☆ここまでのあらすじ
グランドファイナル観戦の手引きとして試合レポートを書き始めた真性引き篭もりhankakueisuu。 しかし時の流れは残酷であった。投稿を書き上げるよりも先にグランドファイナルが開催されてしまう。退屈極まる内容でグループリーグを突破したアライエンスの試合レポートなど、もはや投稿するに値しないものになってしまった。それでも貧困が染みついている、他にやる事のない愚かな男は、もったいないの一言で、スクリーンショットを撮り、投稿を校正し続けたのだった……。◆Liquid戦。
対Liquid戦は、書くべき事が何も無かった。グランドファイナル前の投稿を目指した元バージョンでは、「語るに値せず」の一行だった。あまりにも酷いので少しだけ書いておく。現在のLiquidは見るべき所の無いチームで、単純に実力が違う。北米のチームなので、アライエンスとは度々対戦している。格付けは完全に完了済みだ。dotaは残念ながら強いチームが弱いチームに勝つゲームだ。もちろん、Liquidだって少しは強いので、1本先取ならば5回に1回くらいは勝てるだろう。その1回が出なかった。
Liquidにはslarkというアライエンスに相性の良いpickがある。アライエンスは塔を割らずにLodaを待つという戦略を選択する事がある。その場合、アライエンスの後衛は塔破壊によるボーナスgoldが得られず、全裸の時間が続く。Liquidがアライエンスに勝つには、そこで優位を確保するしかない。
slarkは、Lodaが育つ前、アドブルが帳尻を合わせる前の時間帯に、アライエンスの全裸後衛に刺さるヒーローだ。一本先取の一発勝負であり、明らかな格上が相手なのだから、のるかそるかのslark勝負で良かったと思う。(Liquidは、1勝4敗で最下位に沈むのだが、その1勝はiGを相手に、のるかそるかのslarkで得た一勝だ。)
このアライエンス戦においてliquidは、NA、gyro、DSと保守的なpickをしてしまい、2nd ban フェイズでslarkはBANされた。アライエンスのNAは強いpickではないので、gyro、ds、slarkとpickし、NAは可能であれば後半にpickするべきだったと思う。実力差があるのでpick負けとは言えない。それでもLiquidはプレイング面で精一杯健闘して見せたので、pickで失敗しなければ5回の1回を引けた可能性はあっただろう。
立ち上がりこそ頑張ったLiquidだったが、agiesを2度もタイムアウトで失うなど、チームとしての体を成していなかった。LodaのAMがbf+matnta+butter揃えたのを見て慌ててpushをし、逆にbarracksを割られて負け。2度のaegisをきちんと使用し、その上で負けたというのなら、「勝ったチーム凄いな」「負けたチーム残念だった」と試合のレポートを書くことが出来たかもしれない。けれども、この内容では何も無い。せっかくだからslarkが見たかった。
アライエンスは勝って当然の相手に、語るに値しない内容で勝った。けれども、退屈極まる一勝は、次のorange戦で生きてくる。アライエンスがLiquid戦で見せた退屈さは、s4の仕掛けた情報戦の一環だった(……のかもしれない)。
◆orange戦。
orange視点で見れば、究極の駄ゲー。orangeはLiquidよりも酷かった。
見てるこっちがごめんなさいと謝りたくなりたい内容だった(誰に?)
