは思うんですけども…。
- (Polygonet Commanders)
- Hally
- そろそろ最後の一曲ぐらいにしておきますか。
- Do.
- 最後ですか、じゃあどなたか…。
- ―
- 「あの、ザクソン」
- Do.
- 『ザクソン』!…は
- Hally
- 『ザクソン』の曲付きっていうと…SG-1000版とかでしたっけ?
- Do.
- 用意してたっけ?
- ―
- (あるあるー)(あるあるあるある)
- (笑)
- Hally
- 思いもよらぬSEGA攻撃にひるんでおりますが(笑)
- [ザクソン]
- Do.
- え、これで良かったんですか?僕間違ってました?
- Hally
- (笑)
- Do.
- えーとじゃあ次はですね、リクエストじゃないんですけど、かけるところが無いなーって曲なんですが…これ行っていいですか?
- Hally
- その辺はお任せします(笑)
- Do.
- お任せというかほら、これ、かけるところが無い、とある有名なコンポーザの方の曲。
- Hally
- それですか(笑)
- Do.
- ゲームの方が没っちゃって、世に出てない曲っていうのがあるんですよ。で、有名なコンポーザという…有名なコンポーザってだけ。
- ―
- (笑)
- Do.
- …で仕事して「はいコレです」って上がってきた曲で。内蔵音源じゃなく、主題歌の形で普通の歌モノなんですよ。まぁちょっと聴いてみてください。
- (とある有名コンポーザの方の世に出てない曲)
- (フェードアウト)
- Hally
- もういいんですか?
- Do.
- もういいです(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- いや、これ…「出所不明、誰がやったかも不明って事にしといてくれ」という事で貰ってきたんですけど、これが完成版だっていうので上がってきたらしくて(笑)
- Hally
- もう一回ちょっとオケ聴かせていただきましょうか。
- (フェード・イン)
- Do.
- 上がってきたのを、その(発注したメーカーの)人が怒って「どうなんですかこれ?!」って僕のところに回ってきまして(笑)
- Hally
- さる、大変高名なゲームミュージシャンが作った作品なんですけれども。
- Do.
- なめんなよと(笑)しかもこれ男ボーカルですけど…ギャルゲの曲なんですよね。ちょっとまぁ、名前だけで仕事すんのもいい加減にしろよ、という話でした。
- Hally
- 名前は明かさないけど「老害」って話は極端なところまで行くとこういう次元にまでなってるという、そういう話ですね。
- Do.
- 皆さんもよくご存知の人です。
- ―
- 「こわいなー」
- Hally
- ここに来てる人だったらほぼ知ってるんじゃないかなと。
- Do.
- 絶対聴いてますね。
- Hally
- なんともコメントに困るお話でございましたが(笑)
- Do.
- すいません、ちょっと晒し上げでやってみました(笑)
- Hally
- けど、ほんとにこれ冗談でも何でもない、現実の話なんで。
- Do.
- これが…プロの仕事です。
- [ 曲が終わるタイミングで『ザクソン』のミス音 ]
- Do.
- あ、ザクソンのミスがいいところでかかりましたね!
- ―
- (爆笑)
- Hally
- ワザとですよね今の!?(笑)
- Do.
- いやワザとじゃないです!(笑)けど…すいませんテンション下げましたね、リクエストでいい感じになってたものを(笑)
- Hally
- ねぇ。一気に「聴きたくもないよ…」っていう(笑)
ゲームミュージックとプログレ
ひとくちにプログレというけれど…。
- Do.
- はいすいません!「ゲームミュージックとプログレ」です。
- Hally
- 物凄い強引な切り替えですけど。
- ―
- (笑)
- Hally
- ゲームミュージックというのはやっぱりプログレとかフュージョンとかの影響を色々…実際に作ってた人達も受けてやってたと。でまぁ、リスナーもプログレには当然興味を持ってるわけなんですけれども。プログレっつっても色々あるじゃないですか。
- Do.
- はい。
- Hally
- 皆さんが思い描く「プログレ」っていうとどの辺なのかなーと色々考えちゃうんですけど。
- Do.
- まぁ、普通…EL&P、King Crimsonとか。
- Hally
- Pink Floyd…みたいな。実際そういう辺りが気になって聴いてみた方もいらっしゃると思うんですけども、「え?これゲームミュージックですか?」とか素直に疑問に感じちゃうんじゃないかと思うんですね。EL&Pなんかは構成もシンプルなんでゲーム音楽に通じるところもあるかなと思うんですけども、「世の中にはもっともっとゲームらしいプログレありますよ」という、その辺のお話をさせていただこうかなと。えーと、どこらへんから行きましょうかね。
- Do.
