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モダナイゼーションがもたらす未来
株式会社ゼンアーキテクツ
岡 大勝
1
2015.4.23
IT Modernization bring thefuture
自己紹介
株式会社ゼンアーキテクツ
代表取締役 CEO
チーフアーキテクト
岡 大勝
Oka Hiromasa
日本DEC、日本HPにて銀行・生保・損保の資産運
用系システムに携わる。
日本ラショナルソフトウェアではオブジェクト指
向と開発プロセスの普及に努め、
2003年、ゼンアーキテクツを設立。
現在はエンタープライズ・アジャイルの現場適用支
援を中心に活動している。1972年生まれ。
著作:「本当に使える開発プロセス(日経BP社)」
「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー
(翔泳社)」、他
本日のながれ
1. 「ITモダナイゼーション」の9つの手法
2. 企業システムの未来に向けたアプローチ
「再構築 vs 改修」
• 必ず起きる論争。
• 再構築へ傾きやすい。
• ただ「改修」ではなく、選択肢はいくつもある。
• 改修の選択肢が「モダナイゼーション」
「ITモダナイゼーション」
• ITモダナイゼーションは、組織のIT文化をオーバーホールする
ことだと言える。
• IT組織は、技術とスキルの革新、そしてビジネスからのプレッ
シャーに直面しており、過去に作られたIT資産を、これから求
められる未来の姿に近づけていくことが求められる。
https://www.gartner.com/it/products/research/it_modernization/it_modernization08.jsp
外的要因内的要因
保守切れ
• ハードウェア
• OS
• ミドルウェア
• フレームワーク
• 開発プラットフォーム
非機能要求の変化
機能要求の変化
• 性能
• キャパシティ
• 可用性
契約の変更・終了
• データセンター
• 開発ベンダー
• 企業買収
• セキュリティ
• ユーザビリティ
• 業務処理の変化
• 新業務の追加
• 業務革新
モダナイゼーションの動機
本当は使い続けたいのだけれども、手を入れなければならない。
9. リビルド:Re-Build
1. リラーン:Re-Learn
2. リドキュメント:Re-Document
3. リファクター:Re-Factor
4. リホスト:Re-Host
5. リインタフェース:Re-Interface
6. ラッピング:Wrapping
7. リライト:Re-Write
8. リプレース:Re-Place
準備的モダナイゼーション
中核的モダナイゼーション
再構築的モダナイゼーション
ITモダナイゼーションの9つの手法
改修規模
小
大
サーバハードウェア /	OS
ミドルウェア /	
フレームワーク
サーバアプリケーション
クライアントアプリケーション
クライアントハードウェア /	OS
DBMS
データ
リホスト
リホスト (Re-Host)
リホスト
アプリケーションやミドルウェアに手を入れることなく、サーバハード
ウェアを交換する。OSバージョンが変更されることにより、ミドルウェア
に影響を与える場合がある。
• HWの保守切れ(外的)
• 非機能要求の増大(内的)
• TCO削減(内的)
制約から逃れられないこと
が多い。検討時から実現可
能性検証を。
動 機
サーバハードウェア /	OS
ミドルウェア /	
フレームワーク
サーバアプリケーション
クライアントアプリケーション
クライアントハードウェア /	OS
DBMS
データ
リインタフェース (Re-Interface)
サーバアプリケーションに手を入れることなく、ユーザーインタフェースの刷新を行う。
クライアント/サーバー型アプリケーションでは現実的だが、レガシーWebシステムはUI
の結合度が高いため注意が必要。
リインタフェース
• UIのモダナイズ(内的)
• 配布コスト削減(内的)
• 旧バージョンが入手不可
(外的)
最も検討される。アプリ
ケーションの構造によって
はリライトに発展。
動 機
サーバハードウェア /	OS
ミドルウェア /	
フレームワーク
サーバアプリケーション
クライアントアプリ
ケーション
クライアントハード
ウェア /	OS
DBMS
データ
クライアントとサーバの中間にラッピング層を設け、インタフェースおよびプロトコル
変換を行うことで、サーバーアプリケーションへのアクセス多様性を実現する。
ラッピング (Wrapping)
ラッピング層
他システム
ラッピング
• リインタフェースの手段
• アクセシビリティ向上(内的)
• システムの機能を外から利用
(内的)
C/Sはスムーズ。レガシー
Webは注意が必要。
動 機
サーバハードウェア /	OS
ミドルウェア /	
フレームワーク
Webアプリケーション
DBMS
データ
リコード (Re-Write)
既存の機能を変更することなく、コード(プログラム)の全面書き換えを行う。
ミドルウェアやフレームワークの更新を伴うことが多い。
リライト
Webブラウザ
• MWの保守切れ(外的)
• プラットフォームの刷新(内的)
• アプリ修正コストの増大(内的)
同一にこだわりすぎない。
ツールに依存しすぎない。
「仕様確定済み」が最大のメ
リット。
動 機
Modernization は
老朽化したシステムを 延命 すること?