まず、開始早々に謎のクーリエロスト。
このゲームではsolo sideを担当した、アジア最強のsolo midプレイヤーであるohyが、tangoを所持したクーリエを自レーンに歩かせて、アドミナルブルドッグの偵察用召喚ユニットに狩られてクーリエを失う。875goldの差が付く。アイテムスロットが足りずにtangoを運ぼうとしたというわけではなく、Ohyはアイテムスロットを1つ余らせており、完全に意味不明。何がしたかったんだろう。
この謎のクーリエロストにより、このゲームでmidを担当したkyxyはボトルを手にする事が出来ない。orangeのクーリエが復活し、kyxyがボトルを手にした段階で、アライエンスのs4はクーリエ往復により3度目のbottleが間近だった。1500HP、500マナくらいのハンデ。くだらない。
iceiceiceに完勝し、mushiに完勝し、yamatehに完勝し、それどころかyaoまでをも完全に押さえ込み、アジア単独1位の名と格を手に入れたアジア最強プレイヤーであるthe monsterことkyxyは、このゲームにおいてもスカンジナヴィア最強のsolo midであるs4を、qopとmagというキャラ差以上のラストヒットとharassで完全に押さえ込んでいた。magのショックウェーブも悉く読み切って神回避。ハラスとミクロでレーンを押し上げ、ルーンも完全にコントロール。けれども、クーリエが死んでおり、ボトルが来ない。勝負にならない。
さらに、これ。
セーフレーンcarryであるmushiと、キャプテンでありpickerであるXが、2人でLoda目掛けて無謀すぎるダイブ。二度ともLodaを殺せず、二度とも2人でfeed。16倍速、いや可能ならば32倍速で再生し、最後までぶっ飛ばそうかと思うくらい、つまらない展開だった。語るに値せずどころか、見るに値せず。
orangeのpickは典型的な3 carry。3人のcarryが分散farmした上で、集中運用して勝つ戦略だ。けれどもorangeは3人のcarryがfarmし、3人のcarryがそれぞれ単独でfeedして終わった。「普段はもっと強い子なんです、orangeはやれば出来る子なんです」と、s4に謝りたいくらいだった。
プレイングよりも残念だったのがpickだ。
orangeは、sandとsdというサポートをpickした。この2キャラ、共に「最初の一手」を担当するヒーローだ。sandが仕掛けて、そこを他の人が追撃する。あるいはsdが仕掛けて、そこを他の人が追撃する。そんなヒーローが2人。どうするんですか。
sdが仕掛ける。そこをsandが仕掛ける。戦果無し。
sandが仕掛ける。そこをsdが仕掛ける。戦果無し。
アジア一強のpickがこれ、、、、。
プレイヤー差で勝ってるだけじゃねえか!マジで。
orangeはpicker兼キャプテンであるWinteRをkickしたのが間違いだった。WinteRをkickし、MUFCからOhy、kyxy、Netという3人を引き抜き、MUFCはディスバンド(解散)。マレーシア最強のチームを作り上げ、アジアは1強寡占に陥るはずだった。
ところが、orangeにkickされ、ネット中継の解説者として有名になりつつあったWinteRは、MUFCの残党や老兵を寄せ集めて「ABC」という適当すぎるチーム名のアマチュアチームを結成する。
チームABCはWinteRの見事なpickと統率力で、orangeに度々勝利し、互角以上の勝率を残してしまう。その凄まじい強さをスポンサーが見逃すはずもなく、結成僅か2週間でpro化の話がリークされ、実際に一瞬でpro化。新生MUFCとして生まれ変わり、orangeを何度も倒す。さらに、zsmjを加入させた中国強豪のviciにも壮絶な死闘を繰り広げて勝つなどし、ti3にストレートinで招待されるにまで至る。
orangeは運営母体のしっかりとしたチームで、「2012年でアジアで優勝し、2013年に世界大会で3位に入り、2014年に世界大会で優勝する」という目標を掲げていた。この大会でorangeは、中国三強の一角であるDKに2-1で勝利し、3位に入賞。
世界大会で3位に入るという目標を見事に達成した。チーム改造は成功した。orangeの補強は成功だった。kyxy、Ohy、mushiという3人の前衛は、妄想の世界でのみ実現するレベルの、アジア最強の陣容だ。それでも、pickerであり戦略家として知られた、経験豊富なWinteRをkickしたのは間違いだったと思う。
