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PostgreSQLクエリ実行の基礎知識 
~Explainを読み解こう~ 
第30回(仮名)PostgreSQL勉強会 
2014年10月11日 
TIS株式会社下雅意美紀 
1
自己紹介 
• 氏名下雅意美紀 
• 所属TIS株式会社 
• 経歴入社1年目 
• PostgreSQL歴= 入社歴 
• 業務で勉強する以外にも、前回のJPUGのしくみ分科会にも 
参加したり(http://thinkit.co.jp/story/2014/07/01/5074)、 
PGEConsにも参加したりとコミュニティ活動なども通して日々 
PostgreSQLの勉強をしています。 
2
PostgreSQLクエリ実行の基礎知識 
~Explainを読み解こう~ 
アジェンダ 
・PostgreSQLのクエリ実行の概要 
・Explain実行結果(問い合わせプラン)の読み方 
・Explain演算子の種類 
・問い合わせプランを変更させる 
・実際のデバック例 
3 
目標 
クエリチューニングで使用するExlpainコマンドが出力する実行 
計画を読めるようになりましょう。 
PostgreSQLがクエリ実行時に内部でどのような処理を行ってい 
るかを知りましょう。
クエリの実行 
そもそもクエリはどのようにPostgreSQL内部で実 
行されているのか 
4
PostgreSQLのクエリ処理のフロー 
DBにテーブルがあるか確認 
クエリの書き換え 
プランを実行 
5
パーサ 
• クエリの構文を解析して、文字列が正しい構文になっているかをチェック 
• 構文が正しくなければエラーを返す 
• 構文が正しければパースツリーの形に変換 
• テーブル名やカラム名が実在するかは問わないので「ローパースツリー」 
とも呼ばれる 
SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; 
SELECT 
TargetList 
oid 
RelationList 
pg_proc 
Qualifier 
Expression 
= 
oid 1 6
PostgreSQLのクエリ処理のフロー 
クエリの書き換え 
プランを実行 
7 
DBにテーブルがあるか確認
アナライザ 
• パースツリーをもとにどのような表や関数、演算子が参照されるか 
を判断して、クエリツリーを作成する 
• この時DBにテーブルが存在するかチェックし、存在したらテーブル名 
をOIDに変換する 
SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; 
SELECT 
TargetList 
oid 
RelationList 
pg_proc 
Qualifier 
Expression 
= 
oid 1 
カタログ 
oidに変更8
PostgreSQLのクエリ処理のフロー 
DBにテーブルがあるか確認 
クエリの書き換え 
プランを実行 
9
リライタ 
• PostgreSQLではVIEWやRULEはクエリを書き換えることで実行 
している 
• このような書き換えの処理をリライタという 
10
PostgreSQLのクエリ処理のフロー 
DBにテーブルがあるか確認 
クエリの書き換え 
プランを実行 
11
プランナ 
• クエリツリーを解析して、実際に問い合わせを実行するための問い 
合わせプランを求める 
• 問い合わせの実行コストを見積もり、最小コストのものを問い合わ 
せプランとする(問い合わせの最適化) 
• コスト計算のための最小単位はパス 
• パスは各処理によって種類がある 
• ここで作成された問い合わせプランはあくまで推定されたもの 
クエリツリー 
パス単位でコスト計算 
最小コストのものを問い合わせプランに 
パスの種類 
・全件スキャン 
・インデックスを使ってスキャン 
・テーブル結合 
など 
12
問い合わせプランとは 
・問い合わせプランとは、問い合わせを実行するときに、 
・どの方式でテーブルを検索するか 
・複数のテーブルがある時はどの順序や結合方式で検索する 
か 
などを記述したもの 
・問い合わせプランの優劣はコストで決まる 
・Explainはこの問い合わせプランを表示す 
るコマンド 
13
PostgreSQLのクエリ処理のフロー 
DBにテーブルがあるか確認 
クエリの書き換え 
プランを実行 
14
エグゼキュータ 
• プランナで作成した問い合わせプランを実際に実行する 
• 方式によって実行ルーチンが変わる 
表スキャン 
結合処理 
条件処理 
15
Explainとは 
• PostgreSQLはクエリ(SQL文)を実行する際にクエリを分解して、 
最も効率の良い問い合わせプラン(実行計画)でデータを取 
得してくる 
• 問い合わせプランはPostgreSQLが推定してくれる 
• そのPostgreSQLによって推定された問い合わせプランの詳細 
を表示してくれるのがExplainです。 
16 
Explain 
クエリ実行のための 
問い合わせプラン
なぜExplainしなければならないのか 
• クエリをより高速に実行しDBのパフォーマンスを上げるには 
(クエリチューニングするには)、クエリの構造とクエリに含ま 
れるデータの性質にとって最適なプランを持つことが重要 
• しかしその最適なプランとPostgreSQLによって推定されたプラ 
ンがいつも一致するとは限らない 
• PostgreSQLによって推定されたプランが最適なプランかどう 
か確認するためにもExplainで確認することは大切 
17 
推定されたプラン= 最適なプラン 
Explainコマンドで確認しよう!
Explainの実行結果の読み方 
18
Explain Planの例 
=# EXPLAIN SELECT * FROM pg_proc 
ORDER BY proname; 
QUERY PLAN 
---------------------------------------------------- 
Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=322) 
Sort Key: proname 
-> Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=322) 
19
20 
Explaining → Cost 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; 
• コストは、プランナがさまざまなプランの中からある特定のプランを選 
ぶための指標である 
• 2つのコスト: 初期コスト(左) とトータルコスト(右) 
– 実行プランの比較で重要なのはトータルコスト。 
– いくつかの演算子には初期コストがある。無いものもある。 
– コストは推定値に過ぎない。その算出は結構複雑。 
• 値はシーケンシャルI/Oで1ページを読み込むコストを1.0 とした際の 
相対値で示される。 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
初期コストとトータルコスト 
21 
cost=0.00..87.47 
初期コスト実行コスト 
最後の行を返す 
最初の行を返す 
トータルコスト
Explaining → Cost 
パラメータ説明規定値相対速度 
seq_page_cost シーケンシャル読み込み1回1.00 (基準) 
random_page_cost ランダム読み込み1回4.00 4倍遅い 
cpu_tuple_cost 行の処理1回0.01 100倍速い 
cpu_index_tuple_cost 索引の処理1回0.005 200倍速い 
cpu_operator_cost 計算1回0.0025 400倍速い 
effective_cache_size ページキャッシュサイズ128MB N/A 
22
23 
Explaining → Rows 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• 推定された行数を表示する 
• PostgreSQL 8.0以前では、一度もVACUUM/ANALYZEされて 
いないテーブルについては1000行がデフォルト。 
• 実際の値と大きくかけ離れている場合、vacuum あるいは 
analyzeをすべきというサインである。
一般的なデータ型のサイズについて 
24 
Explaining → Widths 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• このレベルにおける推定さ 
れた入力サイズを表示する。 
• それほど重要ではない 
smallint 2 
integer 4 
bigint 8 
boolean 1 
char(n) n+1 
~ 
n+4 
varchar(n) 
text [ n文字]
しかし、これらはみな推定された値である。 
→実際のコストや行数を知るには? 