• 長く使っていくための「再生」であり「変革」
Transformation
老朽化システム
延命
再生/変革
リビルド?
リプレース?
未来に向かうための 境界線
何を生かし、何を捨てるのか。
ライフサイクルの違いに着目
• ビジネスモデル/データモデル:30年
• システム基盤(HW/OS/MW):10年
• ユーザーインタフェース/デバイス/UX:5年未満
「ハードウェアを入れ替えながらも、
ソフトウェア資産はそのまま移行して使い続けたい」
HP-UX	11i	製品紹介より
基盤とUIは
ライフサイクルが異なる
Enterprise Architecture
Framework
Business
Data
Application
Technology
• カスタムアプリケーション
• パッケージアプリケーション
• サービス/プロセス実装 etc
• 保持データ
• データ構造
• データ管理 etc…
• 業務プロセス
• 業務ルール
• 組織構造 etc…
• ハードウェア(サーバ、NW等)
• ソフトウェア(言語、ミドル、UI等)
• データセンター、回線 etc…
FEAF	Architectural	Model
http://en.wikipedia.org/wiki/Federal_enterprise_architecture
ライフサイクル
長
短
Technology	 (Infrastructure)
ライフサイクルによる境界線の識別(1)
Application (Services)
Technology	 (UI/UX)
Data	(Database)
Business
Technologyは消耗品
Technology	 (Infrastructure)
ライフサイクルによる境界線の識別(2)
Application (Services)
Technology	 (UI/UX)
Data	(Database)
Business
ApplicationとDataを、活かす
API-based Web Application Architecture
<モダンWebアプリ>
• フロント・バックの疎結合
• デザインと基盤の分離
• Req : REST API
• Res : JSON
• バックエンドを軽く
• フロントですべきことは、フロントで。
無駄なデータ転送を削減。
• Front-End : 70%のコード
• Back-End : 30%のコード
• バックエンドは堅く
• 認証やバリデーションは、勝手に作
り込まない。
• Authentication
• Validation
• ORM
• HTML5 Ready
• WebSocket
• WebStorage
JSON
Front-End
<Web	Browser>
Back-End
<Server	App>
Database
SPA (Single	Page
Application)
JavaScript
MVVM	Framework
JavaScript
Business	Logics
HTML5/CSS3/JavaScript	
Data	Processing
Authentication Validation
ORM Logging
REST	API
Cloud / Container / Virtualization
• Portability
• 軽量で柔軟なアプリケーション配備
• サーバは落ちるもの。スケールアウト+迅速な起動。
• PaaS : CloudFoundry, Azure AppService
• Container : Docker, EC2 Container
• Reliability
• 堅牢なデータ保持環境
• データは消えないもの。遠隔地多重保持で当然。
• Storage : Amazon S3, EBS, Azure Storage
• Database : Azure SQL Database, Aurora
• トレードオフの選択肢
• 「自由度」と「軽さ」
• IaaSは自由だが、Technologyのコントロールが必要
• PaaSは軽量だが、環境制約に縛られる
Datacenter
Networking
Storage
Server
Virtualization
Container
O/S
Middleware
Runtime
Data
PaaS(Platform)
SaaS(Software)
CaaS(Container)
IaaS(Infrastructure)
Application
Technology	 (Infrastructure)
Infrastructure モダナイゼーション
Application (Services)
Technology	 (UI/UX)
Data	(Database)
