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ソフトシンセを作りながら学ぶ
  Pythonプログラミング

              2012-09-15
       Python Conference JP 2012

                Ransui Iso
   Strategic Technology R&D / X-Listing Co, Ltd.


                                         Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
おまえ誰よ?

               Ransui Iso (磯 蘭水)
               Work at X-Listing Co, Ltd.
               http://www.xlisting.co.jp/


Pythonは1998年から使っています。E-Commerceエンジンやサーチエンジンの開
発、Zopeを用いたWebサイト開発、その他色々を経て、今はネット広告配信シス
テムについての研究開発をしています。最近はCommon Lispでシステム開発をし
ていますが、Pythonもヘビーに使っています。



  http://www.facebook.com/ransui

  @ransui


                                  Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
まずは音楽を聞いて
心の準備を致しましょう



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Johann Sebastian Bach
   March 21, 1685 – July 28, 1750

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今日お話する内容
●
    はじめに色々
●
    まずは音を出してみよう
●
    音とシンセサイザー
●
    ToySynthの中身
●
    音から音楽へ
●
    音源のカスタマイズ


                  Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
対象とするレベル
●
    Pythonプログラミングの経験
     –   午前中のセッション「Pythonチュートリアル」
     –   書籍「はじめてのPython」
     –   Python公式ドキュメント「Pythonチュートリアル」
         全部をクリアしてなくてもOKです


●
    プログラミングそのもの
     –   練習問題やサンプルプログラム等をいじったことがある
     –   フルスクラッチで何かを作ったことはあまりない
     –   ライブラリとかの中身を覗きこんだりはあまりしない


                                 Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
その他注意点など
●
    これはハンズオンのセッションです
     –   セッション時間内に演習時間があります
         ●
             Pythonが実行可能なノートPC等を持っていないと、すごくつまらないです
         ●
             近くの席に座った人同士で教えあって、たのしくプログラミングしましょう
     –   必要なプログラムは配布します


●
    何故か紛れ込んでいる中〜上級者(モヒカン)の方へ
     –   ぜひとも周りの人に色々教えてあげてください
     –   ウロウロ推奨。勝手開発推奨。成果物の見せびらかし&頒布推奨


●
    長時間のセッションなので…
     –   休憩時間が時間割とずれることがあります。他のセッションの迷惑にならないよう
         に注意してください

                                          Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
Break The ICE



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とにかく音を出してみよう




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ToySynth
●
    以下のURLから入手する
     –   http://alpa.homeip.net/PyConJP2012/ToySynth.zip
     –   ダウンロードしたら適当なディレクトリ(フォルダ)に展
         開する




                                        Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
演習
●
    サンプルを実行してみる
$ python Example01.py
 $ python Example01.py




      –   Example01.py と同じディレクトリに output.wav
          というファイルが出来上がっているはず
      –   適当なメディアプレーヤーで再生する
      –   音は出ましたか?




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音とシンセサイザー




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音ってなんだ?
●
    空気の密度の時間変化
     –   粗密波として視覚化するのは面倒なのでグラフを使う




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音の3要素
●
    音量
     –   波の高さ
●
    音高
                       周期
     –   波の周波数
●
    音色            音量


     –   波の形


         この3つの要素をコントロールできればOK

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音を出す装置
●
    信号を空気の粗密波に変換する

    Analog               Amplifier                         Speaker
    Source    微小電圧信号                 電流信号




                              微小電圧信号




    Digital                DAC
    Source    エンコードされた
              数値信号


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デジタル化された音
●
    サンプリング周波数
     –   1秒あたりの分割数
●
    量子化
     –   振幅方向の分割数


         CD音質の場合
           –   サンプリング周波数   44100Hz
           –   量子化ビット数     16bit      (65536段階)




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PCの場合
●
     プログラムから信号を送り込むことができる
                        1:送り込むデータの形式を設定
    Application         2:音声信号を数値データとして送り込む



                     OS       Device
                  Sound API   Driver



データは数値列なのでプログラムで
好き放題作成可能
                                                                  Output
→ ソフトシンセ!                     DAC      Amplifier
                                                                 Terminal



