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ソーシャルゲームの
KPI分析とサービス洗練
徹底入門
井澤 正志
(@masya13d)
Twitterほとんど使ってませんが。。。
7/27 データマイニング+Web@東京#28
1
本日の流れ
1.問題解決を目的とした
データマイニングの観点
2.高校数学+αで実践する
ソーシャルゲームのKPI分析
3.おわりに
2
自己紹介
井澤 正志(S54.1.3)
・富山県出身
・東北大学理学部化学系卒業
・文部科学省、エムティーアイを経て、
2011年2月に株式会社gloopsに入社
<趣味>
・パチンコ、パチスロ:確率分布のばらつきを体感
・競馬、FX:データから考えることが好き
分析の仕事って、趣味の延長線にあるのかも・・・
入社当時はマーケティング・データマイニング未経験でした
3
・2013年6月、gloops退職 現在、無職!
1.問題解決を目的とした
データマイニングの観点
2.高校数学+αで実践する
ソーシャルゲームのKPI分析
3.おわりに
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問題解決のためステップ
① What 解決すべき問題は何なのか?
② Where 問題はどこで起こっているのか?
③ Why 問題は何故、起こっているのか?
④ How 問題の解決に向けて、何をすべきか?
参考文献:「MBAクリティカル・シンキング」
(グロービスマネジメントインスティテュート(株))
いきなりHowに向かって、あてずっぽうな対策はしない
場所・原因を特定した上で解決策を考える
5
問題解決のためデータ解釈
① What
② Where
③ Why
④ How
データから特定できるのはほぼここまで
ユーザの心理の動きに関して仮説立案
仮説に基づく解決策の実施
ターゲットユーザのユーザ体験を共有することが
より精度の高いユーザ心理の仮説立案につながる
無料プレイのライトユーザの動向を調べたい
高額課金プレイのコアユーザの動向を調べたい
ターゲットユーザと同じようにプレイし、体感する!
6
ユーザ目線の重要性
因果関係を逆に解釈するとミスコミュニケーション発生
因果関係を正しく解釈するためには
ユーザ目線でデータを確認することが必要となる
データを取り扱う者として信頼関係を構築するためには
因果関係を正しく解釈したコミュニケーションが必須
雤が降っている 傘を持っていく
原因 結果
相関関係の発見と因果関係の解釈は別問題
7
問題解決志向のデータ分析
目的は、ユーザに「おもしろい」「楽しい」を届けること
そのために、データを分析する
データを分析すること自体が目的ではない
手段が目的化してはいけない
データ分析は問題解決のツール
結果、ユーザに楽しんでもらうためのもの
最新の技術や統計学を導入することが目的ではない
問題解決に必要だから導入していきたい
8
わかりやすいデータ分析
目的は、ユーザに「おもしろい」「楽しい」を届けること
そのために、データを分析する
分析のアウトプットに対して施策につなげるには
企画・開発・デザインのメンバーの理解が必要
高校数学+αくらいの知識をベースとして
アウトプットを出していくことが効果的
説明の難しい高度な統計学を使うのは逆効果
理解しやすい内容に落とし込む必要がある
※)そのレベルしか扱えない自分への言い訳だったりもする
9
1.問題解決を目的とした
データマイニングの観点
2.高校数学+αで実践する
ソーシャルゲームのKPI分析
3.おわりに
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基本KPI
○ 基本KPIとは売上を要素分解したもの
【売上】=【Install】×
【Install】
【DAU】
【DAU】
【DPU】
【DPU】
【売上】
× ×
継続率 課金率 課金単価
Install:ゲームを始めて頂いたユーザの人数
DAU:1日の間にゲームをプレイして頂いたユーザの人数
(Daily Active User)
DPU:1日の間にゲームに課金して頂いたユーザの人数
(Daily Pay User)
11
基本KPIの問題点
○ どんな特性を持ったユーザも1とカウントしている
ユーザの状態を正確につかむためには、
全てのユーザを「1」と解釈してよいだろうか?
※)特に経営やIRはMonthly KPIを知りたがるが・・・
でも、MAUなんてPRやアウェイクで
1回さわっただけのユーザも含まれるからな。。。
それを分母にした課金率なんて、
なんの意味もなさないしな。。。
例)Monthly KPI
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基本KPIの問題点を改善
○ ユーザをセグメント化して基本KPIを分解
KPIをセグメント分解することで
Whereを特定していく
KPIを各セグメントに分解することで、
セグメント毎のユーザ動向をより理解できるはず
ユーザの特性に合わせて、
「1」の解釈を変更してあげればよい
データ分析の目的は、
ユーザに「おもしろい」「楽しい」を届けること
「おもしろくない」「楽しくない」と感じている
ユーザ(Where)が特定されると改善につながる
13
BU/FU理論 – セグメント化の基本概念
BU:Base User
– ゲーム内でコアにプレイしてくれるユーザ
FU:Follow User
- ゲーム内でコアにプレイできていないユーザ
FUの中には、将来的にBUになると期待されるユーザが存在
DAU or MAU = BU + FU
ある一定の定義を置いて、
KPIをBUとFUに分解してみよう
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BU/FU理論の仮定義:DailyKPIを分解
過去7日間において、
・0:過去7日間のログイン日数が0回の新規orアウェイクユーザ
・1 : 過去7日間のログイン日数が1回のユーザ
・2 : 過去7日間のログイン日数が2回のユーザ
・3 : 過去7日間のログイン日数が3回のユーザ
・4 : 過去7日間のログイン日数が4回のユーザ
・5 : 過去7日間のログイン日数が5回のユーザ
・6 : 過去7日間のログイン日数が6回のユーザ
・7 : 過去7日間のログイン日数が7回のユーザ
と仮に定義してみる
15
DAUを考える
○ DAUを分解する
【DAU】=【前日DAU】-【Sleep】+【New or Awake】
=【前日DAU】×【翌日継続率】+【New or Awake】
これを前述のセグメント毎に数値を見ていけばよい
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先ほどのセグメント定義に基づき、
DAUを分解したSample Dataを見てみよう!