25
26 
Explaining → Explain Analyze 
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT oid FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
(actual time=0.077..17.082 rows=1747 loops=1) 
Total runtime: 20.125 ms 
• 実際にクエリを実行し、実際の情報を表示する。 
• 時間はミリ秒で表示される。「コスト」とは無関係。 
• 全体の実行時間も表示される。 
• 「loops」は処理の繰り返し回数。実行時間(time)は繰り返し 
全体の時間を表す。
Explainの演算子 
27
Explain演算子とは 
• クエリを実行するための内部的な処理の計算タイプ 
• 処理の内容に応じていくつかの種類がある 
• PostgreSQLのプランナは、統計情報やwork_memの 
大きさなどをもとに、複数の演算子を組み合わせ、 
最も最適と推定される問い合わせプランを選択する 
• この演算子を変更して問い合わせプランを変更する 
のがクエリチューニング 
→演算子の処理について知っておくことが大切 
28
主な演算子一覧 
分類演算子処理 
テーブルスキャンSeq scan インデックスを使用せず、全件を検索 
Index scan インデックスを使用してスキャン 
Bitmap scan ビットマップを使用してスキャン 
Index only scan 問い合わせがインデックスに含まれるカラム 
のみで完結する場合のスキャン 
Tid scan 検索条件がタプルID(ctid)のスキャン 
その他のスキャンFunction scan 関数がデータをgatherした結果をスキャン 
テーブルの結合Nested Loop ネステッド・ループ結合を行う 
Merge Join ソート・マージ結合を行う 
Hash Join ハッシュ結合を行う 
29
分類演算子処理 
検索結果に対して 
作用 
Group GROUP BY 
limit LIMIT,OFFSET 
Unique UNIQUE 
Aggregate 集計関数(count,sum,,,) 
Group 
Aggregate 
集計関数にGROUP BYを使用し、より大きな結 
果のセットを得る 
Result 非テーブル問い合わせ 
結果の結合Append UNION(和) 
SetOp INTERSECT(積),EXCEPT(差) 
その他の処理を 
補助 
Sort ソート処理 
30 
更に詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→ 
第20回目しくみ分科会Explaing Explain 第2回目 
http://www.postgresql.jp/wg/shikumi/sikumi_20/
テーブルスキャンする演算子 
31 
分類演算子 
テーブルスキャンSeq Scan 
Index Scan 
Bitmap Scan 
Index Only Scan 
Tid Scan 
その他スキャンFunction Scan 
テーブルの結合Nested Loop 
Merge Join 
Hash Join 
分類演算子 
検索結果に対して 
作用 
Group 
limit 
Unique 
Aggregate 
Group Aggregate 
Result 
結果の結合Append 
SetOp 
その他の処理を補 
助 
Sort
32 
Seq Scan 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------- 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..92.12 rows=1 width=4) 
Filter: (oid = 1::oid) 
• 最も基本。単に表を最初から最後へとスキャンする 
• 条件にかかわらず各行をチェックする 
• 大きなテーブルはインデックススキャンの方が良い 
• コスト(開始コスト無し), 行(タプル), 幅(oid) 
• トータルコストは92.12
33 
Seq Scan について 
• テーブルを最初から最後までチェックして必要な行を探す。 
• 検索条件に合致するインデックスがない場合はこれしかない。 
• インデックスが使えても対象行が多い場合はSeq Scan に。 
⇒ プランナがコスト計算した結果を比較して判断する。 
id列のインデックステーブル 
id = 1 
id = 11 
id = 34 
id = 45 
・・・ 
使わない 
先頭行から順に走査 
(最後の行まで見る必要あり) 
Seq Scan のコスト 
= DISK I/O コスト+ CPU コスト 
= テーブル全ページ数×sequential_page_cost 
+ テーブル全行数×cpu_tuple_cost 
+ テーブル全行数×cpu_operator_cost 
・テーブル全ページ数pg_class のrelpages 
・テーブル全行数pg_calss のreltuples 
・シーケンシャルにDISK1ページを読むコスト 
sequential_page_cost = 1 
・1行を走査するCPUコスト 
cpu_tuple_cost = 0.01 
・計算1回のCPUコスト(条件絞りこみ) 
cpu_operator_cost = 0.0025
Seq Scanのコスト計算 
Seq Scanのコスト= (DISK I/Oコスト)+(CPUコスト) 
=(テーブル全ページ数×Seq_page_cost) 
+(テーブル全行数×cpu_tuple_cost ) 
+(テーブル全行数×cpu_operator_cost) 
34 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------- 
Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..92.12 rows=1 width=4) 
Filter: (oid = 1::oid) 
=# SELECT relpages,reltuples FROM pg_class 
WHERE relname = 'pg_proc'; 
relpages | reltuples 
----------+----------- 
61 | 2490 
総コスト 
= (61×1.0) + (2490×0.01) 
+ (2490×0.0025) 
= 92.125 
テーブル全行数 
テーブル全ページ数 
規定値0.0025
----------------------------------------------------- 
Index Scan using pg_proc_oid_index on pg_proc 
35 
Index Scan 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid=1; 
QUERY PLAN 
(cost=0.00..5.99 rows=1 width=4) 
Index Cond: (oid = 1::oid) 
• 特に大きなテーブルではコストが低くなるので選ば 
れる可能性が高い 
• Index Condが無い場合は、ソートの代わりとして使 
われるインデックス順のフルスキャンを表す
36 
Index Scan について 
• 検索条件に合致するインデックスがあれば検討する。 
• 通常は対象行が少なければこちらが選択される。 
• インデックスとテーブルを交互にアクセスする。 
id列のインデックステーブル 
id = 1 
id = 11 
id = 34 
id = 45 
・・・ 
1 11 45 100 
検索条件に合う 
リーフノードを探索 
必要な行に 
ランダムアクセス 
Index Scan のコスト 
= インデックスI/Oコスト+ テーブルI/Oコスト 
+ インデックスCPUコスト+ テーブルCPUコスト 
インデックスI/Oコスト 
= 必要ページ数×sequential_page_cost(1) 
テーブルI/Oコスト 
= 必要行数×(1~4) ※ 
インデックスCPUコスト 
= 必要行数×cpu_index_tuple_cost(0.005) 
テーブルCPUコスト 
= 必要行数×cpu_tuple_cost(0.01) 
※ 
アクセスページがメモリサイズ 
(effective_cache_size)の 
何倍かでアクセスコストは変化
37 
必要行数って何? 
• 指定条件を満たす行数 
• Explain の実行結果で「rows=100」とか表示される値。 
• プランナがテーブルの統計情報から行数を予測。 
⇒ 実際に検索した時の行数とは異なる。 
• 必要行数= 選択度×テーブル行数 
• 「選択度」は対象データがカラムに存在する割合 
• 選択度は対象カラムの統計情報を使って計算 
• 各カラム値の分布はpg_stats(pg_statistic)でわかる。 
⇒ ANALYZE時に収集した情報が格納されている。
38 
Bitmap Scan 演算子 
• 8.1で追加された 
• BitmapOr, BitmapAnd で複数のビットマップを合体 
• リレーションの”ビットマップ“をメモリ内で作成する
WHERE (id1 BETWEEN 10 AND 40) OR (id2 BETWEEN 20 AND 70) 
39 
Bitmap Scan について 
• インデックスを有効に使って検索効率を向上させる機構 
• ORで結合した条件式を使った検索に効果大 
id1 = 1, id2 = 33 
id1 = 11, id2 = 55 
id1 = 34, id2 = 77 
id1 = 45, id2 = 99 
・・・ 
1 11 34 45 
テーブル 
id1列のインデックス 
ビットONの行を取得 
id2列のインデックス 
33 55 77 99 
0 
1 
1 
0 
・・ 
1 
1 
0 
0 
・・ 
Bitmap Index Scan 
1 
1 
1 
0 
・・ 
BitmapOr 
条件を満たす行(TID)を 
ビットマップとして生成 
ビットマップ 
同士でOR演算 
Bitmap Heap Scan 
同一ページ内に複数の対象行が 
ある場合、まとめて取得できるので、 
I/Oコストが有利になる。
Index Only Scan 
• 9.2で追加された 
• 取得したい値にインデックスが含まれるとき、テーブ 
ルのアクセスを省略して検索する 
• 非常に高速(しかしindex only scanが選ばれるには 
条件が…) 
40
Index Only Scanのスキャン方法 
• Index Only ScanはまずインデックスからVisibility 
Mapを参照しに行く(早速テーブルには行かない) 
• そして高速に値を返せるか返せないかは、実はこの 
Visibility Mapにかかっている 
→このVisibility Mapって一体何者なの? 
41
Visibility Mapとは 
• ページ内にトランザクションによって更新され、参照すること 
ができなくなったタプルがあるかどうかを、ビットで管理してい 
る 
• テーブルのブロック毎に1bitのデータ領域を確保し、不要なタ 
プルがない&&どのトランザクションも更新していないブロック 
には”0”を、それ以外は”1”を保存する 
ブロック1の可視性 
ブロック2の可視性 
42 
ブロック1 
ブロック2 
ブロック3 
ブロック4
Visibility Mapのbitが0だと 
• テーブルにアクセスすることなくタプルの値を返す 
43 
SELECT id FROM table1 WHERE id BETWEEN 1 AND 11 
ブロック 
1 
2 
3 
4 
… 
全タプル有効! 
インデックス 
1 11 34 45 
テーブル 
テーブルにアクセスしない
Visibility Mapのbitが1だと 
• タプルの値が返せるものか判断するために通常の 
テーブルアクセスを行う 
無効タプルあり! 
44 
SELECT id FROM table1 WHERE id BETWEEN 1 AND 11 
ブロック 
1 
2 
3 
4 1 11 34 45 
… 
インデックス 
テーブル 
1 
本当に値返していいの? 
テーブルにアクセスしよう
不要タプルの回収 
・トランザクションによって発生した不要タプルを回収するには 
vacuumを行う 
無効タプル 
45 
ブロック2 
ViisibilityMap 
ブロック1 
ブロック2 
ブロック3 
ブロック4 
ブロック5 
テーブル 
VACUUM前 
VACUUM後 
再利用可能タプル 
ブロック2 
ViisibilityMap 
ブロック1 
ブロック2 
ブロック3 
ブロック4 
ブロック5 
テーブル
46 
Tid Scan 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE ctid = '(0,1)'; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------------ 
Tid Scan on pg_proc (cost=0.00..4.01 rows=1 width=4) 
Filter: (ctid = '(0,1)'::tid) 
• カラムタプルID 
• “ctid=”がクエリに指定された場合のみ使われる 
• 滅多に使わない、非常に速い
処理を補助する演算子 
47 
分類演算子 
テーブルスキャンSeq Scan 
Index Scan 
Bitmap Scan 
Index Only Scan 
Tid Scan 
その他スキャンFunction Scan 
テーブルの結合Nested Loop 
Merge Join 
Hash Join 
分類演算子 
検索結果に対して 
作用 
Group 
limit 
Unique 
Aggregate 
Group Aggregate 
Result 
結果の結合Append 
SetOp 
その他の処理を補 
助 
Sort
48 
Sort 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc ORDER BY oid; 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------- 
Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=4) 
Sort Key: oid 
-> Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• 明示的なソート: ORDER BY句 
• 暗黙的なソート: Unique, Sort-Merge Join など 
• 開始コストを持っている: 最初の値はすぐには返却 
されない
49 
Sort について 
• データが作業メモリ(work_mem)に収まればクイックソート 
– DISK I/Oが発生しない。高速。 
• 作業メモリに収まらなければ外部ソートを選択 
– アルゴリズムは「マージソート」 
– DISK I/Oが発生するのでクイックソートより低速。 
– I/Oコストは対象データとwork_mem のサイズで変わってくる。 
work_memに収まるサイズ毎にソートを繰り返すから。多分。。。 
– 詳しくは/src/backend/optimizer/path/costsize.c のcost_sort 参照。 
7 
4 
9 
2 
DISK 
• 対象データを全て 
メモリに保持 
• メモリ上でクイック 
ソートを実行 
7 
4 
9 
2 
2 
4 
7 
9 
2 
4 
7 
9 
8 
1 
3 
5 
1 
3 
5 
8 
DISK DISK 
・・・ 
【対象データ< work_mem】 
work_mem 
