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位置情報サービスの未来 ~ジオメディア、位置ゲーは今後いかに成長するか?~ シリウステクノロジーズ シリウスラボ 所長: 関 治之
発表者について シリウステクノロジーズ:関 治之 位置情報連動広告配信システムを開発する、シリウステクノロジーズ内の研究所、「シリウスラボ」 所長 2008 年より、「ジオメディアサミット」という、有志による勉強会を設立。位置情報を使ったメディアの研究を行う。 シリウステクノロジーズ: http://www.cirius.co.jp/ シリウスラボ: http://lab.cirius.co.jp/ ジオメディアサミット: http://lab.cirius.co.jp/gsum
1:ジオメディアの分類と解説
ジオメディアとは Geographical + Media = Geomedia Geographical :  地理的な Media :  媒体 地理的な性格を持ったメディア
ジオメディアの分類 位置ゲー コミュニティ タウン情報 案内・地図 導入期 成長期 成熟期
案内・地図サービス 案内系 NAVITIME  ( 会員 220 万人 ) ゼンリン 駅探   ( 会員 83 万人 ) 乗換案内( 640 万 UU ※ アクセス数) S! GPS ナビ(ソフトバンク) 全力案内! ポータル系 グーグルマップ ヤフー!地図 特定シーン特化 タクシー相乗り検索:タクワリ 終電検索:終電 .jp 携帯 GPS の向上の歴史とともに位置情報サービス市場を牽引してきた主役。 市場規模は 400 億~ 500 億? 数字は 2007 年 5 月時点。 ROA 調べ
タウン情報サービス 汎用 i タウンページ ヤフー!地域情報 サンゼロミニッツ 楽天マップ ドコイク? 業種特化 食べログ    ( 飲食 ) ぐるナビ    ( 飲食 ) ホットペッパー    ( 飲食、美容 ) gogo.gs   ( ガソリンスタンド情報 ) 特定シチュエーション、ターゲット、地域向け 超店舗検索 Location Amplifier (クウジット):丸の内のシャトルバス運行情報など ユーザがロケーション情報を探す際の情報収集として利用
コミュニティサービスの例 既存コミュニティの付属コーナー モバゲータウン「タウン」 GREE  「グリ街」 地域コミュニティ特化型 e- まちタウン          Lococom  (ロココム ) (50 万人を突破 ) 自治体系地域 SNS ごろっとやっちろ、ひょこむ 他多数 地域コミュニティは着実にユーザーが増えてきている 掲示板的な情報交換がメイン 自治体系はブームが一段落している状態 グリ街
ゲーム系(位置ゲー)サービスの例 ケータイ国盗り合戦   ( マピオン + JR  トラベルナビゲータ) ユーザ数 22 万 5,000 人( 5 月中旬時点) コロニーな生活   ( 株式会社コロプラ ) ケートラ(本田技研工業) まちつく(ウノウ) 昨年から徐々に存在感を増してきているジャンル 位置情報利用の機会自体少ないという問題を解決
2:ジオメディア普及の背景
要因1:位置測位可能なデバイスの普及 アクセス可能なデバイスの数はメディア普及にとって最重要ポイント 位置の測位ができる携帯端末( GPS 対応端末)の普及により多くのユーザが位置情報機能を使えるようになった キャリアの積極的な仕様公開により多くの対応サービスが生まれた IP 接続可能携帯:: 97% ( 9000 万台) GPS 対応端末: 55%
要因2:技術的難易度の低下 Google Maps API  により無料で簡単に地図が利用可能になった Google Static Maps API  の登場により、携帯でも正式に  Google Maps  が表示可能に 各社地図サービスからも携帯向けの地図 API が提供されている
要因3: POI  データを公開する  API  が増加 ホットペッパー  API    ( 飲食、美容室 ) ぐるなび  API  ( 飲食 ) 食べログ  API  ( 飲食 ) じゃらん   ( 旅行 ) ドコイク ? Web  サービス  ( 全般 ) Weather Hacks by Livedoor  ( 天気 ) Yahoo! Japan ローカルサーチ API  ( ジオコーディング ) GeoPlatform API (3 キャリア対応  GPS  取得  API) Orkney Web Routing Service API ( ルート案内 ) etc... マッシュアップブームにより、 API を利用したサービスも多く生まれた。
メディア普及についてのまとめ 測位可能端末の普及 地図 API POI  データ コンテンツの多様化 オープン仕様 ジオメディアの拡大 端末の普及 開発難易度の 低下 利用シーンの増加
3:ジオメディアのビジネスモデルと課題
有料会員 案内・地図系に多い 店舗からの販促費 グルメ系サイトやタウンページなど 広告 位置情報を使った広告配信 タイアップキャンペーン サイトから店舗誘導を促すキャンペーン ジオメディアの主なビジネスモデル