DAUをセグメント分解
○ sample data – daily KPI
☆ Active_rate
前日時点 当日時点 7月8日 7月9日 7月10日 7月11日 7月12日 7月13日 7月14日 7月15日
0 1 30.0% 30.0% 30.0% 30.0% 30.0% 30.0% 30.0% 30.0%
1 1 or 2 45.0% 45.0% 45.0% 45.0% 45.0% 45.0% 45.0% 45.0%
2 2 or 3 50.0% 50.0% 50.0% 50.0% 50.0% 50.0% 50.0% 50.0%
3 3 or 4 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0% 60.0%
4 4 or 5 70.0% 70.0% 70.0% 70.0% 70.0% 70.0% 70.0% 70.0%
5 5 or 6 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 80.0%
6 6 or 7 90.0% 90.0% 90.0% 90.0% 90.0% 90.0% 90.0% 90.0%
7 7 98.0% 98.0% 98.0% 98.0% 98.0% 92.0% 98.0% 98.0%
☆ D AU 動向
7月8日 7月9日 7月10日 7月11日 7月12日 7月13日 7月14日 7月15日
N EW 0 4,000 4,000 4,000 4,000 4,000 10,000 4,000 4,000
1 2,800 2,630 2,592 2,583 2,581 2,581 4,381 2,986
2 1,500 1,405 1,343 1,319 1,311 1,309 1,308 1,713
3 1,500 1,175 1,054 1,002 980 972 969 968
4 1,500 1,275 1,099 1,001 951 927 916 911
5 2,000 1,740 1,542 1,391 1,280 1,202 1,149 1,114
6 2,800 2,536 2,304 2,106 1,939 1,801 1,689 1,600
7 20,000 20,104 20,158 20,170 20,146 18,883 18,829 18,757
ALL 36,100 34,865 34,092 33,571 33,188 37,674 33,241 32,048
55.4% 57.7% 59.1% 60.1% 60.7% 50.1% 56.6% 58.5%7日ユーザの占める割合
PR影響でDAU総数が増加していても、
蓄積しているBaseUserの減少・翌日継続率低下を検知可能になる
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数字は適当に置いただけです
問題箇所特定後の原因分析
○ 特定したセグメントの行動履歴を抽出
level:ゲーム内でのユーザレベル
attack / defense:ゲーム内でのユーザ攻撃力 / 防御力
mission_id:ミッションの進行度
normal_gacha_num:無料ガチャ回数
rare_gacha_num:課金で行ったレアガチャ回数
gift_gacha_num:運営からのギフトで行ったレアガチャ回数
mix_num:強化の回数
evolution_num:進化の回数
battle_num:バトルの回数
win_num:バトル勝利の回数 などなど
翌日継続の有無を従属変数として決定木分析
各ノードで離脱に関連するパラメータを抽出
分析結果をもとにユーザ状態・心理の仮説立案
仮説から改善施策を検討していく
高校数学「+α」の部分
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KPIで時系列推移を確認
Monthly KPI 大きな流れの中での現在の状況を把握する
Weekly KPI
Daily KPI
直近のトレンドを中期的スパンで把握する
日々の推移の中で問題箇所を深堀り
問題要因に関してユーザ目線で仮説構築
その仮説を改善施策に落とし込んでいく
改善効果検証などは中期的な数値でも検証
MonthlyやWeeklyも含めたマネジメント手法に関しては、
8/21のCEDEC2013にてお話をさせて頂きます!
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大きな流れが変わっているかを確認する
1.問題解決を目的とした
データマイニングの観点
2.高校数学+αで実践する
ソーシャルゲームのKPI分析
3.おわりに
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現在の活動内容
○ データ分析を通じたコンサルティングと人材紹介
SAP
データマイニングニーズ
分析系人材採用が難しい
ビジネスチャンス!
<前半>
井澤が企業様のソーシャルゲーム運営に関して
データ分析を通じたコンサルティングを実施
企業様はその間に提携人材会社に紹介された候補者面談
仕事ください。。。
一定期間のデータ分析を通じたコンサルティング
<後半>
候補者のOJT協力で新人の早い業務の立ち上がりを実現
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