【対象データ> work_mem】 
work_mem 以下を繰り返す。 
• データの一部を 
メモリに保持 
• メモリ上でソート実行 
• ソート結果を 
DISKに戻す
50 
Sortの実行例 
# EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pgbench_accounts ORDER BY bid; 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 
Sort (cost=290114.34..292614.34 rows=1000000 width=97) 
(actual time=882.522..1186.626 rows=1000000 loops=1) 
Sort Key: bid 
Sort Method: external sort Disk: 104600kB 
-> Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..26394.00 rows=1000000 width=97) 
ソート対象が大きいので外部ソート 
(actual time=0.023..176.540 rows=1000000 loops=1) 
Total runtime: 1264.377 ms 
※ ログに一時ファイル作成状況を表示(postgresql.conf のlog_temp_files = 0) 
LOG: temporary file: path "base/pgsql_tmp/pgsql_tmp32001.0", size 107110400 
STATEMENT: EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pgbench_accounts ORDER BY bid; 
※ work_mem を1⇒200MBに拡張して実行してみる 
# SET work_mem=‘200MB’; 
# explain analyze select * from pgbench_accounts order by bid; 
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 
Sort (cost=126051.84..128551.84 rows=1000000 width=97) 
(actual time=472.334..563.570 rows=1000000 loops=1) 
Sort Key: bid 
Sort Method: quicksort Memory: 165202kB 
-> Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..26394.00 rows=1000000 width=97) 
メモリに収まったのでクイックソート 
(actual time=0.030..166.788 rows=1000000 loops=1) 
Total runtime: 634.155 ms
テーブル結合する演算子 
51 
分類演算子 
テーブルスキャンSeq Scan 
Index Scan 
Bitmap Scan 
Index Only Scan 
Tid Scan 
その他スキャンFunction Scan 
テーブルの結合Nested Loop 
Merge Join 
Hash Join 
分類演算子 
検索結果に対して 
作用 
Group 
limit 
Unique 
Aggregate 
Group Aggregate 
Result 
結果の結合Append 
SetOp 
その他の処理を補 
助 
Sort
52 
Nested Loop 演算子 
=# EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, 
pgbench_accounts AS b; 
• 2つのテーブルの結合(2つの入力セット) 
• INNER JOIN とLEFT OUTER JOIN の使用 
• 「外部」テーブルをスキャンし、「内部」テーブルにマッチするものの発見 
• 開始コスト無し 
• インデックスが無い場合遅い問い合わせになる可能性、特にselect句に関 
数がある場合 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------------------------- 
Nested Loop 
(cost=0.00..27637054248.00 rows=1000000000000 width=194) 
-> Seq Scan on pgbench_accounts a 
(cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97) 
-> Materialize (cost=0.00..46011.00 rows=1000000 width=97) 
-> Seq Scan on pgbench_accounts b 
(cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97)
Nested loop 
・もっとも単純な結合方式 
・外部テーブルを一レコードずつ取り出し、その都度内 
部テーブルの全レコードとマッチングする 
・初期コストは0、総コストは結合するテーブルのレコー 
ド数の積に比する(O(M×N)) 
53
Merge Join 演算子 
# EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, 
pgbench_tellers AS t where a.aid = t.tid; 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------------------------- 
Merge Join (cost=5.94..11.25 rows=100 width=449) 
Merge Cond: (a.aid = t.tid) 
-> Index Scan using pgbench_accounts_pkey on pgbench_accounts a 
(cost=0.42..39669.43 rows=1000000 width=97) 
-> Sort (cost=5.32..5.57 rows=100 width=352) 
Sort Key: t.tid 
-> Seq Scan on pgbench_tellers t 
(cost=0.00..2.00 rows=100 width=352) 
• 二つのデータセットをJOINする:outerとinner 
• Merge Right JoinとMerge In Joinがある 
• データセットはあらかじめソートされていなければならず、また両方同 
時に走査される。 
54
55 
Merge Join (ソートマージ) 
• 事前に両方のテーブルを結合キーでソートする。 
• 両方のテーブルを先頭からマッチングしていく。 
⇒ テーブルを1回調べればよく、テーブルの走査回数減 
• 処理対象の行が多いケースで有効 
2 
4 
7 
9 
2 
7 
4 
9 
2 
1 
4 
3 
外側テーブル 
(N件) 
内側テーブル 
(M件) 
結合キーで 
事前にソート 
1 
2 
3 
4 
両テーブルを 
キー順に 
マッチング 
結合キーで 
事前にソート 
• ソートさえできれば速いが。。。 
⇒ インデックスがない列が結合キー 
の場合はコスト大。 
• 計算量はO(NlogN + MlogM)。
56 
Hash & Hash Join 演算子 
=# EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, 
pgbench_tellers AS t where a.bid = t.bid; 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------------------------- 
Hash Join (cost=3.25..140877.25 rows=10000000 width=449) 
Hash Cond: (a.bid = t.bid) 
-> Seq Scan on pgbench_accounts a 
(cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97) 
-> Hash (cost=2.00..2.00 rows=100 width=352) 
-> Seq Scan on pgbench_tellers t 
(cost=0.00..2.00 rows=100 width=352) 
• Hashは、異なるHash Join演算子で使用されるハッシュテーブルを作成 
する 
• 一方の入力からハッシュテーブルを作成し、二つの入力を比較する 
• INNER JOIN、OUTER JOINと同時に使われる 
• ハッシュの作成にはスタートアップコストが伴う
57 
Hash Join(ハッシュ値マッチング) 
• 事前に内側テーブルのハッシュ表を作成。 
⇒ ハッシュ表を作成する初期コストが必要。 
• 外側テーブルとハッシュ表を突き合わせる。 
• ハッシュ表がメモリ(work_mem)に収まらないと性能劣化。 
2 
7 
4 
9 
2 
1 
4 
3 
• 一度ハッシュ表を作ってしまえば、 
メモリ内で検索を行えるので 
ハッシュ表の検索は高速。 
• 計算量のオーダーはO(N+M)。 
外側テーブル 
(N件) 
内側テーブル 
(M件) 
ハッシュ表 
(メモリ内) 
ハッシュ表を 
事前に作成 
先頭から1行 
ずつスキャン 
結合キーのハッシュ値で 
ハッシュ表を検索
JOINの比較 
• Nested loop joinは,データが小さい場合に向 
いている 
• Merge joinは,データ量が多い場合に向いて 
いる 
• Hash joinは、ソートメモリーが十分にある場合 
に向いている 
58
検索結果に対して作用する演算子 
59 
分類演算子 
テーブルスキャンSeq Scan 
Index Scan 
Bitmap Scan 
Index Only Scan 
Tid Scan 
その他スキャンFunction Scan 
テーブルの結合Nested Loop 
Merge Join 
Hash Join 
分類演算子 
検索結果に対して 
作用 
Group 
limit 
Unique 
Aggregate 
Group Aggregate 
Result 
結果の結合Append 
SetOp 
その他の処理を補 
助 
Sort
60 
Limit 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc LIMIT 5; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Limit (cost=0.00..0.25 rows=5 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• 行は指定された数に等しい 
• 最初の行を即時に返す 
• 少量の開始コスト追加でオフセットの扱いも可 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc LIMIT 5 OFFSET 5; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Limit (cost=0.25..0.50 rows=5 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
61 
Result 演算子 
=# EXPLAIN SELECT 1 + 1 ; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------ 
Result (cost=0.00..0.01 rows=1 width=0) 
• 非テーブル問い合わせ 
• テーブルを参照せずに結果が得られる場合
結果を結合する演算子 
62 
分類演算子 
テーブルスキャンSeq Scan 
Index Scan 
Bitmap Scan 
Index Only Scan 
Tid Scan 
その他スキャンFunction Scan 
テーブルの結合Nested Loop 
Merge Join 
Hash Join 
分類演算子 
検索結果に対して 
作用 
Group 
limit 
Unique 
Aggregate 
Group Aggregate 
Result 
結果の結合Append 
SetOp 
その他の処理を補 
助 
Sort
63 
Append 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc 
UNION ALL SELECT oid ORDER BY pg_proc; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------------------- 
Append (cost=0.00..209.88 rows=3494 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• UNION (ALL) によるトリガー, 継承 
• 開始コスト無し 
• コストは単に全ての入力の合計
------------------------------------------------------------------------ 
SetOp Intersect (cost=415.51..432.98 rows=349 width=4) 
-> Subquery Scan "*SELECT* 1" (cost=0.00..104.94 rows=1747) 
-> Subquery Scan "*SELECT* 2" (cost=0.00..104.94 rows=1747) 
64 
SetOp 演算子 
=# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc INTERSECT SELECT oid FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
-> Sort (cost=415.51..424.25 rows=3494 width=4) 
Sort Key: oid 
-> Append (cost=0.00..209.88 rows=3494 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747) 
• INTERSECT, INTERSECT ALL, EXCEPT, EXCEPT ALL句 
のために使用される 
– SetOp Intersect, Intersect All, Except, Except All
実行プランを変える 
65
その前に 
• どの問い合わせプランを選んでくれるかは基本的に 
はPostgreSQL任せ 
• プランナーは人より賢いのでむやみに強制しないほ 
うが良い 
• PostgreSQLコミュニティの考えも以下のよう 
• We are not interested in implementing hints in the exact ways they are commonly 
implemented on other databases. Proposals based on "because they've got them" 
will not be welcomed. If you have an idea that avoids the problems that have been 
observed with other hint systems, that could lead to valuable discussion. 