- いや、一番ゲームらしいという意味で行くなら、Goblin…というか Claudio Simonetti。
- Hally
- あーはいはい、Goblinは割と有名なんでね。
- Do.
- これは皆さん聴いてるかも知れないんですけど。Goblin…イタリアでしたよね?
- (スタッフ)「イタリアです」
- Do.
- イタリアですよね、イタリアのプログレでGoblinっていうのが居るんですけど、まぁホラー映画の曲とかやってまして、『 フェノミナ 』ご存知の方は…居ないですね(笑)そのフェノミナの曲がですね、聴けば一発で「あ、これはアレだな」っていうのが判るんで、是非聴いていただきたいと思います。
- (Phenomena:エンドタイトル曲)
- Do.
- いやぁ…判りやすいドラキュラですよね(笑)
- ―
- (爆笑)
- Do.
- シンセドラムの凄いスカスカした音もKONAMIっぽいという(笑)
- Hally
- 音質まで似てますからねぇ、どれぐらい影響受けてたんだって話ですけど。
- Do.
- で、次は。
- Hally
- えっと、この辺りまで行くと「 産業プログレ 」っていう事でね、普通のプログレ層にはあんまり受け入れられない音だとは思うんですけど、ただゲームミュージックへの接点という意味では相当でかい。特に海外のゲームコンポーザには物凄い影響を与えている、でも日本では全く知られてない Vince DiCola というアーティストがおりまして、代表作は『 トランスフォーマー:ザ・ムービー 』、あの、今スピルバーグがやる新しいやつじゃないですよ勿論。
- Do.
- アニメの方です。
- Hally
- 80年代のアニメの方なんですけれど、これ大変ゲームっぽい音を出してまして…。
- Do.
- どれでもいいですか?
- Hally
- ええ、適当に。
- (Vince DiCola)
- Do.
- とまぁこんな感じで非常に、ゲームっぽいと言えばゲームっぽいのが判ると思うんですけれども。このVince DiColaの曲をですね、これゲームで使ったらどうなるのかなー?っていうので試しに作ったファイルがあるんでね、是非これ聴いていただきましょう。
- Hally
- ゲーム的な編成にね、直してみました。
- (編曲版)
- Hally
- あの、『 グリッドシーカー 』あたりでかかってても全然おかしくないんじゃないかと。
- ―
- (笑)
- Do.
- まぁそんな感じですね(笑)さて、次は。
- Hally
- えー、そうですね、実際このVince DiColaに影響を受けたゲーム(音楽)っていうのが、割と僕らの身近…身近と言っていいのか?あれ海外発売のみ?GBAに『 IRIDION 』っていうシューティングゲームがありまして、それの作曲家…ドイツ人なんですけど、Manfred Linzner っていう人が「ワタシ、Vince DiColaニ影響ウケテマス」と公言してる訳なんですけども、実際どんな曲を作ってるか、それをちょっと聴いてみようかと。
- Do.
- アレンジでいいんですよね。
- Hally
- まぁいいんじゃないですか、はい。
- (IRIDIONよりアレンジ曲)
- Hally
- 音色から曲の構成からまったく一緒じゃねぇかという(笑)そのくせドラムだけ Commodore 64 の音とかいうあざとい事もやってるんですけれど。それぐらい影響が強い人が居るという。プログレという語り口で言うのであれば、こういった人の存在なんかも無視できないですよ、というお話でした。
- Do.
- でも一個忘れてますよ、日本にもほら、プログレが。
- Hally
- 日本にもプログレ、はい。
- Do.
- これをかけていいものかどうか判んないですけど。
- Hally
- そうですね、あのー、ゲーム音楽からプログレの影響というのが大分消え去った後に、むしろアニメの曲でゲームミュージックっぽいプログレを人が出始めたというか。
- Do.
- たまたまというか、変種ですよね。これ97年の曲なんですけれども…アニメのサントラってね、いまだに1トラックに何曲も入ってたりするんですよ、いいんですけどね。さて、というわけでこれ、97年でこの音は無いだろうというのを…変な音は全部ダライアスIIだと思って聴いてください。
- ―
- (爆笑)
- Do.
- はい、じゃあ 淡海悟郎 で『 グランダー武蔵RV 』から
- (グランダー武蔵RV:)
- Do.