Business
Re-Host
Windows	Server	2003	→	Virtualization	(Microsoft	Azure	VM	/	Hyper-V)
Re-Write
Windows	Server	2003	→	PaaS (Microsoft	Azure	AppService)
Technology	 (Infrastructure)
UI/UX モダナイゼーション
Application (Services)
Technology	 (UI/UX)
Data	(Database)
Business
Wrapping
Re-Interface
Legacy	Web	UI	→	REST/JSON	Interface	+	API	Based	Web	App
MF,	UNIX	Service	→	REST/JSON	Wrapper	+	API	Based	Web	App
REST/JSON	I/F
「再生」から「サービス」そして
「エコシステム(生態系)」へ
• 「木」から「森」、個別最適から全体最適
• エコシステムの「サービス」として再生
• Solution/ Segment/ Enterprise Architecture
老朽化システム
再生済
(Modernized)
システム
エコシステム
個別最適からの脱却を目指して
• 既存システムを「サービス群」として捉える
• 目に見えるものに囚われない
MainFrame HP-UX OpenStack/VM
Windows	ServerLinux	ServerAWS
契約 取引 請求 支払
顧客
申込
履歴 ナレッジ
人事 給与 会計
商品在庫
カスタマーリレーション
PHP	App
人事・給与・会計
Package
在庫管理
Java	Web	App
請求支払管理
C++	App
契約管理
Package
申込受付
Java	Web App
Application
Data
Technology
保守切れ
業務
効率化新制度
対応
利便性
悪い
スマホ
対応
新陳代謝するエコシステムへ
MainFrame HP-UX OpenStack/VM
Windows	ServerLinux	ServerAWS
契約 取引 請求 支払
顧客
申込
履歴 ナレッジ
人事 給与 会計
商品在庫
Technology
(Infra)
カスタマーリレーション
PHP	App
人事・給与・会計
Package
在庫管理
Java	App
請求支払管理
C++	App
契約管理
Package
申込受付
Java	Web	App
Application
Data
Re-Host
REST	API
Wrapping
請求支払
WebApp
Web給与
明細
REST	API
企業間取引電子化
REST	API
電子
契約書
サービスデスク
モダンWebApp
REST	API
Re-
Interface
Technology	(UI/UX)申込受付
iPhone	App
Applicationと
UIを分離
「アプリケーション = API」
http://docs.openstack.org/openstack-ops/content/architecture.html
エンタープライズ・エコシステム構築の観
点
• Lifecycle(ライフサイクル)
• 適切なライフサイクルでの新陳代謝 → Enterprise Architecture
• Loose Coupling (疎結合)
• 責務/ライフサイクルで交換可能 → サービス化、SOA
• Latest Technology (最新技術の採用)
• その時代のテクノロジーを活用 → API based WebApp
“3L”
本セッションのまとめ
• モダナイゼーションはTransformation(進化)
• モダナイゼーション手法は9種類
• システム単独ではなく、エコシステム全体の進化を見据える
• ライフサイクルに着目
• その動機はどのレイヤーに影響するのか
• Enterprise Architecture
• UIとインフラは消耗品
• REST I/F、モダンWebによる現代版C/SでUIを分離
• C/Sはラッピング、レガシーWebはリインタフェースで
• アプリのポータビリティ確保、もしくは長期保守可能なインフラを
• アプリケーションとデータを長期間維持する
• リラーン、リファクター、リライトで保守コストを削減
• モダナイゼーションとSOAは相性が良い
• UI技術の多様化、シンプルなAPI、そしてServiceBusの活用
Thank You!
zenarchitects.co.jp
facebook.com/zenarchitects

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