• →他のDBにあるからなんて理由でPostgreSQLにヒント機能を持たせるのは歓迎し 
ません。もし既存のヒント機能における問題点を避けれるようなアイデアがあるな 
ら、そこで初めて議論しましょう。 
• 他方では、プランナーは推測しかしない 
– 統計情報を正しい状態に保つため定期的なANALYZEを。 
66
実行プランの強制例① 
• pg_hint_planを使用する 
• pg_hint_planは追加で提供されているモジュール 
• PostgreSQLのプランナに対して、どのような問い合 
わせプランを選ぶべきか指示(HINT)を与えることが 
できる。 
• クエリ単位で演算子を強制する 
67
pg_hint_planの実行例 
=# EXPLAIN SELECT aid FROM pgbench_accounts ; 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------------------------------- 
- Index Only Scan using pgbench_accounts_pkey on pgbench_accounts 
(cost=0.00..2384.26 rows=100000 width=4) 
=# /*+ SeqScan(pgbench_accounts) */ explain select aid from 
pgbench_accounts; 
QUERY PLAN 
--------------------------------------------------------------------- 
- Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..2588.00 rows=100000 
width=4) 
68
69 
実行プランの強制②: 
• SETコマンドで演算子を無効にする 
• SET enable_演算子= off; 
– プランナーがある演算子を使おうとするのを「強く思いとどまらせる」 
ことができる 
• Planner Method Configuration (on/off) 
– enable_bitmapscan 
– enable_hashagg 
– enable_hashjoin 
– enable_indexscan 
– enable_indexonlyscan 
– enable_mergejoin 
– enable_nestloop 
– enable_seqscan 
– enable_sort 
– enable_tidscan 
• セッション単位で演算子を強制する
70 
SETコマンドの実行例 
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pg_class WHERE oid > 2112; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------ 
Seq Scan on pg_class 
(cost=0.00..7.33 rows=62 width=164) 
(actual time=0.087..1.700 rows=174 loops=1) 
Filter: (oid > 2112::oid) 
Total runtime: 2.413 ms 
=# SET enable_seqscan = off; 
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT * ORDER BY pg_class WHERE oid > 2112; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------ 
Index Scan using pg_class_oid_index on pg_class 
(cost=0.00..22.84 rows=62 width=164) 
(actual time=0.144..1.802 rows=174 loops=1) 
Index Cond: (oid > 2112::oid) 
Total runtime: 2.653 ms
71 
Seq Scan の強制 
=# EXPLAIN SELECT * FROM pg_class; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------------- 
Seq Scan on pg_class 
(cost=100000000.00..100000006.86 rows=186 width=164) 
• 始動コストに100000000.0 を足すだけ 
– /src/backend/optimizer/path/costsize.c
実際のデバック例 
VACUUM ANALYZEをしよう 
72
このようなテーブルを用意 
73 
exception 
exception_id 
complete 
exception_notice_map 
exception_notice_map_id 
exception_id 
notice_id 
[boolean] 
SELECT exception_id FROM exception 
JOIN exception_notice_map 
USING (exception_id) 
WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; 
インデックス 
exception_id 
部分インデックスcomplete=FALSE 
全体の0.25%
74 
VACUUM ANALYZE前 
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT exception_id FROM exception 
JOIN exception_notice_map USING (exception_id) 
WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------------------------- 
Nested Loop (cost=0.00..2654.65 rows=199 width=8) 
(actual time=151.16..538.45 rows=124 loops=1) 
-> Seq Scan on exception_notice_map 
(cost=0.00..250.50 rows=399 width=4) 
(actual time=0.10..101.61 rows=15181 loops=1) 
Filter: (notice_id = 3) 
-> Index Scan using exception_pkey on exception 
(cost=0.00..6.01 rows=1 width=4) 
(actual time=0.03..0.03 rows=0 loops=15181) 
Index Cond: (exception.exception_id = "outer".exception_id) 
Filter: (complete IS FALSE) 
Total runtime: 538.76 msec exception表に“WHERE complete IS 
False”という条件の部分インデックスが 
あり、条件を満たす行は251行だけな 
のに使ってくれない
75 
VACUUM ANALYZE後 
=# ANALYZE exception; 
=# EXPLAIN ANALYZE SELECT exception_id FROM exception 
JOIN exception_notice_map USING (exception_id) 
WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------------------- 
Hash Join (cost=28.48..280.98 rows=1 width=8) 
(actual time=31.45..97.78 rows=124 loops=1) 
Hash Cond: ("outer".exception_id = "inner".exception_id) 
-> Seq Scan on exception_notice_map 
(cost=0.00..250.50 rows=399 width=4) 
(actual time=0.12..77.12 rows=15181 loops=1) 
Filter: (notice_id = 3) 
-> Hash (cost=26.31..26.31 rows=251 width=4) 
(actual time=2.96..2.96 rows=0 loops=1) 
-> Index Scan using active_exceptions on exception 
(cost=0.00..26.31 rows=251 width=4) 
(actual time=0.24..2.55 rows=251 loops=1) 
Filter: (complete IS FALSE) 
Total runtime: 97.99 msec 
部分インデックスを 
使ってくれた
Explainの実行に対して 
気を付けておくこと 
• まず最初に、テーブルがVACUUMとANALYZEされ 
ていることを確かめる 
• EXPLAINの出力を確認する 
– ANALYZEをつけて出力された実際の行数rows 
と推定行数rowsは一致しているか? 
– もしも一致していなかったら、統計情報から状態 
を確認しましょう。(pg_stat_all_tables) 
• n_dead_tup(無効タプル数) 
• last_vacuum/autovacuum(最後に(auto)vacuumされた時刻) 
• last_analyze(最後にanalyzeされた時刻) 
• などなど。。 
76
まとめ 
• Explainはクエリを実行するために最適と推 
定された問い合わせプランを表示するもの! 
• クエリチューニングをするためにはExplainが 
正しく読めることが重要! 
• 実行が遅いクエリを見つけたら、まずは 
VACUUM ANALYZEを! 
• PostgreSQLは最新のバージョンを使おう! 
77
参考文献 
• PostgreSQL全機能バイブル 
鈴木啓修・著 
• Explaining Explain ~ PostgreSQLの実行計画を読む~ 
by Robert Treat(翻訳:日本PostgreSQLユーザ会) 
• Explaining EXPLAIN 第2回 
第20回しくみ+アプリケーション勉強会中西さん 
• Explaining Explain 第3回 
第21回しくみ+アプリケーション勉強会田中さん 
• Let’s PostgreSQL 
http://lets.postgresql.jp/ 
• PostgreSQL wiki 
http://wiki.postgresql.org/wiki/Main_Page 
• 問合わせ最適化インサイド 
NTT オープンソースソフトウェアセンタ板垣さん 
78
ご清聴ありがとうございました 
79
参考までに 
80
81 
選択度の計算 
• 計算方法は2通り。 
• テーブル内で多く出現(重複)する値を条件指定した場合 
Common値(MCV: Most Common Values) 
# SELECT most_common_vals, most_common_freqs FROM pg_stats 
WHERE tablename='tenk1' AND attname='stringu1'; 
most_common_vals | {EJAAAA,BBAAAA,CRAAAA,FCAAAA,FEAAAA, 
GSAAAA,JOAAAA,MCAAAA,NAAAAA,WGAAAA} 
most_common_freqs | {0.00333333,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003} 
• 実際にその値が入っている行の出現頻度が 
分かっているので、そのまま使用する。 
上記の例でテーブルtenk1の全行数を1000件とすると、 
「Stringu1=‘MCAAAA’」の行数は「1000×0.003 = 3」行と推測できる。 
出現数/テーブル行数 
※PostgreSQL 9.0.3 のマニュアル第56章の例を引用
82 
選択度の計算 
• Common値以外の値を条件指定した場合 
• 一致検索(WHERE stringu1 = ‘IAAAA’) 
選択度= MCV値を除いた行数/ カーディナリティ 
⇒ MCV値以外はテーブル内に均等に出現すると仮定。 
• 範囲検索(WHERE stringu1 < ‘IAAAA’) 
MCV値以外のヒストグラムを利用 
# SELECT histogram_bounds FROM pg_stats 
WHERE tablename='tenk1' AND attname='stringu1'; 
histogram_bounds 
各帯のサンプル数が均一化 
されるように帯幅を調整 
-------------------------------------------------------------------------------- 
{AAAAAA,CQAAAA,FRAAAA,IBAAAA,KRAAAA,NFAAAA,PSAAAA,SGAAAA, 
VAAAAA,XLAAAA,ZZAAAA} 
※PostgreSQL 9.0.3 のマニュアル第56章の例を引用 
• 指定範囲に含まれるMVC値の選択度と、 
ヒストグラムから導出した非MVC値の選択度を加える。
83 
work_mem とlossy storage 
• ビットマップは作業メモリ(work_mem)上に作成する。 
• 通常、ビットマップには行の位置を表すTIDを持つ。 
– work_mem = 1MB で500万行ほどしか持てない。 
• work_mem に収まらないサイズの場合、 
lossy storage モードへ移行してビットマップサイズを縮小 
– 1行を1ビットで表現⇒ 1ページを1ビットで表現(1MBで64GBまでOK) 
– 取得データから条件を満たさないデータを排除するコストが必要 
通常モードlossy storage モード 
0 TID(0, 1) 
1 TID(0, 2) 
1 TID(0, 3) 
0 TID(1, 1) 
0 TID(1, 2) 
0 TID(1, 3) 
・・・・ 
1 ページ0 
0 ページ1 
・・・・ 
ページ単位の 
ビットマップに 
変更してサイズ縮小 
TID(0, 1) 
TID(0, 2) 
TID(0, 3) 
・・ 
行データを取ってから 
不要行を削除する
84 
・・・ 
TIDとは 
• システムによって暗黙的に定義されたシステム列。 
• 行データの位置(格納ブロック,アイテムポインタ位置)を示す。 
索引 
表 
キー値:1000 TID=(5,1) キー値:1001 TID=(5,2) ・・・ 
ブロック番号5 
ブロック(ページ)ヘッダアイテムポインタ1 アイテムポインタ2 ・・・ 
・・・行データ2(キー値:1001) 行データ1(キー値:1000) 
TIDを1つ指定して検索する場合のコスト: 
random_page_cost(4.00)+ cpu_tuple_cost(0.01) = 4.01 
ただし、行のctidはレコードが更新されたり、VACUUM FULLで移動させられると 
変わるので、直接TIDを指定して検索するケースは少ないと思われる。
85 
Function Scan 演算子 