- すいませんこれ98年ですね。まぁ98年でこの音は無いですね。
- Hally
- っていうかね、オーケストラヒット叩きまくりというのは、KONAMI以降に確立されたゲームミュージックならではの特権だったと思うんですけども。
- ―
- (笑)
- Hally
- 98年ぐらいになると流石にゲームミュージックでももう恥ずかしくてやってない(笑)
- Do.
- それをまぁこんな堂々とね。
- Hally
- 惜しげもなくやって。
- Do.
- 一般のテレビの電波に乗ってたっていうのがね。
- Hally
- しかも子供向けですっていうね(笑)ほんとどうしょうもねぇなという感じなんですけども。えー、そういう意味でアニメの音楽っていうのは割とゲームミュージックが捨て去ってしまったものをその当時から今に至るまで引きずってるところがありますよと。油断できない存在ですよという(笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- そうですね、聴くと面白いものが多いです。
- Hally
- 特にね、普通のオタク層が見ない「子供向け」とかに意外と要注意なものが眠ってたりするなぁと。もしお子様がいらっしゃる方は、子供と一緒にアニメを見ながらその辺りチェックしてみると面白いんじゃないかなという。割と強引な結末になっちゃいましたね。
- Do.
- 凄いとこ行きましたね。
- ―
- (笑)
- Hally
- これ伏線なんで(笑)
シンクロ幻想
ゲームミュージックとカートゥン。
- Do.
- って言うことはこの「シンクロ幻想」
- Hally
- これもアニメに関わってくるお話なんですけれども。ゲームミュージックの特権って話をさっき言いましたけれど、ゲーム音楽の特徴の一つっていうのが「画面とうまいことシンクロしてますよ」という、割とよく言われるところだと思うんですけども…言いませんかね。
- Do.
- いや、言われますね。
- Hally
- まぁ代表的なところでいうと『 メタルブラック 』とか、あと解りやすいところで言うとどの辺ですかね、サターンの『 Nights 』とかも、なかなかいいとこ突いてるんじゃないかなと思うんですけれど。
- ただね、実はゲームっていうのは、映像とのシンクロにそんな向いてる素材ではない、と、もっともっとシンクロって部分では非常に頑張ってるメディアがありましたと。もう過去形なんですけどね残念ながら。何かというと、それはアメリカのカートゥーンなんです。
- カートゥーン映画って言うのは非常に特殊な作り方をしていて…特殊というか、まぁ白黒時代の映画の作り方を踏襲していて、まずコンテを切って、そのコンテに合わせて音楽を作って、音楽と映像とどっちが優先っていうんじゃなくて本当に平行して作られていくという。そういう意味で、ゲームでも出来なかったぐらいのシンクロ具合を達成しているわけなんです。で、ゲームがこの次元まで行けてるのか…ということを考えてみると、残念ながら全然(笑)足元にも及んでないという。でも意外とそのシンクロという事を語る上でカートゥーンっていうのは無視されてる、残念なことだなと思いまして。実際どれぐらいシンクロしているのかというのを、その目で確かめていただければなと。判りやすいところで…。
- (映写:『トムとジェリー』)
- Hally
- はい、そんな感じでですね。
- Do.
- 全部流したんですね(笑)
- Hally
- ええ、全部流しましたね(笑)
- Do.
- 僕どこで止めんのかなーって思ってました。
- ―
- (笑)
- Hally
- 個人的には是非全部見ていただきたいなと思って。さて、アナログですらここまでやってますと、で、シーケンスっていうものをプログラム的に出来るゲームがこれにどれぐらい追いついているのかっていうと、実際のところ全く追いついてないわけで。さりとてカートゥーンから学べる部分ってのは一杯あると思うんですけれど、学ぼうという努力があるわけでもなく。まだまだゲーム音楽はそういう意味ではシンクロって部分は全く追い込みきれてないですよという事なんですね。
- 『メタルブラック』確かに頑張ってると思います、だけどこの次元には全く追いついてない。そういう事で、まだまだ…もしゲーム音楽で画面とのシンクロって事を追い込むんであれば、まだまだ幾らでもやる余地はあるはずなんで、もっともっとやって頂ければなと、個人的な思いを述べるに留まってしまうんですが。
- Do.
- まぁ、あれです。ゲームの場合はタイミングちょっと合ってたら、繰り返しやるもんですから「慣れ」とか「思い入れ」となりやすいところです。
- Hally
- それでね、プレイヤーがボタンを押して、それでシンクロするんで難しいって部分は確かにあります。ありますけども、まぁまぁ10年20年そのままっていうのも味気ないなぁというお話ですね。
- Do.