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ToySynthの中身




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Components.py
●
    このファイルに部品が詰まっている
     –   Oscillator   (発振器)
     –   Amplifier    (増幅と減衰)
     –   Clock        (時計)
     –   Renderer     (全体のコントロール)
     –   Sink         (音声データの出力先)
     –   その他色々




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Example01.pyの中身
●
    部品の雛形を取り込む
●
    部品を生成して接続する
●
    音データを作成してファイルに出力する




                  Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
部品の雛形を取り込む
●
    モジュールからクラスをインポートする
from Components import Config
 from Components import Config
from Components import SineWaveOscillator
 from Components import SineWaveOscillator
from Components import Amplifeir
 from Components import Amplifeir
from Components import Clock
 from Components import Clock
from Components import Renderer
 from Components import Renderer
from Components import WaveFileSink
 from Components import WaveFileSink



                                                                   WaveFile
     Sin        Amplifier     Clock      Renderer
                                                                    Sink




           クラスは部品そのものではないので注意

                                             Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
部品の生成と接続
●
     クラスからインスタンスを作成する
 osc = SineWaveOscillator(frequency=440.0)
  osc = SineWaveOscillator(frequency=440.0)
 amp = Amplifeir(source=osc, gain=Config.MaxGain, attenuate=1.0)
  amp = Amplifeir(source=osc, gain=Config.MaxGain, attenuate=1.0)

                            プログラムの意味

      Sin       Amplifier   サイン波を生成する発振器を1個生成してoscという
                            変数から参照できるようにした。作成した発振器の
                            初期周波数は440Hz

                            増幅器を1個生成してampという変数から参照できる
                  amp       ようにした。アンプの入力はoscで参照できる発振器
      osc       Gain: Max
    F: 440.0                増幅は最大で、減衰なし。
                 Att: 1.0



               インスタンスが実体を持った機能する部品
                                           Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
Example01.pyでの部品の構成
●
    最終的に以下のような構成になっている

                  amp                         WaveFile
       osc      Gain: Max   Renderer             Sink
     F: 440.0    Att: 1.0                   Out: output.wav




                              Clock
                            End: 44100




         インスタンスが実体を持った機能する部品

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発振器とアンプ
●
    アンプが数値を増幅する

                             amp
       osc                 Gain: Max                             Renderer
     F: 440.0               Att: 1.0
                -1〜1の範囲の             input × Gain × Att
                実数でデータ
                を生成
                           ここでは16bit量子化の最大限まで増幅
                           Att は 1.0 なので、減衰は無し




       これから先データを重ねあわせたりするときに
     正規化されていると何かと便利なのでこうなっている

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レンダラと時計
●
    音を表現する数値データ生成の中心
                                get_value(tick)


                      amp                                                       WaveFile
      osc           Gain: Max                     Renderer                         Sink
    F: 440.0         Att: 1.0                                                 Out: output.wav



         get_value(tick)
                                                    Clock
                                                  End: 44100




               get_value というメソッド(関数)の連鎖がミソ
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演習
●
    音量・音高
     –   音量・音高を変えるにはどこを調整すればいいか。また
         調整によってどのように出力が変化するか
●
    音色
     –   Componentsモジュールには
         SquareWaveOscillator, SawWaveOscillator, 
         NoiseGeneratorという正弦波以外の波形を生成する発
         振器が含まれている。これを使って音を出してみよ。聴
         覚上どのような違いがあるか。


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音から音楽へ




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楽譜
●
    音楽専用プログラミング言語そのもの




                 Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
Music Macro Language
●
    楽譜をコードに置き換える




    t120o4l4cdefedcrefgagfe4
    t120o4l4cdefedcrefgagfe4
    crcrcrcrl8ccddeeffl4edcr
    crcrcrcrl8ccddeeffl4edcr
                           Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
MMLのコマンド
●
    発声に関するもの
     –   音符:c, d, e, f, g, a, b, r
     –   半音:+ で ♯, - で ♭ を表現する (a- → aフラット)
     –   音長:音符の後に数値をつける
          ●
              1, 2, 4, 8, 16, 32
          ●
              Lコマンドでデフォルト値を設定できる
          ●
              . で付点を表現できる(a4. → 付点付き4分音符)
     –   オクターブ
          ●
              Oコマンドで指定する (o4a が 440Hzのラの音)
          ●
              > コマンドで1オクターブUP, < コマンドで1オクターブDown