=# CREATE FUNCTION foo(integer) RETURNS SETOF integer AS 
$$ 
select $1; 
$$ 
LANGUAGE sql; 
=# EXPLAIN SELECT * FROM foo(12); 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------------------ 
Function Scan on foo (cost=0.00..12.50 rows=1000 width=4) 
• 関数がデータをgatherするときに出てくる 
• トラブルシューティングの観点からは若干ミステリアス 
• 関数の中で使われているクエリについてexplainを走らせるべき
86 
Unique 演算子 
=# EXPLAIN SELECT distinct oid FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------- 
Unique (cost=181.55..190.29 rows=1747 width=4) 
-> Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=4) 
Sort Key: oid 
-> Seq Scan on pg_proc 
(cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) 
• 入力セットから重複する値を削除 
• 行の並べ替えはせず、単に重複する行を取り除く 
• 入力セットは予めソート済み(Sort演算子の後に行う) 
• タプルコストごとに「CPU演算」×2 
• DISTINCT とUNION で使用される
87 
Aggregate 演算子 
=# EXPLAIN SELECT count(*) FROM pg_proc; 
QUERY PLAN 
-------------------------------------------------------------- 
Aggregate (cost=91.84..91.84 rows=1 width=0) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=0) 
• count, sum, min, max, avg, sttdev, varianceを使用 
• GROUP BY 使用の場合差異が認められることがあり 
=# EXPLAIN SELECT count(oid), oid FROM pg_proc GROUP BY oid; 
QUERY PLAN 
------------------------------------------------------------- 
HashAggregate (cost=96.20..100.57 rows=1747 width=4) 
-> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
Sort Key: oid 
-> Seq Scan on pg_foo (cost=0.00..13520.54 rows=234654 width=4) 
88 
GroupAggregate 演算子 
=# EXPLAIN SELECT count(*) FROM pg_foo GROUP BY oid; 
QUERY PLAN 
----------------------------------------------------------------- 
GroupAggregate (cost=37442.53..39789.07 rows=234654 width=4) 
-> Sort (cost=37442.53..38029.16 rows=234654 width=4) 
• GROUP BYを使用し、より大きな結果セット上に集 
約を行う

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PostgreSQLクエリ実行の基礎知識 ~Explainを読み解こう~

  • 2. 自己紹介 • 氏名下雅意美紀 • 所属TIS株式会社 • 経歴入社1年目 • PostgreSQL歴= 入社歴 • 業務で勉強する以外にも、前回のJPUGのしくみ分科会にも 参加したり(http://thinkit.co.jp/story/2014/07/01/5074)、 PGEConsにも参加したりとコミュニティ活動なども通して日々 PostgreSQLの勉強をしています。 2
  • 3. PostgreSQLクエリ実行の基礎知識 ~Explainを読み解こう~ アジェンダ ・PostgreSQLのクエリ実行の概要 ・Explain実行結果(問い合わせプラン)の読み方 ・Explain演算子の種類 ・問い合わせプランを変更させる ・実際のデバック例 3 目標 クエリチューニングで使用するExlpainコマンドが出力する実行 計画を読めるようになりましょう。 PostgreSQLがクエリ実行時に内部でどのような処理を行ってい るかを知りましょう。
  • 6. パーサ • クエリの構文を解析して、文字列が正しい構文になっているかをチェック • 構文が正しくなければエラーを返す • 構文が正しければパースツリーの形に変換 • テーブル名やカラム名が実在するかは問わないので「ローパースツリー」 とも呼ばれる SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; SELECT TargetList oid RelationList pg_proc Qualifier Expression = oid 1 6
  • 8. アナライザ • パースツリーをもとにどのような表や関数、演算子が参照されるか を判断して、クエリツリーを作成する • この時DBにテーブルが存在するかチェックし、存在したらテーブル名 をOIDに変換する SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; SELECT TargetList oid RelationList pg_proc Qualifier Expression = oid 1 カタログ oidに変更8
  • 10. リライタ • PostgreSQLではVIEWやRULEはクエリを書き換えることで実行 している • このような書き換えの処理をリライタという 10
  • 12. プランナ • クエリツリーを解析して、実際に問い合わせを実行するための問い 合わせプランを求める • 問い合わせの実行コストを見積もり、最小コストのものを問い合わ せプランとする(問い合わせの最適化) • コスト計算のための最小単位はパス • パスは各処理によって種類がある • ここで作成された問い合わせプランはあくまで推定されたもの クエリツリー パス単位でコスト計算 最小コストのものを問い合わせプランに パスの種類 ・全件スキャン ・インデックスを使ってスキャン ・テーブル結合 など 12
  • 13. 問い合わせプランとは ・問い合わせプランとは、問い合わせを実行するときに、 ・どの方式でテーブルを検索するか ・複数のテーブルがある時はどの順序や結合方式で検索する か などを記述したもの ・問い合わせプランの優劣はコストで決まる ・Explainはこの問い合わせプランを表示す るコマンド 13
  • 15. エグゼキュータ • プランナで作成した問い合わせプランを実際に実行する • 方式によって実行ルーチンが変わる 表スキャン 結合処理 条件処理 15
  • 16. Explainとは • PostgreSQLはクエリ(SQL文)を実行する際にクエリを分解して、 最も効率の良い問い合わせプラン(実行計画)でデータを取 得してくる • 問い合わせプランはPostgreSQLが推定してくれる • そのPostgreSQLによって推定された問い合わせプランの詳細 を表示してくれるのがExplainです。 16 Explain クエリ実行のための 問い合わせプラン
  • 17. なぜExplainしなければならないのか • クエリをより高速に実行しDBのパフォーマンスを上げるには (クエリチューニングするには)、クエリの構造とクエリに含ま れるデータの性質にとって最適なプランを持つことが重要 • しかしその最適なプランとPostgreSQLによって推定されたプラ ンがいつも一致するとは限らない • PostgreSQLによって推定されたプランが最適なプランかどう か確認するためにもExplainで確認することは大切 17 推定されたプラン= 最適なプラン Explainコマンドで確認しよう!
  • 19. Explain Planの例 =# EXPLAIN SELECT * FROM pg_proc ORDER BY proname; QUERY PLAN ---------------------------------------------------- Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=322) Sort Key: proname -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=322) 19
  • 20. 20 Explaining → Cost =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; • コストは、プランナがさまざまなプランの中からある特定のプランを選 ぶための指標である • 2つのコスト: 初期コスト(左) とトータルコスト(右) – 実行プランの比較で重要なのはトータルコスト。 – いくつかの演算子には初期コストがある。無いものもある。 – コストは推定値に過ぎない。その算出は結構複雑。 • 値はシーケンシャルI/Oで1ページを読み込むコストを1.0 とした際の 相対値で示される。 QUERY PLAN ------------------------------------------ Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
  • 21. 初期コストとトータルコスト 21 cost=0.00..87.47 初期コスト実行コスト 最後の行を返す 最初の行を返す トータルコスト
  • 22. Explaining → Cost パラメータ説明規定値相対速度 seq_page_cost シーケンシャル読み込み1回1.00 (基準) random_page_cost ランダム読み込み1回4.00 4倍遅い cpu_tuple_cost 行の処理1回0.01 100倍速い cpu_index_tuple_cost 索引の処理1回0.005 200倍速い cpu_operator_cost 計算1回0.0025 400倍速い effective_cache_size ページキャッシュサイズ128MB N/A 22
  • 23. 23 Explaining → Rows =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; QUERY PLAN ------------------------------------------ Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • 推定された行数を表示する • PostgreSQL 8.0以前では、一度もVACUUM/ANALYZEされて いないテーブルについては1000行がデフォルト。 • 実際の値と大きくかけ離れている場合、vacuum あるいは analyzeをすべきというサインである。
  • 24. 一般的なデータ型のサイズについて 24 Explaining → Widths =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc; QUERY PLAN ------------------------------------------ Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • このレベルにおける推定さ れた入力サイズを表示する。 • それほど重要ではない smallint 2 integer 4 bigint 8 boolean 1 char(n) n+1 ~ n+4 varchar(n) text [ n文字]
  • 26. 26 Explaining → Explain Analyze =# EXPLAIN ANALYZE SELECT oid FROM pg_proc; QUERY PLAN ------------------------------------------ Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) (actual time=0.077..17.082 rows=1747 loops=1) Total runtime: 20.125 ms • 実際にクエリを実行し、実際の情報を表示する。 • 時間はミリ秒で表示される。「コスト」とは無関係。 • 全体の実行時間も表示される。 • 「loops」は処理の繰り返し回数。実行時間(time)は繰り返し 全体の時間を表す。
  • 28. Explain演算子とは • クエリを実行するための内部的な処理の計算タイプ • 処理の内容に応じていくつかの種類がある • PostgreSQLのプランナは、統計情報やwork_memの 大きさなどをもとに、複数の演算子を組み合わせ、 最も最適と推定される問い合わせプランを選択する • この演算子を変更して問い合わせプランを変更する のがクエリチューニング →演算子の処理について知っておくことが大切 28
  • 29. 主な演算子一覧 分類演算子処理 テーブルスキャンSeq scan インデックスを使用せず、全件を検索 Index scan インデックスを使用してスキャン Bitmap scan ビットマップを使用してスキャン Index only scan 問い合わせがインデックスに含まれるカラム のみで完結する場合のスキャン Tid scan 検索条件がタプルID(ctid)のスキャン その他のスキャンFunction scan 関数がデータをgatherした結果をスキャン テーブルの結合Nested Loop ネステッド・ループ結合を行う Merge Join ソート・マージ結合を行う Hash Join ハッシュ結合を行う 29
  • 30. 分類演算子処理 検索結果に対して 作用 Group GROUP BY limit LIMIT,OFFSET Unique UNIQUE Aggregate 集計関数(count,sum,,,) Group Aggregate 集計関数にGROUP BYを使用し、より大きな結 果のセットを得る Result 非テーブル問い合わせ 結果の結合Append UNION(和) SetOp INTERSECT(積),EXCEPT(差) その他の処理を 補助 Sort ソート処理 30 更に詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→ 第20回目しくみ分科会Explaing Explain 第2回目 http://www.postgresql.jp/wg/shikumi/sikumi_20/
  • 31. テーブルスキャンする演算子 31 分類演算子 テーブルスキャンSeq Scan Index Scan Bitmap Scan Index Only Scan Tid Scan その他スキャンFunction Scan テーブルの結合Nested Loop Merge Join Hash Join 分類演算子 検索結果に対して 作用 Group limit Unique Aggregate Group Aggregate Result 結果の結合Append SetOp その他の処理を補 助 Sort