orangeはチーム改造を行うに際し、大勢のプレイヤーをstand-inで試用した。zenithのiceiceiceや、xFreなど、隣国シンガポールからも強プレイヤーを招き、公式戦でプレイさせた。その上でMUFCからkyxyとOhy、さらには後衛1人の合計三人を引き抜いた。
彼らの獲得と同時に、WinteRはkickされた。WinteRだけではない。yamateHという伝説的な前衛と、iceというサポートプレイヤーもkickされた。yamateHはorangeにおいて低調なパフォーマンスに終始し、「完全に終わった人」だと思われていた。ところが、そのyamateHはzenithに入り、iceiceiceやxFreと組んで復調する。
yamateとiceが加入するまで、zenithは低迷していた。hyhy離脱の穴を埋められず、チームとしての体を成していなかった。解散危機も伝えられていた。そんなチームが、orangeをkickされた2人を加入させた瞬間から持ち直し、ti3にストレート招待されるまで行った。orangeのチーム改造により、アジアは一強寡占に陥るどころか、逆に放出したメンバーによって3強状態になってしまった。
yamateの復調理由を問われたiceiceiceは、「mushiは悪い所を指摘する事に長けている。私達は良い所を指摘する事に長けている」と答えた。iceiceiceは前述の通り、orangeにstand-inとして招待されてmushiとプレイした上で、mushiをdisっている(というか自画自賛している)。「もしかして何かあるのかな」と感じてしまった。だがちょっと待って欲しい。mushiのパーソナリティを疑うよりも前に、思い出しておくべき過去がある。iceiceiceがorangeにstand-inして担当したロールは、feederと敗因だったという事実だ。良い所など、どこにも無かった。
もう1つ残念だったもの。
それはmushiのアイテムビルドだ。
lotherをゆっくり作って、それからBKB。
gyroがゆっくりlotherなんか作っても、何も出来ないです。即lotherなら意味があるんだけれど、ドラムやらリングやら色々作った上でのlotherなので、1度として有効利用されぬままゲームは終了。さらに酷かったのはBKB。
mushiが始めてBKBを使用した場面。
味方全員死んでます。
mid rax割られてます。
top towerも、もう無いです。
Loda is unstoppableとか出てます。
with a TRIPLE kill!とか表示されてます。
BKBがなんだって言うんですか。
勘弁してください。
許してください。
ごめんなさい。
この対戦はLiquid戦以上に、「語るに値せず。」の一行で片付けるべき内容でした。
試合レポートなんて、5年に一度の名勝負を見て上擦ったテンションだけ書くべきものなんです。いや試合レポートに限らず、ブログなんて5年に一度だけ投稿されるべきものなんです!毎日更新とか毎週更新とか毎月更新とか、そういうくだらない継続が世の中を糞コンテンツで埋め尽くしていく。このエントリーなんてその典型です。アライエンスがグループリーグ無敗でしたなんて、wtfの一言で済んだ話です。
とはいえ、アライエンスだけに注目すれば、このつまらない試合にも見所はありました。駄試合中の駄試合であり、勝負としての内容は皆無だったのですが、アライエンスはこの対戦において、自らの良さを全て出し切ります。如何にして欧州シーンを統一したのかを、アジアに知らしめます。
◆Lodaを育てる為にLodaを見殺しにしたアライエンス。
アライエンスの戦略家であるs4はこのゲームにおいて、Lodaを見捨てる事を選択します。アライエンスを欧州シーンでご覧になっている方は、「Lodaがgdgdの内容で空気化し、時と場合によってはfeeder化する。そこをアドミナルブルドッグが獅子奮迅の活躍で勝利に導く。」というアライエンスの勝ちパターンをご存じでしょう。
そのような展開だけを見ると、「アドミナルブルドッグって凄いじゃん」「Lodaってたいしたことないじゃん」といった感想を抱いて当然です。けれども、そのような展開は、アライエンスの戦略担当であるs4が明確な意図をもって生じさせた現象です。「Lodaがへぼい」「アドブルが凄い」という理由から生じる現象ではありません。