- 僕の立場から言うと、完全に画面…ゲームそのものと曲を切り離して聴くタイプなんで。
- Hally
- まぁ逆にここまでシンクロしてると、もう画面から切り離せないんで、それで実際にカートゥーンの曲っていうのはめったにサントラにならないってのもありますよね。
- Do.
- 難しいところです。
- Hally
- 難しいところです(笑)ただシンクロって事を考えるんならここまで考えましょうよという、そういう実例を一つ示してみました。
- Hally
- …というところでそろそろいい時間になって来ちゃって、これ第一部・第二部とかレジュメに書いてるんですけど、第一部を終えるのがせいぜいだなと(笑)
- Do.
- そうですねぇ…「アレンジバージョンのあり方 ~作曲者本人のアレンジって…~」ってありますけどこれは。
- Hally
- 次回でいいんじゃないですか?(笑)
- ―
- (笑)
- Hally
- 次回あんのかどうか判らないですけども。
- ―
- (あるあるー:笑)
- ―
- (データウエストだけやってー)
- Hally
- (笑)
- Do.
- そうですね、リクエスト入ったらかけないわけには…
- ―
- (ニチブツでもいいよー)
- Do.
- ニチブツいいですよね!
- ―
- (笑)
- Do.
- 今日かけてないってことで、じゃあテーマとか無しでガンガンかけていこうかと。…ニチブツ、すいませんね曲は趣味で選ばせて頂くんですが…。
- ―
- (『 ビッグファイター 』あります?)
- Hally
- おしいなー(笑)用意はしようとしてたんですけど間に合いませんでした。
- ―
- (あー、俺持ってますよ今)
- ―
- (笑)
- Hally
- 持ってんなよ(笑)
- Do.
- ニチブツといえば僕この曲だと思うんですよね、編集のアレと併せて実に楽しいという。
- Hally
- ああ、あれですね、当時のサントラ盤から、ということですね。
- Do.
- はい。
- (曲)
- Hally
- っていうことで、何の曲かの説明も無いままいきなりスタートしちゃったんですが。
- Do.
- これはね、『 聖戦士アマテラス 』でした。
- Hally
- はい(笑)ニチブツでアマテラスって言うと思い入れある人がどれぐらい居るのか判らないですけれども(笑)
- Do.
- いやぁ~ニチブツにしては簡単なゲームだったと思いますから、プレイしてた方は多いんじゃないかなと思います。
- Hally
- まぁ…どれぐらい出回ったのかが問題ですけどね(笑)
- Do.
- はい、じゃあ次、テーマは飛ばし飛ばしで。
- Hally
- えーと、まぁ今回とりあえず裏テーマとして「アニメ」っていうのが色々出てきたんですけど。
- Do.
- え!そんなんあったんですか?
- Hally
- いやまぁ、図らずも出てきちゃったなというところがあったかと思うんですけれど。
- その…なんていうんでしょう、結構アニメとゲームっていうのは切り離せない領域っていうのもあって、アニメっていうのは未来永劫やっぱり子供志向だっていうところがあるじゃないですか。で、僕らは子供から大人に移り変わってしまって、それでも尚且つ昔の嗜好を引きずりながらゲーム音楽を聴いているということで。その…今の子供と、僕らが子供だった頃の部分というのが、どこかで接点を持てるのかなぁ…っていうことを時々思ってしまうんですね。
- 世代交代って事をやっていかないと、僕らが好きだった「ゲームミュージック」というものがいつか死に絶えてしまう、僕らと一緒にお墓の中に入ってしまうという、それは非常に悲しいことだなと思うんで。後の世代に伝えていく方法は何かないかということを僕は常々考えているんですけども。遠いところを見すぎてるかな?という気もするんですけども!…現実としてその辺りをうまく、大人でも子供でも楽しめるっていうことをやってくれている人達も居るということを、ちょっとこれから…これが多分締めになると思うんですけれども、お見せしたいなと。
- で、何かと言いますと…独身男性はまずお目にかかることが無いタイトルだと思うんですけれども。
- (映写:『 キラキラアイドルリカちゃん 』)
- ―
- (笑)
- (映写:『キラキラアイドルリカちゃん』1プレイ分)
- Hally
- はい、そんな感じでですね、僕らが親しんだ80年代テイストっていうのをゲームって媒体を通して上手く子供に、今の子供に伝えているという、こういう試みっていうのが今後大事になってくるんじゃないのかなと。僕たちが、僕たちの思い入れの中でだけゲームミュージックを捉えるんじゃなくて「これ本当に良いものだ、次の世代にも伝えていきたい」っていう事を考えるのであれば、こういうところまでやって行きたいよね、という。そういう事を思うわけです。
- Do.