携帯の月額課金 案内系に多い ユーザへのわかりやすい便利さが必要 情報系にはあまり向かない モデル1:有料会員
店舗への集客 タウン情報系に多い 集客力と媒体力、営業力が必要 飲食、美容、不動産などのカテゴリでは、 PC の時代からのプレイヤーがすでに強みを構築。 店舗向けの管理ツールを提供したり、予約システムと連動しているケースも多い モデル2: 店舗からの販促費
純広 Adsense などの一般的なネットワーク広告 ロケーションベースのネットワーク広告 アフィリエイト モデル3:広告 コンテキスト、掲載枠によって上記の広告を使い分ける ロケーションコンテキスト 純広 一般ネットワーク広告 ローカル広告 アフィリエイト ターゲティング コンテンツコンテキスト
ロケーションベース広告の例 モバイル向けエリアターゲティング広告 多くのジオメディアで利用されている実績ある広告ネットワーク ユーザがいる場所や見ている場所の近くの広告を配信可能 位置情報なしの広告に比べ、費用対効果が高い アドローカル (シリウステクノロジーズ) 利用媒体の例( 2009 年 5 月現在) 掲載イメージ [PR] 恵比寿の高時給☆短期バイト
AdLocal (アドローカル)紹介資料 ① AdLocal とは?? ② どこに広告が出るのか?? ③ どんな広告を表示出来るのか?? ④ 費用対効果は?? 月間 140 万人以上のユニークユーザー 特に若者への遡及に効果絶大! 累計 10 億回以上ローカル広告を表示 ⇒ ユーザーの 位置情報 に連動してモバイル広告を配信するサービス。 ⇒ 12 文字 ×1 行のテキスト広告を表示。 配信エリアを指定して、最大半径 10km までの範囲に広告を配信!! ⇒ 携帯 NO.1 サイト “ モバゲータウン ” を筆頭に、ママスタ、食べログなどの人気サイト35以上で掲載。 渋谷でカフェバイト♪ <ポイント> ・店舗所在地などの地名を入れる ・直接地域ページに誘導が可能 ⇒ 地域を絞ることで、既存媒体よりも高い効果を実現。 大手学習塾A社:講師採用単価を 1/3 に削減 ! 大手人材系 B 社:アルバイト採用単価 1 万円未満 を実現! アパレル系 C 店:既存媒体では獲得不可能だった若い層の取り込みを月額 1 万 3,000 円 で実現! イベント告知 D 社: 3 万円以下で 30,000 名以上 に表示!
学校 専門学校、大学、英会話スクールなど オフィス CHK (声優の専門学校)の例:その他の広告ではほとんどゼロだったが、説明会まで来てくれた人が多かった ネットスーパー 店舗周辺の人への宅配サービス これまでの広告では、店舗周辺の人にリーチできる広告配信サービスがなかった ジオメディア自体の広告 ローカル系 CP の集客効果が高い コンバージョンレートにして、従来の 2 倍 効果が高いロケーションベース広告の例
収益性 コンテキストに左右されるが、通常広告に比べ2~3倍の効果 平均すると  eCPM  は 100 ~ 200 円 最大だと 500 円のケースも 広告の質 コンテンツ的な広告が多く、ユーザへの印象が良い 媒体がロケーション広告を利用するメリット
モデル4:タイアップキャンペーン コロプラ x リアル店舗 コロプラユーザ向け限定バーチャル お土産アイテムとして、「日光甚五郎煎餅」を追加 実際にお店に来たユーザへの専用カード(コロカ)プレゼントなど 来店が多く、クライアントからの評判も良い ケータイ国盗り x  JR 東日本 観光地誘導型「天狗の武者修行」 ケータイ国盗り x ぐるなび 飲食店に置かれた  Felica  端末との連携
ジオメディアマネタイズの課題 広告主のリテラシー モバイル広告についての認知が低い 営業効率が悪い 小さいトラフィック 利用シーンが限定されるため、どうしてもトラフィック数が少なくなる -> さらなるメディアの多様化、トラフィック増加が必要 営業効率が悪い 小規模多店舗の広告を集めるのが大変。クライアントの認知も低い。 -> 媒体単体では開拓は難しい。ネットワーク広告を活用するのが現実解。 タイアップの手間 タイアップは高い効果を発揮する可能性があるが、企画設計のコストが高い -> フランチャイズ展開をしている大手クライアントが主なターゲット? 企画がこなれてくれば横展開可能 プライバシー問題 位置情報の取り扱いに対して、明確な指針が存在しない -> ガイドラインの整備が必要 広告効果がわかりずらい 広告効果の測定が難しい ->  FeliCa  連動など、インフラ面からの連携が必要
4:ジオメディアの未来
アプリケーションの表現力向上 屋内  GPS  、 BlueTooth/IC タグ連携、決済機能連動など Geolocation API  の標準化 OS  レベルでの位置測位 API サポート 1:現実世界の拡張機能としての、デバイスやアプリケーションの進化( AR )
セカイカメラ
Layar
IBM  Wimbledon 2009