アライエンスの基本戦略はLodaを徹底的に保護し、アドブルは放置するという1core戦略です。4人でプレイする。アドブルは知らない。無視する。頑張れるなら頑張って、迷惑かけないでね、呼んだら来てね、というチームです。
けれどもアライエンスはオプションとして、Lodaを見捨てて、アドブルを保護するという戦略を有しています。何故アライエンスはLodaを見捨てるのか。その答えがフリオンです。アドブルが熊の次に用いているフリオンというヒーローは、cd20秒でマップ全域に自由にテレポートが出来て、HP550の召喚ユニットを一度に5体も召喚可能。おまけにultは、MAP全域の敵にダメージを与えるという、最強にして最悪のマップコントロールヒーローです。
そのフリオンを保護して育てれば、テレポートによるスプリットプッシュ(敵集団を無視して他のレーンの塔とbarracksを狙う)が可能になります。これは、凶悪な陽動作戦です。相手のプッシュを全て腰砕きにする事が可能です。アドミナルブルドッグのフリオンがスプリットプッシュを行い、残る4人で守備をすれば、膨大な時間を稼ぐ事が出来ます。フリオンを殺さない限り、敵はまともにpushする事が出来ません。
そして、cd20秒のテレポートでMAP中を逃げ回る、装備の揃ったフリオンを殺す事は極めて困難です。さらに、マップ全体攻撃ultと、ジャングル用の召喚ユニを有しているフリオンは、金策に長けています。buy backするだけの資金を常に確保出来ます。相手はフリオンを2度も殺さない限り、まともなpushを行えません。
Lodaを保護すればLodaが太る。
けれども決戦は15~20分に訪れてしまう。
そこでチームが(あるいはLodaが)ミスを犯せば負ける。
アドブルのフリオンを保護すればLodaは痩ける。
けれども、30分~40分の時間稼ぎが可能になる。
Liquid戦のアドブル。10分でレベル5。cs9、deny5。
orange戦のアドブル。10分でレベル8目前。cs45、deny11。
同じヒーロー、同じpickをしながら、アドブルの扱いを180度変えました。Liquid戦では見捨てて放置したアドブルを、orange戦において全力でサポートし、Lodaを犠牲にしました。Lodaはmushiのtri lane相手に稼げず、殺され、スコアは0-2。mushiはラストヒットを取りまくり、スコアも2-0と太っていきます。
情勢は、悪いです。
2対3をプレイするLodaはボロボロ。
s4もkyxy the monsterに押さえ込まれます。
そんな中、Lodaを犠牲にして育てられたアドブルは、akkeのサポートによって揃えた防具の力によって、inviテレポートoutという奇跡的な命拾いをするなど順調に育ち、陽動作戦を行い、orangeの腰を全て折り、ゲームをコントロールしていきます。orangeは攻めても攻めてもぬかに釘。いや、オレンジは統率を欠いており、攻めの焦点を定める事すら出来ません。
orangeは攻めれないだけではなく、守る事も出来ません。何故ならば、アライエンスは攻めないからです。一切攻めないのです。この対戦においてアライエンスが始めてタワーを割りに行ったのは、なんと29分30秒。midもbtmもtopも、絶対にpushしない。絶対に攻めない。塔など割らない。戦わない。アライエンスの戦略家であるs4は、対戦ゲームという枠組みを否定し、アンチプレイに徹します。
どんな事があっても、あらゆるレーン、あらゆる場所で、絶対に戦わない、集団戦などしないという強固な意志を持ってプレイしたアライエンスはこの試合において、ただの一度も集団戦を行いませんでした。試合時間42分の間、ゲームが終わるまでの間ずっと、アドブルは陽動を続け、Lodaはfarmを続け、戦闘を否定し、敵との遭遇を事前に回避し続けました。そしてそれは成功しました。
アライエンスは遭遇戦と集団戦を回避し、相手のミスを待ち続けます。
40分に近づく頃、orangeは全員で秘かに敵裏に回り込み、奇襲をかけます。そこでorangeはNetがスタンを当て損ねるというミスを犯し、orangeは撤退を決定します。しかしアライエンスはそれを許さず、追撃戦において4killを取り、そのままゲームを終わらせました。戦闘を行う意思のない、歩いて逃げるorangeを狩っただけで、この試合は終了します。ゲーム開始から終了までに生じた集団戦の回数は0。0回です。視聴者が盛り上がるポイントは一切ありませんでした。