- あの、これネタばらしをちゃんとしておいた方がいいと思うんですけれど、これ曲作ってるのが。
- Hally
- あ、そうなんですね。こないだちょっとお仕事でですね、ガブリンサウンドという…ゲームミュージックに本当に詳しい人しか知らないゲームミュージック製作グループが居まして、『 スーパーリアル麻雀 』っていう、非常にオタクっぽい麻雀ゲームを作って、そこで80年代アイドル歌謡満載みたいな曲を作ってたんですね、この人たちは。それがまた20年の時を経てまた同じような曲を、今の子供に向けて送り出したという。そういう裏側の事情があるわけなんですけれども。
- Do.
- あれですよね、『 ツインイーグル 』とかから想像もつかない。
- Hally
- (笑)
- ―
- (笑)
- Do.
- 『 目撃 』とかねぇ(笑)想像もつかない曲調ですね。
- Hally
- ロックンロールではないですね、これ(笑)
- Do.
- あ、今日『 ツインイーグルII 』かけるの忘れましたね。
- Hally
- あ、そうですねー。
- Do.
- 予習しといてください。
- Hally
- (笑)
- ―
- ( UAG もいいよー)
- Do.
- UAGもいいんですけどね(笑)
- Hally
- UAGは一応音源化されてますからね(笑)是非ともツインイーグルII行きたかったんですが。さて、オチになってるのかどうか判りませんけれど…どう締めくくりましょう。
- Do.
- いや、Hallyさんの立場はそうだとしたら、僕の立場はほら、完全にこの先「ゲームミュージック」は出てこないな、っていう立場ですから(笑)
- Hally
- あー、出てきませんか。
- Do.
- 完全にもう「ゲームミュージック」っていうものは…出ないじゃないですか。出来たとしてもFM(音源)サンプリングの縮小再生産っていうオチで。
- Hally
- という、ちょっと判りにくい話になっちゃってるかな。「ゲームに付随する音楽」という意味でのゲームミュージックというのは未来永劫出てきますね。
- Do.
- 出てきますけれども、やっぱり昔のPSG・FM音源って、ちゃんと音色が個性を持っている。音楽っていうのはやっぱりそのフレーズと音色が揃わないと音楽にならない。で、今のゲームミュージックは、フレーズはあるけれど音色っていう楽器を無くしちゃったんですね。普通の「音楽」になってるゲームミュージックを聴くんだったら、僕はさっきも言ったようにアニメの劇伴を聴きますと、安っぽくて面白いしね。
- Hally
- 何でも自由に出来る中で、あえて制限を自分の中で課すという意味だと、ゲームより実はアニメの劇伴の方が上手くやってるという。
- Do.
- 面白いですからね。
- Hally
- そうですね。
- Do.
- で、もう僕は新しいゲームミュージックは出てこない…という結論を出した上で、それでもまだ昔の中に知らない良い曲があるし、見方を変える、自分の耳が変わる、そういう中でまだ良い曲は…評価されてない曲はあるんじゃないか。それを探すのが僕の立場なんで。
- Hally
- そうですね、まだまだゲーム音楽って何万…何十万曲ってあると思うんですけれど、その中でCDにちゃんとなってリスナーの評価をちゃんと得てる曲っていうのは、その中の多分10%にも満たない。ほんとに良い曲ってのはまだまだいくらでも埋もれてるはずなんで、それを探し出して、今日ここに集まった「色々とうんざりだ」って事に共感を多少なりとも覚える人は、そういう事が…そういう発掘作業が出来る人だと思うんで。
- Do.
- ただ、本当にゲームミュージックあんまりかからなかったですね、ごめんなさいっていう。
- Hally
- (笑)
- Do.
- この後ちょっと終わりのところで休憩みたいにしますけれど、その時に僕リクエスト受けますよ(笑)
- Hally
- はい(笑)まぁそういう「色々とうんざりだ」っていう同志の皆さんでこの後ちょっとご歓談いただければなということで。僕らのトークとしては締めにさせていただきたいと思います。どうもお付き合い頂き、ありがとうございました。
- Do.
- ありがとうございました。
- ―
- (拍手)