                                     Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
MMLのコマンド
●
    コントロールに関するもの
     –   Tコマンド    テンポの指定
     –   Vコマンド    音量の指定(0〜15までの16段階)
●
    使用上の注意
     –   コマンドは大文字・小文字を区別しない
     –   MML中にスペースは入れられない
     –   字句解析は結構いい加減。落とし穴があるかも。
     –   タイ、スラー、繰り返し指定、トレモロ、調指定等の高度な
         機能は未サポート。基本機能しか無い。
           –   ということは自分好みに拡張し放題!
                                   Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
演習
●
    サンプルプログラムを実行する
     –   プログラムは Example02.py
     –   出力は output.wav
     –   聞こえましたか?




                               Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
Example02の中身
●
    音を出す部品の構成
        指定されたタイミングで
        frequency 属性をセット



                                                             WaveFile
      osc              Sequencer   Renderer
                                                              Sink




     MML
                                    Clock
    Compiler   周波数を変更する
               タイミングデータ



                                       Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
MMLCompiler
●
    MMLをタイミング情報に変換する
     –   (減衰量, 周波数, 時刻) というタプルのリスト
         ●
             減衰量:Vコマンドによるボリューム指定で決定。0〜1の実数
         ●
             周波数:音符コマンドによる音程によって決定
         ●
             時刻 :指定周波数をどの時点まで発生させるかを指定
                 音符コマンドの音長によって決定


●
    使うときの注意
     –   MMLコンパイラは処理中に内部情報としてMMLを何処まで読んだか、
         現在のオクターブ情報、デフォルトの音長等の情報をコンパイラ内部に
         記録しながら動いている。
     –   複数のトラックのMMLをコンパイルするときに1個のコンパイラを使い
         まわすと旨く動かない。別々にインスタンスを用意して処理するべし。
                                     Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
Sequencerの役割
●
    タイミング情報を使って周波数を変化させる
     –   Rendererからの呼び出しの時に受け取る時刻情報を参照しながら、タイミング
         情報をチェックしてターゲットの発振器の周波数を変化させる
     –   普通は部品の鎖の先端にある発振器の周波数を変化させ、データは鎖の末尾に
         あるものから取り出す。
     –   ボリューム操作を実現するためにSequencerにはAmplifierが内蔵されている。
         通常はSequencerはRendererの直前に接続すれば良い。




                   Modulator
           osc                 Sequencer            Renderer
                    Etc...




           上の図のような関係にならないように注意しないといけない
                                           Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
演習1
●
    以下の楽譜を入力して演奏しなさい




     音を区切るには明示的に休符をつかわないといけない
        自然な感じに聞こえるように工夫してみる
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演習2
●
    かえるの歌を輪唱させなさい
     –   Sequencerには複数のトラックを指定できる
         ●
             add_track を使う
         ●
             Sequencerには Mixer が内蔵されているので全トラックの出力が自動的に合成さ
             れて出力される
     –   トラック毎に発振器は別のものを用意する必要がある
     –   トラックごとにコンパイラも別のものを用意する
         ●
             デフォルトの音長や現在のオクターブなどを記憶しているため
     –   コンパイルしたタイミング情報はそれぞれ適切なトラックに投入する
     –   第2トラックは1小節分遅れてスタートすればOK
         ●
             第1小節は全休符にすればいい
         ●
             第1トラックが先に演奏が終わるけれど……


                                        Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
音源のカスタマイズ




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ビブラートっぽい音
●
    周波数を周期的に変化させればOK

                      base_osc = SineWaveOscillator()
                       base_osc = SineWaveOscillator()
                      diff_osc = SineWaveOscillator()
                       diff_osc = SineWaveOscillator()
          Frequency   diff_osc.frequency=10.0
                       diff_osc.frequency=10.0
    osc   Modulator
                      viv_amp = Amplifeir(
                       viv_amp = Amplifeir(
                          source=diff_osc,
                           source=diff_osc,
                          gain=2.0,
                           gain=2.0,
                          Attenuate=1.0)
                           Attenuate=1.0)
                      viv_osc = FrequencyModulator(
                       viv_osc = FrequencyModulator(
                          source=base_osc, 
                           source=base_osc, 
                          diff=viv_amp)
                           diff=viv_amp)
    osc     amp
                      frequency : ビブラートの周期
                      Ampのgain : ビブラート深さ