戦略としてLodaを見捨て、見殺しにし、時間稼ぎの為のアドブルを育成したアライエンスは、そのゲームプランを完全な形で実行しました。40分間ファーム。ひたすらファーム。ただファーム。遅れてゆっくりと肥ゆるLoda。Lodaに匹敵するDPSに育ったアドミナルブルドッグのフリオン。アライエンスの必勝パターンが成立します。アライエンスによる、完璧な試合運びでした。
アドブルのフリオンによる陽動は、欧州シーンにおいても徹底されています。この大会においても、1つ前のゲーム、対Liquid戦で、もの凄いちんけなプレイがありました。
テレポートで加わった瞬間に、召喚ユニットを作成。
そして、即テレポートスクロールの巻物を使用して退却。
このアンチプレイには、頭を抱えて笑いました。
時間稼ぎの為なら、形振り構いません。
アライエンスは徹底しています。
Lodaも森に隠れた上でテレポートスクロールで退却。
あまりにも悪質すぎる、アライエンスのアンチ戦闘戦略。
陽動というより、アンチプレイ。ゲームの否定。完全に芸術の域です。
◆プレイヤーの弱点は、チームの弱点とイコールではない
アライエンスには致命的な弱点があります。それがアドミナルブルドッグというプレイヤーの存在です。彼が説得力を持つプレイを行えるのは、熊だけ。他のヒーローも動かせるようにはなりましたが、未だにインパクトを持つには至っていません。誰もがそれを知っているので、アライエンスと戦うチームは「熊を逆にpickする」という逆熊作戦を実行します。valveが用意した100万ドルの札束によって終焉を迎えてしまったdota allstarsシーンが最後に到達したのは、「zhouの熊が勝つ」という残念な結論でした。それに対する回答が「sylの熊」「バーニングの熊」「Haoの熊」という中国4大carryによる、4匹の熊でした。
中国だけではありません。naviのxboctと王LTHによる2匹の熊をはじめとして、EGのフェアー、kyxy、xtt、パジャキャット、ミザリー、black、hanni、aui、TC、sharky、fzfz、iceiceice、果てはLodaやzsmjに至るまで、世界中の名だたるプレイヤーが、熊の練習を余儀なくされ、熊に乗っています。一定以上のレベルにおいて、熊を有していないチームは存在しません。
誰かが熊を練習しなければならない。
熊を研究し、熊戦略を構築せねばならない。
それが末期のdota allstarsシーンであり、現在のdota2シーンです。
ところが、アライエンスは「熊を巡るトレーニング」が不要なチームです。かつては熊を練習し、熊に乗っていたLodaは、アライエンスにおいてただの1度も熊に乗っていません。当たり前です。アライエンスには、熊しか使えない人が居ます。熊の大先生が居ます。アドミナルブルドッグの存在は、総合的なプレイヤー性能では大きな弱点(だった)のですが、「他のプレイヤーが熊を練習する必要がなくなる」という点では、最初から貴重な戦力でした。
仮に、かつて欧州最高のsolo sideとして知られた現ALのミラケルがアライエンスのsolo sideとして入団していたならば、Lodaが熊を練習し、Lodaが熊を担当していたでしょう。今のアライエンスにその必要はありません。熊という足かせはありません。熊練習という負担は、アライエンスには存在しないのです。
そして、アドミナルブルドッグは熊の弱点をも知り尽くしています。単純に一番強いキャラだからという理由で熊を使い続けたアドミナルブルドッグという糞プレイヤーは、異常な高勝率でその悪名を欧州全土に轟かせます。「あれ熊の人だ」とマッチングされた段階でばれます。対策もされます。狙われます。それでもゲームをぶち壊し続け、勝ち続けたからこそ、最悪のパブスタンパーとして有名になりました。
アライエンスは「逆熊作戦」に一定の耐性を有しています。相手に熊を奪われても負けません。その強さは、アドミナルブルドッグの知識から来ています。アドミナルブルドッグというぽっと出の素人は、シーンの生き字引とでも言うべきLodaやakkeよりも、作戦面で貢献出来る深い知識を持っている、特殊なプレイヤーなのです。もちろん、その知識は熊する事だけですが。
熊の大先生はたまに、新しいヒーローを割り振られます。そして目も当てられない酷いプレイをして、ゲームを台無しにします。熊先生が戦えるのは未だに熊のみ。かろうじて扱えるのは唯一フリオン。他にアリバイ程度に動かせるのが2~3キャラ。人は熊先生を「アライエンスの弱点」と呼びます。本当に、そうなのでしょうか?熊先生は弱点なのでしょうか?
