プライベート寄席に、なんと菊之丞師匠! まさかの談笑師匠!

2016年3月22日(火) 12:42:02

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ボクが主宰するコミュニティ4th(ラボの卒業生が主メンバー)では、今年からいろんな方をお招きして「夜ラボ」と称して活動している。

聴衆は平均3〜40名だろうか(最大で60名)。
だいたい週に1〜2回開催。

4thメンバーも登壇するんだけど、外部の方を呼んでもいて、いままでも、バレエの岩田守弘くんとか、キャスターの松原耕二さんとか、イラストレーターの松尾たいこさんとか、ラーメンの大崎浩史さんとか、富士酢の飯尾彰宏さんとか、グーグルの金谷武明さんとか、紀州原農園の原拓生さんとか、いろんな方に来てもらった。セミナー形式で話していただくこともあるし、ボクとの対談というカタチを取ることもある。

たいていは元から親しい方々なので、ボク的には緊張しないのだけど、唯一緊張する回がある。

噺家さん(落語家さん)をお迎えするときだ。

「南青山夜景寄席」と題して、噺家さんにも来ていただいているのである。

2月から始めて、いままでに二回来ていただいている。
いまのところ毎月開催しているのである。

2月の第一回は、なんと、古今亭菊之丞師匠。

とても好きな噺家さんで、花魁をやらせたら絶品。品はあるしキレはある。
漫画の「昭和元禄落語心中」の八代目有楽亭八雲は、ボクの中では菊之丞師匠である(歳も性格も全然違うけど、あの花魁やらせたら絶品な感じとか、線がちょっと細いところとか、なんとなくボクの中ではそう変換されてしまう)。

すごいなぁ。
小さなコミュニティの落語会に、菊之丞師匠が来てくれるとは!

それだけでも充分感動だったのだけど、師匠は、なんと『芝浜』を演ってくださった。『幇間腹』『芝浜』の二席。ボクのオフィスでまさかの『芝浜』!

みんなズズズと鼻ならして聴いていた。そりゃ泣くわ。

で、こんなすごい師匠に来ていただけるのは、もちろん間を取り持ってくださる方々がいるからなのだが、この方々が第二回もとんでもない師匠を呼んでくださった。

立川談笑師匠である。

天才かつ現代落語界のイノベーターのひとり(まぁ立川流自体がイノベーター的出自と志を持っているのだが)。

それが先週だった。
4thの若いメンバーは、前回の菊之丞師匠で初めて落語を聞く人も多い(なんと贅沢な!)。
超満席の今回も初心者だらけだったのだけど、初心者でかぶりつきで菊之丞師匠に談笑師匠って、人生的に嫉妬レベルだなぁ。

ボクは、談志師匠の前座で談笑師匠が『青菜』を演った落語会に娘を連れて行ったことがあり、そこで「生の談志の高座を娘に経験させた」という親として最高レベルの思い出を上げたのだが(当時中学生だった娘がどれくらいそれをすごいこととして覚えているかはわからんが)、それ以来、談笑師匠には妙に親近感がある(談志の前座で、なんかとっても緊張してて可愛かったw)。

その談笑師匠をお迎えするのは、そういう意味で、なんだかとてもうれしかった。
あの時と、今が、結びついた感覚。

で、談笑師匠。
20時ジャストに高座に上がられ、客層と反応を見ながら探り探りの枕。

探りすぎて、枕だけで30分w
でもそれが超面白く、ドカンドカンと爆笑を取っていく(マンションの他の部屋からクレームが来るんじゃないかとヒヤヒヤしたくらい)。

うまいなぁ。
特に「現在の落語ブームに至る暗黒の20年の分析」は、おもしろいうえにうーんと唸った。落語初心者たちに落語の歴史や流れを説明しながら、そこに鋭い考察を加え、時々爆笑とりながら、落語を身近に感じさせるという高度な技。

こりゃすごいわ。

で、『堀之内』『時そば』と、わかりやすいネタを二題。
これは、まだ始まったばかりのこの寄席の前回のネタと今後のネタの流れを考えてくださった上での選択だと思う。とてもありがたい(普通、寄席などではネタ帳を作って、噺家さんたちのネタがかぶらないようにする。なので、誰が何を前に演ったのかの流れは大切。特に始まったばかりの落語会では大切)。

枕が長かったせいで、二席終わってすでに規定の1時間半。
とはいえ、談笑師匠、最初に「今日は三席やる」と宣言しちゃってるw

ということでおもむろに始まったのが、(実は密かに期待してた人も多かった)通称『イラサリマケー』(『居酒屋改』)。
江戸を舞台にした『居酒屋』というネタを、歌舞伎町の怪しい居酒屋のビルマ人店員との絡みに置き換えた師匠の十八番のひとつ。

なんと贅沢なw

寄席の場を提供する主催者を「席亭」と呼ぶらしいのだが、そういう意味で(本当はもっと本格的なものを言うのだが、まぁ言ってみれば)ボクも「席亭」である。

席亭冥利に尽きるとはこのこと。

今回も間をとりもってくださった方々、取り仕切ってくださった方々、オフィスに高座を作るのに協力してくださった方々、本当にありがとうございました。

ちなみに第三回南青山夜景寄席は、談笑師匠の一番弟子にして「現在落語論」という本まで出している意識高い系二つ目、立川吉笑さん登場。

二つ目さんを真打ち前から追うのもめっちゃ乙なもの。
楽しみだ。

※菊之丞師匠の写真はカメラマン田頭真理子さんが当日写したものです。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、[email protected] まで。

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