KDDI 、沖縄セルラーは、新しいアイデアを β 版として提供する「 au one  ラボ」で、携帯電話をかざした方向の空間情報を把握できる「実空間透視ケータイ」( β 版)の提供を 6 月 25 日から開始する。当初の対応機種は CA002 、 W62CA で、利用料は無料。 au 「実空間透視ケータイ」( β 版)
複数の測位システムによるユーザの位置測位を、共通のインターフェースで可能にする位置測位方法 測位手段には、以下のようなものがある 準天頂測位衛星 ( IMES ) 無線 LAN 測位 基地局測位 RFID 室内 GPS 可視光通信 QR コード、マーカー シームレス測位
他の生活インフラとの連動 ライフログを元にした行動予測 最適 g コンテンツのリコメンデーション 2:ケータイ端末のエージェント化 セカイカメラの例
その場で探すのではなく、タイムリーなタイミングでリコメンドをしてくれるリコメンデーションエンジンに ドコモ  i コンシェル NTT ドコモコンシューマサービス部ネットサービス企画担当部長、前田義晃氏による発表内容を元にした記事 「今後の計画として,位置情報や設定情報などを利用したサービスを近いうちに実現させたいとした。位置情報については,終電の時刻,ランチ・スポット,観光情報,天気などの情報をユーザーの位置に基づいて届ける,新しい行動支援型サービスを提供していくと述べた。」 ( [ ITpro カンファレンス:ライフログ・サミット]携帯電話で行動を支援, NTT ドコモ「 i コンシェル」の全貌: ITprohttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090423/329013/  )
他のインフラとの連動 フェリカ(決済プラットフォーム) デジタルサイネージ
3:位置情報共有プラットフォーム 位置情報の共有サービスが普及する? 位置情報取得はコストがかかる アプリケーションごとに毎回測位するのは面倒 プライバシーを守りつつ友達との情報共有をしたい 日本でこの仕組みが流行るかどうかは未知数
Yahoo! FireEagle Yahoo! FireEagle の例
Google Latitude Google Latitude の例
NOKIA Maps API 位置連続測位 API ランドマーク検索 API
Where Platform
mixi  プラットフォーム
市場規模予測 注: 2007 年時点予測。 位置ゲー効果での押し上げがあるはず
潜在市場
海外市場予測 既存メディアが縮小し、オンラインローカル広告に移行するという見通し http://www.mediapost.com/publications/?fa=Articles.showArticle&art_aid=10215 15 percent of all Apple  iPhone applications are local. http://www.internetnews.com/bus-news/article.php/3824006
ジオメディアサミットについて オープン 中立 交流 最後に 検索 ジオメディアサミット で
ありがとうございました Contact: [email_address] シリウステクノロジーズ:関 治之 http://twitter.com/hal_sk http://www.facebook.com/halsk

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Editor's Notes

  1. 案内系は会員制有料モデルが主。ユーザのメリットがわかりやすく、課金しやすい。 データ収集や地図利用など、コンテンツ面で参入障壁が高い。 タクシー相乗り検索や終電検索など、特定シーン向けのサービスも出てきている
  2. 上記だけでなく、タウン情報系のサイトはかなり多い。 業種やシチュエーションに特化したサービスと、汎用的なものと存在する。 PC でデータを集めてきたサービスが携帯対応したものが多い。 対象店舗から広告費を直接もらうモデルか、一般的な広告モデルが存在する。 クウジットの Location Amplifier  では、丸の内周辺のシャトルバスの検索などもサポートしている
  3. 多くのサイトが生まれては消えている。設計が難しい。
  4. 近年注目を浴びているカテゴリ。携帯から取得した緯度経度情報によってゲーム内でイベントが発生したり、移動距離に応じてポイントが蓄積できたりといった形が多い 他のジャンルに比べると一人当たりのユーザのトラフィックが多い 年齢層が高め(国盗りはサラリーマンが 70% ) 複数サービスを使っている人が多い mixi のオープン化戦略でソーシャル要素が入ったゲームも出てくるのでは? ケータイ国盗り合戦はキャンペーン的利用の好例 スタンプラリーなどの販促利用が増えてくると予想
  5. バックグラウンドで位置情報を送るには GPS は電池を使いすぎる
  6. それぞれのサービスを利用するごとにユーザが位置情報を取得、送信しなくてはいけないのは非効率。ユーザのライフログサービスはコンテンツプロバイダと分離し、インフラとして整備される方が効率がいい