                                      Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
DeTune
●
    微妙に周波数をずらした音を重ねる
                           2つの異なる発振器に対して周波数を同時に
       frequency
                           設定できないといけないので、ビブラート
                           とはちょっと事情が違う。
             Track0        Example03.py に実装例がある。
     osc
                           Property という仕組みを使って、属性にア
                           クセスされた時に get_frequency,
                   Mixer   set_frequencyが自動的に呼ばれるようにで
                           きる。


     osc
              Track1


       frequency + depth

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演習
●
    Stereo Chorus を作って使ってみる
       frequency


                              Gate            Track0
     osc                   (True, False)



                                                         Mixer



     osc           Inverter                Gate
                                     (False, True)
                                                       Track1


       frequency + depth

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演習
●
    少し長めの1曲を完成させてみましょう
●
    その他の効果音的な部品を作れますか?
     –   エンベロープ(音量変化)を付ける
     –   ノイズを使ったパーカッションパートのための音源
     –   ディレイ・リバーブ
     –   その他……




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Thank you for attending
     Happy Hacking with Python!




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  • 23. Example01.pyでの部品の構成 ● 最終的に以下のような構成になっている amp WaveFile osc Gain: Max Renderer Sink F: 440.0 Att: 1.0 Out: output.wav Clock End: 44100 インスタンスが実体を持った機能する部品 Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 24. 発振器とアンプ ● アンプが数値を増幅する amp osc Gain: Max Renderer F: 440.0 Att: 1.0 -1〜1の範囲の input × Gain × Att 実数でデータ を生成 ここでは16bit量子化の最大限まで増幅 Att は 1.0 なので、減衰は無し これから先データを重ねあわせたりするときに 正規化されていると何かと便利なのでこうなっている Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
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  • 26. 演習 ● 音量・音高 – 音量・音高を変えるにはどこを調整すればいいか。また 調整によってどのように出力が変化するか ● 音色 – Componentsモジュールには SquareWaveOscillator, SawWaveOscillator,  NoiseGeneratorという正弦波以外の波形を生成する発 振器が含まれている。これを使って音を出してみよ。聴 覚上どのような違いがあるか。 Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 27. 音から音楽へ Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
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  • 29. Music Macro Language ● 楽譜をコードに置き換える t120o4l4cdefedcrefgagfe4 t120o4l4cdefedcrefgagfe4 crcrcrcrl8ccddeeffl4edcr crcrcrcrl8ccddeeffl4edcr Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 30. MMLのコマンド ● 発声に関するもの – 音符:c, d, e, f, g, a, b, r – 半音:+ で ♯, - で ♭ を表現する (a- → aフラット) – 音長:音符の後に数値をつける ● 1, 2, 4, 8, 16, 32 ● Lコマンドでデフォルト値を設定できる ● . で付点を表現できる(a4. → 付点付き4分音符) – オクターブ ● Oコマンドで指定する (o4a が 440Hzのラの音) ● > コマンドで1オクターブUP, < コマンドで1オクターブDown Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 31. MMLのコマンド ● コントロールに関するもの – Tコマンド テンポの指定 – Vコマンド 音量の指定(0〜15までの16段階) ● 使用上の注意 – コマンドは大文字・小文字を区別しない – MML中にスペースは入れられない – 字句解析は結構いい加減。落とし穴があるかも。 – タイ、スラー、繰り返し指定、トレモロ、調指定等の高度な 機能は未サポート。基本機能しか無い。 – ということは自分好みに拡張し放題! Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 32. 演習 ● サンプルプログラムを実行する – プログラムは Example02.py – 出力は output.wav – 聞こえましたか? Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 33. Example02の中身 ● 音を出す部品の構成 指定されたタイミングで frequency 属性をセット WaveFile osc Sequencer Renderer Sink MML Clock Compiler 周波数を変更する タイミングデータ Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 34. MMLCompiler ● MMLをタイミング情報に変換する – (減衰量, 周波数, 時刻) というタプルのリスト ● 減衰量:Vコマンドによるボリューム指定で決定。0〜1の実数 ● 周波数:音符コマンドによる音程によって決定 ● 時刻 :指定周波数をどの時点まで発生させるかを指定 音符コマンドの音長によって決定 ● 使うときの注意 – MMLコンパイラは処理中に内部情報としてMMLを何処まで読んだか、 現在のオクターブ情報、デフォルトの音長等の情報をコンパイラ内部に 記録しながら動いている。 – 複数のトラックのMMLをコンパイルするときに1個のコンパイラを使い まわすと旨く動かない。別々にインスタンスを用意して処理するべし。 Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 35. Sequencerの役割 ● タイミング情報を使って周波数を変化させる – Rendererからの呼び出しの時に受け取る時刻情報を参照しながら、タイミング 情報をチェックしてターゲットの発振器の周波数を変化させる – 普通は部品の鎖の先端にある発振器の周波数を変化させ、データは鎖の末尾に あるものから取り出す。 – ボリューム操作を実現するためにSequencerにはAmplifierが内蔵されている。 通常はSequencerはRendererの直前に接続すれば良い。 Modulator osc Sequencer Renderer Etc... 上の図のような関係にならないように注意しないといけない Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 36. 演習1 ● 以下の楽譜を入力して演奏しなさい 音を区切るには明示的に休符をつかわないといけない 自然な感じに聞こえるように工夫してみる Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 37. 演習2 ● かえるの歌を輪唱させなさい – Sequencerには複数のトラックを指定できる ● add_track を使う ● Sequencerには Mixer が内蔵されているので全トラックの出力が自動的に合成さ れて出力される – トラック毎に発振器は別のものを用意する必要がある – トラックごとにコンパイラも別のものを用意する ● デフォルトの音長や現在のオクターブなどを記憶しているため – コンパイルしたタイミング情報はそれぞれ適切なトラックに投入する – 第2トラックは1小節分遅れてスタートすればOK ● 第1小節は全休符にすればいい ● 第1トラックが先に演奏が終わるけれど…… Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 38. 音源のカスタマイズ Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 39. ビブラートっぽい音 ● 周波数を周期的に変化させればOK base_osc = SineWaveOscillator() base_osc = SineWaveOscillator() diff_osc = SineWaveOscillator() diff_osc = SineWaveOscillator() Frequency diff_osc.frequency=10.0 diff_osc.frequency=10.0 osc Modulator viv_amp = Amplifeir( viv_amp = Amplifeir(     source=diff_osc,     source=diff_osc,     gain=2.0,     gain=2.0,     Attenuate=1.0)     Attenuate=1.0) viv_osc = FrequencyModulator( viv_osc = FrequencyModulator(     source=base_osc,      source=base_osc,      diff=viv_amp)     diff=viv_amp) osc amp frequency : ビブラートの周期 Ampのgain : ビブラート深さ Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 40. DeTune ● 微妙に周波数をずらした音を重ねる 2つの異なる発振器に対して周波数を同時に frequency 設定できないといけないので、ビブラート とはちょっと事情が違う。 Track0 Example03.py に実装例がある。 osc Property という仕組みを使って、属性にア クセスされた時に get_frequency, Mixer set_frequencyが自動的に呼ばれるようにで きる。 osc Track1 frequency + depth Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 41. 演習 ● Stereo Chorus を作って使ってみる frequency Gate Track0 osc (True, False) Mixer osc Inverter Gate (False, True) Track1 frequency + depth Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 42. 演習 ● 少し長めの1曲を完成させてみましょう ● その他の効果音的な部品を作れますか? – エンベロープ(音量変化)を付ける – ノイズを使ったパーカッションパートのための音源 – ディレイ・リバーブ – その他…… Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.
  • 43. Thank you for attending Happy Hacking with Python! Copyright (c) 2011 Ransui Iso, All rights reserved.