  • 32. 32 Seq Scan 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; QUERY PLAN -------------------------------------------------- Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..92.12 rows=1 width=4) Filter: (oid = 1::oid) • 最も基本。単に表を最初から最後へとスキャンする • 条件にかかわらず各行をチェックする • 大きなテーブルはインデックススキャンの方が良い • コスト(開始コスト無し), 行(タプル), 幅(oid) • トータルコストは92.12
  • 33. 33 Seq Scan について • テーブルを最初から最後までチェックして必要な行を探す。 • 検索条件に合致するインデックスがない場合はこれしかない。 • インデックスが使えても対象行が多い場合はSeq Scan に。 ⇒ プランナがコスト計算した結果を比較して判断する。 id列のインデックステーブル id = 1 id = 11 id = 34 id = 45 ・・・ 使わない 先頭行から順に走査 (最後の行まで見る必要あり) Seq Scan のコスト = DISK I/O コスト+ CPU コスト = テーブル全ページ数×sequential_page_cost + テーブル全行数×cpu_tuple_cost + テーブル全行数×cpu_operator_cost ・テーブル全ページ数pg_class のrelpages ・テーブル全行数pg_calss のreltuples ・シーケンシャルにDISK1ページを読むコスト sequential_page_cost = 1 ・1行を走査するCPUコスト cpu_tuple_cost = 0.01 ・計算1回のCPUコスト(条件絞りこみ) cpu_operator_cost = 0.0025
  • 34. Seq Scanのコスト計算 Seq Scanのコスト= (DISK I/Oコスト)+(CPUコスト) =(テーブル全ページ数×Seq_page_cost) +(テーブル全行数×cpu_tuple_cost ) +(テーブル全行数×cpu_operator_cost) 34 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid = 1; QUERY PLAN -------------------------------------------------- Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..92.12 rows=1 width=4) Filter: (oid = 1::oid) =# SELECT relpages,reltuples FROM pg_class WHERE relname = 'pg_proc'; relpages | reltuples ----------+----------- 61 | 2490 総コスト = (61×1.0) + (2490×0.01) + (2490×0.0025) = 92.125 テーブル全行数 テーブル全ページ数 規定値0.0025
  • 35. ----------------------------------------------------- Index Scan using pg_proc_oid_index on pg_proc 35 Index Scan 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE oid=1; QUERY PLAN (cost=0.00..5.99 rows=1 width=4) Index Cond: (oid = 1::oid) • 特に大きなテーブルではコストが低くなるので選ば れる可能性が高い • Index Condが無い場合は、ソートの代わりとして使 われるインデックス順のフルスキャンを表す
  • 36. 36 Index Scan について • 検索条件に合致するインデックスがあれば検討する。 • 通常は対象行が少なければこちらが選択される。 • インデックスとテーブルを交互にアクセスする。 id列のインデックステーブル id = 1 id = 11 id = 34 id = 45 ・・・ 1 11 45 100 検索条件に合う リーフノードを探索 必要な行に ランダムアクセス Index Scan のコスト = インデックスI/Oコスト+ テーブルI/Oコスト + インデックスCPUコスト+ テーブルCPUコスト インデックスI/Oコスト = 必要ページ数×sequential_page_cost(1) テーブルI/Oコスト = 必要行数×(1~4) ※ インデックスCPUコスト = 必要行数×cpu_index_tuple_cost(0.005) テーブルCPUコスト = 必要行数×cpu_tuple_cost(0.01) ※ アクセスページがメモリサイズ (effective_cache_size)の 何倍かでアクセスコストは変化
  • 37. 37 必要行数って何? • 指定条件を満たす行数 • Explain の実行結果で「rows=100」とか表示される値。 • プランナがテーブルの統計情報から行数を予測。 ⇒ 実際に検索した時の行数とは異なる。 • 必要行数= 選択度×テーブル行数 • 「選択度」は対象データがカラムに存在する割合 • 選択度は対象カラムの統計情報を使って計算 • 各カラム値の分布はpg_stats(pg_statistic)でわかる。 ⇒ ANALYZE時に収集した情報が格納されている。
  • 38. 38 Bitmap Scan 演算子 • 8.1で追加された • BitmapOr, BitmapAnd で複数のビットマップを合体 • リレーションの”ビットマップ“をメモリ内で作成する
  • 39. WHERE (id1 BETWEEN 10 AND 40) OR (id2 BETWEEN 20 AND 70) 39 Bitmap Scan について • インデックスを有効に使って検索効率を向上させる機構 • ORで結合した条件式を使った検索に効果大 id1 = 1, id2 = 33 id1 = 11, id2 = 55 id1 = 34, id2 = 77 id1 = 45, id2 = 99 ・・・ 1 11 34 45 テーブル id1列のインデックス ビットONの行を取得 id2列のインデックス 33 55 77 99 0 1 1 0 ・・ 1 1 0 0 ・・ Bitmap Index Scan 1 1 1 0 ・・ BitmapOr 条件を満たす行(TID)を ビットマップとして生成 ビットマップ 同士でOR演算 Bitmap Heap Scan 同一ページ内に複数の対象行が ある場合、まとめて取得できるので、 I/Oコストが有利になる。
  • 40. Index Only Scan • 9.2で追加された • 取得したい値にインデックスが含まれるとき、テーブ ルのアクセスを省略して検索する • 非常に高速(しかしindex only scanが選ばれるには 条件が…) 40
  • 41. Index Only Scanのスキャン方法 • Index Only ScanはまずインデックスからVisibility Mapを参照しに行く(早速テーブルには行かない) • そして高速に値を返せるか返せないかは、実はこの Visibility Mapにかかっている →このVisibility Mapって一体何者なの? 41
  • 42. Visibility Mapとは • ページ内にトランザクションによって更新され、参照すること ができなくなったタプルがあるかどうかを、ビットで管理してい る • テーブルのブロック毎に1bitのデータ領域を確保し、不要なタ プルがない&&どのトランザクションも更新していないブロック には”0”を、それ以外は”1”を保存する ブロック1の可視性 ブロック2の可視性 42 ブロック1 ブロック2 ブロック3 ブロック4
  • 43. Visibility Mapのbitが0だと • テーブルにアクセスすることなくタプルの値を返す 43 SELECT id FROM table1 WHERE id BETWEEN 1 AND 11 ブロック 1 2 3 4 … 全タプル有効! インデックス 1 11 34 45 テーブル テーブルにアクセスしない
  • 44. Visibility Mapのbitが1だと • タプルの値が返せるものか判断するために通常の テーブルアクセスを行う 無効タプルあり! 44 SELECT id FROM table1 WHERE id BETWEEN 1 AND 11 ブロック 1 2 3 4 1 11 34 45 … インデックス テーブル 1 本当に値返していいの? テーブルにアクセスしよう
  • 45. 不要タプルの回収 ・トランザクションによって発生した不要タプルを回収するには vacuumを行う 無効タプル 45 ブロック2 ViisibilityMap ブロック1 ブロック2 ブロック3 ブロック4 ブロック5 テーブル VACUUM前 VACUUM後 再利用可能タプル ブロック2 ViisibilityMap ブロック1 ブロック2 ブロック3 ブロック4 ブロック5 テーブル
  • 46. 46 Tid Scan 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc WHERE ctid = '(0,1)'; QUERY PLAN ------------------------------------------------------ Tid Scan on pg_proc (cost=0.00..4.01 rows=1 width=4) Filter: (ctid = '(0,1)'::tid) • カラムタプルID • “ctid=”がクエリに指定された場合のみ使われる • 滅多に使わない、非常に速い
  • 47. 処理を補助する演算子 47 分類演算子 テーブルスキャンSeq Scan Index Scan Bitmap Scan Index Only Scan Tid Scan その他スキャンFunction Scan テーブルの結合Nested Loop Merge Join Hash Join 分類演算子 検索結果に対して 作用 Group limit Unique Aggregate Group Aggregate Result 結果の結合Append SetOp その他の処理を補 助 Sort
  • 48. 48 Sort 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc ORDER BY oid; QUERY PLAN --------------------------------------------- Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=4) Sort Key: oid -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • 明示的なソート: ORDER BY句 • 暗黙的なソート: Unique, Sort-Merge Join など • 開始コストを持っている: 最初の値はすぐには返却 されない
  • 49. 49 Sort について • データが作業メモリ(work_mem)に収まればクイックソート – DISK I/Oが発生しない。高速。 • 作業メモリに収まらなければ外部ソートを選択 – アルゴリズムは「マージソート」 – DISK I/Oが発生するのでクイックソートより低速。 – I/Oコストは対象データとwork_mem のサイズで変わってくる。 work_memに収まるサイズ毎にソートを繰り返すから。多分。。。 – 詳しくは/src/backend/optimizer/path/costsize.c のcost_sort 参照。 7 4 9 2 DISK • 対象データを全て メモリに保持 • メモリ上でクイック ソートを実行 7 4 9 2 2 4 7 9 2 4 7 9 8 1 3 5 1 3 5 8 DISK DISK ・・・ 【対象データ< work_mem】 work_mem 【対象データ> work_mem】 work_mem 以下を繰り返す。 • データの一部を メモリに保持 • メモリ上でソート実行 • ソート結果を DISKに戻す
  • 50. 50 Sortの実行例 # EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pgbench_accounts ORDER BY bid; -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- Sort (cost=290114.34..292614.34 rows=1000000 width=97) (actual time=882.522..1186.626 rows=1000000 loops=1) Sort Key: bid Sort Method: external sort Disk: 104600kB -> Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..26394.00 rows=1000000 width=97) ソート対象が大きいので外部ソート (actual time=0.023..176.540 rows=1000000 loops=1) Total runtime: 1264.377 ms ※ ログに一時ファイル作成状況を表示(postgresql.conf のlog_temp_files = 0) LOG: temporary file: path "base/pgsql_tmp/pgsql_tmp32001.0", size 107110400 STATEMENT: EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pgbench_accounts ORDER BY bid; ※ work_mem を1⇒200MBに拡張して実行してみる # SET work_mem=‘200MB’; # explain analyze select * from pgbench_accounts order by bid; -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- Sort (cost=126051.84..128551.84 rows=1000000 width=97) (actual time=472.334..563.570 rows=1000000 loops=1) Sort Key: bid Sort Method: quicksort Memory: 165202kB -> Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..26394.00 rows=1000000 width=97) メモリに収まったのでクイックソート (actual time=0.030..166.788 rows=1000000 loops=1) Total runtime: 634.155 ms