dota2において、フリオンと熊が同時にBANされる可能性は非常に低いです。どちらかをpickする事が可能です。100キャラ使えるプレイヤーでも、1試合で使えるのは1キャラのみ。2キャラしか使えない熊先生も同じく、1試合に使えるのは1キャラ。持ちキャラなんて、2人も居れば十分なのです。
熊
フリオン
フリオン
クロック(熊とフリオンを共にBANされる)
熊
熊
熊
アライエンスが中国で戦った7試合のうち、実に6試合が熊とフリオンです。pick幅が狭いということは、戦略の多様性を確保出来ないということです。その歪みは必ず敗因として浮上します。メタ戦で不利になる。pickで負ける。僅か2ヒーローしか使えないプレイヤーは、どれだけ上手くても、どれだけ強くても、pick出来るヒーローが少なすぎるという時点でチームの弱点です。
けれども、もしも仮に、アライエンスというチームが、熊先生のpick幅の狭さを補う事の出来る、多様性を持ったプレイヤーを抱えているならば……。熊先生のpick幅の狭さが、pick負けに直結する事を阻止出来るプレイヤーを有しているとすれば……。
ursa(2-4-15)
am(7-1-7)
pa(9-2-7)
pl(9-1-8)
alc(11-1-8)
naix(5-0-6)
pa(7-0-6)
アライエンスには、中国で6種類のヒーローを使い、その全てで素晴しい結果を残したプレイヤーが居ます。それが、かつて前衛、中衛、後衛、全てのタイプのヒーローでロールモデルとなるリプレイを残した、ジュラ紀の万能プレイヤー、石器時代のパブスタンパー、Lodaという伝説のインターネットヒーローです。
dotaはチームスポーツです。全員が万能プレイヤーである必要はありません。弱点があって結構。その弱点を埋める事の出来るプレイヤーが、チーム内に存在していればいいのです。アライエンスの多様性を確保するのは、最後にpickされたcarryを宛がわれるLodaの仕事です。early carry、late carry、anti push carry、push carry、melee carry、range carry、nuker carry。Lodaは全てのロールを器用にこなし、s4の期待に応え、チームの戦略的多様性を確保しています。
このゲームでorangeは、「Lodaのtri lane」を予測して、3on3を挑みました。これは完全なリサーチ不足です。アライエンスが戦略的にLodaを見捨てるチームだという事を把握していなかった時点でorangeの負けです。アライエンスがどのように、「逆熊作戦」を潰してきたかを把握していなかった情報収集でorangeは負けました。
アライエンス相手に熊をpickする場合は、熊をmidかtri laneに配置し、生存能力に長けたヒーローをsolo sideに置かなければなりません。solo sideに熊を置いてしまうと、akkeが遙々潰しに来ます。酷い場合はakkeだけではなく、サポート2人で潰しに来ます。レベル4以下の熊は生存能力に長けていないので、確実に潰されてしまいます。
Lodaは死にました。また死にました。転けました。アイテム無しです。裸です。
けれども逆レーンにおいて、akkeのchenに守られたアドブルは、アジア最高のsolo midプレイヤーであるOhyが操る熊を2人がかりで殺します。二度目の殺害チャンスこそ連携ミスで取り逃すものの、アドブルとOhyの間には埋めがたい経験値差が付き ました。熊が「最強の1on1ヒーロー」に進化するレベル5になった時点でアドブルのフリオンはレベル8。Ohyに出来る事はありません。もう手遅れです。アライエンスによる、逆熊作戦の潰し方講座でした。
akkeに守られて序盤装備を調え終えたアドブルは陽動作戦を繰り返し、Lodaの為に、40分ものfarm timeを確保します。40分あれば誰でも太ります。そして、Lodaが用いたヒーローはpa。450%ダメージクリティカルを持つ、ゲーム中最強のmelee DPS。しかも、magのbuffまであります。一発殴って1500dmg。そんなもん死にます。はい、死にました。おまけにアドブルのフリオンも完全武装。テレポートで回り込んで600dmgで殴ります。そんなもん死にます。はい、死にました。見る物を眠らせる退屈さを伴う、完璧な試合運びでした。
akkeはアドブルの元で一仕事を終えた上で、長い距離を歩いてレーンチェンジし、ゲーム時間3分30秒の時点でbtmレーンに入ります。2-1-2を1-1-3に切り替え、遅ればせながら3on3を受けて立ちます。その3on3において、序盤戦でLodaを完璧に潰し、序盤装備を買い整えたmushiを擁するorangeの3人は、事を有利に進めます。
ところが、orange優勢の3on3をぶちこわしてしまった人物が居ました。それがアドミナルブルドッグです。前述の通り、フリオンはマップ上の自由な地点にテレポート可能。1killを取り、3対2の数的優位を作ったorangeは、テレポートで飛んできたアドブルに殴られて2死を献上し四散します。
それ以降、「順調にレベルが上がったフリオンがテレポートで飛んでくる」という抑止力も働いてしまい、orangeはLodaを潰して太ったmushiという優位性をゲーム展開に取り入れる事が出来ませんでした。くそみたいに退屈な、くそみたいな内容の、全く見所の存在しない、凄まじくつまらない内容でした。
☆DESTOROOOOOY!!!!!!!!
