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2010年07月24日 11:28
世紀末をゆく子連れ狼 / ザ・ロード
「大五郎…」「ヴィゴ!」。
「ノーカントリー(血と暴力の国)」でおなじみ、アメリカの作家コーマック・マッカーシーのピューリッツァー賞受賞の世紀末小説を映画化。主演は「イースタン・プロミス」「ロード・オブ・ザ・リング」のヴィゴ・モーテンセン。
荒廃しきった世界はまるで「北斗の拳」のようで、スーパーマーケットのカートを押して旅する姿は「子連れ狼」です。しかし、この映画の主人公は世紀末救世主でも刺客でもなく、ただの親子。息子に正義を説き、悪人から息子を守るために孤軍奮闘する父親の姿に何を思ったか、映画館では周りのオッサン達がそろってジュルジュルフゴフゴと鼻を鳴らして泣いていました。
B級SF映画のような設定ながら、妙なアクションやショッキングな映像で水増しされておらず、作りは淡々としています。それだけに映画の放つ絶望感は見る側に重くのしかかり、反対に、わずかながら配されている希望を感じさせるシーンは、とてもまぶしく心に届きます。さほど本筋と関係なく2度も登場するヴィゴ・モーテンセンの全裸シーンも、まぶしく心に届きます。もはやお約束。
枯れ果てた木々の上に灰のつもる終末感あふれる風景が美しいのですが、なんとCGではなく全て実写で、ゴーストタウンや、使われなくなった高速道路などで撮影されたそうです。終末はとっくに到来済みでした。
音楽はNick Caveと、そのバンドBad Seedsの一員Warren Ellisのコンビ。ピアノとストリングスを中心とした静かな音楽です。そもそもこの映画「ザ・ロード」監督のジョン・ヒルコートは、デビュー作「亡霊の檻」にニック・ケイブを出演させていて、PVも撮影しています。おそらくは両者の出身地オーストラリアつながりでしょう。
重い内容なので、何度も見たくなるタイプの映画ではないですが、確実に心に残る、とても良い映画でした。
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Review : 2010年07月24日 11:28
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