  • 51. テーブル結合する演算子 51 分類演算子 テーブルスキャンSeq Scan Index Scan Bitmap Scan Index Only Scan Tid Scan その他スキャンFunction Scan テーブルの結合Nested Loop Merge Join Hash Join 分類演算子 検索結果に対して 作用 Group limit Unique Aggregate Group Aggregate Result 結果の結合Append SetOp その他の処理を補 助 Sort
  • 52. 52 Nested Loop 演算子 =# EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, pgbench_accounts AS b; • 2つのテーブルの結合(2つの入力セット) • INNER JOIN とLEFT OUTER JOIN の使用 • 「外部」テーブルをスキャンし、「内部」テーブルにマッチするものの発見 • 開始コスト無し • インデックスが無い場合遅い問い合わせになる可能性、特にselect句に関 数がある場合 QUERY PLAN --------------------------------------------------------------- Nested Loop (cost=0.00..27637054248.00 rows=1000000000000 width=194) -> Seq Scan on pgbench_accounts a (cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97) -> Materialize (cost=0.00..46011.00 rows=1000000 width=97) -> Seq Scan on pgbench_accounts b (cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97)
  • 53. Nested loop ・もっとも単純な結合方式 ・外部テーブルを一レコードずつ取り出し、その都度内 部テーブルの全レコードとマッチングする ・初期コストは0、総コストは結合するテーブルのレコー ド数の積に比する(O(M×N)) 53
  • 54. Merge Join 演算子 # EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, pgbench_tellers AS t where a.aid = t.tid; QUERY PLAN --------------------------------------------------------------- Merge Join (cost=5.94..11.25 rows=100 width=449) Merge Cond: (a.aid = t.tid) -> Index Scan using pgbench_accounts_pkey on pgbench_accounts a (cost=0.42..39669.43 rows=1000000 width=97) -> Sort (cost=5.32..5.57 rows=100 width=352) Sort Key: t.tid -> Seq Scan on pgbench_tellers t (cost=0.00..2.00 rows=100 width=352) • 二つのデータセットをJOINする:outerとinner • Merge Right JoinとMerge In Joinがある • データセットはあらかじめソートされていなければならず、また両方同 時に走査される。 54
  • 55. 55 Merge Join (ソートマージ) • 事前に両方のテーブルを結合キーでソートする。 • 両方のテーブルを先頭からマッチングしていく。 ⇒ テーブルを1回調べればよく、テーブルの走査回数減 • 処理対象の行が多いケースで有効 2 4 7 9 2 7 4 9 2 1 4 3 外側テーブル (N件) 内側テーブル (M件) 結合キーで 事前にソート 1 2 3 4 両テーブルを キー順に マッチング 結合キーで 事前にソート • ソートさえできれば速いが。。。 ⇒ インデックスがない列が結合キー の場合はコスト大。 • 計算量はO(NlogN + MlogM)。
  • 56. 56 Hash & Hash Join 演算子 =# EXPLAIN SELECT * FROM pgbench_accounts AS a, pgbench_tellers AS t where a.bid = t.bid; QUERY PLAN --------------------------------------------------------------- Hash Join (cost=3.25..140877.25 rows=10000000 width=449) Hash Cond: (a.bid = t.bid) -> Seq Scan on pgbench_accounts a (cost=0.00..25874.00 rows=1000000 width=97) -> Hash (cost=2.00..2.00 rows=100 width=352) -> Seq Scan on pgbench_tellers t (cost=0.00..2.00 rows=100 width=352) • Hashは、異なるHash Join演算子で使用されるハッシュテーブルを作成 する • 一方の入力からハッシュテーブルを作成し、二つの入力を比較する • INNER JOIN、OUTER JOINと同時に使われる • ハッシュの作成にはスタートアップコストが伴う
  • 57. 57 Hash Join(ハッシュ値マッチング) • 事前に内側テーブルのハッシュ表を作成。 ⇒ ハッシュ表を作成する初期コストが必要。 • 外側テーブルとハッシュ表を突き合わせる。 • ハッシュ表がメモリ(work_mem)に収まらないと性能劣化。 2 7 4 9 2 1 4 3 • 一度ハッシュ表を作ってしまえば、 メモリ内で検索を行えるので ハッシュ表の検索は高速。 • 計算量のオーダーはO(N+M)。 外側テーブル (N件) 内側テーブル (M件) ハッシュ表 (メモリ内) ハッシュ表を 事前に作成 先頭から1行 ずつスキャン 結合キーのハッシュ値で ハッシュ表を検索
  • 58. JOINの比較 • Nested loop joinは,データが小さい場合に向 いている • Merge joinは,データ量が多い場合に向いて いる • Hash joinは、ソートメモリーが十分にある場合 に向いている 58
  • 59. 検索結果に対して作用する演算子 59 分類演算子 テーブルスキャンSeq Scan Index Scan Bitmap Scan Index Only Scan Tid Scan その他スキャンFunction Scan テーブルの結合Nested Loop Merge Join Hash Join 分類演算子 検索結果に対して 作用 Group limit Unique Aggregate Group Aggregate Result 結果の結合Append SetOp その他の処理を補 助 Sort
  • 60. 60 Limit 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc LIMIT 5; QUERY PLAN ------------------------------------------ Limit (cost=0.00..0.25 rows=5 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • 行は指定された数に等しい • 最初の行を即時に返す • 少量の開始コスト追加でオフセットの扱いも可 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc LIMIT 5 OFFSET 5; QUERY PLAN ------------------------------------------ Limit (cost=0.25..0.50 rows=5 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
  • 61. 61 Result 演算子 =# EXPLAIN SELECT 1 + 1 ; QUERY PLAN ------------------------------------------ Result (cost=0.00..0.01 rows=1 width=0) • 非テーブル問い合わせ • テーブルを参照せずに結果が得られる場合
  • 62. 結果を結合する演算子 62 分類演算子 テーブルスキャンSeq Scan Index Scan Bitmap Scan Index Only Scan Tid Scan その他スキャンFunction Scan テーブルの結合Nested Loop Merge Join Hash Join 分類演算子 検索結果に対して 作用 Group limit Unique Aggregate Group Aggregate Result 結果の結合Append SetOp その他の処理を補 助 Sort
  • 63. 63 Append 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc UNION ALL SELECT oid ORDER BY pg_proc; QUERY PLAN -------------------------------------------------------------- Append (cost=0.00..209.88 rows=3494 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • UNION (ALL) によるトリガー, 継承 • 開始コスト無し • コストは単に全ての入力の合計
  • 64. ------------------------------------------------------------------------ SetOp Intersect (cost=415.51..432.98 rows=349 width=4) -> Subquery Scan "*SELECT* 1" (cost=0.00..104.94 rows=1747) -> Subquery Scan "*SELECT* 2" (cost=0.00..104.94 rows=1747) 64 SetOp 演算子 =# EXPLAIN SELECT oid FROM pg_proc INTERSECT SELECT oid FROM pg_proc; QUERY PLAN -> Sort (cost=415.51..424.25 rows=3494 width=4) Sort Key: oid -> Append (cost=0.00..209.88 rows=3494 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747) • INTERSECT, INTERSECT ALL, EXCEPT, EXCEPT ALL句 のために使用される – SetOp Intersect, Intersect All, Except, Except All
  • 66. その前に • どの問い合わせプランを選んでくれるかは基本的に はPostgreSQL任せ • プランナーは人より賢いのでむやみに強制しないほ うが良い • PostgreSQLコミュニティの考えも以下のよう • We are not interested in implementing hints in the exact ways they are commonly implemented on other databases. Proposals based on "because they've got them" will not be welcomed. If you have an idea that avoids the problems that have been observed with other hint systems, that could lead to valuable discussion. • →他のDBにあるからなんて理由でPostgreSQLにヒント機能を持たせるのは歓迎し ません。もし既存のヒント機能における問題点を避けれるようなアイデアがあるな ら、そこで初めて議論しましょう。 • 他方では、プランナーは推測しかしない – 統計情報を正しい状態に保つため定期的なANALYZEを。 66
  • 67. 実行プランの強制例① • pg_hint_planを使用する • pg_hint_planは追加で提供されているモジュール • PostgreSQLのプランナに対して、どのような問い合 わせプランを選ぶべきか指示(HINT)を与えることが できる。 • クエリ単位で演算子を強制する 67
  • 68. pg_hint_planの実行例 =# EXPLAIN SELECT aid FROM pgbench_accounts ; QUERY PLAN --------------------------------------------------------------------- - Index Only Scan using pgbench_accounts_pkey on pgbench_accounts (cost=0.00..2384.26 rows=100000 width=4) =# /*+ SeqScan(pgbench_accounts) */ explain select aid from pgbench_accounts; QUERY PLAN --------------------------------------------------------------------- - Seq Scan on pgbench_accounts (cost=0.00..2588.00 rows=100000 width=4) 68
  • 69. 69 実行プランの強制②: • SETコマンドで演算子を無効にする • SET enable_演算子= off; – プランナーがある演算子を使おうとするのを「強く思いとどまらせる」 ことができる • Planner Method Configuration (on/off) – enable_bitmapscan – enable_hashagg – enable_hashjoin – enable_indexscan – enable_indexonlyscan – enable_mergejoin – enable_nestloop – enable_seqscan – enable_sort – enable_tidscan • セッション単位で演算子を強制する
  • 70. 70 SETコマンドの実行例 =# EXPLAIN ANALYZE SELECT * FROM pg_class WHERE oid > 2112; QUERY PLAN ------------------------------------------------ Seq Scan on pg_class (cost=0.00..7.33 rows=62 width=164) (actual time=0.087..1.700 rows=174 loops=1) Filter: (oid > 2112::oid) Total runtime: 2.413 ms =# SET enable_seqscan = off; =# EXPLAIN ANALYZE SELECT * ORDER BY pg_class WHERE oid > 2112; QUERY PLAN ------------------------------------------------ Index Scan using pg_class_oid_index on pg_class (cost=0.00..22.84 rows=62 width=164) (actual time=0.144..1.802 rows=174 loops=1) Index Cond: (oid > 2112::oid) Total runtime: 2.653 ms