その裏で、凄まじい内容で3連勝を遂げていたチームがあります。
それが中国三強の一角、「戦略のLGD」 こと、LGD.chinaです。
LGDは今年に入って公式戦無敗だったiGを、40-2というスコアでデストロイして勝ちます。さらに、アライエンスがlv1テレポートroshanという奇策を講じて倒したDKを正面突破で粉々に粉砕。33-4というスコアでデストロイします。Liquid戦に至っては、DESTROYするよりも先に相手が泣き出し、ギブアップしてしまいました(スコアは12-1)。
戦うゲームにおいて、戦うことを否定し続けたチーム。
戦うゲームにおいて、戦い、勝利し、相手をDESTROYし続けたチーム。
「プレイ」という正義と、
「アンチプレイ」という悪が、
遂に相見えます。
LGDには、中国4大熊の1人にして、蟻熊狼時代で主役を務めたSylarという素晴しいcarryプレイヤーが居ます。アンチゲーム戦略を選択し、つまらない勝ち方を続けてきたアライエンスをDESTROYするべく、tri lane逆熊という対アライエンスの模範解答を演じたLGDは素晴しい内容でアライエンスをデストロイの崖っぷちまで追い込むもLodaの魔の手にかかり、心をDESTROYされて逆転負けしてしまいます。
その心を砕く逆転負けの影響から、LGDは自分達の作戦に対して疑心暗鬼に陥り、グランドファイナル再戦時には「tri lane 逆熊作戦」という対アライエンスの最適解を放棄し、熊先生に熊を渡すという戦略を選択します。そして、熊先生にrapeされて散るという、あまりにも悲しい、凄惨な最後を迎えるのでありました。
☆ここからのあらすじ
LGD.xiao8LGD.Yao
LGD.syl
LGD.ddc
LGD.dd
中国は3強ではない、中国は5強だ!
そしてこの5人こそが中国5強だ!
同じ中国三強のiGとDKをデストローイしたLGDが、アライエンスに正義のデストロイを下す!しかし、そこで僕等を待ち受けていたものは、アライエンスが中国滞在中に演じた唯一の名勝負だった。プレイ 対 アンチプレイ。ゲーム 対 アンチゲーム。push 対 アンチpush。farm 対 アンチfarm。 戦略のLGDと、欧州最高の戦略家であるs4。最強の矛と最悪の盾。対称的な内容で3連勝を飾った両者が遂に激突。
次回LGD対アライエンス。
上海の死闘。
☆ここからのあらすじ
グランドファイナル観戦の手引きとして試合レポートを書き始めるも、対LGD戦に取りかかったあたりで疲れて止めたので、草案も存在しておらず、校正のしようもないので、アライエンス対LGDの試合レポートが投稿される事は決してありません。LGDをむしゃむしゃとおいしく貪り喰った熊先生の勇姿は、以外な所に飛び火します。
僅か16歳でproになり、iGの Ferrari430を倒し、天才少年と持て囃されたvici gameingのCty。忿怒神手の異名を持ち、dendi以上の才能と称されるCtyは、グランドファイナルでLGDをrapeする熊先生を見て、 「熊って強いんだ!」という間違った思い込みに囚われてしまいます。
ti3のアジア予選において、viciのpickerを務めたCty少年は、zsmjに熊、熊、熊と、頑なに熊をpickし続け、僅か一週間前に熊を用いずに勝利していた相手に惜敗。ti3の切符を逃してしまいます。
所詮は素人であり、1ヒーローしか使えないパブスタンパーにすぎなかった、醜く卑しいアドミナルブルドッグはこの瞬間、「戦わずして天才少年Ctyを敗走せしめた」という実績と、「戦わずして伝説の中の伝説、zsmjを敗走せしめた」という実績を同時にアンロック。中国の過去と、中国の未来を同時に、それも自らの手を汚す事なしに粉砕した熊先生の名声は、もはや並ぶ者の無い前人未踏の領域に突入。リビングレジェンドに成り上がってしまったのでありました。