  • 71. 71 Seq Scan の強制 =# EXPLAIN SELECT * FROM pg_class; QUERY PLAN ------------------------------------------------------- Seq Scan on pg_class (cost=100000000.00..100000006.86 rows=186 width=164) • 始動コストに100000000.0 を足すだけ – /src/backend/optimizer/path/costsize.c
  • 73. このようなテーブルを用意 73 exception exception_id complete exception_notice_map exception_notice_map_id exception_id notice_id [boolean] SELECT exception_id FROM exception JOIN exception_notice_map USING (exception_id) WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; インデックス exception_id 部分インデックスcomplete=FALSE 全体の0.25%
  • 74. 74 VACUUM ANALYZE前 =# EXPLAIN ANALYZE SELECT exception_id FROM exception JOIN exception_notice_map USING (exception_id) WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; QUERY PLAN -------------------------------------------------------------------- Nested Loop (cost=0.00..2654.65 rows=199 width=8) (actual time=151.16..538.45 rows=124 loops=1) -> Seq Scan on exception_notice_map (cost=0.00..250.50 rows=399 width=4) (actual time=0.10..101.61 rows=15181 loops=1) Filter: (notice_id = 3) -> Index Scan using exception_pkey on exception (cost=0.00..6.01 rows=1 width=4) (actual time=0.03..0.03 rows=0 loops=15181) Index Cond: (exception.exception_id = "outer".exception_id) Filter: (complete IS FALSE) Total runtime: 538.76 msec exception表に“WHERE complete IS False”という条件の部分インデックスが あり、条件を満たす行は251行だけな のに使ってくれない
  • 75. 75 VACUUM ANALYZE後 =# ANALYZE exception; =# EXPLAIN ANALYZE SELECT exception_id FROM exception JOIN exception_notice_map USING (exception_id) WHERE complete IS FALSE AND notice_id = 3; QUERY PLAN -------------------------------------------------------------- Hash Join (cost=28.48..280.98 rows=1 width=8) (actual time=31.45..97.78 rows=124 loops=1) Hash Cond: ("outer".exception_id = "inner".exception_id) -> Seq Scan on exception_notice_map (cost=0.00..250.50 rows=399 width=4) (actual time=0.12..77.12 rows=15181 loops=1) Filter: (notice_id = 3) -> Hash (cost=26.31..26.31 rows=251 width=4) (actual time=2.96..2.96 rows=0 loops=1) -> Index Scan using active_exceptions on exception (cost=0.00..26.31 rows=251 width=4) (actual time=0.24..2.55 rows=251 loops=1) Filter: (complete IS FALSE) Total runtime: 97.99 msec 部分インデックスを 使ってくれた
  • 76. Explainの実行に対して 気を付けておくこと • まず最初に、テーブルがVACUUMとANALYZEされ ていることを確かめる • EXPLAINの出力を確認する – ANALYZEをつけて出力された実際の行数rows と推定行数rowsは一致しているか? – もしも一致していなかったら、統計情報から状態 を確認しましょう。(pg_stat_all_tables) • n_dead_tup(無効タプル数) • last_vacuum/autovacuum(最後に(auto)vacuumされた時刻) • last_analyze(最後にanalyzeされた時刻) • などなど。。 76
  • 77. まとめ • Explainはクエリを実行するために最適と推 定された問い合わせプランを表示するもの! • クエリチューニングをするためにはExplainが 正しく読めることが重要! • 実行が遅いクエリを見つけたら、まずは VACUUM ANALYZEを! • PostgreSQLは最新のバージョンを使おう! 77
  • 78. 参考文献 • PostgreSQL全機能バイブル 鈴木啓修・著 • Explaining Explain ~ PostgreSQLの実行計画を読む~ by Robert Treat(翻訳:日本PostgreSQLユーザ会) • Explaining EXPLAIN 第2回 第20回しくみ+アプリケーション勉強会中西さん • Explaining Explain 第3回 第21回しくみ+アプリケーション勉強会田中さん • Let’s PostgreSQL http://lets.postgresql.jp/ • PostgreSQL wiki http://wiki.postgresql.org/wiki/Main_Page • 問合わせ最適化インサイド NTT オープンソースソフトウェアセンタ板垣さん 78
  • 81. 81 選択度の計算 • 計算方法は2通り。 • テーブル内で多く出現(重複)する値を条件指定した場合 Common値(MCV: Most Common Values) # SELECT most_common_vals, most_common_freqs FROM pg_stats WHERE tablename='tenk1' AND attname='stringu1'; most_common_vals | {EJAAAA,BBAAAA,CRAAAA,FCAAAA,FEAAAA, GSAAAA,JOAAAA,MCAAAA,NAAAAA,WGAAAA} most_common_freqs | {0.00333333,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003,0.003} • 実際にその値が入っている行の出現頻度が 分かっているので、そのまま使用する。 上記の例でテーブルtenk1の全行数を1000件とすると、 「Stringu1=‘MCAAAA’」の行数は「1000×0.003 = 3」行と推測できる。 出現数/テーブル行数 ※PostgreSQL 9.0.3 のマニュアル第56章の例を引用
  • 82. 82 選択度の計算 • Common値以外の値を条件指定した場合 • 一致検索(WHERE stringu1 = ‘IAAAA’) 選択度= MCV値を除いた行数/ カーディナリティ ⇒ MCV値以外はテーブル内に均等に出現すると仮定。 • 範囲検索(WHERE stringu1 < ‘IAAAA’) MCV値以外のヒストグラムを利用 # SELECT histogram_bounds FROM pg_stats WHERE tablename='tenk1' AND attname='stringu1'; histogram_bounds 各帯のサンプル数が均一化 されるように帯幅を調整 -------------------------------------------------------------------------------- {AAAAAA,CQAAAA,FRAAAA,IBAAAA,KRAAAA,NFAAAA,PSAAAA,SGAAAA, VAAAAA,XLAAAA,ZZAAAA} ※PostgreSQL 9.0.3 のマニュアル第56章の例を引用 • 指定範囲に含まれるMVC値の選択度と、 ヒストグラムから導出した非MVC値の選択度を加える。
  • 83. 83 work_mem とlossy storage • ビットマップは作業メモリ(work_mem)上に作成する。 • 通常、ビットマップには行の位置を表すTIDを持つ。 – work_mem = 1MB で500万行ほどしか持てない。 • work_mem に収まらないサイズの場合、 lossy storage モードへ移行してビットマップサイズを縮小 – 1行を1ビットで表現⇒ 1ページを1ビットで表現(1MBで64GBまでOK) – 取得データから条件を満たさないデータを排除するコストが必要 通常モードlossy storage モード 0 TID(0, 1) 1 TID(0, 2) 1 TID(0, 3) 0 TID(1, 1) 0 TID(1, 2) 0 TID(1, 3) ・・・・ 1 ページ0 0 ページ1 ・・・・ ページ単位の ビットマップに 変更してサイズ縮小 TID(0, 1) TID(0, 2) TID(0, 3) ・・ 行データを取ってから 不要行を削除する
  • 84. 84 ・・・ TIDとは • システムによって暗黙的に定義されたシステム列。 • 行データの位置(格納ブロック,アイテムポインタ位置)を示す。 索引 表 キー値:1000 TID=(5,1) キー値:1001 TID=(5,2) ・・・ ブロック番号5 ブロック(ページ)ヘッダアイテムポインタ1 アイテムポインタ2 ・・・ ・・・行データ2(キー値:1001) 行データ1(キー値:1000) TIDを1つ指定して検索する場合のコスト: random_page_cost(4.00)+ cpu_tuple_cost(0.01) = 4.01 ただし、行のctidはレコードが更新されたり、VACUUM FULLで移動させられると 変わるので、直接TIDを指定して検索するケースは少ないと思われる。
  • 85. 85 Function Scan 演算子 =# CREATE FUNCTION foo(integer) RETURNS SETOF integer AS $$ select $1; $$ LANGUAGE sql; =# EXPLAIN SELECT * FROM foo(12); QUERY PLAN ------------------------------------------------------------ Function Scan on foo (cost=0.00..12.50 rows=1000 width=4) • 関数がデータをgatherするときに出てくる • トラブルシューティングの観点からは若干ミステリアス • 関数の中で使われているクエリについてexplainを走らせるべき
  • 86. 86 Unique 演算子 =# EXPLAIN SELECT distinct oid FROM pg_proc; QUERY PLAN -------------------------------------------------- Unique (cost=181.55..190.29 rows=1747 width=4) -> Sort (cost=181.55..185.92 rows=1747 width=4) Sort Key: oid -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4) • 入力セットから重複する値を削除 • 行の並べ替えはせず、単に重複する行を取り除く • 入力セットは予めソート済み(Sort演算子の後に行う) • タプルコストごとに「CPU演算」×2 • DISTINCT とUNION で使用される
  • 87. 87 Aggregate 演算子 =# EXPLAIN SELECT count(*) FROM pg_proc; QUERY PLAN -------------------------------------------------------------- Aggregate (cost=91.84..91.84 rows=1 width=0) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=0) • count, sum, min, max, avg, sttdev, varianceを使用 • GROUP BY 使用の場合差異が認められることがあり =# EXPLAIN SELECT count(oid), oid FROM pg_proc GROUP BY oid; QUERY PLAN ------------------------------------------------------------- HashAggregate (cost=96.20..100.57 rows=1747 width=4) -> Seq Scan on pg_proc (cost=0.00..87.47 rows=1747 width=4)
  • 88. Sort Key: oid -> Seq Scan on pg_foo (cost=0.00..13520.54 rows=234654 width=4) 88 GroupAggregate 演算子 =# EXPLAIN SELECT count(*) FROM pg_foo GROUP BY oid; QUERY PLAN ----------------------------------------------------------------- GroupAggregate (cost=37442.53..39789.07 rows=234654 width=4) -> Sort (cost=37442.53..38029.16 rows=234654 width=4) • GROUP BYを使用し、より大きな結果セット上に集 約を行う